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金馬リョウ、大也争奪戦を報告する
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大也の護衛兼監視員はまだ金馬リョウである。
アパレル店で如月リノにナンパされた大也が買い物もせずにリムジンに乗り込む中、国産高級車の助手席からリョウがスマホで、
「客人がナンパされてますがどうしましょうか?」
指示を仰いでいた。
電話相手は大鳥緋色ではない。その上、つまりは総帥の大鳥颯太に直接報告する体制になっていた。
お陰で報告1つでもリョウは緊張する破目になったのだが。
『相手の素性を調べろ』
「如月リノ。芸能人。花井財閥系です」
スマホから溜息と共に、
『――いきなりか。危険が迫れば助けろ。その判断は現場に任せる』
「はっ」
との事でリムジンの尾行を始めた訳だが、
そのリムジンが配達先まで大也を届ける事はなかった。
幹線道路を走るリムジンが白昼堂々と襲われたからだ。
リムジンに並走する車の屋根が稼働してオープンカーになる中、その車に乗ってる女がリムジンの後方のリョウが乗る車に向かって、右手の指をピアノでも引くようにヒラヒラと動かして挨拶してきた。
リョウは舌打ちした。知り合いの築山陽子だったからだ。
29歳、172センチ。黒髪ロングの美人で、市販されてるビジネススーツとタイトスカート姿のはずなのにスタイルが良過ぎる為に妙にエロイ女だった。
だが、この女の一番の問題は所属だ。
犯罪忍者対策室ーー内閣調査室と公安部の合同組織だ。
リョウが慌ててスマホで大鳥颯太に電話した。
『どうした?』
「小森の築山陽子が客人が乗る道路を走るリムジンにドアから飛び移りました。どうしましょうか?」
『・・・小森が? そう言えば緋色の名前を騙って権藤イワシから金を貫っていたな』
(政治家の権藤イワシ? そんな事をしてたのか、アイツ?)
『構わん、好きにさせろ。但し、小森の施設侵入前には一報を頼む』
「畏まりました」
とリョウが返事した時には気絶中の大也を抱えた陽子が並走するオープンカーに飛び乗って、そのままリムジンを追い抜いていった。
所要時間は10秒。仕事が早い。
(? 妖怪憑きでもない築山に負けて気絶させられたのか? 情けない)
リョウの中で大也の評価を下がる中、
「追え」
リョウは溜息をついて陽子の車を追跡させたのだった。
今度はその大也を奪ったオープンカーが襲われていた。
幹線道路を走るオープンーのタイヤがいきなりパンクしたのだ。1個ではなく4個とものタイヤが。
これではさすがに移動は不可能だ。
仕方なく路肩に止めたオープンカーに群がるのが黒服を着た連中だった。
「あら、何かしら? 不三さん」
陽子が部隊のリーダーの40代のオヤジの不三豪に挑戦的に質問すると、
「その小僧を貰い受けよう」
「それは出来ない相談ね」
「じゃあ、少し眠ってろ」
「眠るのはそっちよっ!」
次の瞬間、 築山陽子が手裏剣10枚を全方位に乱れ撃ちし、不三豪はライター型スプレーをシューッと吹き掛けた。手裏剣を受けて5人が死傷したが、陽子も運転手共々あっさりと眠らされる。
その様子を停車スペースが無くて、3台追い越した路肩に停まった車の中に居たリョウが、
(嘘だろ、完全に激突したぞ、今? 死傷が出た? 何で? アイツっそんなに重要なのか?)
