オレはスキル【殺虫スプレー】で虫系モンスターを相手に無双する

竹井ゴールド

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マチルダーズ連合功名編

暗殺ギルドのシーバヤ支部摘発協力

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 そんな訳で全患者完治現象の3日後にやってきました~、シーバヤの街の暗殺ギルドの支部の建物の支部長室~。

 部屋の中では悪人には全く見えない30代の善人そうだった獣人の男が凶悪な正体を現して、

「貴様ら、こんな事をしてただで済むと思うなよっ! おまえら3人、家族諸共、皆殺しにしてやるからなっ!」

 と叫んでた。

 室内には他にオレとバニラさんと暗殺者(とオレが思ってる)のエクレスさんが居る。

「無理だぜ」

 エクレスさんが苦笑した時には開いたドアから、

「派手にやったな」

 (ルイタフ代表の側近の)魔法騎士の鎧を纏ったロバートさんが現れた。

「代表の親衛隊長、ロバート・アスレーだと?」

 さすがに顔を知っていたのか、暗殺ギルドの支部長が驚く中、

「ノンノン、今のオレはマチルダーズ連合の軍部のトップ、面倒な議会の議席権まで付いてる魔法騎士団の団長だよ」

 そうなんだよね~。

 マチルダーズ連合の魔法騎士団との連携を取る準備が必要だったからシーバヤの街の暗殺ギルドの襲撃が3日後になったんだし~。

 因みに何故、魔法騎士団が登場してるかと言えば、このシーバヤの街の執政官が敵対派閥陣営だからだった。

 暗殺ギルドを生け捕りにして牢屋に入れても故意ににがされたら眼も当てられないからね~。

 もうこっちはアースドラゴン(緑)の素材やらグリフォンの所持証の遅延確認作業やらでマチルダーズ連合の風土は完全に学習済みなんだからさ~。

「そんな役職はどうでもいい。代表の陣営話は付いてるはずだろうが?」

「そっちが協定を破るからだろ? 代表陣営うちに味方してるクラン【氷の百合】のアジトなんかを燃やしやがって。お陰でこの大騒ぎさ」

「何の事だ?」

「今更しらばっくれてくれるなや。ローセファースのこいつらのアジトを燃やしたんだろ?」

「・・・燃えた話は聞いてるが、あれ、暗殺ギルドうちじゃないぞ」

 あれれ~。

 嘘を言ってるようには見えないぞ~。

 もしかして本当に違う?

 ーー嘘、誤爆?

 暗殺ギルドに悪い事したかも。

「止めろ止めろ。もう言い訳なんて無駄なんだからさ」

 ロバートさんは嘘だと決め付けたが、オレはバニラさんに視線を向けた。

 バニラさんも視線で『分かってるわ、今は黙ってて』って返事してる。

「詳しい事はモスヘンバウワーで聞こうか」

 ロバートさんはそう言って支部長を部下に捕縛させ、殺さずに半殺しにとどめた暗殺ギルドのアジトに居た他の14人も逮捕して、

「じゃあな」

「御協力感謝します」

 バニラさんが代表して答えて、その暗殺ギルドの逮捕者全員をワイバーンやグリフォンで首都モスヘンバウワーへと連行していったのだった。





 えっ、ロバートさんのシーバヤ滞在時間、もしかして10分切ってない?

 お偉いさんは大変だね~、分刻みのスケジュールで。





 ◇





 シーバヤの街は狼の足だとローセファースの街から7時間は掛かる。

 到着時間を逆算して朝3時出発だったからね~、今日なんて~。それもローセファースの閉じてる城門を開けさせての~。

 よって、この日はシーバヤの街で一泊となる予定な訳だが、ホテルの一室ですぐにクラン【氷の百合】による作戦会議が開かれた。

 今回は全員参加だ。

 連絡係の2人も、傭兵3人も。

 つまり場所は19人が入れるロイヤルスイートの大部屋だった。

 まあ、全員はソファーに座れず、床座りや壁際に凭れてるのも結構居たが。

「何なんですか、この集まり? せっかくシーバヤの街に来たんですから早く街に繰り出したいんですが?」

 おバカなパリがそんな不平を口にしたが、バニラさんが、

「どうも屋敷を燃やしたの、ここの連中じゃなかったっぽくってね」

「はあ? ならやっぱりローセファースの冒険者ギルドの連中が・・・」

「ないわよ、それは。金貨をばら撒きまくってるのに」

 バニラさんが呆れた。

 オレも同意見だ。

 さすがに冒険者ギルドの連中じゃないでしょ。

 連中はもうオレの強さを知ってるし、オレのお陰で結構オイシイ目にも遭ってる。

 なら誰だ?

