75 / 100
大也、中国暗部の動向の噂を聞く
しおりを挟む
東国原会系の女子高生組長、名取トモコは大也から差し伸べられた手を取らなかった事を後悔する破目になった。
大也が醸し出す独特のユルイ雰囲気の所為で、大也の事を甘く見てしまったのだ。
大也が高速道路から救出した際にはワゴン車を焼き、東国原会の麻薬庫を燃やしたと平然と口にし、凄腕忍者の冷越我威をアメリカに売り渡し、眼の前でダブルドラゴンのナンバー3、ソウ・ライライを始末したのを見ていたはずなのに。
大也を甘く見た結果、トモコはコンテナの中に居た。
食糧と水の入ったペットボトル付きだ。
そしてもうコンテナはコンテナ船に積まれて海の上を移動してるっぽかった。
どれだけ叫んでも、どれだけコンテナを叩いても、コンテナの扉が外側から開く気配はない。
つまりは人が乗ってるのを居り込み済みで運んでる。
コンテナの中に1人しか居ないなんて輸送代も考えれば割に合わないはずなのに。
クルーズ船でも東京から大阪まで3日は掛かる。
福岡なら更に倍っぽい。
国外だとしたら長旅は必至だ。
「ここまでするなんて・・・アイツ、何なのよ? 絶対に許さないんだから」
そう毒づいた時点でトモコはこの期に及んでまだ何も理解してはいなかった。
トモコの攻撃ターンは永久に回ってこない事を。
そして大也は実のところ、トモコがこうなってる事も知らない。
草薙部隊に処分を丸投げしたので。
こうしてトモコは海外に出荷されたのだった。
◇
健全な青少年が一度は夢を見る『姉妹制覇』。
その夢が断たれた大也はガッカリしたが『次のチャンスを待とう』と気分を新たに、今日も午前中は静岡県の富士樹海に来ていた。
未練を断ち切る為に草薙部隊の敷地内で忍法を全開にして走りまくる。
汗を流すのは健全で清々しい。
汗だくで自販機の前でスポーツ飲料を飲んでると、部隊長の府吹剛毅が渋い顔で、
「聞いたか? 中国が大部隊を日本に送る準備をしてる話?」
「ええ。タカ派の島木公順が総理になると迷惑だからとかでしょう?」
「そうだ。中国は数が無尽蔵だから二面作戦もあり得るのも分かってるな」
「二面作戦って?」
「東京と沖縄の同時作戦だよ」
「へ~、もしかして手塚島、ヤバイんですか?」
「そりゃあ、あれだけ中国の暗部相手に暴れたらな。意趣返しで故郷を焼くって事もあるかもな」
大也は17歳だ。まだ故郷の有難味など1つも分からない。
なので、大也的には全然OKだったのだがリップサービスで、
「それは困りましたね」
「おそらくはアメリカからもおまえを沖縄に回す要請が来ると思うぞ」
「東京の防衛ではなく?」
「東京の防衛は他がするだろ。沖縄は防衛範囲が広過ぎる。島と島の間を単独飛行出来る風使いの忍者は希少だからな」
「まだ東京で彼女を作ってないんですけど」
「・・・もしかして東京に来たのってそれが目的だったのか?」
「ええ。それ以外に何があるっていうんです」
などと笑って答えて、大也は特訓を再開したのだった。
大也が醸し出す独特のユルイ雰囲気の所為で、大也の事を甘く見てしまったのだ。
大也が高速道路から救出した際にはワゴン車を焼き、東国原会の麻薬庫を燃やしたと平然と口にし、凄腕忍者の冷越我威をアメリカに売り渡し、眼の前でダブルドラゴンのナンバー3、ソウ・ライライを始末したのを見ていたはずなのに。
大也を甘く見た結果、トモコはコンテナの中に居た。
食糧と水の入ったペットボトル付きだ。
そしてもうコンテナはコンテナ船に積まれて海の上を移動してるっぽかった。
どれだけ叫んでも、どれだけコンテナを叩いても、コンテナの扉が外側から開く気配はない。
つまりは人が乗ってるのを居り込み済みで運んでる。
コンテナの中に1人しか居ないなんて輸送代も考えれば割に合わないはずなのに。
クルーズ船でも東京から大阪まで3日は掛かる。
福岡なら更に倍っぽい。
国外だとしたら長旅は必至だ。
「ここまでするなんて・・・アイツ、何なのよ? 絶対に許さないんだから」
そう毒づいた時点でトモコはこの期に及んでまだ何も理解してはいなかった。
トモコの攻撃ターンは永久に回ってこない事を。
そして大也は実のところ、トモコがこうなってる事も知らない。
草薙部隊に処分を丸投げしたので。
こうしてトモコは海外に出荷されたのだった。
◇
健全な青少年が一度は夢を見る『姉妹制覇』。
その夢が断たれた大也はガッカリしたが『次のチャンスを待とう』と気分を新たに、今日も午前中は静岡県の富士樹海に来ていた。
未練を断ち切る為に草薙部隊の敷地内で忍法を全開にして走りまくる。
汗を流すのは健全で清々しい。
汗だくで自販機の前でスポーツ飲料を飲んでると、部隊長の府吹剛毅が渋い顔で、
「聞いたか? 中国が大部隊を日本に送る準備をしてる話?」
「ええ。タカ派の島木公順が総理になると迷惑だからとかでしょう?」
「そうだ。中国は数が無尽蔵だから二面作戦もあり得るのも分かってるな」
「二面作戦って?」
「東京と沖縄の同時作戦だよ」
「へ~、もしかして手塚島、ヤバイんですか?」
「そりゃあ、あれだけ中国の暗部相手に暴れたらな。意趣返しで故郷を焼くって事もあるかもな」
大也は17歳だ。まだ故郷の有難味など1つも分からない。
なので、大也的には全然OKだったのだがリップサービスで、
「それは困りましたね」
「おそらくはアメリカからもおまえを沖縄に回す要請が来ると思うぞ」
「東京の防衛ではなく?」
「東京の防衛は他がするだろ。沖縄は防衛範囲が広過ぎる。島と島の間を単独飛行出来る風使いの忍者は希少だからな」
「まだ東京で彼女を作ってないんですけど」
「・・・もしかして東京に来たのってそれが目的だったのか?」
「ええ。それ以外に何があるっていうんです」
などと笑って答えて、大也は特訓を再開したのだった。
0
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

