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大也、大鳥忍軍の新総帥に呼び出される
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甲賀関東頭目会のビルを出た直後に、大鳥忍軍の金馬リョウに、
「総帥がお呼びです」
「オレ、今、犯罪忍者対策室預かりのはずだけど」
「解かれたそうですよ」
「待った。佐渡から脱獄した百瀬喜多郎はどうするの?」
大也が真顔で尋ねるとリョウが、
「はあ? そんな話、聞いた事ありませんが?」
「そりゃあ、下っ端には教えられーーコホン、今のなし」
「下っ端で悪かったですね」
リョウが拗ねたように口を尖らせた。
「ともかく、オレは犯罪忍者対策室に出向くね」
大也がそう断ろうとするも、
「ーー待ったっ!」
リョウがすぐさまスマホで電話して、
「百瀬喜多郎が脱獄したとか言ってて大鳥邸への帰還命令に従いません」
と伝えて、
「総帥です」
スマホを渡してきたので大也が仕方なく受け取ると、
『大也君、実は『あれ』は犯罪忍者対策室にキミを貸し出す為の嘘でね』
と答えたのは大鳥宗次だった。
「えっと、総帥じゃなくて宗次さんですよね?」
『ん? 大也君は聞いてないのか? 私が大鳥忍軍の総帥になってしまってね』
「えっ、颯太さん、死んだんですか?」
『これこれ、人の兄上を勝手に殺してくれるな。大鳥忍軍が逃げた紅月真を保護した件で引責引退しただけだよ。今は伊賀の里でのんびりしてるさ』
「ーーへ~」
『伊賀の上忍三家って大鳥忍軍の総帥を変えれるんだ』や『伊賀の里でのんびり? まさか座敷牢暮らしじゃないよな』と思考を巡らせながら、
『そんな訳で1回屋敷に戻ってきてくれないか。紅月が陽炎に何かする前に始末しないと大鳥忍軍が本当に拙い事になるので』
「待って下さい。 小森の惣領家に寄っていいですか? 恋人が心配してるので」
鼻高々に自慢げに大也が言うと、
『その恋人って同族殺しの風牙夜鶴だよね?』
「ええ。でも甲賀関東頭目会にも釘を刺しておきましたから取り上げられる心配もありませんよ」
『酒鬼ミサの10倍は問題があるが、まあ、大也君がいいならそれでいい。但し、惣領家の滞在は10分だよ』
「それだと何も出来ないじゃないですか」
『当然だよ。こっちは緊急なんだから』
結局はその通りとなり、
小森の惣領家の別館の玄関で風牙夜鶴は大也の帰りを出迎えた。
もう夜鶴は不機嫌顔ではない。少なくとも大也へ向ける顔は。
恋する乙女の顔だった。
身体を許して大也に恋をしたからだけではない。
夜鶴が恋をしたのは大也自身も気付いていない大也のポテンシャルが大きなウエイトを占めていた。
と言うのも、大也は外国女とばかり付き合ってた関係で(初体験のお姉さんが大也に教えた)、外国のナンパ男ばりの明け透けに恋人を褒められる性格だったのだ。
誰にでも褒めるのではなく、身体の関係を持った相手に対してだけだったが。
そんな訳で、エッチ中に褒めに褒められた結果、夜鶴は完全に口説き落とされていた。
「大丈夫だったの?」
大地の身を心配するくらいに。
「うん。ヨヅの身柄もこのままになったよ」
大也も当たり前のように夜鶴を抱き締める。もう大也の女なので遠慮なく尻や胸を揉んだ。
「えっ? どうして?」
「だってヨヅ、紅月真の情報を隠してるから。情報を隠したヨヅを甲賀に返して伊賀で死人が出たら拙いでしょ」
「えっとーー私、何も知らないわよ?」
「分かってるって。知ってるって建前で引き渡しを拒否したんだよ」
「あら、ありがと、大也」
「本当にヨヅは悪女だよね? 『ヤッたら、さよなら』の予定だったオレをメロメロに惚れさせて甲賀関東頭目会で庇わせるんだから」
「私は何もしてないわよ。そっちが勝手に惚れたんでしょ」
「何もしてない? 可愛い仕草の数々でオレに誘惑しておいて?」
「あれは地で――って、玄関でそんな話はしないの、大也」
夜鶴が照れる中、大也が、
「そうだ。ヨヅとイチャイチャしてた間に大鳥の総帥が代替わりしたらしくってさ。出向かないとダメでーーちょっと出掛けるけど別館から外出したらダメだよ、ヨヅ」
「しないわよ」
「指輪の石はダイヤでいい?」
「だから指輪は忍者刀の握りが悪くなるからいらないって」
「分かった。ヨヅにはオレ達2人の赤ちゃんをプレゼントするね」
「言ってなさい」
ずっとイチャイチャしながら会話して、仕方なく大也は惣領家の門前で待ってる車で大鳥邸に向かった。
◇
大鳥邸には知らない住人が複数居た。
「紹介しよう。大也君、私の家族だ」
大鳥宗次がそう言って全員を紹介した。
大鳥宗次の52歳の妻、保奈美。
大鳥宗次の26歳の嫡男、宗志。
大鳥宗次の24歳の次男、宗次郎。
大鳥宗次の21歳の長女、真保。
大鳥宗次の18歳の次女、奈央子。
(ーー夕食会の話題では数回出たけど、家族、本当に居たんだ~? 総帥になった事で本邸に呼び寄せた訳ね。でも、どうしてこのタイミングでオレに紹介するんだ?)
紹介された大也は素直にそう思いながら、
「えっと、この顔合わせには何か特別な意味でも?」
「間違っても大也君が私の家族を殺さないよう顔を覚えて貰おうと思ってね。家族にも大也君を狙わないように忠告の意味を込めて顔合わせをしたまでだよ。因みに奈央子の方はまだ嫁ぎ先が決まってなくて大也君さえ良ければ――」
「何言ってるんですか、宗次さん? オレ、ようやく念願叶って彼女が出来たのに」
「風牙の犯罪者の、だよね? お願いだから甲賀とは揉めないでおくれよ」
「揉めませんよ。風牙から分捕る算段を付けてる最中なんですから。それと小森の別館に拠点を移しますね」
「待った。小森の同意を得てるのかい?」
「いえ、まだです」
「ったく、ダメだったら大鳥邸に戻ってくるんだよ」
宗次は念を押してから、
「それはそうと大也君。拙い事態だ」
「?」
「降格した幹部氏族の十六夜と黒岩が脱走した紅月を匿ってた。もう断絶にして関与した全員を処刑したが。陽炎が怒っててね。本当に拙い事になってる。紅月を抹殺してくれ」
「居場所は? 都内に居るんですか?」
「分からん。だが、情報が入ったら伝えるから出動しておくれよ」
「その前に百瀬喜多郎の件ですが・・・」
「それね。本当に申し訳なかった。兄上が犯罪忍者対策室に貸し出すと約束してしまって、並みの理由では大也君が嫌がるからあのような虚偽を」
「ったく。今後はそういうのはナシにして下さいね、新総帥」
大也は呆れつつも、犯罪忍者対策室預かりの件を許したのだった。
「総帥がお呼びです」
「オレ、今、犯罪忍者対策室預かりのはずだけど」
「解かれたそうですよ」
「待った。佐渡から脱獄した百瀬喜多郎はどうするの?」
大也が真顔で尋ねるとリョウが、
「はあ? そんな話、聞いた事ありませんが?」
「そりゃあ、下っ端には教えられーーコホン、今のなし」
「下っ端で悪かったですね」
リョウが拗ねたように口を尖らせた。
「ともかく、オレは犯罪忍者対策室に出向くね」
大也がそう断ろうとするも、
「ーー待ったっ!」
リョウがすぐさまスマホで電話して、
「百瀬喜多郎が脱獄したとか言ってて大鳥邸への帰還命令に従いません」
と伝えて、
「総帥です」
スマホを渡してきたので大也が仕方なく受け取ると、
『大也君、実は『あれ』は犯罪忍者対策室にキミを貸し出す為の嘘でね』
と答えたのは大鳥宗次だった。
「えっと、総帥じゃなくて宗次さんですよね?」
『ん? 大也君は聞いてないのか? 私が大鳥忍軍の総帥になってしまってね』
「えっ、颯太さん、死んだんですか?」
『これこれ、人の兄上を勝手に殺してくれるな。大鳥忍軍が逃げた紅月真を保護した件で引責引退しただけだよ。今は伊賀の里でのんびりしてるさ』
「ーーへ~」
『伊賀の上忍三家って大鳥忍軍の総帥を変えれるんだ』や『伊賀の里でのんびり? まさか座敷牢暮らしじゃないよな』と思考を巡らせながら、
『そんな訳で1回屋敷に戻ってきてくれないか。紅月が陽炎に何かする前に始末しないと大鳥忍軍が本当に拙い事になるので』
「待って下さい。 小森の惣領家に寄っていいですか? 恋人が心配してるので」
鼻高々に自慢げに大也が言うと、
『その恋人って同族殺しの風牙夜鶴だよね?』
「ええ。でも甲賀関東頭目会にも釘を刺しておきましたから取り上げられる心配もありませんよ」
『酒鬼ミサの10倍は問題があるが、まあ、大也君がいいならそれでいい。但し、惣領家の滞在は10分だよ』
「それだと何も出来ないじゃないですか」
『当然だよ。こっちは緊急なんだから』
結局はその通りとなり、
小森の惣領家の別館の玄関で風牙夜鶴は大也の帰りを出迎えた。
もう夜鶴は不機嫌顔ではない。少なくとも大也へ向ける顔は。
恋する乙女の顔だった。
身体を許して大也に恋をしたからだけではない。
夜鶴が恋をしたのは大也自身も気付いていない大也のポテンシャルが大きなウエイトを占めていた。
と言うのも、大也は外国女とばかり付き合ってた関係で(初体験のお姉さんが大也に教えた)、外国のナンパ男ばりの明け透けに恋人を褒められる性格だったのだ。
誰にでも褒めるのではなく、身体の関係を持った相手に対してだけだったが。
そんな訳で、エッチ中に褒めに褒められた結果、夜鶴は完全に口説き落とされていた。
「大丈夫だったの?」
大地の身を心配するくらいに。
「うん。ヨヅの身柄もこのままになったよ」
大也も当たり前のように夜鶴を抱き締める。もう大也の女なので遠慮なく尻や胸を揉んだ。
「えっ? どうして?」
「だってヨヅ、紅月真の情報を隠してるから。情報を隠したヨヅを甲賀に返して伊賀で死人が出たら拙いでしょ」
「えっとーー私、何も知らないわよ?」
「分かってるって。知ってるって建前で引き渡しを拒否したんだよ」
「あら、ありがと、大也」
「本当にヨヅは悪女だよね? 『ヤッたら、さよなら』の予定だったオレをメロメロに惚れさせて甲賀関東頭目会で庇わせるんだから」
「私は何もしてないわよ。そっちが勝手に惚れたんでしょ」
「何もしてない? 可愛い仕草の数々でオレに誘惑しておいて?」
「あれは地で――って、玄関でそんな話はしないの、大也」
夜鶴が照れる中、大也が、
「そうだ。ヨヅとイチャイチャしてた間に大鳥の総帥が代替わりしたらしくってさ。出向かないとダメでーーちょっと出掛けるけど別館から外出したらダメだよ、ヨヅ」
「しないわよ」
「指輪の石はダイヤでいい?」
「だから指輪は忍者刀の握りが悪くなるからいらないって」
「分かった。ヨヅにはオレ達2人の赤ちゃんをプレゼントするね」
「言ってなさい」
ずっとイチャイチャしながら会話して、仕方なく大也は惣領家の門前で待ってる車で大鳥邸に向かった。
◇
大鳥邸には知らない住人が複数居た。
「紹介しよう。大也君、私の家族だ」
大鳥宗次がそう言って全員を紹介した。
大鳥宗次の52歳の妻、保奈美。
大鳥宗次の26歳の嫡男、宗志。
大鳥宗次の24歳の次男、宗次郎。
大鳥宗次の21歳の長女、真保。
大鳥宗次の18歳の次女、奈央子。
(ーー夕食会の話題では数回出たけど、家族、本当に居たんだ~? 総帥になった事で本邸に呼び寄せた訳ね。でも、どうしてこのタイミングでオレに紹介するんだ?)
紹介された大也は素直にそう思いながら、
「えっと、この顔合わせには何か特別な意味でも?」
「間違っても大也君が私の家族を殺さないよう顔を覚えて貰おうと思ってね。家族にも大也君を狙わないように忠告の意味を込めて顔合わせをしたまでだよ。因みに奈央子の方はまだ嫁ぎ先が決まってなくて大也君さえ良ければ――」
「何言ってるんですか、宗次さん? オレ、ようやく念願叶って彼女が出来たのに」
「風牙の犯罪者の、だよね? お願いだから甲賀とは揉めないでおくれよ」
「揉めませんよ。風牙から分捕る算段を付けてる最中なんですから。それと小森の別館に拠点を移しますね」
「待った。小森の同意を得てるのかい?」
「いえ、まだです」
「ったく、ダメだったら大鳥邸に戻ってくるんだよ」
宗次は念を押してから、
「それはそうと大也君。拙い事態だ」
「?」
「降格した幹部氏族の十六夜と黒岩が脱走した紅月を匿ってた。もう断絶にして関与した全員を処刑したが。陽炎が怒っててね。本当に拙い事になってる。紅月を抹殺してくれ」
「居場所は? 都内に居るんですか?」
「分からん。だが、情報が入ったら伝えるから出動しておくれよ」
「その前に百瀬喜多郎の件ですが・・・」
「それね。本当に申し訳なかった。兄上が犯罪忍者対策室に貸し出すと約束してしまって、並みの理由では大也君が嫌がるからあのような虚偽を」
「ったく。今後はそういうのはナシにして下さいね、新総帥」
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