20 / 140
マチルダーズ連合黎明編
推定LV280のビッグホワイトスパイダー
しおりを挟むパリ達と出会った日の夜、レストランにて、オレとバニラさんはパリ達と一緒に夕食を食べた。
懇親会じゃないぞ。
その手前の、まあ、採用面接だな。
パリの仲間の2人は黒髪ショートのお姉さんがベリロア、男の眼鏡など重要はないが、長い緑髪の魔術師がジョニーと言った。
くぅ~、ジョニーなんて羨ましい名前だぜ。
オレ、前世ではハリウッドの海賊映画にドハマリしてたからさ~。
コホン、この3人は全員、ローセファースの街の出身らしい。
とは言っても幼馴染でも顔馴染でも何でもない。
パリはマルチダーズ連合に仕官してる幹部魔術師のお坊ちゃんだが、魔法の才能がなくて剣士として冒険者をしている。
ベリロアは貧民出身の孤児で冒険者になったクチ。
ジョニーはパリの家に仕える下級魔術師の息子でパリの護衛。
「オレとバニラさんはジオール王国出身だから」
「どうしてマルチダーズ連合に?」
「オレは実家から養子に出されたのを機に脱走」
「脱走って何です、師匠?」
パリが質問してくる。
もうオレを師匠呼ばわり。
こいつは分かってる。
師匠って呼ばれるの何か凄く気分がいいな。
ノってくるぜ。
「貧乏男爵家の三男だったのにスキルがダメとかで母方の商家に養子に出されてさ~。そっちがその気ならこっちも好き勝手やらせて貰いますから、って話だよ。ジオール王国に居たんじゃあ家に連れ戻されそうだったからマチルダーズ連合に来たって塩梅さ」
「師匠のスキルって何なんですか?」
「教える訳ないでしょ」
「ええ~、教えて下さいよ」
「教えないって。それよりもさ、パリ。真面目な話、どこまで強くなりたいの?」
「今、LV32なので50まで」
パリが答えると訳知り顔のバニラさんが、
「魔術師になるのを諦めてない訳ね」
「何、それ?」
「魔法の才能がなくてもLV50前後で魔法の才能が後天的に目覚める場合が多いのよ。魔術師の間では後天開放と呼んでるわ。その正体はLVが上がって魔力が増えるのが原因なんだけどね」
「誰かの嫌がらせで儀式に細工をされて魔法の才能なしの烙印を捺された可能性はないの?」
オレの指摘にバニラさんがパリを見ながら、
「それはないんじゃないかしら。魔力がないから」
面倒臭いゴタゴタはなしか。
「バニラさん、パリのLV上げ、オレが手伝ってもいいよね?」
「クラン創設の為の私の等級上げが終わったらね。明日は濃霧エリア、明後日には谷エリアを攻略するんだから、その後でなら」
ローセファース霧平原は3エリアに分かれてる。
霧平原の一番外側の霧が薄いのが薄霧エリア。
中心部の濃霧エリア。
中心部の渓谷がある谷エリア。
今日オレ達が居たのは薄霧エリアだ。
そして一番ヤバイのが最深部の渓谷エリアだった。
「いやいや、今のままだとパリ、薄霧エリアは無理だよ」
「何言ってるの、アラン、連れて行かないわよ。どうせブラックスネークの素材の防具が出来るまではパリも身動きが取れないんだから。それまでは他の場所でモンスター寄せの香炉を使って戦わせてたらいいのよ。そっちのジョニーだっけ、治癒魔法は使えるのよね?」
「ええ」
ジョニーが答える。
くぅ~、ジョニーと言ったら、その下のハリウッド俳優のフルネームも続けて呼びたくなるぜ。
「なら、死ぬ事もないでしょ」
「う~ん。それでいい、パリ?」
「ええ」
と喋ってると外が騒がしくなった。
正確には冒険者や兵士達が走ってる。
興味を覚えたバニラさんが小声で呪文を唱えてから、料理が半分以上残ってるのに席から立ち上がって、
「アラン、行くわよ」
「どうしたの?」
「霧平原から20メートル級のビッグホワイトスパイダーが出てきて、ローセファースの街の城壁まで顔を見せてるわ。倒すわよ。霧平原を潜る手間が省けたってものよ」
「了解」
既に料金を支払ってるので、オレは肉を口に放り込みながら席から立ち上がったのだった。
うま~、この肉~。肉汁が最高~。
◇
ローセファースの街の南側の城壁は夜だがお祭り騒ぎだった。
カンカンカンカンッと警鐘が鳴る中、魔法騎士達が走り回り、
「魔術師の城壁の上への移動を優先しろ」
「クソ、取り巻きの雑魚のホワイトスパイダーが壁に張り付きやがったっ!」
「倒せっ!」
「炎の矢っ!」
おお、何やら大変そうだね~。
「アンタら魔術師か? 城壁の上に上がってくれ」
マルチダーズ連合の兵士に魔術師ギルドのタグを見せたら、兵士の案内で城壁に備え付けの階段から城壁の上にあがれた。
「等級上げの為に、今回は私がやるわね」
そう言ってモニョモニョとバニラさんが呪文を唱えると頭上に10メートル級の巨大な火炎球が出現した。
「焦土の炎魔球」
バニラさんが20メートル級のビッグホワイトスパイダーに魔法を放つ。
その魔法がビッグホワイトスパイダーに炸裂して、盛大に燃えた。
周辺にも炎が広がって、従えてたちっこいホワイトスパイダー群を焼き払う。
だが、まだ20メートル級のビッグホワイトスパイダーは生きており、背を向けて霧平原に逃げようとしたので、
「逃がすかっ! バニラさん、リュックをお願いね」
リュックを下ろすとオレは城壁から飛び降りて、外側の大地に着地した。
ざっと前世の10階の高さから飛び降りたが、オレは無事だ。
落下中に【聖肉体強化】を無詠唱で使ったからな。
オレのLVなら多分、大丈夫なはずだけど、飛び降りて足を骨折とか怖いから念の為にね。
