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マチルダーズ連合奇縁編
とばっちり
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パリ達5人を無事救出して一件落着とは当然ならない。
失態を演じた者には叱責が待ってる。
それが組織というものだ。
クラン【氷の百合】という組織ではクラン長のバニラさんが意地悪く、
「誰かを人質に取られた訳でもなく、300人に囲まれて戦わずに降伏ねえ~。アランならどうする~?」
「テンション次第かな? 基本全員を潰すけど、気分が乗らなかったら逃げるかも」
別にオレは怒っていなかったので問われた質問に普通に答えた。
「戦わずに降伏する選択は?」
「黒幕を探る為にあえて? 殴って吐かした方が早いでしょ」
「よね」
バニラさんがパリ達を見て、
「パリ、アナタの師匠もそう言ってるわよ?」
あれ、説教のダシに使われた?
「いやいや、師匠は強過ぎますから~」
「それでも戦いながらローセファースまで逃げるとかやりようがあるでしょ? 『大人しくしてたら何もしない』なんて真に受けて降伏して何かされたらどうするつもりだったの? ベリロアは女なのよ?」
「でも、こうして全員無事でしたよ」
「結果論でしょっ!」
バニラさんが怒って、
「5人は罰として霧平原ーーいえ、それも今は拙いわね。よし、まずパリ、ベリロア、ジョニーの3人は冒険者ギルドの施療院の治癒クエストよ。称号『癒し手』が出るまで、ずっと治癒魔法を使ってなさいっ! ディーノ、エクレスは私と紹介状を出した人物に会いに行くから覚悟するようにっ! ああ、移動はローセファースの警備隊が飛獣で送ってくれるから心配しなくていいわよ」
大変だな~。
「そしてアラン」
「えっ、オレも?」
「当然でしょ、外出禁止なのに勝手に外出したんだから」
「いやいや、パリ達を助ける為にーー」
「言い訳無用。ノルメ閣下が頼み事があるそうよ。聞いてあげるように」
「ええ~」
「アランが悪いんでしょ、罰を受けなさい。こっちもパリ達の救出に警備隊まで動かされて貸しを作っちゃったんだから」
「いやいや、警備隊の出動はただの職務で別に貸しとかじゃあ・・・」
「やりなさい、アランっ!」
との事で、
◇
パリ達の騒動があった翌日、庁舎に出向けば、
「本当に銀陸王を倒したのが少年大魔術師アラン・ザクって事になってるぞ。素性は何故かアポリス王国に仕える伯爵だが」
「そう宣伝してる人がいるんでしょ。それでオレに何をさせたいんですか?」
「3日後、首都モスヘンバウワーでマチルダーズ連合の首脳部24人全員が議会に招集される。議題はキラーアントのスタンピードで劣勢のエマリス帝国からの援軍派遣要請の対応なのだが」
「はあ? 出すんですか、援軍?」
「議会が承認すればな」
センティピード・アラクネーの巣窟に援軍を送るだなんて。
アホらし過ぎるだろ。
ああ、そうか。そういう事ね。
「分かりました。敵対派閥の連中を闇討ちして議会に出席出来なくすればいいんですね?」
「そんな訳あるか。代表閣下の護衛を頼みたい」
何だ、それ?
「ーー本当の狙いは?」
「色々ある。出席する幹部の中にセンティピード・アラクネーが紛れ込んでるかの確認とか、ローセファースの街にこれ以上他国の要人がおまえに会いに来ないようにするとか」
「センティピード・アラクネーの件は分かりましたが、要人の方は何ですか?」
「アポリス王国の第2王子が来てたんだろ?」
「お耳の早い」
「それも変装してるのをいい事に知らんぷりして模擬刀で殴ったって。信じられないぞ」
「ちょ、誤解がありますよ、それ。マジで気付かなかったんですってば、あれは」
「本当か? おまえならやりそうだが」
はあ?
オレを何だと思ってるんだ?
もしかして、本当にそんな悪い奴に見えてるのか?
これは対策が必要だな~。
「ともかくオレも議会に出席するのでな。オレの不在中にローセファースの街に居てくれるな。何か起こっても対処出来んから。ああ、送迎は部隊でする。1人でグリフォンでモスヘンバウワーに向かわないように」
「は~い」
「出発は2時間後だ。よろしくな」
「ええ~、当日だけじゃなくて、泊まり込みなんですか?」
「何か問題でも?」
「夜に絶対に敵対派閥からの襲撃があるじゃないですかーーああ、その駆除もオレの仕事な訳ですね」
「そういう事だ」
との依頼があり、オレは断れず、一度クランの拠点に戻ってバニラさんに報告して、装備は全部アイテムボックスの魔法の腕輪の中に入ってるので準備の必要はなく、いや、料理長に頼んでたドラゴン肉のジャーキーを補充したか、2時間後には魔法騎士が操るグリフォンに乗って出発したのだった。
失態を演じた者には叱責が待ってる。
それが組織というものだ。
クラン【氷の百合】という組織ではクラン長のバニラさんが意地悪く、
「誰かを人質に取られた訳でもなく、300人に囲まれて戦わずに降伏ねえ~。アランならどうする~?」
「テンション次第かな? 基本全員を潰すけど、気分が乗らなかったら逃げるかも」
別にオレは怒っていなかったので問われた質問に普通に答えた。
「戦わずに降伏する選択は?」
「黒幕を探る為にあえて? 殴って吐かした方が早いでしょ」
「よね」
バニラさんがパリ達を見て、
「パリ、アナタの師匠もそう言ってるわよ?」
あれ、説教のダシに使われた?
