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マチルダーズ連合黎明編
素性の確認と今後の目的と推定LV80のファイアハイウルフ
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窮地を脱してマチルダーズ連合の国境に越えた後、森で騎獣の蜥蜴を休息させてる時、バニラさんが、
「あれはどういう事かしら、アラン?」
「どうして倒せちゃうのよ、1000年は生きてるって噂のあのサンドワームを?」
「推定LVは500以上よ? あり得ないでしょ」
「ってか、最高峰の女神の裁き魔法を、魔法を習得して2日目で使うなんてどうなってる訳?」
「それと1発目。絶対に無詠唱で魔法を使ったわよね? アランの精霊獣が直後に静かになったのと関係あるの?」
滅茶苦茶詰め寄られた。
いや~、あれだけやったら、さすがに質問攻めされちゃうよね~。
因みに弱ってたピピーは蜥蜴での移動中に心配したオレが頭にチュッとキスしたら、ピヨピヨって復活した。
もう元気になってオレの頭の上に乗ってる。
不思議だよな~、精霊獣って。
でもピピーに負担は掛けられないから、次からは女神の裁き魔法はちゃんと詠唱しようっと。
「いやいや、バニラさんも色々と教えてくれてないし~」
すっとぼけようとしたけど、
「アラン、ちゃんと答えなさい。ここに捨てていくわよ」
「え~。オレ歩くの嫌いなんですけど~」
「まずは出自から。どこの誰なの、アランって?」
「さあ~」
オレはとぼける気満々だったが、相手はバニラさんだ。
バニラさんはもうとっくにオレの攻略法を確立しており、
「仕方ないわね~、うりうり」
横に座っておっぱいを、ぷにゅん、とオレの腕に押し付けてきた。
舐めるなよ、バニラさん。
オレがそんな見え透いた手で口を割ると思ったら大間違いだ。
オレを誰だと思ってるんだ?
オレは成り上がって、近い将来この世界に君臨するアラン・ザクだぞっ!
バニラさんのおっぱいごときで口を割る訳がーーあっ、腕をおっぱいで挟んできた。
クソ~、負けてなるものか~。
2分後、オレは態度を軟化させて、
「教えたらバニラさんも教えてくれるんだよね?」
「ええ、もちろん」
そんな訳で情報交換をした。
バニラさんの素性の情報の取得は必須だからな。
何者か分からない相手と旅なんて出来ないだろう(正論)。
バニラさんのおっぱいに屈した訳じゃないからなっ!
オレはザク男爵家の三男坊で、死んだ母親は側室でサイダールの街の商家の娘。
側室になった背景は政略で、ザク家はお金、母親の実家は貴族の血の子供。
ウィンウィンの関係で、スキル授与の儀式でオレがいいスキルを引いていれば男爵家で使おうと思ってたけど、はずれスキルだったので父親から母親の実家の商家に送られて、その道中で大ムカデを撃破してその素材で運搬を請け負った行商を買収。死亡した事にして貰ってマチルダーズ連合へ逃亡中にバニラさんに会った、とちゃんと話した。
バニラさんの方は意外や苦労人で、孤児から魔術師養成機関に放り込まれて魔法を習得。スキル授与で【運命】をゲット。順調に魔法騎士団に入団するも出世するのは貴族ばかりでウンザリしてて、遂には退職。
その際の退職金として、
「これを貰っただけよ」
指輪を見せてきた。
双頭の竜の紋章付きだ。
「あれ、ジオール王国の紋章が入ってません?」
「いえ、これは違うわ、前王朝の紋章よ。ほら、双竜の首の角度がジオール王国の国旗と少し違うでしょ?」
「そう言えば、そんな気が・・・それをどこから貰ってきたんですか?」
「もちろん、王宮の宝物庫からよ」
「ちょっと~。それって盗んできたって事じゃないですか」
「いいえ。そもそも私よ、これを発見したの」
「? つまり?」
「これを発見して王国に提出したのに別の奴に功績を横取りされてそいつが出世したからジオール王国を見限って、発見して正統な所有権を有する私が貰ってきたって訳よ」
「ええっと、もしかしてマチルダーズ連合領に居てもバニラさんを追ってジオール王国の連中が襲ってきたりするんじゃあーー」
「それはないんじゃない? 前王朝の国宝なんだし」
「国宝なの?」
「そりゃあそうでしょう、紋章入りなんだから」
「指輪の用途は?」
「精霊獣の森への門を開く鍵なだけよ」
おい。
十分凄いだろうが。
ってか、まさか。
「アランも共犯ね」
さらっとバニラさんが言ってきた。
信じられない。
知らない間に巻き込まれてるし、オレも。
でもピピーと契約したからな。
プラマイで言ったら完全にプラスだし。
「ちょっと~。それじゃあ、追っ手がくる可能性もあるじゃないですか」
「かもね。マチルダーズ連合領ならジオール王国の魔法騎士だろうと襲い放題で旅費に困らなくてラッキーよね、私達」
どういう頭の構造をしてるんだ、バニラさんって?
