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ジオール王国脱出編

【蜂殺し】

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 獣人のお姉さんと出会った翌日も森を歩いた。

 東に向かう。

 考えもなしに一直線に向かってたのが悪かったのか、





 ブ~ン、ブ~ン、ブ~ン。





 オレはハニーキラーが150匹以上居る空間に足を踏み入れていた。

 どうして、こんなに居るんだ?

 周囲を見渡せばデッカイ蜂の巣がある。

 もしかしてハニーキラーの巣?

 ってか、1個じゃない。

 4個も巣がある?

 そうオレが気付いた時にはハニーキラーがオレに攻撃してきた。

 ハニーキラーは人型サイズの蜂のモンスターだ。

 もうそれだけで恐怖の対象で一般人は逃げ出すのだが。

 オレは虫が嫌いでね~。

 マジで。

 蜂は果実や野菜が受精するのに必要だから「いい虫」とか言ってる連中に声を大にして言いたい。

 蜂に刺されたらマジで痛いんだよっ!

 ムカつくくらいにっ!

 虫は死ねっ!

 オレは殺虫スプレーを両手に出してハニーキラーの駆除を始めた。

 シュー、シュー。

 ハニーキラーを倒す。

 頭の上のピピーもピヨピヨと鳴きながらオレを応援してる。

「任せろ、ピピー」

 更にやる気が出て、オレはハニーキラーを倒した。

 殺虫スプレーにも慣れてきた。

 1吹きのシューをスライドさせてハニーキラーを3匹倒す手際の良さだ。

 オレはハニーキラーから1回も攻撃を喰らう事なく、200匹以上のハニーキラーを無双して倒したのだが、ここはハニーキラーの巣だ。

 ハニーキラーの親玉であるハニーキラークイーンが登場した。

 ハニーキラークイーンの全長は更にデカくて3メートル。

 生意気にも手には槍まで持ってる。

 それが4匹も。

 愚かなり。

 兵隊蜂が倒されたのを見て逃げればいいものを。

 戦闘になった。

 槍の先から液体を飛ばしてくる。

 毒?

 だが、無駄だ。

 オレのLVは185だぞ。

 見てからでも余裕で避けれる回避スピードなんだよっ!

 そして擦れ違い様に殺虫スプレーを1吹き。

 それで1匹目を倒して、更に近付くハニーキラークイーンを倒す。

 残り2匹。

 逃げる気はないらしい。

 間合いを詰めてきたのでスプレーでシュー。

 最後の1匹となったところでそのハニーキラークイーンは巣から離れていったのだった。

 ふん、頭のいい奴。

 オレは別に蜂の死骸の山から蜂の針を獲得する事もなく、巣から蜂蜜を獲得する事もなく、東に向かって歩き始めたのだった。

 歩きながらステータスを確認すると、





 アラン・ザク。14歳。LV186。

 ジョブ:棒使い、精霊獣使い

 スキル:【殺虫スプレー】(28)(30)(30)(30)ノズルタイプ(30)cold(30)ムカデ専用(6)

 称号:【貴族名鑑】【神童】【格上潰し】【英雄の卵】【精霊獣の契約者】【聖雛を連れて歩く者】new【蜂殺し】





 隠し称号:【前世の記憶】(【算盤少年】【野球少年】【農夫パワー】【蜜柑博士】【蜜柑喰い】【出雲信徒】)





 【蜂殺し】蜂に対して攻撃力1.5倍。素材、蜂蜜の獲得率上昇。





 取得条件:15分間で100匹以上の兵隊蜂を倒す。





 お、称号を獲得してるし。

 【蜂殺し】か。

 何かカッコイイかもな。

 LVが地味に1つ上がってるし。

 そんな事を思いながらピピーと一緒に鼻歌を歌いながら進んだのだった。





 ◇





 蜂の巣ゾーンを通過した日の夕方、ようやく森を抜けた。

 そして眼の前には小さな村があった。

 準備もなくバニラさんに連れられて森に入ったので、この2日間、ブルーウルフの肉しか食べていない。

 他のものが食べたい。

 パンと野菜スープ。

 うん、それね。

 オレは塀で囲まれた村の中へと入ったのだった。





 真っ先にした事は食堂での食事だ。

 飯だ、飯。

「野菜のホワイトシチューとパンを下さい」

「野菜のホワイトシチューは4銅貨、パンは2銅貨ね」

 世知辛い異世界ファンタジーでは前払いが基本だ。

 オレは銅貨を支払って料理を待った。

 来た。

 パンは作り置きだが、シチューはアツアツだ。

 食べる。

 美味い。

 ピピーも食べるかも、とスプーンに掬ったシチューを勧めたが食べなかった。

 テーブルの上に居るのでピピーの頭を撫でる。

 これだけで癒される~。

 ピピーめ。

 い奴だ。

 オレは御機嫌でご飯を食べたのだった。





 続いて宿屋だ。

「1泊3小銀貨だよ」

「どうぞ」

 オレは3小銀貨で安宿に入った。

 そしてさっさと眠ったのだった。





 ◇





 翌日だ。

 宿屋を出た。

 最初に武器屋だった。

「買って下さ~い」

 そう言って店主に魔法の杖(長い奴)5本と魔術師ローブ5枚を見せた。

「どうしたんだね、これ?」

 当然、眼鏡を掛けた店主のオッサンが怪しむ中、オレは堂々と、

「森の死体の傍に落ちてました~」

「その割には綺麗だが」

「小川で洗濯して干しましたから。高く売れるように」

「ったく」

 全部合わせて金貨20枚で買ってくれた。

 だいたい、この世界の通貨相場は、





 銅貨1枚が100円。

 小銀貨1枚が1000円。

 銀貨1枚が1万円。

 金貨1枚が10万円。





 なので、金貨20枚なら200万円だ。

 子供だからか、完全にボッタクられてる。

 それくらいはオレでも分かったが、何も言わずにオレは売ったのだった。

 だって、この店主が面倒事を引き受けてくれるんだから。

 魔法兵団に後日、絶対に追及されるからな。

 下手すりゃあ逮捕だ。

「子供が持ち込みました、本当です」

 なんて言って通じるかどうか。

 ボラれた差額はこれから起こる迷惑料って事で。

 ウィンウィンの関係って奴だ。

「ありがとう、オジサン」

 オレはさっさと武器屋を出たのだった。





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