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ジオール王国脱出編
新たな出会いがあるも
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オレはマウントスパイダーから素材を剥ぐような真似はしなかった。
どうせ運べないし、ジオール王国との交渉も面倒だ。
確かに一財産だろうけど、+113のLVを貰えただけで上出来としないとな。
オレの最大の目的は国境越えだ。
それにバニラさんに巻き込まれて魔法騎士団の魔術師を5人も半殺しにしてる。
さっさと離れるに限った。
そんな訳で朝から東の国境に向かって歩き始めた。
ピヨピヨ。
御機嫌なピピーが歌ってるので、オレも気分良く鼻歌を歌った。
選曲は当然、オレが学生時代に人気だった女性アイドル。
まあ、鼻歌程度だけどな。
そして歩いて10分ほどで気付いた。
トロトロと歩いてたのはバニラさんが居たからだ。
LV125もあるんなら、走った方が早くないか?
そう思って走り始めたが、スピードが速い。
ってか、速過ぎる。
絶対に原付の最高速度よりも速いだろ、これっ!
木々が茂る森の中でこの速度は危険だ。
「こわっ!」
仕方なくオレは森を歩く事にしたのだった。
モンスター除けの指輪があるからか、モンスターに、まあ、遭遇しない。
今更、雑魚モンスターにあってもね~。
LVが上がる事もないし。
いや、称号を得られるかも。
オレの神童のタイムリミットは1年3ヶ月。
称号は何でも獲得するに限る。
そんな訳で、オレは中指の指輪を外して進み始めると、モンスターが出るわ出るわ。
ゴブリン。
ブルーウルフ。
グリーンキャタピラー。
背中に刺がある毛虫タイプのイエローキャタピラー(推定LV18以下)。
ガーリックトレント。
人参タイプのキャロットトレント(推定LV20以下)。
ジャイアントフロッグ。
ナメクジ型のスライムであるスネイルスライム(推定LV20以下)。
蜂型のモンスター、ハニーキラー(推定LV30以下)。
それらを牙棒で殴り、殺虫スプレーで倒して進む。
剥ぎも練習もした。
練習だけだ。
素材は捨てていく。
重いだけだから。
ブルーウルフの肉とニンニクと人参は持っていくけどね。
こうして森を進んでると小川の音が聞こえてきた。
ラッキー。
水を水筒に補給出来る。
そう思って茂みを抜けると、裸の女が1人水浴びをしていた。
何、これ?
ラブコメの主人公体質にでもなかったのか、オレ?
「なっ、キッ、キャアアアアアアアアア」
お姉さんが悲鳴を上げてるけど、正面を向いてるからモロ見えだし。
オレも、
「すみません、すみません」
と謝罪しながら、ミディアムの金髪碧眼で凄い美人の褐色肌の巨乳のお姉さんの裸を観察した。
重要なのは獣耳だ。
頭の上に付いていた。
ケモミミのカチューシャじゃない。
本物だ。
つまりは獣人を意味した。
オレは別に獣人に偏見はない。
だが。
腹筋が6つに割れてた。
シックスパックに腹筋が割れてる女って。
美人だけど、一瞬でオレは興味を失った。
腹筋の割れた女なんてノーサンキューだからな。
ってか、普通に引くわ。
「いつまで見てるのよっ!」
裸で突進してきたお姉さんが殴り掛かってくるが、
ひょい。
オレは避けながら、
「ちょ、何の真似ですか?」
「この、避けるなっ! 修正されろっ!」
うわ、鉄拳制裁の事を修正って言ってる。
懐かしい~。
アニメを思い出すな。
お姉さんがまた殴りかかってきたので、
「2回目だから、えい」
オレはクロスカウンターを合わせた。
右パンチに対して、左パンチを繰り出す。
お姉さんのパンチの内側に左パンチを繰り出して、左腕の外側でお姉さんのパンチの軌道をズラして、そのまま左パンチでお姉さんを殴った。
おお、こちらは被弾せずに完璧に決まった。
それこそ名作ボクシングアニメ並みに。
名作ボクシング漫画に敬意を払って【力◯クロス】と命名したかったが下手に名前を使ったら著作権が発生しそうなので【地獄の減量クロス】とでもしておこう。
クソ~、ヒヨってしまった。
ピピーが頭に乗ってるだけに。
おっ、今、上手い事言ったかも(0.1秒)。
オレに殴られた獣人のお姉さんが吹き飛び大の字になって倒れる。真っ裸で。
ピヨピヨ。
