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ジオール王国炎蝗編
婿と任務
しおりを挟むオレは強くてカッコイイ~。
あの炎のアラクネー神を倒すくらいなんだから、そりゃあ、もう。
そんな訳で、王都オングス決戦を終えて、その日はジオール王国の東国境のモルゼスの街にある辺境伯ブルーレジン家の邸宅の客室で一泊する事になったのだが、
◇
速攻で夜這いされた。
シックスパックのお姉さん、ライアナさんに。
もう、ビックリしたわ~。
最初は暗殺者かと思ったから。
それも、もはや大邸宅では御馴染みの仕掛け扉から。
今回はガコッとの音と共に室内のドレッサー? 洋服タンス? ともかくそれがスライドして中から1人が登場~。
それがライアナさんだった。
ライアナさんは辺境伯ブルーレジン家の令嬢だけあって色々と分かってらっしゃる~。
訪問スタイルも完璧だった。
真っ裸だったから~。
褐色肌のシックスパックを晒してる。
武器もナシ~。
「返り血で装備が汚れるのを嫌っての裸なのか」と疑ったオレの何と世間知らずな事か~。
我が勤勉なる透明分身も動く気配はなし。
どういう事だ?
もしかしてアラクネー神との戦闘以降、機能不全を起こしてる?
と疑ったが、側頭部に乗って眠ってるピピーが起きて、ピピピッと激おこになって、
「あっ、起きてるの、アラン?」
「ええ、何ですか、ライアナさん。もしかしてコレですか?」
オレは人差指と中指2本で首を横に掻き切る真似をした。
「そんな訳ないでしょ、恥を忍んで来てるのに」
「?」
「アナタ、私の婿になりなさい」
そこまで言われてようやくオレは気付いた。
暗殺じゃない。
エロ系だと。
いや~、長かった~。
前世の記憶を思い出して追放されてからは、バニラさんのおっぱい貯金の抱き枕イベントこそ毎晩のようにあったが、それ以外は全然で。
そう、抱き枕イベント。
あれだよな~、諸悪の根源は~。
確かにバニラさんのおっぱいの感触はいい~。
毎晩、顔をおっぱいに埋められて、もう最高な訳さ~。
でも、そのお陰でクラン【氷の百合】所属の他のお姉さん達とは仲良くなれなかったし~。
もうクランの全員がオレとバニラさんが付き合ってるって勘違いしててさ~。
フラグが立たないっていうか。
だが、遂にそんなオレにもエロイベントが。(0.1秒)
オレはライアナさんを見た。
夜目とまでは言わないまでもそこそこクリアに見える。
前に昼間にKOした時同様、獣人のミディアムの金髪で褐色肌。
18歳。
そしてシックスパックの腹筋。
獣耳に獣尻尾。
胸も尻も並以上にある。
寧ろ、豊満だ。
正直に言おう。
ライアナさんは全然タイプじゃない。
だって、だって~。
シックスパックの腹筋なんだも~ん。
アスリート女子じゃんっ!
ないわ~っ!
前世のオレは眼鏡女子で、今世のオレは兄嫁オンリーなのに~。
あっーーいや、違う。
今のはーー
あはははは、今の今世の方は聞かなかったって事で。
ほらほら、オレ、まだ14歳だから。
兄嫁って言っても20代だから。
10歳年上なだけだから。
30代以上はまだ14歳だから興味なんて無いし~。
それに屋敷で雑用係をされてるオレにも優しくしてくれたっていうか。
って、今は眼の前のライアナさんだ。(0.1秒)
ライアナさんはもうオレのベッドに滑り込んできた。
動きが速い。
「いいわね。婿になりなさい」
「待って。ボク(よそゆきの喋り方)、まだ14歳で――」
「貴族の男ならその年齢で普通よ」
「でもーー」
チュッとされて唇を塞がれた。
塞がれるだけではなく、もうニュチュ、ネチュッとすんごいから~。
辺境伯令嬢だよな?
段取りが早過ぎないか?
もしかして経験豊富な有段者なの~?
それはそれで引くお年頃なんだが~。
唇から逃れたオレが、
「まっ、待った。経験人数、何人なの、ライアナさん?」
「あのね~。私を何だと思ってるの? 0人に決まってーー」
激おこのピピーが頭の上に乗って翼で叩いてるが全く気付かないライアナさんのその言葉は、
バンッ。
との客間のドアが勢い良く開いた音で掻き消えた。
開いたドアからトミナさんが入ってくる。
トミナさんは22歳、銀髪ミディアムで寝着は客用に出されたパジャマ。
「何をされてるんですか、2人ともっ! ジオール王国の非常時にっ!」
「何って、私とアランは将来を誓い合って愛をーー」
「た、助けて、トミナさん」
「はあ、それはないでしょ、アラン? 私がここまで恥を忍んでしてるのに」
「だって、ボクにはまだ早いって言うかーー」
まあ、嘘だけど。
ライアナさんが初体験の相手ってのはちょっと。
「無理強いはよくありませんよ、ライアナ嬢」
「ったく。邪魔が入ったから今夜はもういいわ。またね、私は諦めないから」
そう言って真っ裸のまま、移動したままのドレッサーの抜け穴から部屋を出ていった。
「あ~、怖かった~。もっと早く来てよ~、トミナさ~ん。ってか、一緒に寝てよ~」
「あのですね、アラン殿~」
と呆れたトミナさんだったが、ダメ元どころか適当に言ったのに、
「ーーったく、分かりました。二度とこのような事がないように同衾しますね」
「えっ、そうなの?」
「任務ですから」
本当にトミナさんがベッドの中に入ってきた。
「任務って」
「マチルダーズ、それも代表陣営以外にはアラン殿を渡すな、と言われておりますので」
と説明するトミナさんの頭の上に乗ったピピーが○ポーズを作っていた。
あれ、トミナさんって失格じゃなかったっけ?
LVが上がったから?
そんな事を思いながらオレはトミナさんと一緒のベッドで寝たのだった。
別におっぱいに顔を埋めさせて貰ってないからね。
翌朝、起きたらいつもの癖でトミナさんの胸に顔を埋めちゃってたけど~。
それもパジャマが何故か肌蹴てて半裸のトミナさんのスベスベのナマ乳に。ムフフ。
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