ミラーでその様子を確認して背筋を正した。
昨日大也を見失った為に、大也が昨日何をしたのかリョウは知らないのだ。上が教えてくれないので。リョウはリョウで悲しい中間管理職だった。
リョウがスマホで連絡を入れる。
『もう小森のアジトに付いたのか?』
「いえ、今度は草薙部隊の不三豪が部隊を率いて小森を眠らせて客人を奪いました。小森も応戦して草薙に仕掛けて戦闘となり、死傷が出た模様」
『・・・はぁ~。今度は草薙か。人気者だな』
「静観でいいんですよね?」
『ああ、敷地内に入る時は一報を頼む』
「畏まりました」
リョウは今度は草薙部隊の車に乗せられた大也の後を追尾したのだった。
アパレル店で如月リノにナンパされた大也が買い物もせずにリムジンに乗り込む中、国産高級車の助手席からリョウがスマホで、
「客人がナンパされてますがどうしましょうか?」
指示を仰いでいた。
電話相手は大鳥緋色ではない。その上、つまりは総帥の大鳥颯太に直接報告する体制になっていた。
お陰で報告1つでもリョウは緊張する破目になったのだが。
『相手の素性を調べろ』
「如月リノ。芸能人。花井財閥系です」
スマホから溜息と共に、
『――いきなりか。危険が迫れば助けろ。その判断は現場に任せる』
「はっ」
との事でリムジンの尾行を始めた訳だが、
そのリムジンが配達先まで大也を届ける事はなかった。
幹線道路を走るリムジンが白昼堂々と襲われたからだ。
リムジンに並走する車の屋根が稼働してオープンカーになる中、その車に乗ってる女がリムジンの後方のリョウが乗る車に向かって、右手の指をピアノでも引くようにヒラヒラと動かして挨拶してきた。
リョウは舌打ちした。知り合いの築山陽子だったからだ。
29歳、172センチ。黒髪ロングの美人で、市販されてるビジネススーツとタイトスカート姿のはずなのにスタイルが良過ぎる為に妙にエロイ女だった。
だが、この女の一番の問題は所属だ。
犯罪忍者対策室ーー内閣調査室と公安部の合同組織だ。
リョウが慌ててスマホで大鳥颯太に電話した。
『どうした?』
「小森の築山陽子が客人が乗る道路を走るリムジンにドアから飛び移りました。どうしましょうか?」
『・・・小森が? そう言えば緋色の名前を騙って権藤イワシから金を貫っていたな』
(政治家の権藤イワシ? そんな事をしてたのか、アイツ?)
『構わん、好きにさせろ。但し、小森の施設侵入前には一報を頼む』
「畏まりました」
とリョウが返事した時には気絶中の大也を抱えた陽子が並走するオープンカーに飛び乗って、そのままリムジンを追い抜いていった。
所要時間は10秒。仕事が早い。
(? 妖怪憑きでもない築山に負けて気絶させられたのか? 情けない)
リョウの中で大也の評価を下がる中、
「追え」
リョウは溜息をついて陽子の車を追跡させたのだった。
今度はその大也を奪ったオープンカーが襲われていた。
幹線道路を走るオープンーのタイヤがいきなりパンクしたのだ。1個ではなく4個とものタイヤが。
これではさすがに移動は不可能だ。
仕方なく路肩に止めたオープンカーに群がるのが黒服を着た連中だった。
「あら、何かしら? 不三さん」
陽子が部隊のリーダーの40代のオヤジの不三豪に挑戦的に質問すると、
「その小僧を貰い受けよう」
「それは出来ない相談ね」
「じゃあ、少し眠ってろ」
「眠るのはそっちよっ!」
次の瞬間、 築山陽子が手裏剣10枚を全方位に乱れ撃ちし、不三豪はライター型スプレーをシューッと吹き掛けた。手裏剣を受けて5人が死傷したが、陽子も運転手共々あっさりと眠らされる。
その様子を停車スペースが無くて、3台追い越した路肩に停まった車の中に居たリョウが、
(嘘だろ、完全に激突したぞ、今? 死傷が出た? 何で? アイツっそんなに重要なのか?)
ミラーでその様子を確認して背筋を正した。
昨日大也を見失った為に、大也が昨日何をしたのかリョウは知らないのだ。上が教えてくれないので。リョウはリョウで悲しい中間管理職だった。
リョウがスマホで連絡を入れる。
『もう小森のアジトに付いたのか?』
「いえ、今度は草薙部隊の不三豪が部隊を率いて小森を眠らせて客人を奪いました。小森も応戦して草薙に仕掛けて戦闘となり、死傷が出た模様」
『・・・はぁ~。今度は草薙か。人気者だな』
「静観でいいんですよね?」
『ああ、敷地内に入る時は一報を頼む』
「畏まりました」
リョウは今度は草薙部隊の車に乗せられた大也の後を追尾したのだった。
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