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マチルダーズ連合爆釣編
表彰
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ローセファース霧平原の主のミストジャイアントマンティスを街の城壁の外でバニラさんが倒した3日後の午後。
ローセファースの街の庁舎で表彰が行われ、クラン【氷の百合】のクラン長であるそのバニラさんが壇上でまた表彰されていた。
ミストジャイアントマンティスの討伐だけね。
オレが倒したスケルトンドラゴンは光になっちゃったから。
聖魔法で倒した弊害らしい。
普通は倒したら呪われた竜骨が残って、それが素材となるはずなのに。
ってか、さも常識のように言われてもね~。
そんなの知る訳ないだろ。
オレへの説明が甘かったクラン長のバニラさんが悪いって事で。
それでもバニラさんはミストジャイアントマンティス討伐の功で、チョーーコホン、駆け鳥に乗れる特別免状を貰っていた。
前世の車の運転免許、ーーいや、レースのA級ライセンスってところかな。
騎獣を前世の車で例えれば、駆け鳥の地位は海外の一流スポーツカー以上、レース仕様のサーキットカーだからね。
移動速度が尋常じゃないくらい速いらしいから。
どの国も貴族と軍関係が独占してるはずだから。
まあ、もっとも上には上があり、飛獣のワイバーンとグリフォンってのも居るんだがな。
こっちは完全に貴族と軍関係だけだ。
このマチルダーズ連合では冒険者の7本等級でも乗れないらしい。
オレは乗りたいとは思わないがな。
だって、そうだろ?
もし墜落したら、グシャッだぞ。
絶対に嫌だね。
別に前世でも高いところは苦手じゃなかったが(飛行機は不明。乗った事がないから)、バンジージャンプを金を払ってまで好き好んでやるような人間ではないのでね。(0.1秒)
オレはまたしても末席でバニラさんの表彰を見ていたのだが、隣のお姉さんが、
「凄いわね、アナタのところのクラン。立て続けにモンスターを倒して」
そう話しかけてきた。
20代半ばの外見の白肌のエルフさんでインテリ眼鏡を掛けていた。
ピンクブロンド髪のポニーテールでとんがり耳を出しており、何より巨乳ちゃんだった。
恰好は厳かな感じの緑色のドレスだったが。
エルフ云々以前に、眼鏡巨乳でドストライクだから。
唯一のマイナスポイントは緑色のドレスかな?
前世では気にしなかったが、今世で前世の記憶を得て、家名がザクと理解した時から、オレは量産型のカラーは忌避してるのでね。
そして、このお姉さん、遠征日の夜明け前、つまりはミストジャイアトマンティスの討伐を聞いて慌てで出てきたノルメ閣下の側近として控えていた。
当然、チェックしてるさ。
エルフだろうと眼鏡巨乳さんなんだから。
「運が良かっただけですよ」
「その頭に乗ってる精霊獣も運が良かったから出会えたの?」
「ええ、森を歩いてたらたまたま出会って懐かれちゃって」
「なんて名前なの、その精霊獣?」
「セルスです」
「よろしくね、セルスちゃん」
とエルフさんが声を掛けると、ピピーは当然、ピピピッと怒った。
そんな名前じゃないわい、ってところだろう。
「ええっと・・・」
「すみません。精霊獣が嫌ってるのでもう話し掛けないで下さいね」
オレはさらっと言った。
オレがドストライクの相手にそう別れを告げたのは当然、ピピーの真名を聞いてきたからだ。
つまりはオレを何も知らない子供だと思ってタカろうとした詐欺女って訳だ。
例え、眼鏡巨乳だろうとそんな詐欺女は敵認定だろ。
縁がなかったな。この眼鏡巨乳さんとは。ガックシ。
もっと違う形で出会いたかったぜ。
ってか、ワンチャンスで顔面ストライクで仕留めてやるから気を付けるんだな。
「あら、残念。私はビルデーナよ」
「ボクはキースです」
ザク男爵家に出入りする野菜を運搬する爺さんの名前を名乗っておいた。
「ーーアランよね、名前?」
ようやくオレに相手にされていない事に気付いたのかビルデーナさんがオレを値踏みした。
「話し掛けるなって言ったのにオレに話し掛けるから~」
「喧嘩を売ってるの?」
えっ、何、その論法?
頭の中に虫でも湧いてるのか?
