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マチルダーズ連合爆釣編

5泊6日予定の遠征の旅に出発

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 遠征日程。





 ローセファースの街~東の荒野~モメーセカ河とモメーセカ橋~エンゼゲーツの森~主街道~ションドバーズの街~ションドバーズの竜骨採掘場。





 よって、まずはションドバーズの街を目指す。

 到着後、その街を拠点にションドバーズの竜骨採掘場に巣食ったモンスターを駆除。

 帰りは逆の日程でローセファースの街を帰還する。

 帰還予定は6日後。

 つまり5泊6日だ。





 という訳で、オレはローセファースの街を狼で出発して東の荒野を疾走していた。

 ちゃんとオレが狼を1人で操縦している。クラン【氷の百合】の垂れ幕付きのを。

 そしてオレの方は当然、ホワイトスネークシリーズの新装備一式ね。

 前のファイアハイウルフの装備品は使うかも知れないから予備としてアイテムボックスの中だ。

 そのオレの横には女魔法騎士のトミナさんが別の狼に乗って並走していた。

 ってか、トミナさんだけだし。

 若い男女が2人っきりって。

 何か間違いが起こったらどうするんだか。

 ムフフな展開になったらいいんだけど、トミナさんはキリッだからな。

 ないかも。

 そして荒野には馬鹿犬ことイエローウルフなんかも居て、オレとトミナさんが乗ってる狼を馬鹿みたいに追い掛けて来てる訳なのだよ。

 本当に鬱陶しいな、馬鹿犬どもが。

 【モンスター除け】の魔法の指輪を装備してるのにどうして寄ってくるんだ?

 魔法の指輪が効かないくらいの馬鹿なのか?

 それともこの場合は魔法の指輪の効果をいてくるくらいの優秀だと褒めるべきなのか?

「退治しますか?」

「放っておけ。どうせ追い付けないのだからな」

 男言葉でトミナさんにそう返されて、

「は~い」

 オレは無視して狼で走り続けた。

 いいよな~、狼で疾走するのって。

 蜥蜴とは全然違う。

 風と一体になってる気分だぜ。

 前世のバイク乗りってこんな感じだったのかな?