おれは忍者の子孫
メバ
ファンタジー
鈴木 重清(しげきよ)は中学に入学し、ひょんなことから社会科研究部の説明会に、親友の聡太(そうた)とともに参加することに。
しかし社会科研究部とは世を忍ぶ仮の姿。そこは、忍者を養成する忍者部だった!
勢いで忍者部に入部した重清は忍者だけが使える力、忍力で黒猫のプレッソを具現化し、晴れて忍者に。
しかし正式な忍者部入部のための試験に挑む重清は、同じく忍者部に入部した同級生達が次々に試験をクリアしていくなか、1人出遅れていた。
思い悩む重清は、祖母の元を訪れ、そこで自身が忍者の子孫であるという事実と、祖母と試験中に他界した祖父も忍者であったことを聞かされる。
忍者の血を引く重清は、無事正式に忍者となることがでにるのか。そして彼は何を目指し、どう成長していくのか!?
これは忍者の血を引く普通の少年が、ドタバタ過ごしながらも少しずつ成長していく物語。
初投稿のため、たくさんの突っ込みどころがあるかと思いますが、生暖かい目で見ていただけると幸いです。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

後宮の手かざし皇后〜盲目のお飾り皇后が持つ波動の力〜
二位関りをん
キャラ文芸
龍の国の若き皇帝・浩明に5大名家の娘である美華が皇后として嫁いできた。しかし美華は病により目が見えなくなっていた。
そんな美華を冷たくあしらう浩明。婚儀の夜、美華の目の前で彼女付きの女官が心臓発作に倒れてしまう。
その時。美華は慌てること無く駆け寄り、女官に手をかざすと女官は元気になる。
どうも美華には不思議な力があるようで…?
視える宮廷女官 ―霊能力で後宮の事件を解決します!―
島崎 紗都子
キャラ文芸
父の手伝いで薬を売るかたわら 生まれ持った霊能力で占いをしながら日々の生活費を稼ぐ蓮花。ある日 突然襲ってきた賊に両親を殺され 自分も命を狙われそうになったところを 景安国の将軍 一颯に助けられ成り行きで後宮の女官に! 持ち前の明るさと霊能力で 後宮の事件を解決していくうちに 蓮花は母の秘密を知ることに――。

夢の中でもう一人のオレに丸投げされたがそこは宇宙生物の撃退に刀が重宝されている平行世界だった
竹井ゴールド
キャラ文芸
オレこと柊(ひいらぎ)誠(まこと)は夢の中でもう一人のオレに泣き付かれて、余りの泣き言にうんざりして同意するとーー
平行世界のオレと入れ替わってしまった。
平行世界は宇宙より外敵宇宙生物、通称、コスモアネモニー(宇宙イソギンチャク)が跋扈する世界で、その対策として日本刀が重宝されており、剣道の実力、今(いま)総司のオレにとってはかなり楽しい世界だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる