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二階堂真名武、大也の美女遭遇率に感服する
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二階堂真名武は大鳥忍軍所属の19歳の若者である。
二階堂氏の忍法は『鬼火』だったが、真名武は母方の先祖の血の所為で『百目』という戦闘には不向きな忍法を発現してしまっていた。
とはいえ『百目』は使えない忍法では決してなった。
視覚系の偵察なら『百目』は王様なのだから。
熟練の忍者は戦闘にもその視力を応用するらしいが真名武にはまだ無理だった。
それでも真名武の忍法の射程距離は最大50メートルで、そこまでなら壁越しでも視れる。
変装なんかもされても『忍法百目』の眼力の前には何の問題もない。
服を透かしてヌードだって視れる。
それはまだ3メートル範囲だったが。
無論、無暗にそんな忍法は使わない。忍法で『女体を観賞してた』などバレた日にはデバガメ野郎と後ろ指を指されるのだから。
だが、大也と接触した女ならば確認しなければならない。
つまり、すれ違いざまに国民的アイドルの東名レナのヌードを忍法で視たのは正当な大鳥忍軍の任務としてだ。
けっして下卑た考えで視た訳ではない。
寧ろ、視たこちらは被害者だ。
黒髪のカツラで変装していなければ東名レナだとすぐに気付き、相手の正体を確かめようとはしていないのだから。
そう理論武装して自分を正当化した真名武は大也の後を追った。
次に大也が接触したのは歩道で右足のヒールが折れて困ってるスーツの女だった。
20代後半の黒髪で眼鏡は掛けていないがインテリ系だ。スーツ姿なので更に有能そうに見える。
止せばいいのに、
「大丈夫ですか?」
大也が声を掛けて、肩を貸して近くのアメリカ系のコーヒーショップにスーツ女と入店してお茶をし始めた。名刺を貰い、談笑している。
真名武は相手の女の事を知らなかったが仕事が休みなのか午前中から出歩いてるカップルが、
「今のって女子アナの酒鬼ミサだよな?」
「ええ、一緒に居る男の子は恋人じゃないわよね?」
「ああ、学生っぽかったし。ヒールが折れてて困ってたみたいだからな。助けただけだろ?」
と喋ってて、
(え、女子アナだったの? ーーん、酒鬼ってどこかで聞いたような?)
そう思って改めてインテリ女に視線を向けようとしたが、大也達が入店してるコーヒーショップの玄関をたった今、潜った女に真名武の視線は自ずと動いた。
17歳の黒髪のポニーテールで白肌だが健康美に溢れてて、日本人にありがちなミニスカの女だった。
真名武の視線が動いたのはミニスカから飛び出た綺麗な脚に興味を引かれたーー訳ではない。
興味が引かれたのはポニーテール込みのそのシルエットの方だった。
ずばり、見知ったシルエットだったからだ。
顔を確認したら、案の定、顔見知りの竜崎椋だった。
「拙い」
と真名武が慌てたのは椋の兄の陣が大也に半殺しにされてるからだ。
そもそも椋は17歳。平日の午前中なので学校のはずだ。その椋がこの時間帯にコーヒーショップに居る時点で既にロクな事が起きていないのだ。
椋の入店の20秒後に真名武がコーヒーショップに入った時には、ちょうど大也に蹴り飛ばされた椋が真名武めがけて飛んできてところだった。
慌ててキャッチし、
「おっと大丈夫ですか、お嬢さん?」
そう軽口を叩いて真名武が椋の顔を確認したら白眼を剥いて気絶していた。美人が台無しだ。
店内は当然、騒然だ。
全員が女を蹴り飛ばした大也に注目してるが、大也は気にした様子もなく席に戻ってコーヒーを飲みながら、
「アナタって強いのね」
「そうですか?」
ヒールが折れて困ってた女子アナと歓談していた。
仕方なく真名武が気絶した椋を保護する風を装って監視用の車両に乗せた。
大也達の方は5分後には店の前まで呼んだタクシーが来てて、ヒールが折れた女子アナが大也の肩を借りてタクシーに乗り込み、そこで大也とは別れてタクシーで走り去っていった。
タクシーを笑顔で見送った大也はそのまま歩道を歩き始めた。
次に大也が接触したのは中国人の男だった。
これは後に分かる事で、接触時ーー正確には200メートル先のビルの屋上からライフルで狙撃しようとスコープを覗いていたのに大也が気付いて、歩道から高速で移動。
風使いの忍者らしく空中を一直線にビルの屋上まで一瞬で移動して。
そこで真武の百目の視界から外れて、真名武が慌てて妖怪憑きではない一般の忍者の体術で、近くのビル2棟の壁を蹴ってジグザグに上って、ビルの屋上を転々とジャンプで移動して、その目的の屋上に向かえば、白眼を剥いた男が倒れていた。
倒れてる横にはライフル。
そして大也の姿は既になく、仕方なくその気絶男を回収したら『中国人のS級暗殺者だった』と判明した、いう次第だ。