「ボクはそんなの御免なんですけど?」
「あら、アランだってこれから狙われるわよ」
「精霊獣と契約したから?」
「いえ、14歳で古代のモンスターを倒す聖属性の魔術師で、ジオール王国の貴族のお坊ちゃんだからよ」
「お坊ちゃんどころか使用人扱いでしたよ。現にスキル授与直後のステータスのジョブなんて雑用係でしたから」
「今は? 聖天魔術師ってジョブに付いてない?」
「さ~て、どうだったかな?」
オレはとぼけた。
「信じられない。ここで情報を出し惜しみするなんて」
そんな訳でオレ達は互いの事を知ったのだった。
バニラさんが嘘をついてる確率40%。
ってのがオレの見解だがな。
スキルの内容を教えるか、普通?
オレなら絶対に教えないぞ。
それに【運命】って。
確かめようのないスキルだし。スキルに関しては嘘の確率80%。
◇
蜥蜴の背に乗って街道を移動しながら、
「アランの目的は何なの?」
「称号に【神童】があるので16歳までは上げれるだけLV上げですね」
「あれだけの魔法があれば楽勝ね」
「いえ、魔法はもう使いませんよ、バニラさん」
「どうしてよ?」
「目立ちたくないので」
「本音は?」
「奥の手を晒す馬鹿がどこに居るんですか? それに幅広く称号を獲得したいので。棒での戦闘がメインの予定です」
オレはゲームではMPを節約して通常攻撃をボタン連打するタイプだったし。
「魔法を使ってたら魔術師系のが出るわよ?」
「戦闘系の称号が先ですね、聖魔法しか使えないんですから」
「なるほど」
「バニラさんの方は?」
「とりあえずクランの創設ね」
「戦力なんかを整えてどうするんですか? ジオール王国の追っ手から身を守る為?」
「それもあるけど、強いモンスターを倒してお金にして、名声を得る為よ」
「権力志向が強いんですね」
「自分の身を守る為よ、悪い?」
悪くない。
それどころか成り上がる予定のオレと目的が一致してる。
「いえいえ、オレも一丁噛みますよ」
そんな事を喋ったのだった。
国境を挟んだ移動だ。
1日ではマチルダーズ連合の拠点に到着出来ず、その夜は野宿となった。
野宿の準備は万端。
食糧もある。
鉄串に刺して焼いてると、
「何の肉なの、それ? ブルーウルフではなさそうだけど」
「レッドスネークの肉ですよ。食べますよね、バニラさんも」
「蛇の肉は私、ちょっと」
「鶏肉のような淡白さで美味しいですけど」
「いえ、いらないわ」
「そうですか、残念」
料理をして食べた。
ふむ、悪くない。淡白だが鶏肉っぽくて。
前世のオレは鶏肉ばっか喰ってたからな。
鶏肉は、まあ、好きだが、それ以上に安かったから。
近所の養鶏場で安くで手に入ったし。
そして就寝となった。
相手はバニラさんなので、
「ほら、寒いんだからちゃんと抱き付いて」
「は~い」
おっぱいに顔を埋めながらオレは焚火のそばの地面で眠ったのだった。
こうしてバニラさんはオレへのおっぱい貯金を貯めていく訳ね。
そう言えばピピーのバニラさん判定がまだないな。
どっちなんだろ?
◇
オレもバニラさんもモンスター除けの指輪を持って付けてる。
だから呑気に眠れた訳だがーー
夜、ピピピッとピピーに叩き起こされた。
何?
ピピーを見たら、あっち、と片翼をビシッと指した。
視線を向けると赤い色の眼が光ってる。
はあ? モンスターだと?
