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ジオール王国脱出編

推定LV200のセンティピード・アラクネー

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 オレが辿り着いた小さな村の名前はジル。

 そして、ピピーが居た精霊獣の森に通じ、オレが長々と彷徨っていた森はジルの森といった。

 まあ、関係ないけどね。

 オレはさっさと乗合客車には乗らーーなかった。

 小銀貨1枚で林檎8個を購入。

 干し葡萄を小銀貨3枚分、購入。

 チーズを小銀貨5枚分、購入。

 パン6食分を小銀貨1枚で購入。

 食材カット用のナイフ2本と木製食器1枚と肉を焼く時に突き刺す鉄串3本と1人用のフライパン1個を小銀貨5枚で購入。

 火打ち石セット2個を小銀貨1枚で購入。

 食用油代わりの脂身を銅貨5枚分、購入。

 それらの買い物をした後、乗合客車に乗ろうとしたらピピーが翼で×を作って止めてきたので。

 急ぎ旅でもない。

 ピピーに付き合ってやるか。

 そんな訳でピピーを右手の上に乗せて、行きたい場所を探すと、そこは村にある疲れた教会だった。

 ピヨピヨとピピーがドヤ顔で入れと指図するので、

「お邪魔しま~す」

 オレが教会に入ると中では切迫した様子で、

「何とかなりませんか、神父様?」

「申し訳ありません、私の力ではどうする事もーー」

「そんな~」

 なんてやり取りを冒険者達と老神父がやっていた。

 冒険者は3人居て、その内、1人が片腕が石化していた訳だが。

 ピピーのお目当ては老神父で、ピピピピッと怒っていた。

 「スプレーを使ってやっつけろ」のジェスチャーをしてくる。

 神父にどうして?

 もしかして虫モンスターが化けてる?

 まあ、いいや、ピピーの気が済むなら。

 ピピーに甘々のオレは無印の【殺虫スプレー】を隠し持ちながら、

「すみませ~ん」

「何ですか? 今取り込み中なのですが」

 という神父の顔にシューッと吹き掛けた。

 すると、





「グオオオオ」





 と苦しみ出して、





「貴様ぁぁぁぁぁっ!」





 人の良さそうな老神父の顔が凶悪化して、下半身に至っては3メートルくらいのムカデになった。

「えっ?」

 オレが驚く中、居合わせた冒険者達が、

「ムカデ人間? センティピード・アラクネーだと?」

「人型なら最低でもLV200以上だぞ」

「ってか、この神父10年は居るはずだろ? 何人殺してるんだ?」

「ともかく、やってしまえっ!」

 構えて魔法を撃ってた。

「貴様らぁぁぁ、皆殺しだぁぁぁぁっ!」

 人型のムカデが魔法で攻撃した冒険者の方に視線を向ける。

 オレから見たら隙だらけだ。

 オレから眼を逸らすかね。

 まあ、オレの外見は少年だから冒険者に注意を向けるのは順当だけどさ~。

 愚かなり。

 人型のセンティピード・アラクネーが臨戦態勢に入ってる横から、オレはムカデ専用の【殺虫スプレー】を出してシューッと一吹きした。





「グアアアアアアアア」





 悶絶して簡単にその人型のムカデは絶命したのだった。

 さすがは【殺虫スプレー】だな。

 オレはステータスを確認する。





 アラン・ザク。14歳。LV186→192

 ジョブ:棒使い、精霊獣使い

 スキル:【殺虫スプレー】(30)(30)(30)(30)ノズルタイプ(30)cold(30)ムカデ専用(12)

 称号:【貴族名鑑】【神童】【格上潰し】【英雄の卵】【精霊獣の契約者】【聖雛を連れて歩く者】【蜂殺し】





 隠し称号:【前世の記憶】(【算盤少年】【野球少年】【農夫パワー】【蜜柑博士】【蜜柑喰い】【出雲信徒】)





 おっ、LVが6上がってる。

 6でも凄いんだろうけど、もうオレは6程度の上がりじゃあ満足出来ない身体なのだよ。

 冒険者が、

「やるな、おまえ」

「いえいえ。後の事はお任せしても? オレ、急ぎ旅なので」

「ん? 旅に出るのは待った方がいいぞ。人型モンスターなら王国から報奨金が出るから」

「プレゼントしますよ。そっちの人の治療費にあてて下さい」

 面倒臭い事はパスなんだよ。

 オレはまだ冒険者ギルドに加盟もしていないんだからさ。

 ってか、まだステータスの名前のところにザクの家名が付いてるし。

 本当に籍を抜く手続きをしてるのか、あの父親は?

 今更連れ戻されるのとか嫌だぞ、オレ。

 さっさと国境を越えよう。

「いいのか?」

「ええ」

 オレはそんな爽やか少年のような事を言ってさっさと教会から出て、

「もう旅立ってもいいか、ピピー?」

 ピヨピヨと頷いたので、蜥蜴車の乗り場でオレは乗車賃の2小銀貨を支払ってマチルダーズ連合の国境を目指したのだった。





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