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大也、アニメのイナズマ忍法を使う
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犯罪忍者対策室の屋上に一瞬で戻った大也は中折れ帽を被り直した。
(帽子って移動の度に一々抑えないといけないから面倒臭いな)
なんて思ってると、屋上のコンクリを切断して忍者キラーの男が屋上にやってきた。
193センチ、外国人特有の筋骨隆々。金髪のロシア人でゴーグルと黒タイツ姿だったが特徴はやはり白肌だろう。正確にはドーピング・オーガを使用してるのに白肌のままなところだ。
つまり、薬が完全に適合してる。
それにこの圧。強いのが嫌でも分かる。別格だ。
(軍用ナイフでコンクリを切断した? そんな訳あるか。能力も使えるな、絶対に。何だ? 風は感じなかったーー影?)
「おまえが中東との取引を潰した奴でいいのか?」
日本語で質問されたので、大也も日本語で、
「いいや。人違いだろ。オレは偶然、この場に居合わせただけだから」
屋上の遺体の山を見て、そのロシア人は、
「ふん、まあいい。死ね」
コンマ1秒で間合いを詰めてきた。やはり速い。
「誰が死ぬかよ」
だが同じ速度域のバックステップで大也も逃げた。
そのままビルの外まで風を纏って逃げようとして、嫌な予感がして、慌ててバックステップながら直角曲がりをしてビルの枠の外には出なかった。
「どうした? 逃げてばかりでは・・・」
ロシア人が間合いを詰める中、高速のバックステップで距離を保ちながら大也が忍者刀の刃を噛んで持ち、両手で印を結んだ。
「?」
ロシア人のマキシム・ロイチンが不思議そうな生き物を見るような眼で大也を見た。
印を結ぶ忍者はアニメの中の忍者だけだ。現実の忍者は印など結ばないのだから。
大也が7つの印を組み終えた後、
「イナズマ忍法ライデンソウリュウハ」
刃を歯で噛みながらそう言うと、放電現象が起こった。
「グアアア」
マキシムが電気を浴びて痺れる。
電気が飛んできた訳ではない。マキシムの右足に銅線が絡まっており、そこから電気が流れていただけだった。
つまり『イナズマ忍法』とは大也が小学生の時にやってたアニメの主人公忍者が使う忍法の1つだったが、大也が行ったのはそれを真似たただのトリックだった訳だ。
印を結ぶ仕草で相手の注目を集めて、実際には『手塚流忍法かまいたち・風舞(物浮かべ)』で高速移動してるマキシムの足に銅線を絡めただけの。
だが、それでも電流は流れて、マキシムは一瞬だけだが停止状態となり、
「はい、おしまい」
手裏剣3枚がマキシムめがけて降ってきた。
それも1000メートルの上空から。
お陰で超加速だ。
この手裏剣は大也が事前に仕込んでいたものだった。風を使っての落下ポイントの修正も可能な優れ物だ。
「グアアア」
運良く2枚が逸れたが、1枚がマキシムの肩口に直撃した。
それには大也の方が眼を細める。
(2枚も外れた? 何で? 眼の前で視てたが外れた理由が分からないぞ?)
「ーー貴様っ!」
マキシムがそれでもコンマ1秒の高速の動きで突っ込んでくる。
間合いを詰めるのには絶対に理由がある。
毒、病、影、反射、封印、吸収。
『声集め』の情報ではそれらの能力を持つ忍者キラーがロシア部隊には居るらしい。
それのどれかだろう。
だが、拙いのは眼の前の忍者キラーじゃない。
ビルの外側に出ようとした際の嫌な感じだ。
その正体を確かめる為に、大也は逃げながら『手塚流忍法かまいたち・風舞(物浮かべ)』を使って、屋上に転がってる遺体の1つをビルの屋上から捨てた。
その遺体が空中で光線に撃ち抜かれる。
(やはりか。今のは忍法じゃない。確かーー光粒子銃だっけ?)