「喧嘩を売ってきてるのはそっちですよね? 別に買ってもいいですけど?」
「どうして私がーー」
「精霊獣の真名を聞いてきたんですから喧嘩を売ってきてるんですよね?」
「そ、そんな訳ーー」
「いえ、結構ですよ。言い訳は」
「エルフが嫌いなの?」
「喧嘩を売られたので買ってるだけですが?」
「私、ここの閣下に招かれてるんだけど?」
「つまり、ここの閣下の命令で喧嘩を売ったと?」
「違うわよ、どうしてそんな認識になるのよ」
「だって、今、閣下の名前を出されたので?」
とオレが言ったところで、表彰されてたバニラさんが会場中から拍手されたのでオレもバニラさんに拍手を送って、隣に視線を戻したら眼鏡巨乳のエルフは遠くに離れていた。
チッ、逃げたか。
◇
表彰が終わり、庁舎からクラン屋敷へ帰る蜥蜴車の中で、
「ローセファースの街を守る為に仕方なく街に迫ったミストジャイアントマンティスを倒したのにノルメ閣下に因縁を付けられたわ」
「こっちも閣下の手先に精霊獣の真名を聞かれて喧嘩を売られたよ」
「あの喋ってたエルフ女?」
「ええ。まだまだ舐められてるよね、【氷の百合】って」
「そのようね。ノルメ閣下にも猫の鈴を付けられたし」
「?」
「クランに連絡係を寄越すそうよ」
「料理長やメイド、パリ達が監視してるのに更に増員って信用ないな~」
「私達はジオール王国出身、それも元魔法騎士と男爵の三男なんだから監視が付くのは当然でしょ」
「随分と警戒されてるんだね、オレ達」
「ローセファース霧平原の主のミストジャイアントマンティスを倒してるからね。ついでにスケルトンドラゴンも跡形もなく。そして男爵の三男のアランは死んだ事になってる。入れ替わりを疑うのも当然じゃないの」
「それで連絡係という名の監視員を追加?」
「あの閣下は代表派閥のナンバー4だからね。警戒するのは仕方がないわ」
「えっ、そんなに偉かったの、あの人?」
「ええ、マチルダーズ連合全体でもナンバー7か、8のはずよ」
想定していたよりも遥かに偉いんですけど。
「ホントに? 千人長でしょ、役職?」
「? 何を言ってるの、アラン? マチルダーズ連合では千人が軍の最高配下数よ。クーデターを起こさせない為の予防措置らしいわ。そしてアランが倒した国境のサンドワームと霧平原のモンスターの防衛戦力のトップなんだからその実力は折り紙付きよ。その閣下を押し上げて代表陣営を援護して敵対派閥を潰して回る。それが私達、クラン【氷の百合】って訳よ」
おっと、千人長って肩書きに騙されてた。
これは完全に前世の記憶の始皇帝の配下の将軍の漫画の知識の弊害だな。
「まあ、オレはモンスターを倒してLV上げが出来ればそれでいいけど」
「そうだ。そのモンスターだけどダンゴムシの大移動の話、聞いた?」
「何、それ?」
「北の荒野を西に向かって移動中なんですって。何でもアランが倒したサンドワームの死骸が目当てらしいわ」
「あのスケルトンドラゴンもそうだったんだよね?」
「ええ。骨も残ってないからあれの討伐報酬は貰えなかったけどね。次からは聖魔法で倒すのは止めてね、アラン」
「は~い」
などと喋ったのだった。
ローセファースの街の庁舎で表彰が行われ、クラン【氷の百合】のクラン長であるそのバニラさんが壇上でまた表彰されていた。
ミストジャイアントマンティスの討伐だけね。
オレが倒したスケルトンドラゴンは光になっちゃったから。
聖魔法で倒した弊害らしい。
普通は倒したら呪われた竜骨が残って、それが素材となるはずなのに。
ってか、さも常識のように言われてもね~。
そんなの知る訳ないだろ。
オレへの説明が甘かったクラン長のバニラさんが悪いって事で。
それでもバニラさんはミストジャイアントマンティス討伐の功で、チョーーコホン、駆け鳥に乗れる特別免状を貰っていた。
前世の車の運転免許、ーーいや、レースのA級ライセンスってところかな。
騎獣を前世の車で例えれば、駆け鳥の地位は海外の一流スポーツカー以上、レース仕様のサーキットカーだからね。
移動速度が尋常じゃないくらい速いらしいから。
どの国も貴族と軍関係が独占してるはずだから。
まあ、もっとも上には上があり、飛獣のワイバーンとグリフォンってのも居るんだがな。
こっちは完全に貴族と軍関係だけだ。
このマチルダーズ連合では冒険者の7本等級でも乗れないらしい。
オレは乗りたいとは思わないがな。
だって、そうだろ?
もし墜落したら、グシャッだぞ。
絶対に嫌だね。
別に前世でも高いところは苦手じゃなかったが(飛行機は不明。乗った事がないから)、バンジージャンプを金を払ってまで好き好んでやるような人間ではないのでね。(0.1秒)
オレはまたしても末席でバニラさんの表彰を見ていたのだが、隣のお姉さんが、
「凄いわね、アナタのところのクラン。立て続けにモンスターを倒して」
そう話しかけてきた。
20代半ばの外見の白肌のエルフさんでインテリ眼鏡を掛けていた。
ピンクブロンド髪のポニーテールでとんがり耳を出しており、何より巨乳ちゃんだった。
恰好は厳かな感じの緑色のドレスだったが。
エルフ云々以前に、眼鏡巨乳でドストライクだから。
唯一のマイナスポイントは緑色のドレスかな?
