オレはスキル【殺虫スプレー】で虫系モンスターを相手に無双する

竹井ゴールド

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マチルダーズ連合新星編

秘密のアースドラゴンの素材解体計画

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 何事もなく帰ってきました、ローセファースの街。

 クラン【氷の百合】のアジトに戻ると玄関ホールに仁王立ちしたバニラさんが、

「アラン、どこに行っていたの?」

 あれ、少し怒ってる?

「ちょっち、サハリード砂漠までね」

「ダメだって言ったわよね、私」

「だってアースドラゴンの素材が盗まれたって聞いて居ても立っても居られなくて~」

「ったく。で倒したの?」

「うん」

「信じられない・・・推定LV400越えよ、サハリード砂漠のは」

「それじゃあ、街の解体屋に行ってくるね」

「待ちなさい、アラン。アースドラゴンの死骸なんて持ち込んだら大騒ぎになるでしょうが。こういうのにはチョイとしたコツがいるのよ。準備をするから待ってなさい」

 バニラさんがそう悪そうな顔で言ったのだった。





 ◇





 30分後、クラン【氷の百合】が借りたローセファースの街の倉庫内にオレは居た。

 オレの他には、





 【氷の百合】のクラン長、バニラさん。

 ローセファースの街の執政官、ノルメ閣下。

 ローセファースのギルド長、ワンジークさん。

 ローセファースで一番腕の良い解体屋の爺さん、ジョロンさん。

 ドワーフの鍛冶師、ドルバンさん。





 この5人が居て、オレが【アイテムボックス】から出したブツ切りのアースドラゴンの死骸を見ていた。

「・・・本当にこれをアラン1人で?」

 ノルメ閣下が口を開き、

「アースドラゴンをソロで倒したのなら確実に7本だぞ、等級」

 ギルド長が苦虫を噛み潰したような顔をして、

「魔法か、この傷口? 聖魔法?」

 解体屋の爺さんが傷口を見て、

「ってか、ワシから買ったあのアイアンクロコダイルの牙製のノコギリで本当にアースドラゴンを解体したのか? ドラゴンの鱗を切るって。ーー骨もか? ドラゴンの背骨をどうやって? ワシが売った時に言った『ドラゴンも解体出来る』は鱗と骨を除く、『ドラゴンのを』という意味だったんだが」

 ドルバンさんが絶句していた。

「と、このようにうちのアランがやっちゃいまして。内々に解体を依頼したいのですが?」

「内々って無理だぞ。マチルダーズ連合では討伐情報は公開する決まりだ」

 ノルメ閣下がそう主張したがバニラさんが、

「公開した後の展開は? また『素材を全部盗まれました』ですか?」

「いや、そんな事にはーー」

「なりますよ、おそらく。どっかの暗部や工作部隊、精鋭だかが飛んできて」

「ありうるな~」

 そう呟いたのは政宗眼帯のギルド長だったが、ノルメ閣下に睨まれて、失礼、とバツの悪そうな顔をした。

「ってか、首都で盗まれた方は発見されたんですか?」

 これはオレね。

 だって、もう戻ってこないと諦めてはいるけど、それでも3200億円だぞ。気になるって。

「いいや、音沙汰なしだ」

「おそらくは出てくるのは2年半後の代表選後じゃろうて」

 そう呟いたのは解体屋の爺さんだった。

 ジョロンさんね。次からは名前で呼ぼう。

「確かに。場所は北の帝国かな?」

 ドルバンさんも訳知り顔で呟いた。

 バニラさんがノルメ閣下に、

「そんな訳でノルメ閣下、素材の解体後に討伐発表という事でお願いしますね」

「・・・ジョロン、何日で解体出来る?」

 少し考えた後、ノルメ閣下がジョロンさんを見る。

「ブツ切りになっておるからワシ1人なら24時間以内に。今夜は徹夜かの~」

「武器と防具の加工は?」

 これはオレの質問ね。

「ドラゴン素材じゃからな~。5日は必要かな?」

「待て待て。素材は全部1回、マチルダーズ連合が・・・」

「柔軟に行きましょうよ、ノルメ閣下」

「ったく、とんでもない連中が連合に流れてきおったわ。その代わりに教えろ。どうやってこのアースドラゴンを倒した?」

 ノルメ閣下の質問で全員がオレに注目したが、別に隠す事など何もないのでオレはさらっと、

「竜を屠る聖なる槍魔法5発で簡単に」

「待て。それ、聖魔法の最高魔法だろうが? 使えるのか?」

 ノルメ閣下が呆れ果てて、周囲も同じリアクションだったが、

「あれ? 最高魔法って女神の裁き魔法だよね?」

「アラン」

 オレがバニラさんに聞くと、バニラさんがオレを咎めた。

 あれ、言っちゃあダメだったの?

 だったら、ちゃんと口止めしてくれないと。

 とオレが理解した時には後の祭りで、

「そんなの使える訳がーーまさか、使えるのか?」

「そう言えば、国境のサンドワームもジオール王国の魔法騎士団が倒したとなってるが、巨大な剣の魔法の目撃情報が・・・あれ、おまえだったのか、アランっ!」

「ワシは聞かなかったって事で」

「ワシも」

 ジョロンさんとドルバンさんは関わりたくなかったのか素材に近付いて吟味を始めた。

 バレてしまったのならば仕方がない。

 オレも正直に、

「いやいや、でも女神の裁き魔法ってこの前、城壁まで迫ったスケルトンドラゴンには使えませんでしたから。、どうも相手指定の魔法みたいで。もう使えませんよ、多分。だから期待しないで下さいね」

「信じられん。ってか、ミストジャイアントマンチェスと一緒に目撃されたスケルトンドラゴンの報告は本当だったのか。はあ~。アランが居なければ、ローセファースの街は落ちてた訳ね」

「まだ14歳だろ、おまえ? 4本等級でも破格だというのに。頭痛がしてきた」

 ノルメ閣下とギルド長が何やら悩んでたが、ともかく解体計画は秘密裏に実行されたのだった。





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