その後、オレは疾走して、バニラさんの魔法を食らって動きの遅いビッグホワイトスパイダーの口に蜘蛛専用スプレーをシューッと2回吹き掛けて倒したのだった。
腹を夜空に向けてビッグホワイトスパイダーが死んだ後、城壁を攻めてた雑魚ホワイトスパイダー群が逃げようとしたが、オレが虫を逃がす訳がないだろうがっ!
蜘蛛専用スプレーで20匹ほどホワイトスパイダーを倒したのだった。
アラン・ザク。14歳。LV351→LV352。
ジョブ:棒使い、精霊獣使い、聖天魔術師
スキル:【殺虫スプレー】(30)(30)(30)(30)ノズルタイプ(30)(22)cold(30)(30)ムカデ専用(30)蜘蛛専用(12)蜂専用(30)蟻専用(30)
称号:【貴族名鑑】【神童】【格上潰し】【英雄の雛】【精霊獣の契約者】【聖雛を連れて歩く者】【蜂殺し】【聖天を司る者】【女神の裁きの代行者】【古代種殺し】【白霧の狩人】【打の極みへの道】【無傷の強者】【弱きを貪る者】【剥ぎ職人】
おっ、LVが1つ上がってる。
ラッキー。
110
お気に入りに追加
639
あなたにおすすめの小説
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
全校転移!異能で異世界を巡る!?
小説愛好家
ファンタジー
全校集会中に地震に襲われ、魔法陣が出現し、眩い光が体育館全体を呑み込み俺は気絶した。
目覚めるとそこは大聖堂みたいな場所。
周りを見渡すとほとんどの人がまだ気絶をしていてる。
取り敢えず異世界転移だと仮定してステータスを開こうと試みる。
「ステータスオープン」と唱えるとステータスが表示された。「『異能』?なにこれ?まぁいいか」
取り敢えず異世界に転移したってことで間違いなさそうだな、テンプレ通り行くなら魔王討伐やらなんやらでめんどくさそうだし早々にここを出たいけどまぁ成り行きでなんとかなるだろ。
そんな感じで異世界転移を果たした主人公が圧倒的力『異能』を使いながら世界を旅する物語。
フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!
エラーから始まる異世界生活
KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。
本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。
高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。
冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。
その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。
某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。
実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。
勇者として活躍するのかしないのか?
能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。
多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。
初めての作品にお付き合い下さい。
[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!
どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入!
舐めた奴らに、真実が牙を剥く!
何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ?
しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない?
訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、
なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト!
そして…わかってくる、この異世界の異常性。
出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。
主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。
相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。
ハーレム要素は、不明とします。
復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。
追記
2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。
8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。
2024/02/23
アルファポリスオンリーを解除しました。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる