ニンジャマスター・ダイヤ

竹井ゴールド

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冷越我威、その日の夜に大鳥邸を襲撃するも

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 身内には警備がざるで有名な大鳥邸だが、その夜は部外者の侵入を許していた。

 警備を蹴散らせての正面突破である。

「グアア」

「強い」

「どうして刹那忍軍が・・・」

 襲撃したのは暗殺集団で御馴染みの刹那忍軍14人だった。それもナンバー2の冷越我威自らが出張ってきてる。

 何故、突然こんな戦争状態に陥ったのか?

 理由は単純にして明快。

 都内に戻ってから遅蒔きに知った情報、つまりは、





 最近、大鳥忍軍の総帥家に住み着いた手塚大也という少年が本日の昼間、アメリカ大使館に入った。

 少年がムーンリングの忍者スーツを纏って、アメリカ大使館の上空を飛行する軍用ヘリに飛び乗った。

 軍用ヘリは山梨県の方に向かって飛行していった。





 これらと冷越我威以下利那忍軍の一部だけが知っている、





 アメリカ合衆国のムーンリング機関が研究開発した『禁術忍法・七人ミサキ』の成功体ジョニー・ナダギが抜け忍となり、日本の山梨県で刹那忍軍が秘密裡に保護してたが本日、ムーンリングの忍者に殺害された。





 との情報を組み合わせて導き出された我威の結論が、

「そのガキがジョニーを倒したのか? ってか、あの時、斬り掛かってきたのもそのガキかっ!」

 となったからだ。

 それだけでは済まず、

「『禁術忍法・七人ミサキ』の体現者だぞ? 分かってるのか? それがどれだけ貴重な存在なのか? いくら大鳥忍軍が目に掛けてるとしても許せんっ!」

 こうしてその日の夜、速攻での襲撃に至っていた。





 大鳥邸の中庭や棟の一部が氷漬けにされる中、忍者スーツを纏った大鳥颯太が我威と対峙し、

「何の真似だ、冷越? 遂には狂ったか?」

「黙れ、大鳥。さっさとあのガキを出せっ!」

「ガキ? もしや大也の事か? 何かしたのか?」

「すっとぼける気か、大鳥っ! ムーンリングと組んでムーンリングの抜け忍の『七人ミサキ』を殺しておいてっ! それで戦争にならないと思わないおまえの頭の方がどうかしてるぞっ!」

 我威の激昂の言葉を聞いて、颯太はようやく今日アメリカ大使館に呼ばれた大也が何をしたのか知った訳だが、その重大性に渋い顔をした。

(よりにもよって『七人ミサキ』か。それもアメリカのムーンリングの抜け忍。つまり韓国のは嘘で、大元はアメリカな訳か)

 颯太のその顔色を読んで、

「ん? ハッハッ、これはお笑いだ。大鳥忍軍の総帥ともあろう者がまさかこんな重要な事も知らずに蚊帳の外だったのか?」

「うるさいわ。他に何を知ってる?」

 頭痛を覚えながら颯太は問うと、

「アイツはここで死刑って事だけだ」

「それは無理だな」

「私がおまえを倒せないと思ってるのか?」

「倒せる訳がないだろ。まあ、それ以前に目的の大也は今、この屋敷には居ないからな。殺すのは無理さ」

「何だ、そりゃ? 口八丁でけむに撒けれる状況だと思ってるのか? 『七人ミサキ』の件を知らなかった事といい、そこまで耄碌してるのか?」

 鼻で笑った我威だったが、

「耄碌してるのはそっちだろう? 大也は20分前に屋敷を抜け出して夜遊びに出掛けておるのだからな。誤爆、御苦労さまだったな」

「・・・はああああ?」

 颯太の馬鹿にしたような説明を聞いて『嘘を言ってる顔じゃない』と理解した我威は素っ頓狂な声を上げた。

「まさかーー踊らされた?」

「いや、どうもただのデートらしいがーー今、分かってるのは大鳥邸を襲った奴は『生きては帰さん』って事だけだ」

 颯太の眼に殺気が宿る。本邸を襲撃されたのだ。ここまで大鳥忍軍がコケにされたのは久しぶりだ。そんな訳でやる気満々だった。

 我威も気を取り直して、

「まあいい、行き掛けの駄賃だ。死ね」

 『冷越流忍法つらら女・氷手裏剣の雨霰』を使って、氷の手裏剣を30枚出現させた我威が攻撃し、

「死ぬのはおまえだ、冷越っ!」

 『大鳥流忍法鬼火・炎クナイのほむら』を使い、炎のクナイ40本を出現させた颯太が迎え撃った。

 それから10分間、刹那忍軍ナンバー2と大鳥忍軍トップの氷と炎の忍法勝負が大鳥邸の中庭でド派手に繰り広げられたのだった。
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