起きたバニラさんが、
「どうしたの?」
「モンスターが何故か近付いてて――」
「やっぱりね」
バニラさんが確信めいた口調で言った。
「? 何が『やっぱり』なの?」
「ほら、私達、昼間にモンスター寄せの香炉を使ってるじゃないの。まだ洗い流していないし」
「えっ、あれって煙が消えたら効力を失って終わりじゃないんですか?」
「終わりよ。普通の使い方だったらね」
やっぱし。
あの爆発した凄い煙、普通の使い方じゃなかったのか。
「ならちゃんと教えておいて下さいよ」
「アランなら余裕でしょ。それに称号を獲得したいって言ってたし」
「夜に起こされるのはうんざりなんですよ、オレは」
そう言いながら突進した。
モンスターは熊系だった。
ブルーベアーだ。
それが1匹だけ。
だが熊なんて動物でも危険だ。
モンスターなら更に危険で、全長4メートル級が4本足で接近していた。
どう見てもヤバイだろ、このブルーベアー。
オレは一瞬でブルーベアーの前に移動して、牙棒をスラッガー打法で構えて、
「おらっ!」
ブンッと鼻面を狙って振ると、グシャッと顔面に減り込んで、
グアアアア。
一撃で撲殺したのだった。
「推定LV50のブルーベアーを一撃で殴り倒す子供ってーー滅茶苦茶ね」
「バニラさんには言われたくないですよ。朝にコイツを剥ぐ時間を下さいね」
「熊肉?」
「それと毛皮ですよ。いい加減、新しい装備が欲しいですから」
こうして眠ったのだった。
この夜は後2回。
ピピピッとピピーに起こされて身体を起こしたら夜の森が燃えてて、見たらファイアウルフ4匹の群れが接近してた。
「おお、ファンタジーっぽい」
オレは嬉々として無詠唱の【聖装強化】を使って石を強化してピッチングの顔面ストライクで次々に秒殺した。
触って燃えたくなかったのでな。
「ファイアウルフの推定LVは50なのにこんなにあっさりと。あり得ないから」
「バニラさんも余裕でしょ?」
「4匹同時は無理よ」
「へ~」
その後、バニラさんが水魔法で燃えてる森を消火して眠り、
寝てたら更にスネイルスライム7匹の群れに襲われたが、
「弱いんだから出てくるなよなっ!」
魔法で強化する事なく、オレはただの牙棒のバッティングで撃滅したのだった。
まあ、余裕だったな。
「あれはどういう事かしら、アラン?」
「どうして倒せちゃうのよ、1000年は生きてるって噂のあのサンドワームを?」
「推定LVは500以上よ? あり得ないでしょ」
「ってか、最高峰の女神の裁き魔法を、魔法を習得して2日目で使うなんてどうなってる訳?」
「それと1発目。絶対に無詠唱で魔法を使ったわよね? アランの精霊獣が直後に静かになったのと関係あるの?」
滅茶苦茶詰め寄られた。
いや~、あれだけやったら、さすがに質問攻めされちゃうよね~。
因みに弱ってたピピーは蜥蜴での移動中に心配したオレが頭にチュッとキスしたら、ピヨピヨって復活した。
もう元気になってオレの頭の上に乗ってる。
不思議だよな~、精霊獣って。
でもピピーに負担は掛けられないから、次からは女神の裁き魔法はちゃんと詠唱しようっと。
「いやいや、バニラさんも色々と教えてくれてないし~」
すっとぼけようとしたけど、
「アラン、ちゃんと答えなさい。ここに捨てていくわよ」
「え~。オレ歩くの嫌いなんですけど~」
「まずは出自から。どこの誰なの、アランって?」
「さあ~」
オレはとぼける気満々だったが、相手はバニラさんだ。
バニラさんはもうとっくにオレの攻略法を確立しており、
「仕方ないわね~、うりうり」
横に座っておっぱいを、ぷにゅん、とオレの腕に押し付けてきた。
舐めるなよ、バニラさん。
オレがそんな見え透いた手で口を割ると思ったら大間違いだ。
オレを誰だと思ってるんだ?
オレは成り上がって、近い将来この世界に君臨するアラン・ザクだぞっ!
バニラさんのおっぱいごときで口を割る訳がーーあっ、腕をおっぱいで挟んできた。
クソ~、負けてなるものか~。
2分後、オレは態度を軟化させて、
「教えたらバニラさんも教えてくれるんだよね?」
「ええ、もちろん」
そんな訳で情報交換をした。
バニラさんの素性の情報の取得は必須だからな。
何者か分からない相手と旅なんて出来ないだろう(正論)。
バニラさんのおっぱいに屈した訳じゃないからなっ!
