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大鳥颯太、猿飛聖と会談する
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犯罪忍者対策室の本部ビルに増援が来た時には総てが終わった後だった。
防犯カメラの映像を見れば一目瞭然。
手塚大也の射的ゲームのごとき無双による圧勝だった。
大鳥忍軍製の風弾銃が凄いのか、ロシアの忍者キラーを簡単に撃ち抜いていた。
検証グループがロシアの忍者キラーの第3級適合者の肌が黒ずんでいた色から綺麗な白色に戻ってるのに気付くのは3日後である。
なのでその日は大也はあっさりと解放されて、帰りにもう1回、服屋によってカラーシャツとギャングスーツと中折れ帽子を購入して、大鳥邸に帰還したのだった。
◇
そしてその日の夜には犯罪忍者対策室室長の猿飛聖と政府機関・大鳥忍軍の総帥、大鳥颯太の会談が行われた。
聖はまだ27歳のスパダリ風の若者である。
犯罪忍者対策室は内閣調査室の管轄ながら室長の席は小森、猿飛、不破の3氏の持ち回りで担当する事が敗戦直後に裏の閣議決定で明記されており、現在は猿飛家から聖が派遣されていた。
「何です、これ?」
聖が颯太に返還したのは大也が愛用し、騒動後に押収した風弾銃である。
「大鳥忍軍製、飛燕(風タイプ)1956年型、最高射程距離が5メートルの3流品じゃないですか。なのに、今回の騒動での防犯カメラに残ってた映像の最大射程距離は17メートル。それもロシアの第1級適合者を簡単に蜂の巣。どういうカラクリです?」
「さて。使い手が強かったんじゃないかね? それで不動魔喪も倒してるし」
「――手塚大也、沖縄県出身。17歳。犯罪忍者対策室の沖縄分室に問い合わせたところ『全く問題のない人物』との返答がきましたよ。3年前のアメリカ、中国の暗部全滅事件は抹消扱いだとしてもその返答はないでしょうに。つまりは返答した分室長がよっぽどのマヌケか、あるいはすっとぼけてるのか。『猿飛家が舐められた』と見るべきでしょうね、この場合?」
「大変ですね、そちらもそちらで」
「で、何者なんです、手塚大也は?」
「ただの遠縁ですが?」
「ただの遠縁を大鳥邸の本屋敷に住まわせてると?」
「親と死別したばかりの可哀相な少年なので」
「ふ~、まあいいでしょう。こちらもロシアの忍者キラー29人の撃破の功績を貰えましたので。手塚大也の昨日の行動は免責としましたので、そのつもりで」
「えっ、いいので?」
颯太が意外そうに問い返した。
「何か問題でも?」
隠しても良かったがバレた時に犯罪忍者対策室と揉めたくなかった颯太が、
「昨日パンティーを被った変態を退治したらしいのでね」
そう教えた。
2秒後、それが昨日の総理辞任に直結したと知った聖が嫌そうな顔で、
「滅茶苦茶だな・・・その内、借りますからね、手塚を」
「あの通り制御不能でもいいのなら」
「制御不能? トランス状態の記憶なしではなくて?」
「制御出来るなら昨日あんな事にはなってはいないので」
「ふむ」
その後も犯罪忍者対策室と政府機関・大鳥忍軍のトップ会談は続いた。
◇
大鳥宗次が小笠原諸島の大鳥島から蜻蛉返りで帰還したのがこの日である。
夕食には間に合い、宗次が、
「何やら活躍したようだね、大也君」
「まさか。ロシアの忍者キラーに襲われて胸に風穴が開いて気絶しただけですよ。でも傷が塞がってたんですよね? 治癒系の忍法ですかね、これって?」
大也はそう言って自分の胸を触った。
「ふむ。因みにどうしてロシアの忍者キラーに襲われたんだい?」
「詳しくは。草薙部隊に頼まれて汚れ仕事をしたらロシアと中東のゲリラの武器取引を潰してしまったらしく」
「汚れ仕事とは?」
「犯罪忍者対策室にオレを捕まえるように依頼したトーカモの社長をサウナ室で転ばせただけですよ」
「――トーカモ? 確かスマホゲームでマネーロンダリングが出来るとかいう? 確認したいんだが草薙部隊とは前々から知り合いなのかね?」
「ええ。釣り仙人がやたらと手塚島に来てまして懇意に」
「釣り仙人とは?」
「確か本名は村上太郎だったっけ?」
惜しい。村上次郎である。
尚、大也が村上の名字を言い当てられたのは三流グラビアアイドルに村上メイナが居たからである。
大也は一流グラビアアイドルよりも三流グラビアアイドル贔屓派だったのだ。
理由は当然、三流グラビアアイドルの方が売れる為に必死で、水着の生地の面積が少なく過激だからだ。
「もしかして村上次郎じゃないかね?」
「さあ、興味がないので覚えてませんから、年寄りの名前なんて」
「昔からの知り合いなのかい?」
「ええ、3年前から」
「ほう。もしや、これまでにもその『釣り仙人』の頼みを聞いたなんて事があったりする?」
「そりゃ、ありますよ。中国の暗部がやたらと沖縄にきますから。後、韓国なんかも。大鳥忍軍は沖縄県の事は沖縄県に丸投げして増援なんて寄越しませんし。現場の判断で協定を結ぶとかもありますから。まあ、一々何をしたかなんて覚えてませんけど」