頭の上のピピーが「良くやった」と褒めてくれる。
「当然だよ、ピピー」
オレも鼻高々に笑って、伸びてる裸のお姉さんに視線を向けた。
ついでだ。
仰向けに倒れてたのを裏返した。
尻の上側を見る。
尻尾が付いてた。
引っ張ってみる。
抜ける事はない。
本物だった。
勉強なるな~。
その後、オレは小川で水筒に水を補給して、歩き出したのだった。
◇
「待ちなさいよっ!」
とどめを刺さなかったのが拙かったのか、森を歩いてるオレに獣人のお姉さんが追い付いてきた。
お姉さんの装備は女戦士特有のビキニの半裸で、下半身は魔物素材の豹柄系のスパッツを穿き、上半身はブラ甲冑のみ。
手に三又の銛のような槍を持っている。
「何ですか?」
「私に勝つなんてやるじゃないの。仲間にしてあげてもいいわよ」
「嫌ですよ、オレはジオール王国を出たいんですから」
「あら、私、マチルダーズ連合出身。案内してあげるわ」
凄く魅力的な誘いを受けたオレはお姉さんを見た。
「小川で何をしてたんですか」
「モンスターの返り血を洗い流してたのよ」
「1人なんですか?」
「ええ。私と同格の奴って意外と少ないから」
と会話してる中、ビビーがお姉さん(お姉さんは視えず、感じないらしい)の頭に乗って翼をクロスさせて×を作ってオレに見せてきた。
つまりは不合格って意味だ。
ピピーがダメだって言ってるんだ。
オレ的にも腹筋がシックスパックの女なんてダメに決まってる。
「申し訳ありませんけど、ダメですね。すみません」
「どうしてよ?」
「オレの精霊獣がダメだって言ってるので」
「そんな嘘はいいからーー」
「本当の事ですよ。うちの精霊獣が嫌ってる相手とは仲良く出来ませんので」
オレが少し本気で睨むと、1歩飛び退いたお姉さんが構えながら、
「やっぱり強いわよね、アナターー私よりも?」
「分かります?」
「どうしてそんなに強いの?」
「昨夜、マウントスパイダーを倒しましたから。あっちに落ちてますから素材を上げますよ。殴った詫び料って事で」
「――嘘よね?」
「いえ、本当の事です」
「本当に貰っていいのね、素材?」
「ええ」
「じゃあ、ここで。またね」
これでようやく名前も知らない獣人のお姉さんからオレは解放されたのだった。
どうせ運べないし、ジオール王国との交渉も面倒だ。
確かに一財産だろうけど、+113のLVを貰えただけで上出来としないとな。
オレの最大の目的は国境越えだ。
それにバニラさんに巻き込まれて魔法騎士団の魔術師を5人も半殺しにしてる。
さっさと離れるに限った。
そんな訳で朝から東の国境に向かって歩き始めた。
ピヨピヨ。
御機嫌なピピーが歌ってるので、オレも気分良く鼻歌を歌った。
選曲は当然、オレが学生時代に人気だった女性アイドル。
まあ、鼻歌程度だけどな。
そして歩いて10分ほどで気付いた。
トロトロと歩いてたのはバニラさんが居たからだ。
LV125もあるんなら、走った方が早くないか?
そう思って走り始めたが、スピードが速い。
ってか、速過ぎる。
絶対に原付の最高速度よりも速いだろ、これっ!
木々が茂る森の中でこの速度は危険だ。
「こわっ!」
仕方なくオレは森を歩く事にしたのだった。
モンスター除けの指輪があるからか、モンスターに、まあ、遭遇しない。
今更、雑魚モンスターにあってもね~。
LVが上がる事もないし。
いや、称号を得られるかも。
オレの神童のタイムリミットは1年3ヶ月。
称号は何でも獲得するに限る。
そんな訳で、オレは中指の指輪を外して進み始めると、モンスターが出るわ出るわ。
ゴブリン。
ブルーウルフ。
グリーンキャタピラー。
背中に刺がある毛虫タイプのイエローキャタピラー(推定LV18以下)。
ガーリックトレント。
人参タイプのキャロットトレント(推定LV20以下)。
ジャイアントフロッグ。
ナメクジ型のスライムであるスネイルスライム(推定LV20以下)。
蜂型のモンスター、ハニーキラー(推定LV30以下)。
それらを牙棒で殴り、殺虫スプレーで倒して進む。
剥ぎも練習もした。
練習だけだ。
素材は捨てていく。
重いだけだから。
ブルーウルフの肉とニンニクと人参は持っていくけどね。
こうして森を進んでると小川の音が聞こえてきた。
ラッキー。
水を水筒に補給出来る。
そう思って茂みを抜けると、裸の女が1人水浴びをしていた。
何、これ?