オレはザク男爵家の三男坊で、死んだ母親は側室でサイダールの街の商家の娘。
側室になった背景は政略で、ザク家はお金、母親の実家は貴族の血の子供。
ウィンウィンの関係で、スキル授与の儀式でオレがいいスキルを引いていれば男爵家で使おうと思ってたけど、はずれスキルだったので父親から母親の実家の商家に送られて、その道中で大ムカデを撃破してその素材で運搬を請け負った行商を買収。死亡した事にして貰ってマチルダーズ連合へ逃亡中にバニラさんに会った、とちゃんと話した。
バニラさんの方は意外や苦労人で、孤児から魔術師養成機関に放り込まれて魔法を習得。スキル授与で【運命】をゲット。順調に魔法騎士団に入団するも出世するのは貴族ばかりでウンザリしてて、遂には退職。
その際の退職金として、
「これを貰っただけよ」
指輪を見せてきた。
双頭の竜の紋章付きだ。
「あれ、ジオール王国の紋章が入ってません?」
「いえ、これは違うわ、前王朝の紋章よ。ほら、双竜の首の角度がジオール王国の国旗と少し違うでしょ?」
「そう言えば、そんな気が・・・それをどこから貰ってきたんですか?」
「もちろん、王宮の宝物庫からよ」
「ちょっと~。それって盗んできたって事じゃないですか」
「いいえ。そもそも私よ、これを発見したの」
「? つまり?」
「これを発見して王国に提出したのに別の奴に功績を横取りされてそいつが出世したからジオール王国を見限って、発見して正統な所有権を有する私が貰ってきたって訳よ」
「ええっと、もしかしてマチルダーズ連合領に居てもバニラさんを追ってジオール王国の連中が襲ってきたりするんじゃあーー」
「それはないんじゃない? 前王朝の国宝なんだし」
「国宝なの?」
「そりゃあそうでしょう、紋章入りなんだから」
「指輪の用途は?」
「精霊獣の森への門を開く鍵なだけよ」
おい。
十分凄いだろうが。
ってか、まさか。
「アランも共犯ね」
さらっとバニラさんが言ってきた。
信じられない。
知らない間に巻き込まれてるし、オレも。
でもピピーと契約したからな。
プラマイで言ったら完全にプラスだし。
「ちょっと~。それじゃあ、追っ手がくる可能性もあるじゃないですか」
「かもね。マチルダーズ連合領ならジオール王国の魔法騎士だろうと襲い放題で旅費に困らなくてラッキーよね、私達」
どういう頭の構造をしてるんだ、バニラさんって?
「ボクはそんなの御免なんですけど?」
「あら、アランだってこれから狙われるわよ」
「精霊獣と契約したから?」
「いえ、14歳で古代のモンスターを倒す聖属性の魔術師で、ジオール王国の貴族のお坊ちゃんだからよ」
「お坊ちゃんどころか使用人扱いでしたよ。現にスキル授与直後のステータスのジョブなんて雑用係でしたから」
「今は? 聖天魔術師ってジョブに付いてない?」
「さ~て、どうだったかな?」
オレはとぼけた。
「信じられない。ここで情報を出し惜しみするなんて」
そんな訳でオレ達は互いの事を知ったのだった。
バニラさんが嘘をついてる確率40%。
ってのがオレの見解だがな。
スキルの内容を教えるか、普通?