「・・・それはまた」
宗次は呆れつつも、その後も草薙部隊との繋がりをそれとなく質問したのだった。
防犯カメラの映像を見れば一目瞭然。
手塚大也の射的ゲームのごとき無双による圧勝だった。
大鳥忍軍製の風弾銃が凄いのか、ロシアの忍者キラーを簡単に撃ち抜いていた。
検証グループがロシアの忍者キラーの第3級適合者の肌が黒ずんでいた色から綺麗な白色に戻ってるのに気付くのは3日後である。
なのでその日は大也はあっさりと解放されて、帰りにもう1回、服屋によってカラーシャツとギャングスーツと中折れ帽子を購入して、大鳥邸に帰還したのだった。
◇
そしてその日の夜には犯罪忍者対策室室長の猿飛聖と政府機関・大鳥忍軍の総帥、大鳥颯太の会談が行われた。
聖はまだ27歳のスパダリ風の若者である。
犯罪忍者対策室は内閣調査室の管轄ながら室長の席は小森、猿飛、不破の3氏の持ち回りで担当する事が敗戦直後に裏の閣議決定で明記されており、現在は猿飛家から聖が派遣されていた。
「何です、これ?」
聖が颯太に返還したのは大也が愛用し、騒動後に押収した風弾銃である。
「大鳥忍軍製、飛燕(風タイプ)1956年型、最高射程距離が5メートルの3流品じゃないですか。なのに、今回の騒動での防犯カメラに残ってた映像の最大射程距離は17メートル。それもロシアの第1級適合者を簡単に蜂の巣。どういうカラクリです?」
「さて。使い手が強かったんじゃないかね? それで不動魔喪も倒してるし」
「――手塚大也、沖縄県出身。17歳。犯罪忍者対策室の沖縄分室に問い合わせたところ『全く問題のない人物』との返答がきましたよ。3年前のアメリカ、中国の暗部全滅事件は抹消扱いだとしてもその返答はないでしょうに。つまりは返答した分室長がよっぽどのマヌケか、あるいはすっとぼけてるのか。『猿飛家が舐められた』と見るべきでしょうね、この場合?」
「大変ですね、そちらもそちらで」
「で、何者なんです、手塚大也は?」
「ただの遠縁ですが?」
「ただの遠縁を大鳥邸の本屋敷に住まわせてると?」
「親と死別したばかりの可哀相な少年なので」
「ふ~、まあいいでしょう。こちらもロシアの忍者キラー29人の撃破の功績を貰えましたので。手塚大也の昨日の行動は免責としましたので、そのつもりで」
「えっ、いいので?」
颯太が意外そうに問い返した。
「何か問題でも?」
隠しても良かったがバレた時に犯罪忍者対策室と揉めたくなかった颯太が、
「昨日パンティーを被った変態を退治したらしいのでね」
そう教えた。
2秒後、それが昨日の総理辞任に直結したと知った聖が嫌そうな顔で、
「滅茶苦茶だな・・・その内、借りますからね、手塚を」
「あの通り制御不能でもいいのなら」
「制御不能? トランス状態の記憶なしではなくて?」
「制御出来るなら昨日あんな事にはなってはいないので」
「ふむ」
その後も犯罪忍者対策室と政府機関・大鳥忍軍のトップ会談は続いた。
◇
大鳥宗次が小笠原諸島の大鳥島から蜻蛉返りで帰還したのがこの日である。
夕食には間に合い、宗次が、
「何やら活躍したようだね、大也君」
「まさか。ロシアの忍者キラーに襲われて胸に風穴が開いて気絶しただけですよ。でも傷が塞がってたんですよね? 治癒系の忍法ですかね、これって?」
大也はそう言って自分の胸を触った。
「ふむ。因みにどうしてロシアの忍者キラーに襲われたんだい?」
「詳しくは。草薙部隊に頼まれて汚れ仕事をしたらロシアと中東のゲリラの武器取引を潰してしまったらしく」
「汚れ仕事とは?」
「犯罪忍者対策室にオレを捕まえるように依頼したトーカモの社長をサウナ室で転ばせただけですよ」
「――トーカモ? 確かスマホゲームでマネーロンダリングが出来るとかいう? 確認したいんだが草薙部隊とは前々から知り合いなのかね?」
「ええ。釣り仙人がやたらと手塚島に来てまして懇意に」
「釣り仙人とは?」
「確か本名は村上太郎だったっけ?」
惜しい。村上次郎である。
尚、大也が村上の名字を言い当てられたのは三流グラビアアイドルに村上メイナが居たからである。
大也は一流グラビアアイドルよりも三流グラビアアイドル贔屓派だったのだ。
理由は当然、三流グラビアアイドルの方が売れる為に必死で、水着の生地の面積が少なく過激だからだ。
「もしかして村上次郎じゃないかね?」
「さあ、興味がないので覚えてませんから、年寄りの名前なんて」
「昔からの知り合いなのかい?」
「ええ、3年前から」
「ほう。もしや、これまでにもその『釣り仙人』の頼みを聞いたなんて事があったりする?」
「そりゃ、ありますよ。中国の暗部がやたらと沖縄にきますから。後、韓国なんかも。大鳥忍軍は沖縄県の事は沖縄県に丸投げして増援なんて寄越しませんし。現場の判断で協定を結ぶとかもありますから。まあ、一々何をしたかなんて覚えてませんけど」
「・・・それはまた」
宗次は呆れつつも、その後も草薙部隊との繋がりをそれとなく質問したのだった。
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