「いやいや、師匠は強過ぎますから~」
「それでも戦いながらローセファースまで逃げるとかやりようがあるでしょ? 『大人しくしてたら何もしない』なんて真に受けて降伏して何かされたらどうするつもりだったの? ベリロアは女なのよ?」
「でも、こうして全員無事でしたよ」
「結果論でしょっ!」
バニラさんが怒って、
「5人は罰として霧平原ーーいえ、それも今は拙いわね。よし、まずパリ、ベリロア、ジョニーの3人は冒険者ギルドの施療院の治癒クエストよ。称号『癒し手』が出るまで、ずっと治癒魔法を使ってなさいっ! ディーノ、エクレスは私と紹介状を出した人物に会いに行くから覚悟するようにっ! ああ、移動はローセファースの警備隊が飛獣で送ってくれるから心配しなくていいわよ」
大変だな~。
「そしてアラン」
「えっ、オレも?」
「当然でしょ、外出禁止なのに勝手に外出したんだから」
「いやいや、パリ達を助ける為にーー」
「言い訳無用。ノルメ閣下が頼み事があるそうよ。聞いてあげるように」
「ええ~」
「アランが悪いんでしょ、罰を受けなさい。こっちもパリ達の救出に警備隊まで動かされて貸しを作っちゃったんだから」
「いやいや、警備隊の出動はただの職務で別に貸しとかじゃあ・・・」
「やりなさい、アランっ!」
との事で、
◇
パリ達の騒動があった翌日、庁舎に出向けば、
「本当に銀陸王を倒したのが少年大魔術師アラン・ザクって事になってるぞ。素性は何故かアポリス王国に仕える伯爵だが」
「そう宣伝してる人がいるんでしょ。それでオレに何をさせたいんですか?」
「3日後、首都モスヘンバウワーでマチルダーズ連合の首脳部24人全員が議会に招集される。議題はキラーアントのスタンピードで劣勢のエマリス帝国からの援軍派遣要請の対応なのだが」
「はあ? 出すんですか、援軍?」
「議会が承認すればな」
センティピード・アラクネーの巣窟に援軍を送るだなんて。
アホらし過ぎるだろ。
ああ、そうか。そういう事ね。
「分かりました。敵対派閥の連中を闇討ちして議会に出席出来なくすればいいんですね?」
「そんな訳あるか。代表閣下の護衛を頼みたい」
何だ、それ?
「ーー本当の狙いは?」
「色々ある。出席する幹部の中にセンティピード・アラクネーが紛れ込んでるかの確認とか、ローセファースの街にこれ以上他国の要人がおまえに会いに来ないようにするとか」
「センティピード・アラクネーの件は分かりましたが、要人の方は何ですか?」
「アポリス王国の第2王子が来てたんだろ?」
「お耳の早い」
「それも変装してるのをいい事に知らんぷりして模擬刀で殴ったって。信じられないぞ」
「ちょ、誤解がありますよ、それ。マジで気付かなかったんですってば、あれは」
「本当か? おまえならやりそうだが」
はあ?
オレを何だと思ってるんだ?
もしかして、本当にそんな悪い奴に見えてるのか?
これは対策が必要だな~。
「ともかくオレも議会に出席するのでな。オレの不在中にローセファースの街に居てくれるな。何か起こっても対処出来んから。ああ、送迎は部隊でする。1人でグリフォンでモスヘンバウワーに向かわないように」
「は~い」
「出発は2時間後だ。よろしくな」
「ええ~、当日だけじゃなくて、泊まり込みなんですか?」
「何か問題でも?」
「夜に絶対に敵対派閥からの襲撃があるじゃないですかーーああ、その駆除もオレの仕事な訳ですね」
「そういう事だ」
との依頼があり、オレは断れず、一度クランの拠点に戻ってバニラさんに報告して、装備は全部アイテムボックスの魔法の腕輪の中に入ってるので準備の必要はなく、いや、料理長に頼んでたドラゴン肉のジャーキーを補充したか、2時間後には魔法騎士が操るグリフォンに乗って出発したのだった。
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