 拙いな。分からない。

 オレ個人だけでも結構な怨みを買ってて。

 クラン長のバニラさんもジオール王国から逃げる時に怨みを買ってるっぽいし~。

「アポリス王国の連中に間違いないのよね?」

 バニラさんが傭兵団【狼牙三星】の3人に視線を向けた。

 長兄のモンさんが代表して、

「はい、剣筋は。隠す様子もなく使ってきました」

「剣技? 騎士の剣だったのか?」

 その質問は専門家のエクレスさんだ。

「ええっと、そうです」

 オレからも、

「モンさんが表庭で対決した時の話をもう一回詳しくお願い」

「気配がして窓から見たら人影が見えて慌てて表庭に飛び出たら7人居て、『何だ、おまえらは』と吠えたら無言で1人が突っ込んで来て、棍を手放してたので剣で応戦。1撃目で剣を握る右腕ごと弾かれて、身体を斬られたくなかったので2撃目を左腕で受けて切断されてやられました」

 モンさんの実力LV70だから圧倒出来るならLV50差。

 LV120の奴なんて、そんなのゴロゴロ居る。

 クソ、失敗したな~。

 モンさん達のLVも上げておくんだった~。

「それを屋敷の2階の窓から偶然見ててブルったエリオが警笛で救援を要請」

 と続けたエクレスさんにエリオさんが、

「何だよ、馬鹿にしてるのか?」

「いや逆だ。ナイス判断だ。そのお陰で多分、そっちのモンは生きてる」

「とどめを刺さずに屋敷を燃やすのを優先したって事でしょ?」

 これはミスタナさん。

 真面目な顔してるけど、元々セクシー系な上に前にムフフがあったから妙に好感が持てるし~。

「いや、違うだろ、お2人さん。治癒術師として言せて貰えば、3人は治癒院の患者に起こった完全治癒現象のお陰で運良く今もピンピンしてるだけで、がなけりゃあ、今も毒で苦しみ、助かる事なく死んでたはずなんだからさ。見せしめにじわじわ殺す為にその場では殺さなかっただけだろ」

「やっぱ、そうだったんだ、あの傷~」

「メッセージって事か? でも、ここのクランの財力なら助かったかもしれないぞ?」

「傭兵にそんなに金を掛ける訳・・・どうなんですか、バニラさん?」

 何故か喋ってたエクレスさん、エリオさん、ミスタナさん、怪我の専門家のモスレーさん、カイさん、ユーロンさんがバニラさんではなくオレをチラ見した。

 何、その視線?

 ミスタナさんとカイさんは許すけど、ヤローのおまえらは失敬だな。

「そもそもどこから来たんだ? 今のローセファースはジオール王国とのルートが毒沼で遮断されてるから人の出入りも少ない。部外者が入れば分かるはずだが?」

「そちらは調べが付いてます。襲撃の3日前にアポリス王国から50人規模の隊商が霧平原で討伐されたホワイトスネークの素材を買い付けに来てましたから。出発は襲撃の翌日です。十中八九、ここに紛れ込んでいたかと」

「待って。本当にそいつらなの、ジョニー?」

「はい、ラミエラさん」

「でも、それだとーー」

「確かに日程が露骨過ぎだな。もしかして素人連中なのか?」

「なるほど、表庭から堂々と入ってきたのもそれが理由か。暗殺ギルドじゃないならあり得るかも知れないぞ、それ」

「余計に変じゃないの。どうしてアポリス王国の素人連中がわざわざマチルダーズ連合までやってきてクラン【氷の百合】うちに手を出すのよ?」

「そんなの、前にアランがそこの第2王子を殴ったから――」

 今度はパネルさん、ジョニー・デ、コホン、ジョニー、ラミエラさん、ディーノさん、ソードさんがオレをチラ見した。

 だから、何?

 オレは悪くないぞ。

「よし、この話はここで一先ず決着にしましょう。下手に調査しない事。特にアランとパリ、素人なんだから勝手に犯人だと決め付けて暴れない。特にアラン、絶対に揉めるのだけは止めてよ」

「やらないって、バニラさん。オレを何だと思ってるんだよ~」

「やるわよね?」

 視線を逸らして、

「ーーやらないよ」

「ほら、やる気じゃないの。絶対にダメよ。パリもアランの悪いところを真似ない事。後、狩り零した暗殺ギルドの連中がまだ街に残ってるかもしれないからシーバヤの街では単独行動をしないように。いいわね」

「そうだ、バニラさん。二度とこんな事がないようにモンさん達のLVも上げたいんだけど」

「それは私も考えてたわ。帰りにでも実行しましょう」

 そんな事を喋ったのだった。





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