「チッ、バレたのなら仕方がない」
大也を追って間合いを詰めようとしていたマキシムがロシア語をそう呟くと、方向転換してビルの外側へ向かって飛び降りた。
次の瞬間、ビルの外側に居るマキシムとビルの屋上に立つ大也の位置が入れ替わる。
(はあ? 位置交換? それも接触の下準備もなしで? 影を踏まれた? いや、影が踏まれないように注意はしていたーー反射じゃなくて鏡か? 反則だろっ! いや、今はそれよりもこれが何を意味するかだーーまさか)
驚く大也が自分が立っていた場所に居るマキシムから地上に視線を向けた瞬間、大也は地上から迫る光線にビュオオンッと撃ち抜かれたのだった。
(帽子って移動の度に一々抑えないといけないから面倒臭いな)
なんて思ってると、屋上のコンクリを切断して忍者キラーの男が屋上にやってきた。
193センチ、外国人特有の筋骨隆々。金髪のロシア人でゴーグルと黒タイツ姿だったが特徴はやはり白肌だろう。正確にはドーピング・オーガを使用してるのに白肌のままなところだ。
つまり、薬が完全に適合してる。
それにこの圧。強いのが嫌でも分かる。別格だ。
(軍用ナイフでコンクリを切断した? そんな訳あるか。能力も使えるな、絶対に。何だ? 風は感じなかったーー影?)
「おまえが中東との取引を潰した奴でいいのか?」
日本語で質問されたので、大也も日本語で、
「いいや。人違いだろ。オレは偶然、この場に居合わせただけだから」
屋上の遺体の山を見て、そのロシア人は、
「ふん、まあいい。死ね」
コンマ1秒で間合いを詰めてきた。やはり速い。
「誰が死ぬかよ」
だが同じ速度域のバックステップで大也も逃げた。
そのままビルの外まで風を纏って逃げようとして、嫌な予感がして、慌ててバックステップながら直角曲がりをしてビルの枠の外には出なかった。
「どうした? 逃げてばかりでは・・・」
ロシア人が間合いを詰める中、高速のバックステップで距離を保ちながら大也が忍者刀の刃を噛んで持ち、両手で印を結んだ。
「?」
ロシア人のマキシム・ロイチンが不思議そうな生き物を見るような眼で大也を見た。
印を結ぶ忍者はアニメの中の忍者だけだ。現実の忍者は印など結ばないのだから。
大也が7つの印を組み終えた後、
「イナズマ忍法ライデンソウリュウハ」
刃を歯で噛みながらそう言うと、放電現象が起こった。
「グアアア」
マキシムが電気を浴びて痺れる。
電気が飛んできた訳ではない。マキシムの右足に銅線が絡まっており、そこから電気が流れていただけだった。
つまり『イナズマ忍法』とは大也が小学生の時にやってたアニメの主人公忍者が使う忍法の1つだったが、大也が行ったのはそれを真似たただのトリックだった訳だ。
印を結ぶ仕草で相手の注目を集めて、実際には『手塚流忍法かまいたち・風舞(物浮かべ)』で高速移動してるマキシムの足に銅線を絡めただけの。
だが、それでも電流は流れて、マキシムは一瞬だけだが停止状態となり、
「はい、おしまい」
手裏剣3枚がマキシムめがけて降ってきた。
それも1000メートルの上空から。
お陰で超加速だ。
この手裏剣は大也が事前に仕込んでいたものだった。風を使っての落下ポイントの修正も可能な優れ物だ。
「グアアア」
運良く2枚が逸れたが、1枚がマキシムの肩口に直撃した。
それには大也の方が眼を細める。
(2枚も外れた? 何で? 眼の前で視てたが外れた理由が分からないぞ?)
「ーー貴様っ!」
マキシムがそれでもコンマ1秒の高速の動きで突っ込んでくる。
間合いを詰めるのには絶対に理由がある。
毒、病、影、反射、封印、吸収。
『声集め』の情報ではそれらの能力を持つ忍者キラーがロシア部隊には居るらしい。
それのどれかだろう。
だが、拙いのは眼の前の忍者キラーじゃない。
ビルの外側に出ようとした際の嫌な感じだ。
その正体を確かめる為に、大也は逃げながら『手塚流忍法かまいたち・風舞(物浮かべ)』を使って、屋上に転がってる遺体の1つをビルの屋上から捨てた。
その遺体が空中で光線に撃ち抜かれる。
(やはりか。今のは忍法じゃない。確かーー光粒子銃だっけ?)
「チッ、バレたのなら仕方がない」
大也を追って間合いを詰めようとしていたマキシムがロシア語をそう呟くと、方向転換してビルの外側へ向かって飛び降りた。
次の瞬間、ビルの外側に居るマキシムとビルの屋上に立つ大也の位置が入れ替わる。
(はあ? 位置交換? それも接触の下準備もなしで? 影を踏まれた? いや、影が踏まれないように注意はしていたーー反射じゃなくて鏡か? 反則だろっ! いや、今はそれよりもこれが何を意味するかだーーまさか)
驚く大也が自分が立っていた場所に居るマキシムから地上に視線を向けた瞬間、大也は地上から迫る光線にビュオオンッと撃ち抜かれたのだった。
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