前世では気にしなかったが、今世で前世の記憶を得て、家名がザクと理解した時から、オレは量産型のカラーは忌避してるのでね。
そして、このお姉さん、遠征日の夜明け前、つまりはミストジャイアトマンティスの討伐を聞いて慌てで出てきたノルメ閣下の側近として控えていた。
当然、チェックしてるさ。
エルフだろうと眼鏡巨乳さんなんだから。
「運が良かっただけですよ」
「その頭に乗ってる精霊獣も運が良かったから出会えたの?」
「ええ、森を歩いてたらたまたま出会って懐かれちゃって」
「なんて名前なの、その精霊獣?」
「セルスです」
「よろしくね、セルスちゃん」
とエルフさんが声を掛けると、ピピーは当然、ピピピッと怒った。
そんな名前じゃないわい、ってところだろう。
「ええっと・・・」
「すみません。精霊獣が嫌ってるのでもう話し掛けないで下さいね」
オレはさらっと言った。
オレがドストライクの相手にそう別れを告げたのは当然、ピピーの真名を聞いてきたからだ。
つまりはオレを何も知らない子供だと思ってタカろうとした詐欺女って訳だ。
例え、眼鏡巨乳だろうとそんな詐欺女は敵認定だろ。
縁がなかったな。この眼鏡巨乳さんとは。ガックシ。
もっと違う形で出会いたかったぜ。
ってか、ワンチャンスで顔面ストライクで仕留めてやるから気を付けるんだな。
「あら、残念。私はビルデーナよ」
「ボクはキースです」
ザク男爵家に出入りする野菜を運搬する爺さんの名前を名乗っておいた。
「ーーアランよね、名前?」
ようやくオレに相手にされていない事に気付いたのかビルデーナさんがオレを値踏みした。
「話し掛けるなって言ったのにオレに話し掛けるから~」
「喧嘩を売ってるの?」
えっ、何、その論法?
頭の中に虫でも湧いてるのか?
「喧嘩を売ってきてるのはそっちですよね? 別に買ってもいいですけど?」
「どうして私がーー」
「精霊獣の真名を聞いてきたんですから喧嘩を売ってきてるんですよね?」
「そ、そんな訳ーー」
「いえ、結構ですよ。言い訳は」
「エルフが嫌いなの?」
「喧嘩を売られたので買ってるだけですが?」
「私、ここの閣下に招かれてるんだけど?」
「つまり、ここの閣下の命令で喧嘩を売ったと?」
「違うわよ、どうしてそんな認識になるのよ」
「だって、今、閣下の名前を出されたので?」
とオレが言ったところで、表彰されてたバニラさんが会場中から拍手されたのでオレもバニラさんに拍手を送って、隣に視線を戻したら眼鏡巨乳のエルフは遠くに離れていた。
チッ、逃げたか。
◇
表彰が終わり、庁舎からクラン屋敷へ帰る蜥蜴車の中で、
「ローセファースの街を守る為に仕方なく街に迫ったミストジャイアントマンティスを倒したのにノルメ閣下に因縁を付けられたわ」
「こっちも閣下の手先に精霊獣の真名を聞かれて喧嘩を売られたよ」
「あの喋ってたエルフ女?」
「ええ。まだまだ舐められてるよね、【氷の百合】って」
「そのようね。ノルメ閣下にも猫の鈴を付けられたし」
「?」
「クランに連絡係を寄越すそうよ」
「料理長やメイド、パリ達が監視してるのに更に増員って信用ないな~」
「私達はジオール王国出身、それも元魔法騎士と男爵の三男なんだから監視が付くのは当然でしょ」
「随分と警戒されてるんだね、オレ達」
「ローセファース霧平原の主のミストジャイアントマンティスを倒してるからね。ついでにスケルトンドラゴンも跡形もなく。そして男爵の三男のアランは死んだ事になってる。入れ替わりを疑うのも当然じゃないの」
「それで連絡係という名の監視員を追加?」
「あの閣下は代表派閥のナンバー4だからね。警戒するのは仕方がないわ」
「えっ、そんなに偉かったの、あの人?」
「ええ、マチルダーズ連合全体でもナンバー7か、8のはずよ」
想定していたよりも遥かに偉いんですけど。
「ホントに? 千人長でしょ、役職?」
「? 何を言ってるの、アラン? マチルダーズ連合では千人が軍の最高配下数よ。クーデターを起こさせない為の予防措置らしいわ。そしてアランが倒した国境のサンドワームと霧平原のモンスターの防衛戦力のトップなんだからその実力は折り紙付きよ。その閣下を押し上げて代表陣営を援護して敵対派閥を潰して回る。それが私達、クラン【氷の百合】って訳よ」
おっと、千人長って肩書きに騙されてた。
これは完全に前世の記憶の始皇帝の配下の将軍の漫画の知識の弊害だな。
「まあ、オレはモンスターを倒してLV上げが出来ればそれでいいけど」
「そうだ。そのモンスターだけどダンゴムシの大移動の話、聞いた?」
「何、それ?」
「北の荒野を西に向かって移動中なんですって。何でもアランが倒したサンドワームの死骸が目当てらしいわ」
「あのスケルトンドラゴンもそうだったんだよね?」
「ええ。骨も残ってないからあれの討伐報酬は貰えなかったけどね。次からは聖魔法で倒すのは止めてね、アラン」
「は~い」
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