オレはスキル【殺虫スプレー】で虫系モンスターを相手に無双する

竹井ゴールド

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レコアーヌ公国掌握編

大掃除

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 翌朝からは厳粛なムードがギラドニール宮殿に漂っていた。

 何せ、公太子妃が公太子を殺害したのだから。

 そして老王が実の息子を見殺しにしてまでなそうとした狙いが判明した。

 レコアーヌ公国の筆頭貴族にして、公太子妃ミラリー妃殿下の実父、ドクトーニ侯爵潰しだ。

 何せ、呪詛毒「冥府の蝋燭」の出所が実家のドクトーニ侯爵家だったので連座が適用。

「違います、陛下ーーこれは罠です、我が一族を陥れる」

 まさしく罠なのだが、そのような正論、大切な公太子を殺された老いた公王のをする黒幕には通じず、

「黙れっ! 貴様が毒を用意した事はミラリー付きの侍女が既に口を割って判明しているわっ! 息子の次はワシを殺す気だったのであろうがっ! 反逆罪で極刑にしてくれるわっ!」

 との演技でドクトーニ侯爵家とそれに連なる血族の貴族8家が完全捕縛。





 公太子妃ミラリー妃殿下が公太子オズレンテ堅下を殺害した現場は目撃者が20人以上で隠しようがなく、公表している関係もあり、その血族の貴族もさらっと処刑となった。

 血縁200人以上が。





 一族郎党が処刑って。

 三国志かよ~。

 前世の日本では戦国時代でもないぞ、こんなの?

 織田信長を殺した明智光秀の腹心の斎藤ナンチャラの子供は徳川家光の乳母の春日局なんだし~。





 ドクトーニ侯爵家の派閥、言うなれば寄り子貴族10家以上も降格処分。

 男爵家に至ってはそれ以上降格出来ない事から平民落ちとなった。

 これでレコアーヌ公国に多大な影響を与え、時には専横までしてた邪魔なドクトーニ侯爵家は消滅したのだった。

 この粛清こそがあの老王が息子を見殺しにしてまでやりたかった事で、ギラドニール宮殿ではドクトーニ侯爵一派が内心嫌われていた事もありおおむね歓迎ムードだった。





 そしてオレはーー





 帰れなかった。

 公太子が死んでるのに「そんじゃあ」とは帰国出来ずにオズレンテ殿下の葬儀に参加。





 その後も長々と5日もギラドニール宮殿も逗留したのだった。





 ◇





 第2公子にして公太子に昇格したオズレンテ殿下の弟のハリロスト殿下が、

「今後はよろしくお願いしますね、英雄殿」

「ええ、こちらこそ」

「その、それでどうして、兄は英雄殿の部屋のベッドに居たんですか?」

「無論、オレーーコホン、私を守る為です。その前に2回襲撃がありましたので念の為にと。まあ、私も怖がってしまったんですが」

「――あの者達も当然、極刑にしますのでご安心下さい」

 良かった~。

 これで釈放された日にはまたオレが狙われるからな~。

 それより問題は第2公子こっちか。

 何、その眼差し?

 オレを疑ってるのか?

 失敬な奴だな。

 オレは老王に言われて助けるのを止めただけだぞ。

 疑うなら父親の老王を疑えよな。(0.1秒)

 なんて思ったが、ハリロスト殿下の方が大人力を見せて、

「今後ともよしなにお願いしますね、英雄殿」

「はい、よろしくお願いします」

 心情に気付いた様子も見せないポーカーフェイスで、オレも答えておいた。





 こうしてようやくオレはマチルダーズ連合へと帰る事が出来たのだった。





 その帰路での事である。





 襲われるわな~、そりゃ~。

 レコアーヌ公室の公孫ミラリンクに続いて、

 公太子オズレンテ殿下。

 公太子妃ミラリー妃殿下。

 実家の公国の筆頭貴族のドクトーニ侯爵家とその血族。

 それらが200人以上死んでるんだから~。

 死んでるだけでその数だ。

 降格処分なんて国内最大派閥だっただけあり、10家以上で、お取り潰しの男爵家も5家以上。

 更にはドクトーニ侯爵派閥に取り入る為に派遣されてた子弟の廃嫡や蟄居、降格した寄り子貴族との離縁や借財の回収不能なんかも数えたら絶対に50家以上の被害が出てるんだからさ~。





 事情通なら誰もがオレを狙った公太子妃ミラリー妃殿下が誤爆で公太子オズレンテ殿下を狙った事を知ってるし~。

 ってか、レコアーヌ公国の貴族の顔触れを刷新したい老王がその情報をドクトーニ侯爵一派の残党に流さない訳がない。

 第2公子ハリロスト殿下の方が兄の死に納得出来ずに動いた可能性もあるが。





 そんな訳で狙われました~。

 ワイバーンでの飛行中に、ワイバーンやグリフォンの飛獣200匹の部隊に~。

「絶対に仕留めるぞぉぉぉぉっ!」

「あの疫病神をレコアーヌ公国から出すなぁぁぁぁっ!」

「死ねぇぇぇっ! レコアーヌ公国を仇なすペテン師めっ!」

 雑魚どもが必死になってオレを狙う中、

「うわ、本当にーー」

 オレを送ってるワイバーンの操縦を担当する魔法騎士の30代の男の呟きが聞こえて、

「なんて聞いてるの、公王陛下から?」

 オレは確認した。

「英雄殿を狙うようなやからは掃討して構わないと」

「当然、オレがやるんだよね?」

「はい。私では無理ですので」

 だよね~、素直でよろしい。

 それにしても使ってくれるよな~、このレコアーヌ公国も気軽にオレを~。

 まあ、オレも銀陸王の素材5%を貰ってるから仕事はするけどさ~。

「聖なる光よ、600本の矢となり我が敵を倒せ、聖なる矢」

 魔法を詠唱して、聖矢600本を出して飛獣200匹に攻撃した。

「嘘、こんなにーー初級でもこの数だと大魔法だろ」

 前の席に居る魔法騎士がナイスリアクションをする中、

「グアアアアアア」

「グヤアアアア」

「ギャアア」

「グハア」

 オレが放った聖矢魔法が飛獣200匹と騎乗者を簡単に撃ち抜く。

 中には飛獣が死んだ事で墜落する中、空中に逃げて【浮遊落下】でトロトロ浮かんでるのも居たが、

「確認だけど掃討なんだよね?」

「はい、捕縛する必要はないと」

 なら遠慮なく、

「聖なる光よ、100本の矢となり我が敵を倒せ、聖なる矢」

 オレは更に追加で聖矢魔法を100本放って生き残った40人程を射抜いたのだった。

「ーー凄いんですね。銀陸王を討伐されただけあって」

 信奉者のように眼を輝かせた魔法騎士が振り向く中、

「まあ、英雄をやらせて貰ってるので」

 オレは満更でもない顔で答えたのだった。





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