 く~、前世でバイクの免許を取らなかったのが悔やまれるぜ。

 びんだったからな~。

 ってか、異世界ファンタジーって狼を乗るのに免許とか要らないのがいいよな~。

 まあ、前世でも乗馬に免許なんてなかったがーーえっ、無かったよな? 聞いた事ないし。





 荒野にはまだまだモンスターが居る。

 その一種類がレッドスコーピオンだ。

 つまりは蠍のモンスター。

 当然、尻尾の針は毒付きだ。

 そして蠍は前世の日本では馴染みがないが系統は虫だった。

 【モンスター除け】の魔法の指輪を付けてるので、別にレッドスコーピオンも攻撃体勢で近付いてはこない。

 だがな。

 虫は死ね。

「聖なる光よ、矢となり我が敵を倒せ、聖なる矢」

 オレはさらっと聖魔法で作った矢に殺虫スプレーをシューッと一吹きして補強してからレッドスコーピオンを撃ち抜いて倒した。

 当然、疾走する狼に乗りながらだ。

 検証のつもりで魔法を撃ったがやっぱり分からなかったな。

 聖矢魔法だけでも倒せる雑魚モンスターだとダメか。

 ふむ、一吹き無駄にしたな。

「無駄な戦闘は避け、魔力を温存するのも大切な事だぞ」

 トミナさんに言われた。

 一理ある。但し、魔力ではなくスプレーの残数だが。

「は~い」

 オレはそう返事しながらも射程内にレッドスコーピオンが入ったら魔法で撃ち抜いて倒して進んだ。





 前世の車は馬力があり過ぎて分からないが、レーシングカートでは体重が軽い方が有利だという話を聞いた事がある。

 何が言いたいのかと言えば、

「休憩をしないか、私の狼がへばってきたので」

 トミナさんの狼の方が先に疲労していた。

 ほら、オレ14歳で貧乏男爵家出身だから平均くらいしか身長がないし。

 チビじゃないぞ、チビじゃ。

 ーーと思いたい。

 それに装備もオレは蛇皮だけど、トミナさんは重そうな甲冑だし。

 そんな事もあってトミナさんの乗る狼は疲れてたので、

「分かりました」

 東の荒野のど真ん中で小休憩した。

 【モンスター除け】の魔法のアクセサリーがあるのでモンスターが寄ってくる事はなかったが近くにいたのでこちらからホワイトスネークの牙棒で倒して回った。

 休憩時間を潰す為だけに。剥ぎもね。

 レッドスコーピオンやポテトトレントだったけど。

 だがポテトは喰える。

 結構回収しておいた。

 野菜もちゃんと食べないとね。ってか、芋ってホクホクして好きだし。

「凄いな、アラン殿はその年で」

「いえいえ、トミナさんも魔法騎士なんですから凄いじゃないですか」

「私は親のコネだよ」

 少し寂しそうに微笑みながらトミナさんは答えたけど、あれ?

 今オレ、好感度の高い回答をした?

 よし、この調子でどんどんトミナさんの好感度を上げよう。





 ◇





 要所のモメーセカ河とモメーセカ橋に到着した。

 どこが要所かと言えば、自体だ。

 前世のオレの時代では道路公団が作った立派なコンクリの橋のお陰で安全に越えれてたが、戦国時代なんぞは橋は木製だ。

 台風どころか雨の増水で一発で流される代物だったらしい。

 まあ、今世の異世界ファンタジーはそこまで酷くはなかったが。

 ちゃんと石の積まれた立派なのがある。

 少なくともオレの眼の前のモメーセカ橋はそうだ。

 問題は川である。

 異世界ファンタジーで川はモンスターの巣窟だ。

 3メートルサイズのアメリカザリガニタイプのモンスター、レッドプラウンがシャキン、シャキンとハサミを動かしてそのモメーセカ橋の上に陣取っていた。

「何ですか、あれ?」

「モメーセカ橋名物のレッドプラウンだな」

「名物なんですか?」

「まあな、良く橋の上に陣取ってる」

「この橋の警備隊は?」

「存在しないぞ。この橋は確かに渡河用だが主街道ではないからな。現に我々以外居ないだろ」

 そうなのだ。

 前世のファンタジーのゲームのように誰もいなかった。

 まあ、その方が気が楽だが。

「倒していいんですよね?」

「ダメージを与えて川に逃げるように仕向けるのが望ましい」

「というと?」

「橋の上に死骸があると通行の邪魔だ。それにプラウンを食べに他のモンスターも集まってくるのでな」

「面倒臭~」

「否定はしない」

 との事で、ダメージを与えて逃がす事にした。

「聖なる光よ、矢となり我が敵を倒せ、聖なる矢」

 オレは聖矢魔法を使ってレッドプラウン目がけて放った訳だが、聖矢が殻を貫通して、

 ジュジャアアアアアアアア。

 一撃でレッドプラウンは死んだ。

「ほへ?」

「アラン殿ーー」

 トミナさんが呆れ果てた眼差しをオレに向ける。

「いやいや、放った魔法の矢は1本だけだったし、あの殻も固そうだったから大丈夫かな~って」

 無双してしまい、何故か気まずそうに言い訳をするオレだった。

 どうしてだ?

 あの殻、硬そうだったのに。

 もしかしてオレのLVが372だからか?

 それともファンタジーゲームでありがちな物理攻撃と魔法攻撃は判定が違うっていうあれか?

 純粋に聖魔法5倍の効果が凄過ぎただけかも。

 う~ん。

「そうだ、アイテムボックスにこいつを入れたらいいですよね? それで解決」

 仕方なくオレはアイテムボックスにレッドプラウンを丸々入れてモメーセカ橋を渡ったのだった。





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