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マチルダーズ連合奇縁編
エマリス帝国のスタンピードの続報
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ジオール王国との使節団との面倒臭い交渉が終わり、少し休憩したら議会の方も終わったので、オレは議会に出席してたノルメ閣下と一緒にローセファースの街に帰ろうとした訳だが、アレックスさんに呼び止められて、
「アラン、ローセファースに帰るならションドバーズに寄ってくれ。どうもまだセンティピード・アラクネーが居るっぽくてな。退治してくれ」
「それが、ノルメさんと一緒に帰る約束をーー」
「してないだろ、行って来い」
「行ってきていいわよ」
ノルメ閣下には見放され、ノルメ閣下に同行して本当にディーノさんとエクレスさんに紹介状を書いた幹部に会いにきていたバニラさんからの許可も出てしまった。
よってディーノさんとエクレスさんの2人も居た訳だが。
何だ、今日は?
議会に出席させられるわ。
ジオール王国の使節と交渉をさせられるわ。
その上、ションドバーズに寄り道~?
どうせションドバーズでも良くない事が起きるんだろ?
滅茶苦茶、運気が悪いな。
これって、もしかしてあれか?
凄くいい事が起こる前兆の小さな不運の連続って奴?
出向くのもありかもな。
そんなポジティブシンキングで、
「は~い」
オレはアレックスさんと一緒にションドバーズの街に出向いたのだった。
そんな訳でやってきました、ションドバーズの街に~。
相変わらず栄えてるね~。
ローセファースの街とは大違いだ。
そしてアレックスさんの勘は当たっていたようだ。
頭の上のピピーが激おこになったので。
発着場に到着したら、まずは1匹。
「ギャアアアアアアアアア」
我が勤勉なる透明分身が問答無用でセンティピード・アラクネーの正体を暴き、オレがムカデ専用スプレーでとどめを刺した。
「アラン、他も頼むな」
「了解」
オレはそんな訳でピピーが指し示す方向へと足を進めて、
「グギャアアアアアアアアアアアア」
庁舎内には居らず、城下町に出て冒険者ギルドで戦士に化けてたセンティピード・アラクネー1匹を駆除したら、ピピーがピヨピヨと満足げに胸を張って、それで終わりっぽかった。
ええ~、これだけなの~。
つまんな~い。
もっと駆除したかったのに~。
アレックスさんもオレと考えは同じみたいで、オレが庁舎に戻ると部下達と廊下を歩いてて、
「ん? 2匹だけだったのか?」
「っぽいです」
「そうか」
拍子抜けしていた。
◇
ションドバーズからローセファースの街に帰る前に、オレは改めてションドバーズの庁舎の執務室に呼ばれた。
というか、アレックスさんがションドバーズにオレを呼んだのはこの会談が本命だったらしい。
アレックスさんが執務室でオレと2人っきりになると神妙な顔で、
「スマン、アラン。盗まれた」
「はい?」
「だからションドバーズの庁舎が管理してたアランが竜骨発掘場で倒したセンティピード31匹の素材の売却金の一部が盗まれた。スマン」
「はあぁぁぁぁっ?」
オレはそうリアクションしてから、
「いくら盗まれたんですか?」
「金貨4300枚(4億3000万円)」
何だ、良かった~。
金貨1万枚(10億円)未満で~。
ーーって、あれ?
4億3000万円も大金のはずなんだけどーー痛くも痒くもなくなってる?
完全に金銭感覚が麻痺してるな、オレ~。
それでも一応、
「頼みますよ、アレックスさん」
「詫びはする」
「なら、代表になったらよろしくね」
「何を言ってるんだ、おまえ? ノルメ殿を推してるんじゃなかったのか?」
「本人がやる気がないですから~」
「なるほどな。ってか、ならないぞ、オレも」
と話してた時、ドアがノックもなく勢い良くバンッと開いた。
長い赤毛の獣人で、左の二の腕に赤色のコアラの子供の精霊獣を引っ付けてる綺麗なお姉さん魔法騎士が、
「大変です、閣下代理っ!」
「もう閣下ね、ミーティ。本日付で議員席持ちのションドバーズの執政官になったから」
少し誇らしげにアレックスさんが訂正した。
ったく、出世を誇るなんて俗物だね~。
まっ、分からないでもないけど。
オレだって要らないとは言いつつも、アポリス王国で貰った爵位が男爵から伯爵になったの少し誇らしいし~。
「申し訳ありませんでした、閣下」
「で、何?」
「そうだ、大変です、閣下。エマリス帝国の第5都市ドルアービアがキラーアンクのスタンピードで陥落しました。確定情報です」
へ~。
虫の分際でやるね~。
「はあ? 20万都市だよな、第5都市ドルアービアって。そこが落ちたのか?」
「はい、内陸側で油断したようで」
いや、蟻のモンスターだからだろう。
地中を移動出来るからな、連中は。
ーーあっ、それは違うか。
都市部には大地の精霊の結界が展開されてて地中は掘れないらしいから。
そうじゃないと、城壁なんて全く意味をなさないし。
なら地上の攻城戦で勝利した?
何、それ?
前世と違って今世は魔法のある異世界ファンタジーなんだぞ?
城壁の上から魔法をバカスカ撃たれる中、突進だけで勝利したって事か?
どれだけ数が居たんだ?