オレなら絶対に教えないぞ。
それに【運命】って。
確かめようのないスキルだし。スキルに関しては嘘の確率80%。
◇
蜥蜴の背に乗って街道を移動しながら、
「アランの目的は何なの?」
「称号に【神童】があるので16歳までは上げれるだけLV上げですね」
「あれだけの魔法があれば楽勝ね」
「いえ、魔法はもう使いませんよ、バニラさん」
「どうしてよ?」
「目立ちたくないので」
「本音は?」
「奥の手を晒す馬鹿がどこに居るんですか? それに幅広く称号を獲得したいので。棒での戦闘がメインの予定です」
オレはゲームではMPを節約して通常攻撃をボタン連打するタイプだったし。
「魔法を使ってたら魔術師系のが出るわよ?」
「戦闘系の称号が先ですね、聖魔法しか使えないんですから」
「なるほど」
「バニラさんの方は?」
「とりあえずクランの創設ね」
「戦力なんかを整えてどうするんですか? ジオール王国の追っ手から身を守る為?」
「それもあるけど、強いモンスターを倒してお金にして、名声を得る為よ」
「権力志向が強いんですね」
「自分の身を守る為よ、悪い?」
悪くない。
それどころか成り上がる予定のオレと目的が一致してる。
「いえいえ、オレも一丁噛みますよ」
そんな事を喋ったのだった。
国境を挟んだ移動だ。
1日ではマチルダーズ連合の拠点に到着出来ず、その夜は野宿となった。
野宿の準備は万端。
食糧もある。
鉄串に刺して焼いてると、
「何の肉なの、それ? ブルーウルフではなさそうだけど」
「レッドスネークの肉ですよ。食べますよね、バニラさんも」
「蛇の肉は私、ちょっと」
「鶏肉のような淡白さで美味しいですけど」
「いえ、いらないわ」
「そうですか、残念」
料理をして食べた。
ふむ、悪くない。淡白だが鶏肉っぽくて。
前世のオレは鶏肉ばっか喰ってたからな。
鶏肉は、まあ、好きだが、それ以上に安かったから。
近所の養鶏場で安くで手に入ったし。
そして就寝となった。
相手はバニラさんなので、
「ほら、寒いんだからちゃんと抱き付いて」
「は~い」
おっぱいに顔を埋めながらオレは焚火のそばの地面で眠ったのだった。
こうしてバニラさんはオレへのおっぱい貯金を貯めていく訳ね。
そう言えばピピーのバニラさん判定がまだないな。
どっちなんだろ?
◇
オレもバニラさんもモンスター除けの指輪を持って付けてる。
だから呑気に眠れた訳だがーー
夜、ピピピッとピピーに叩き起こされた。
何?
ピピーを見たら、あっち、と片翼をビシッと指した。
視線を向けると赤い色の眼が光ってる。
はあ? モンスターだと?
起きたバニラさんが、
「どうしたの?」
「モンスターが何故か近付いてて――」
「やっぱりね」
バニラさんが確信めいた口調で言った。
「? 何が『やっぱり』なの?」
「ほら、私達、昼間にモンスター寄せの香炉を使ってるじゃないの。まだ洗い流していないし」
「えっ、あれって煙が消えたら効力を失って終わりじゃないんですか?」
「終わりよ。普通の使い方だったらね」
やっぱし。
あの爆発した凄い煙、普通の使い方じゃなかったのか。
「ならちゃんと教えておいて下さいよ」
「アランなら余裕でしょ。それに称号を獲得したいって言ってたし」
「夜に起こされるのはうんざりなんですよ、オレは」
そう言いながら突進した。
モンスターは熊系だった。
ブルーベアーだ。
それが1匹だけ。
だが熊なんて動物でも危険だ。
モンスターなら更に危険で、全長4メートル級が4本足で接近していた。
どう見てもヤバイだろ、このブルーベアー。
オレは一瞬でブルーベアーの前に移動して、牙棒をスラッガー打法で構えて、
「おらっ!」
ブンッと鼻面を狙って振ると、グシャッと顔面に減り込んで、
グアアアア。
一撃で撲殺したのだった。
「推定LV50のブルーベアーを一撃で殴り倒す子供ってーー滅茶苦茶ね」
「バニラさんには言われたくないですよ。朝にコイツを剥ぐ時間を下さいね」
「熊肉?」
「それと毛皮ですよ。いい加減、新しい装備が欲しいですから」
こうして眠ったのだった。
この夜は後2回。
ピピピッとピピーに起こされて身体を起こしたら夜の森が燃えてて、見たらファイアウルフ4匹の群れが接近してた。
「おお、ファンタジーっぽい」
オレは嬉々として無詠唱の【聖装強化】を使って石を強化してピッチングの顔面ストライクで次々に秒殺した。
触って燃えたくなかったのでな。
「ファイアウルフの推定LVは50なのにこんなにあっさりと。あり得ないから」
「バニラさんも余裕でしょ?」
「4匹同時は無理よ」
「へ~」
その後、バニラさんが水魔法で燃えてる森を消火して眠り、
寝てたら更にスネイルスライム7匹の群れに襲われたが、
「弱いんだから出てくるなよなっ!」
魔法で強化する事なく、オレはただの牙棒のバッティングで撃滅したのだった。
まあ、余裕だったな。
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