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大也、アルバイトを禁じられる
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大也は大鳥コンツェルンの会長室に呼び出されていた。
宗次も同席である。緋色は居ない。大鳥忍軍の6氏族の処罰やら、不知火学園の32人の再起不能生徒の後始末やら、やる事は山積みだから。
「何でしょうか、颯太さん?」
1000万円も勝って御機嫌の大也が問い、対照的に渋い顔の颯太が、
「倉庫を燃やしたそうだな?」
「はい、正義の味方をしちゃいました~♪ 麻薬なんて世の中の為になりませんからね」
「マリフィナは末端価格1グラム、3000円から5000円だ。3000円換算でも10グラムで3万円。100グラムで30万円。1キロで300万円。10キロで3000万円。100キロで3億円。700キロだと21億円なのだが」
分かり易く説明した颯太に対して、
「それが?」
「21億円のマリファナを燃やされたヤクザの心情を考えた事は?」
と咎められたので大也が心外とばかりに、
「人間をダメにする麻薬を焼却した事を褒めて貰えるとばかり思っていましたがーーもしかして颯太さんって悪に染まってるんですか?」
「悪に染まってなどおらんよ。無駄に火種を作るなと言っておるのだ。分かるね?」
「は~い」
「それとアルバイトはどうした、大也君?」
「お金ならちゃんと稼ぎましたよ。じゃじゃ~ん、1000万円~♫」
紙袋の中身を見せながら大也は誇らしげに答えた。
颯太が頭痛を覚えながら、
「どうやって稼いだんだね?」
「バカラ台でダイスを風で操ってチョチョイのチョイっと」
「ダブルドラゴンからイカサマで巻き上げた訳か」
「ええ、ダブルドラゴン潰しは日本の為ですから。いいですよね?」
さらっと大也は尋ねたがその割には妙な凄味があり、『コイツ、何を考えているんだ?』と颯太は背筋を正しながら、
「ダメだ」
「えっ、オレ、この前、中国人にライフルで狙撃されかけましたけど?」
「それでもだ。国際問題になりかねん」
「ーー分かりました。我慢しますね」
『我慢ときたか』と颯太と宗次はその言葉遣いに気付いた。
「大也君、学校に行く気はないかね?」
それは宗次の提案だったが、
「全くありませんが。大学検定合格を持っていますので」
「女子に囲まれて青春を送るのもいいものだよ」
「その前に嫁探しをしないといけませんし」
頑なに大也は高校の通学を拒否し、通学の見込みがないと悟った颯太が、
「ともかく、アルバイトはもう禁止だ。いいね、大也君」
「は~い」
こうして大也は渋々とアルバイト禁止を受け入れたのだった。
◇
大也が退室した会長室では颯太と宗次が、
「アヤツ、ダブルドラゴンに恨みでもあるのか?」
「中国系全部にでしょ? 14の時に揉めてますから」
「東国原会は?」
「正義の味方がしたい年頃なのでしょうよ。兄上だって、ほら、同じ年頃の高1には仮面を付けてーー」
「言うな。若い頃の話だろうが」
黒歴史に触れられて颯太は少し赤面しつつ、
「どう思う、アヤツの事?」
「完全に暇を持て余してますね。学校に行かせられない以上は大鳥忍軍の任務を与えてはどうです?」
「だがな。不知火学園の生徒を潰した事からも分かるように大鳥忍軍としての自覚が無さ過ぎるぞ。下手に任務を与えたら拙い気がする」
「手塚島で何をやっていたのか確かめる必要がありそうですね」
宗次はそう大也の手塚島での生活に興味を示したのだった。
宗次も同席である。緋色は居ない。大鳥忍軍の6氏族の処罰やら、不知火学園の32人の再起不能生徒の後始末やら、やる事は山積みだから。
「何でしょうか、颯太さん?」
1000万円も勝って御機嫌の大也が問い、対照的に渋い顔の颯太が、
「倉庫を燃やしたそうだな?」
「はい、正義の味方をしちゃいました~♪ 麻薬なんて世の中の為になりませんからね」
「マリフィナは末端価格1グラム、3000円から5000円だ。3000円換算でも10グラムで3万円。100グラムで30万円。1キロで300万円。10キロで3000万円。100キロで3億円。700キロだと21億円なのだが」
分かり易く説明した颯太に対して、
「それが?」
「21億円のマリファナを燃やされたヤクザの心情を考えた事は?」
と咎められたので大也が心外とばかりに、
「人間をダメにする麻薬を焼却した事を褒めて貰えるとばかり思っていましたがーーもしかして颯太さんって悪に染まってるんですか?」
「悪に染まってなどおらんよ。無駄に火種を作るなと言っておるのだ。分かるね?」
「は~い」
「それとアルバイトはどうした、大也君?」
「お金ならちゃんと稼ぎましたよ。じゃじゃ~ん、1000万円~♫」
紙袋の中身を見せながら大也は誇らしげに答えた。
颯太が頭痛を覚えながら、
「どうやって稼いだんだね?」
「バカラ台でダイスを風で操ってチョチョイのチョイっと」
「ダブルドラゴンからイカサマで巻き上げた訳か」
「ええ、ダブルドラゴン潰しは日本の為ですから。いいですよね?」
さらっと大也は尋ねたがその割には妙な凄味があり、『コイツ、何を考えているんだ?』と颯太は背筋を正しながら、
「ダメだ」
「えっ、オレ、この前、中国人にライフルで狙撃されかけましたけど?」
「それでもだ。国際問題になりかねん」
「ーー分かりました。我慢しますね」
『我慢ときたか』と颯太と宗次はその言葉遣いに気付いた。
「大也君、学校に行く気はないかね?」
それは宗次の提案だったが、
「全くありませんが。大学検定合格を持っていますので」
「女子に囲まれて青春を送るのもいいものだよ」
「その前に嫁探しをしないといけませんし」
頑なに大也は高校の通学を拒否し、通学の見込みがないと悟った颯太が、
「ともかく、アルバイトはもう禁止だ。いいね、大也君」
「は~い」
こうして大也は渋々とアルバイト禁止を受け入れたのだった。
◇
大也が退室した会長室では颯太と宗次が、
「アヤツ、ダブルドラゴンに恨みでもあるのか?」
「中国系全部にでしょ? 14の時に揉めてますから」
「東国原会は?」
「正義の味方がしたい年頃なのでしょうよ。兄上だって、ほら、同じ年頃の高1には仮面を付けてーー」
「言うな。若い頃の話だろうが」
黒歴史に触れられて颯太は少し赤面しつつ、
「どう思う、アヤツの事?」
「完全に暇を持て余してますね。学校に行かせられない以上は大鳥忍軍の任務を与えてはどうです?」
「だがな。不知火学園の生徒を潰した事からも分かるように大鳥忍軍としての自覚が無さ過ぎるぞ。下手に任務を与えたら拙い気がする」
「手塚島で何をやっていたのか確かめる必要がありそうですね」
宗次はそう大也の手塚島での生活に興味を示したのだった。
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