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大也、知り合いのアメリカ軍情報部将校の車に乗り込む

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 もう大也の問題行動は止まらない。





 大也は大鳥コンツェルンの本社ビルを出て5メートル進んだーーまだ歩道にも達していないビルの敷地内にて、柱の死角で待ち伏せし、背後に回り込んだ人物に両手で目隠しされて、


「だ~れだ~?」

 と声を掛けられていた。

 大也は不機嫌そうに、

「アメリカ軍の情報部将校、モミカ・コンバット中尉でしょ?」

「アタリ~」

 言い当てられたモニカは目隠しを解いて大也を振り向かせた。

 モニカは24歳でオランダ系の白人。金髪のミディアムで緑眼の陽気なお姉さんだ。スタイルも良く、服は軍服ではなく、私服なので胸元の開いたワンピースでミニスカだった。正直、お水系のワンピースにしか見えないが。

「当てた御褒美よ」

 そう言って胸に大也の顔を導いてパフパフをしてくれた。

 大也も男だ。パフパフが好きか嫌いかで問われたら凄く好きな訳だが。

 念の為に説明しておくが、パフパフとは正面から胸の谷間に顔をうずめた状態で胸の外側を左右から両手で押して胸で挟んだ顔に更なる弾力を加える至福の行為の事だ。

「何で東京に居るの、モニカさん? 沖縄でしょ、所属?」

「それがダイヤが都内に引っ越した直後に異動させられて」

 モニカは宝石のダイヤの発音で大也を呼んだ。

「へ~」

「あれ、私がパフパフしてあげたのに不機嫌ね? どうしたの?」

「中国系に狙われてるのに『手を出すな』って言われてさ」

「それは酷いわね。今からどう、ドライブ?」

「行く」

 そういう訳で、モニカが用意したスポーツカーに大也は乗り込んだのだった。





 それを見ていた護衛兼監視員のリョウは、

「・・・大変だ」

 慌ててスマホで大鳥宗次に連絡を取った。

『何だ? 緊急以外はーー』

「本社前で客人が金髪外国女、客人の唇を読んだところ『アメリカ軍の情報部将校、モニカ・コンバット中尉』にナンパされて車に乗り込みました。どうも沖縄県での知り合いのようです」

『モニカだと? ソイツはムーンリングだ。追え。会話を聞き漏らすな』

「はっ」

 と言って、ワゴン車を出発させたのだった。





 ◇





 真っ赤なオープンカーに乗ったモニカが、

「どうしてダイヤは東京なんかに出てきたの?」

「ママの遺言」

 オープンカーなので車窓ではなく外側を見ながら大也は答えた。

「そう言えば死んだんだったわね。お悔やみを。火葬よね、日本なんだから?」

「何? ママの遺体で何かするつもりだったの?」

 視線を運転席に向けて大也が真意を問うと、

「ないない。ダイヤをこっちに振り向かせる為に言っただけよ」

「ったく」

「それで本当の狙いは?」

「別に、ただの暇潰しだよ。どうせ大学は東京になるだろうし。まあ、内地こっちの方が火種が多そうで楽しそうなのは認めるけど。沖縄県は中国系ばかりで、ロシア系とはまだ揉めた事がないから」

「アメリカの正規軍を潰した件が抜けてるわよ、ダイヤ」

「何の事? 知らないけど」

「これだから。まあ、いいわ。ペンタゴンもその件は不問にしてるし」

「なら言わないでよ」

 と談笑を始めた2人だったがモニカが、

「ダイヤは『七人ミサキ』の忍法、知ってる?」

「ん、もしかして波御世木なみおよぎの事? 全滅しててもう居ないって聞いてるけど?」

「それが韓国に居るらしいわよ」

「どうせ嘘でしょ。それを餌に中国かロシアを釣る」

「どうしてそう思うの?」

「居たらもっと大騒ぎになってるから。聞いた話じゃ反則の忍法らしいし」

「ふ~ん。そうだ、私とエッチしない?」

「何? まだオレの精子回収任務を諦めてないの?」

「だって、ダイヤの精子を精子バンクに売ったら2000万ドルの報酬が貰えるんだもん」

「あのね~。絶対に嫌だからね」

「もしかして彼女出来たの?」

「まだだよ。どうせオレは命令で近付いた任務女としかエッチ出来ない非モテだよ」

「何が非モテよ、被害者ぶって。9カ国の女を抱いてる癖に」

 大也の経験人数を把握してるモニカが運転席で呆れた。

 そうなのだ。大也は14歳の時の中国とアメリカの暗部全滅事変の情報がどういう経緯か他国に漏れてしまい、アメリカ、中国、台湾、韓国、フィリピン、シンガポール、ニュージーランド、ブラジル、カナダの9カ国のハニートラップ要員に口説かれて既に肉体関係を持っていた。

 それなのに非モテだとなげいている贅沢野郎だったのだ、大也は。

「日本人の彼女は出来たの?」

「五月蠅いな。まだだよ」

 素人童貞で日本人童貞の大也がムキになって答えた。

「どこの国の女が一番良かったの?」

「言う訳ないでしょ」

「当然、初体験のアメリカ人よね、原住民系の? インデアンのコスプレでエッチしてあげるから私に精子をーー」

「マジで怒るよ、モニカさん?」

 大也が不機嫌になる中、モニカが運転するオープンカーは当たり前のようにアメリカ大使館の門の中に入っていった。





 敷地内を見渡しながら大也が、

「どこ、ここ?」

「あれ、知らなかった? ここがアメリカ大使館よ」

「へ~。こんなところまで連れてきたんだから当然、オイシイ話なんだよね?」

「もちろん」

「なら入ろうかな」

 そう言っただけで大也は抵抗する事なくオープンカーのドアも開けずに外に飛び降りて、視線も向けずに門の外の車道に居る車内の監視のオシャレ顎髭に『手塚流忍法かまいたち・風舞(運搬)』で大切に持ってた紙袋に入った1000万円を投げた。

 ゆっくりと風に乗ってオシャレ顎髭のところに紙袋が運ばれる。

 車窓を開けてリョウが紙袋を受け取ると同時に『手塚流忍法かまいたち・言伝』で、

「大切に持っててね。無くしたら弁償させるから」

 そう言葉を伝えながら軽く手を振った大也はモニカの先導でアメリカ大使館の建物の中に入っていったのだった。
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