オレはスキル【殺虫スプレー】で虫系モンスターを相手に無双する

竹井ゴールド

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プロローグ

プロローグ、前世の記憶を思い出す、そして養子に出される

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 スキル授与の儀式。

 それはこの世界の14歳~15歳の子供全員に行われる当たり前の儀式である。

 女神様からスキルを貰える訳だが、高僧がやってきたその日、村の教会にその儀式を受けに行って、





「アラン・ザク殿のスキルはーー【殺虫スプレー】? です」





 スキルを読み上げられた時、このオレ、アラン・ザクは前世の記憶を取り戻した。

 前世の名前は大園耕作。

 瀬戸内海の貧乏蜜柑農家で、35歳になっても嫁が貰えず、蜜柑畑に虫除けの農薬を散布してたら、いきなり蜜柑畑の上側の県道から凄い音と共にトラックが降ってきて死んだーーという前世の記憶を。

 えっ、オレって日本人だったの?

 この世界は異世界ファンタジーで魔法もスキルもあるけども。

 ってか、家名がザクだから。

 これまでまったく違和感もなく受け入れてたけど、日本人の記憶があるんじゃダメでしょう、この家名のザクって。

 弱そう。

 いや、モブそう。

 せめてカラーは赤じゃないと。

 緑だと量産型になるから。

 まあ、実際に貧乏男爵家の三男だけれども。

 ってか、ダメだ。

 このままじゃあ、一生を棒に振るぞ。

 立身出世しなければ。

 農民から天下人になった豊臣秀吉のように。

 それにはまずレベル上げだな、ファンタジーなら。

 ってか、スキル【殺虫スプレー】って凄くない?

 虫が殺せるんだから。

 当然、虫系モンスターにも効くんだよな?

 でも、どうしてなんだ?

 前世で死ぬ時、農薬を散布してたからかな?

「何ですか、それは?」

 オレの付き添いで一緒にきていた親父殿が神官の爺さんに質問するが、

「さあ、聞いた事ありませんな。古文書にもありませんし」

 うんうん。スプレーなんてファンタジーの世界にはないからな。

 だが、オレは前世の知識でそれが何かを知っている。

 ってか、女神からスキルを貰った事でようやく一人前になってステータスが見れるようになった。





 アラン・ザク。14歳。LV4。

 ジョブ:雑用係。

 スキル:【殺虫スプレー】(4)

 称号:【貴族名鑑】【神童】





 隠し称号:【前世の記憶】(【算盤少年】【野球少年】【農夫パワー】【害虫を憎みし者】【蜜柑博士】【蜜柑喰い】【出雲信徒】)





 はあ? オレ、貴族の子供なのにジョブ、雑用係だったの?

 まあ、そうか。

 勉強もさせて貰えず、屋敷の掃除や庭掃除、物運びをやらされてたんだから。

 ってか、オレ、LVが4もあるんだけど。

 子供だからモンスターと戦った事ないのに。

 雑用をこなしてたから?

 そもそも 【神童】って何だ?





 【神童】16歳の誕生日までLVの経験値が2倍。魔法の習得速度が2倍。称号の取得条件が緩和。





 うおっ!

 かなり使える。

 16歳の誕生日までだから、後1年3カ月しかないけど。

 でも、これはーー使いようによっちゃ相当使えるぞ。

 他の称号と隠し称号の方は・・・





 【貴族名鑑】ジオール王国のザク男爵家の三男の出生証明。

 【前世の記憶】大園耕作の記憶と経験と称号を継承。

 【算盤少年】暗算が速く正確。

 【野球少年】投球、バットスイングの攻撃力が1.2倍。

 【農夫パワー】体力、腕力、持久力が1.1倍。

 【害虫を憎みし者】虫系モンスターへの攻撃力が1.5倍。

 【蜜柑博士】蜜柑全般の知識。蜜柑の品種の見分けや栽培法も分かる。

 【蜜柑喰い】蜜柑を食べるとHPとMPとスキル回数が回復する(通常は回復しない)。

 【出雲信徒】異性との出会い運アップ。愛の女神の祝福とアイテムの効果が2倍。





 おっと、【野球少年】と【害虫を憎みし者】がかなり使えるけど。

 他は使えるか使えないか微妙だな。

 ってか、最後のが少し恥ずいな。

 必死に縁結びの神様に結婚を頼んでたのがバレて。

 でも、今の容姿は金髪の美少年だし。

 もしかして上手くやったらいい思いが出来る?





 なんて思ってたのだけども。





 ◇





 親父殿がオンボロなザク男爵家の屋敷にて夕食時に、

「アラン、おまえを養子に出す」

 そう言われた。

「えっ?」

「「えっ?」じゃない。ウチは貧乏なんだ。有益なスキルでもない三男をウチに置いておく余裕はない。籍はこちらで抜いておく。おまえの母親の実家に送るので、今後は平民として生きるように。いいな」

「・・・はい」

 オレはしおらしく、そう返事したけど、内心では、





 ラッキ~。

 どうやってこのオンボロ男爵家から抜け出ようか考えてたけど、親父殿から申し出てくれるなんて。

 ってか、オレの死んだお袋様。

 兄2人の母親で貴族の正妻と違って商家の出だし。

 だから兄達と違って勉強もさせて貰えず、雑用係をやらされてたって経緯もあるんだけど。

 この死んだお袋様の実家の家は拙い。

 何せ、何もしなかったからな。

 オレがオンボロ男爵家で雑用をやらされてても。

 出向いてもどうせロクな事がないだろうから・・・





 よし、家を出たら速攻で冒険者ギルドに登録しよう。





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