「どこ行ったんだよ、もう」
大也が持つスマホのGPS情報を確認しながら真名武は後を追ったのだった。
二階堂氏の忍法は『鬼火』だったが、真名武は母方の先祖の血の所為で『百目』という戦闘には不向きな忍法を発現してしまっていた。
とはいえ『百目』は使えない忍法では決してなった。
視覚系の偵察なら『百目』は王様なのだから。
熟練の忍者は戦闘にもその視力を応用するらしいが真名武にはまだ無理だった。
それでも真名武の忍法の射程距離は最大50メートルで、そこまでなら壁越しでも視れる。
変装なんかもされても『忍法百目』の眼力の前には何の問題もない。
服を透かしてヌードだって視れる。
それはまだ3メートル範囲だったが。
無論、無暗にそんな忍法は使わない。忍法で『女体を観賞してた』などバレた日にはデバガメ野郎と後ろ指を指されるのだから。
だが、大也と接触した女ならば確認しなければならない。
つまり、すれ違いざまに国民的アイドルの東名レナのヌードを忍法で視たのは正当な大鳥忍軍の任務としてだ。
けっして下卑た考えで視た訳ではない。
寧ろ、視たこちらは被害者だ。
黒髪のカツラで変装していなければ東名レナだとすぐに気付き、相手の正体を確かめようとはしていないのだから。
そう理論武装して自分を正当化した真名武は大也の後を追った。
次に大也が接触したのは歩道で右足のヒールが折れて困ってるスーツの女だった。
20代後半の黒髪で眼鏡は掛けていないがインテリ系だ。スーツ姿なので更に有能そうに見える。
止せばいいのに、
「大丈夫ですか?」
大也が声を掛けて、肩を貸して近くのアメリカ系のコーヒーショップにスーツ女と入店してお茶をし始めた。名刺を貰い、談笑している。
真名武は相手の女の事を知らなかったが仕事が休みなのか午前中から出歩いてるカップルが、
「今のって女子アナの酒鬼ミサだよな?」
「ええ、一緒に居る男の子は恋人じゃないわよね?」
「ああ、学生っぽかったし。ヒールが折れてて困ってたみたいだからな。助けただけだろ?」
と喋ってて、
(え、女子アナだったの? ーーん、酒鬼ってどこかで聞いたような?)
そう思って改めてインテリ女に視線を向けようとしたが、大也達が入店してるコーヒーショップの玄関をたった今、潜った女に真名武の視線は自ずと動いた。
17歳の黒髪のポニーテールで白肌だが健康美に溢れてて、日本人にありがちなミニスカの女だった。
真名武の視線が動いたのはミニスカから飛び出た綺麗な脚に興味を引かれたーー訳ではない。
興味が引かれたのはポニーテール込みのそのシルエットの方だった。
ずばり、見知ったシルエットだったからだ。
顔を確認したら、案の定、顔見知りの竜崎椋だった。
「拙い」
と真名武が慌てたのは椋の兄の陣が大也に半殺しにされてるからだ。
そもそも椋は17歳。平日の午前中なので学校のはずだ。その椋がこの時間帯にコーヒーショップに居る時点で既にロクな事が起きていないのだ。
椋の入店の20秒後に真名武がコーヒーショップに入った時には、ちょうど大也に蹴り飛ばされた椋が真名武めがけて飛んできてところだった。
慌ててキャッチし、
「おっと大丈夫ですか、お嬢さん?」
そう軽口を叩いて真名武が椋の顔を確認したら白眼を剥いて気絶していた。美人が台無しだ。
店内は当然、騒然だ。
全員が女を蹴り飛ばした大也に注目してるが、大也は気にした様子もなく席に戻ってコーヒーを飲みながら、
「アナタって強いのね」
「そうですか?」
ヒールが折れて困ってた女子アナと歓談していた。
仕方なく真名武が気絶した椋を保護する風を装って監視用の車両に乗せた。
大也達の方は5分後には店の前まで呼んだタクシーが来てて、ヒールが折れた女子アナが大也の肩を借りてタクシーに乗り込み、そこで大也とは別れてタクシーで走り去っていった。
タクシーを笑顔で見送った大也はそのまま歩道を歩き始めた。
次に大也が接触したのは中国人の男だった。
これは後に分かる事で、接触時ーー正確には200メートル先のビルの屋上からライフルで狙撃しようとスコープを覗いていたのに大也が気付いて、歩道から高速で移動。
風使いの忍者らしく空中を一直線にビルの屋上まで一瞬で移動して。
そこで真武の百目の視界から外れて、真名武が慌てて妖怪憑きではない一般の忍者の体術で、近くのビル2棟の壁を蹴ってジグザグに上って、ビルの屋上を転々とジャンプで移動して、その目的の屋上に向かえば、白眼を剥いた男が倒れていた。
倒れてる横にはライフル。
そして大也の姿は既になく、仕方なくその気絶男を回収したら『中国人のS級暗殺者だった』と判明した、いう次第だ。
「どこ行ったんだよ、もう」
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