オレはスキル【殺虫スプレー】で虫系モンスターを相手に無双する

竹井ゴールド

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レコアーヌ公国掌握編

敵討ち

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 レコアーヌ公国で英雄として祭り上げられたオレだ。

 パレードの後もギラドニール宮殿に滞在して貴族達からの挨拶漬けにされてた訳だが、宮殿内がにわかに騒がしくなかった。

 最初は、お姫様が騒動を起こしたのか、と思ったが、お姫様は銀陸王の素材を貰うとパレード前にオレを置いてアポリス王国へと帰ってる。

 当然、一刻でも早くアポリス王国の宮廷鍛冶師に銀陸王の素材で武具を作らせる為だ。

 本当に薄情なお姫様だよな~。

 まあ、初対面で殴ってるからね~。

 今後も仲が進展する事はないだろうけど。

 いや、あのお姫様の性格なら逆に進展するかも・・・

 でも、わがままお姫様は今この宮殿には居ない。

 なら、あの騒ぎは何だ、と思い、

「何かあったので?」

「確認してきます」

 オレの質問を受けて、近くに居た魔法騎士の1人が出て行ったきり帰らず、しばらくは貴族達と挨拶した。





 今やレコアーヌ公国内の貴族の態度は二極されてる。

 「銀陸王を倒した英雄」のオレにすり寄るか。

 「ミラリンク公孫を殺した犯罪者」のオレを敬遠するか。

 ここに集まったのは追従派だったので、オレの質問で確認にやらされた魔法騎士ではなく、挨拶に来てた、小太りの40代だが抜け目ない顔付きのドラン・ストーン伯爵がオレに擦り寄る為に小声で、

「ザク侯爵、近衛騎士達が騒いでいましたのでご報告を」

「何かありましたので?」

「宝物庫から国宝【風滅の槍】が盗まれたそうです。おそらくは英雄殿の命を狙われるのに使われるかと」

「公孫の一件がまだ尾を引いてると?」

「ミラリンク殿下は一部に人気がありましたから。お気を付けを」

「情報ありがとうございます、ストーン伯爵」

「いえいえ、今後ともよしなに」

 などと会話したのだった。





 ◇





 そして、





 速攻で来やがった。

 就寝や晩餐会、帰路のワイバーンでの移動まで待てなかったのか。

 昼下がりに銀陸王の素材を使った武具を作る流れとなり、ギラドニール宮殿内にある宮廷鍛冶師の鍛冶工房を目指して廊下を歩いてると、

「この偽英雄がっ! ミラリンク殿下の仇を取らせて貰うぞ、覚悟っ!」

 若いイケメンの貴公子がそう叫んだが、手に持ってる槍が凄かった。

 膨大な魔力を噴出してるのが分かる。

 そうか、これが【風滅の槍】か。

 この魔力量、近付かれるのは怖いな。

 突進してくるイケメンにオレは、

「聖なる矢」

 無詠唱で聖矢魔法を放つも、聖矢5本はイケメンに当たる直前で槍が放った風で軌道を変えた。

 うお、逸れた。

 聖矢魔法が外れたの今回が初めてだぞ。

 と思いつつも、オレはとっくに次の動作に移っていた。

 我が勤勉なる透明分身がイケメンを敵認定して突っ込んでるが、それよりも早く、

「からの~」

 ピッチャー第1球投げました~。

 オレは腕輪型の【アイテムボックス】から出した竜骨で作ったボールを投げたのだった。

 オレのLVは566。

 オレの球速は200キロどころか、400キロ近くで音の壁を突き破り、





 バキィィィィィンっ!





 耳触りな音と共に、金玉ストライクや顔面ストライクではなくイケメンが持つ【風滅の槍】の刃の根元にある青色の魔法玉に直撃して砕いたのだった。

 そしてその衝撃波でイケメンが吹き飛ぶ。

 ピヨピヨ。

 勝った勝った、とピピーも喜んでる。

 分身も無事。

 あの槍に突っ込んだら分身も無傷じゃ済まなさそうだったからな。

「ふっ、雑魚が」

 吹き飛んだイケメンの上半身の服が衝撃波で千切れて、男装した巨乳女だった事には内心驚いたがね。

「お怪我はありませんか、ザク侯爵?」

「うん」

 ってか、竜骨ボールの方も真っ二つに割れてるし~。

 竜骨ってのはアースドラゴン(赤)の骨って事だぞ?

 それが割れるって。

 どれだけ凄かったんだ、あの【風滅の槍】?

 さすがは宝物庫に保管されてただけの事はある。

 まあ、魔法玉を砕いて、槍も折ってやったけどね~。

「そ、そんな~、【風滅の槍】が折れてる~」

 何やら乱心者の捕縛に動いた魔法騎士達がナイスリアクションをしてたが、オレはその後、予定通りに宮廷鍛治師をやってるドワーフと面会したのだった。





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