「拙い事になったな」
アレックスさんがそう呟いたのでオレが、
「どうして? 援軍は出さないんでしょ?」
「そうだが・・・第3都市のショミーティから避難民が来るぞ、これから」
ああ、そっちね。
「食糧は足りてるんでしょ?」
「余るくらいな。マチルダーズは小麦の輸出大国だから」
そんな事を喋ったのだった。
「アラン、ローセファースに帰るならションドバーズに寄ってくれ。どうもまだセンティピード・アラクネーが居るっぽくてな。退治してくれ」
「それが、ノルメさんと一緒に帰る約束をーー」
「してないだろ、行って来い」
「行ってきていいわよ」
ノルメ閣下には見放され、ノルメ閣下に同行して本当にディーノさんとエクレスさんに紹介状を書いた幹部に会いにきていたバニラさんからの許可も出てしまった。
よってディーノさんとエクレスさんの2人も居た訳だが。
何だ、今日は?
議会に出席させられるわ。
ジオール王国の使節と交渉をさせられるわ。
その上、ションドバーズに寄り道~?
どうせションドバーズでも良くない事が起きるんだろ?
滅茶苦茶、運気が悪いな。
これって、もしかしてあれか?
凄くいい事が起こる前兆の小さな不運の連続って奴?
出向くのもありかもな。
そんなポジティブシンキングで、
「は~い」
オレはアレックスさんと一緒にションドバーズの街に出向いたのだった。
そんな訳でやってきました、ションドバーズの街に~。
相変わらず栄えてるね~。
ローセファースの街とは大違いだ。
そしてアレックスさんの勘は当たっていたようだ。
頭の上のピピーが激おこになったので。
発着場に到着したら、まずは1匹。
「ギャアアアアアアアアア」
我が勤勉なる透明分身が問答無用でセンティピード・アラクネーの正体を暴き、オレがムカデ専用スプレーでとどめを刺した。
「アラン、他も頼むな」
「了解」
オレはそんな訳でピピーが指し示す方向へと足を進めて、
「グギャアアアアアアアアアアアア」
庁舎内には居らず、城下町に出て冒険者ギルドで戦士に化けてたセンティピード・アラクネー1匹を駆除したら、ピピーがピヨピヨと満足げに胸を張って、それで終わりっぽかった。
ええ~、これだけなの~。
つまんな~い。
もっと駆除したかったのに~。
アレックスさんもオレと考えは同じみたいで、オレが庁舎に戻ると部下達と廊下を歩いてて、
「ん? 2匹だけだったのか?」
「っぽいです」
「そうか」
拍子抜けしていた。
◇
ションドバーズからローセファースの街に帰る前に、オレは改めてションドバーズの庁舎の執務室に呼ばれた。
というか、アレックスさんがションドバーズにオレを呼んだのはこの会談が本命だったらしい。
アレックスさんが執務室でオレと2人っきりになると神妙な顔で、
「スマン、アラン。盗まれた」
「はい?」
「だからションドバーズの庁舎が管理してたアランが竜骨発掘場で倒したセンティピード31匹の素材の売却金の一部が盗まれた。スマン」
「はあぁぁぁぁっ?」
オレはそうリアクションしてから、
「いくら盗まれたんですか?」
「金貨4300枚(4億3000万円)」
何だ、良かった~。
金貨1万枚(10億円)未満で~。
ーーって、あれ?
4億3000万円も大金のはずなんだけどーー痛くも痒くもなくなってる?
完全に金銭感覚が麻痺してるな、オレ~。
それでも一応、
「頼みますよ、アレックスさん」
「詫びはする」
「なら、代表になったらよろしくね」
「何を言ってるんだ、おまえ? ノルメ殿を推してるんじゃなかったのか?」
「本人がやる気がないですから~」
「なるほどな。ってか、ならないぞ、オレも」
と話してた時、ドアがノックもなく勢い良くバンッと開いた。
長い赤毛の獣人で、左の二の腕に赤色のコアラの子供の精霊獣を引っ付けてる綺麗なお姉さん魔法騎士が、
「大変です、閣下代理っ!」
「もう閣下ね、ミーティ。本日付で議員席持ちのションドバーズの執政官になったから」
少し誇らしげにアレックスさんが訂正した。
ったく、出世を誇るなんて俗物だね~。
まっ、分からないでもないけど。
オレだって要らないとは言いつつも、アポリス王国で貰った爵位が男爵から伯爵になったの少し誇らしいし~。
「申し訳ありませんでした、閣下」
「で、何?」
「そうだ、大変です、閣下。エマリス帝国の第5都市ドルアービアがキラーアンクのスタンピードで陥落しました。確定情報です」
へ~。
虫の分際でやるね~。
「はあ? 20万都市だよな、第5都市ドルアービアって。そこが落ちたのか?」
「はい、内陸側で油断したようで」
いや、蟻のモンスターだからだろう。
地中を移動出来るからな、連中は。
ーーあっ、それは違うか。
都市部には大地の精霊の結界が展開されてて地中は掘れないらしいから。
そうじゃないと、城壁なんて全く意味をなさないし。
なら地上の攻城戦で勝利した?
何、それ?
前世と違って今世は魔法のある異世界ファンタジーなんだぞ?
城壁の上から魔法をバカスカ撃たれる中、突進だけで勝利したって事か?
どれだけ数が居たんだ?
「拙い事になったな」
アレックスさんがそう呟いたのでオレが、
「どうして? 援軍は出さないんでしょ?」
「そうだが・・・第3都市のショミーティから避難民が来るぞ、これから」
ああ、そっちね。
「食糧は足りてるんでしょ?」
「余るくらいな。マチルダーズは小麦の輸出大国だから」
そんな事を喋ったのだった。
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