ラブコメの主人公体質にでもなかったのか、オレ?
「なっ、キッ、キャアアアアアアアアア」
お姉さんが悲鳴を上げてるけど、正面を向いてるからモロ見えだし。
オレも、
「すみません、すみません」
と謝罪しながら、ミディアムの金髪碧眼で凄い美人の褐色肌の巨乳のお姉さんの裸を観察した。
重要なのは獣耳だ。
頭の上に付いていた。
ケモミミのカチューシャじゃない。
本物だ。
つまりは獣人を意味した。
オレは別に獣人に偏見はない。
だが。
腹筋が6つに割れてた。
シックスパックに腹筋が割れてる女って。
美人だけど、一瞬でオレは興味を失った。
腹筋の割れた女なんてノーサンキューだからな。
ってか、普通に引くわ。
「いつまで見てるのよっ!」
裸で突進してきたお姉さんが殴り掛かってくるが、
ひょい。
オレは避けながら、
「ちょ、何の真似ですか?」
「この、避けるなっ! 修正されろっ!」
うわ、鉄拳制裁の事を修正って言ってる。
懐かしい~。
アニメを思い出すな。
お姉さんがまた殴りかかってきたので、
「2回目だから、えい」
オレはクロスカウンターを合わせた。
右パンチに対して、左パンチを繰り出す。
お姉さんのパンチの内側に左パンチを繰り出して、左腕の外側でお姉さんのパンチの軌道をズラして、そのまま左パンチでお姉さんを殴った。
おお、こちらは被弾せずに完璧に決まった。
それこそ名作ボクシングアニメ並みに。
名作ボクシング漫画に敬意を払って【力◯クロス】と命名したかったが下手に名前を使ったら著作権が発生しそうなので【地獄の減量クロス】とでもしておこう。
クソ~、ヒヨってしまった。
ピピーが頭に乗ってるだけに。
おっ、今、上手い事言ったかも(0.1秒)。
オレに殴られた獣人のお姉さんが吹き飛び大の字になって倒れる。真っ裸で。
ピヨピヨ。
頭の上のピピーが「良くやった」と褒めてくれる。
「当然だよ、ピピー」
オレも鼻高々に笑って、伸びてる裸のお姉さんに視線を向けた。
ついでだ。
仰向けに倒れてたのを裏返した。
尻の上側を見る。
尻尾が付いてた。
引っ張ってみる。
抜ける事はない。
本物だった。
勉強なるな~。
その後、オレは小川で水筒に水を補給して、歩き出したのだった。
◇
「待ちなさいよっ!」
とどめを刺さなかったのが拙かったのか、森を歩いてるオレに獣人のお姉さんが追い付いてきた。
お姉さんの装備は女戦士特有のビキニの半裸で、下半身は魔物素材の豹柄系のスパッツを穿き、上半身はブラ甲冑のみ。
手に三又の銛のような槍を持っている。
「何ですか?」
「私に勝つなんてやるじゃないの。仲間にしてあげてもいいわよ」
「嫌ですよ、オレはジオール王国を出たいんですから」
「あら、私、マチルダーズ連合出身。案内してあげるわ」
凄く魅力的な誘いを受けたオレはお姉さんを見た。
「小川で何をしてたんですか」
「モンスターの返り血を洗い流してたのよ」
「1人なんですか?」
「ええ。私と同格の奴って意外と少ないから」
と会話してる中、ビビーがお姉さん(お姉さんは視えず、感じないらしい)の頭に乗って翼をクロスさせて×を作ってオレに見せてきた。
つまりは不合格って意味だ。
ピピーがダメだって言ってるんだ。
オレ的にも腹筋がシックスパックの女なんてダメに決まってる。
「申し訳ありませんけど、ダメですね。すみません」
「どうしてよ?」
「オレの精霊獣がダメだって言ってるので」
「そんな嘘はいいからーー」
「本当の事ですよ。うちの精霊獣が嫌ってる相手とは仲良く出来ませんので」
オレが少し本気で睨むと、1歩飛び退いたお姉さんが構えながら、
「やっぱり強いわよね、アナターー私よりも?」
「分かります?」
「どうしてそんなに強いの?」
「昨夜、マウントスパイダーを倒しましたから。あっちに落ちてますから素材を上げますよ。殴った詫び料って事で」
「――嘘よね?」
「いえ、本当の事です」
「本当に貰っていいのね、素材?」
「ええ」
「じゃあ、ここで。またね」
これでようやく名前も知らない獣人のお姉さんからオレは解放されたのだった。
応援ありがとうございます!
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