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朝霧光子、大鳥邸の客間に出向くも大也の姿はなかった
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夕食後、大鳥颯太、緋色、宗次の3人は昼間の件で大鳥邸の談話室で顔を突き合わせていた。
「蛍火が馬鹿で助かったな。蛍火になんぞ取り込まれてたら洒落にならなかったぞ」
「兄上、今夜から大鳥の女を寝室に送り込みましょう」
「悪くはないな。若いメイドで志願者が居るか確認しよう」
颯太と宗次の悪巧みに、
「逆効果では? 怒らせたら洒落になりませんよ」
緋色が待ったを掛けたが、宗次が、
「そこまで潔癖には見えませんが? 若いですし興味もあるでしょう」
「蛍火や刹那に大也が操られたら大惨事だから、これくらいの保険は掛けておくべきだ」
颯太の裁定で、その夜、大也の寝室に女を送り込む事が決定したのだった。
◇
大鳥邸に仕えるメイドは大鳥忍軍の他にもコンツェルン系列や一般人も居る。
それらの綺麗どころから志願者を募った結果、美人メイドで毎朝、大也を起こしてる茶髪ヘアバンドで男好きな身体の朝霧光子が送り込まれる事となった。
光子は大鳥忍軍といった物騒な世界とは何の関係もない。親の債権が大鳥コンツェルンに渡って屋敷で働いてるだけだった。
光子が大也の部屋に行く事を了解したのはぶっちゃければ賞与だ。月100万円のボーナス。プラス上手くやったらコツコツ返済して今では500万円くらいになってる親の債権の棒引き。悪くはない。
お風呂に入って身体を磨いて、妙に色っぽいネグリジェを纏って22時20分には忍んで大也の泊まってる大鳥邸の客間へと向かった。
ドアをノックして返事を待たずに部屋の中に入る。
消灯されてて真っ暗闇だ。もう就寝してるのかと光子はベッドに近付き、そこで大也が不在な事を知った。
室内電話で会長に繋ぎ、
『どうかしたかね、大也君? その娘なら大鳥家から好意だから貰ってくれてーー』
「いえ、朝霧です。手塚様が室内に居られませんがこの場合はどうすればよろしいんでしょうか?」
『はあ? 嘘じゃよな?』
「確かに居られません。スマホはコンセントに刺さった充電器で充電中ですが、洋服も靴もありませんし、お出かけになられたようです」
『窓は開いておるのか?』
「いえ、全部閉まってます」
『分かった。今日はその部屋で寝ててくれて構わん。ちゃんと約束した報酬は払うから』
「畏まりました」
指示された光子は溜息をついて大也のベッドに入ったのだった。
◇
大鳥邸は大騒ぎだった。
当主執務室のモニターで、廊下や中庭の防犯カメラの映像を確認するが大也の外出を捕らえた映像は1つもない。
「本当に部屋に居ないんですか、兄上?」
宗次の問いに、
「ああ、温度センサーで確認したがおらんかった」
「どこに外出を・・・待てよ。まさか」
宗次が嫌な予感がして呟き、颯太も尊大に頷きながら、
「ーーそうだ。今日の抜け出しが初めてとは限らんという事だ」
それには緋色も興味を示し、
「抜け出して何をしてると?」
「分からん。だがロクな事ではあるまい」
「ですが、どうやってこの屋敷から誰にも気付かれずに外へ出たんですか?」
「・・・十中八九、『赤眼』の忍法だ。ワシらの知らんところで何か事が進んでおるぞ、これは」
と颯太が思慮深く呟いたのだった。
「蛍火が馬鹿で助かったな。蛍火になんぞ取り込まれてたら洒落にならなかったぞ」
「兄上、今夜から大鳥の女を寝室に送り込みましょう」
「悪くはないな。若いメイドで志願者が居るか確認しよう」
颯太と宗次の悪巧みに、
「逆効果では? 怒らせたら洒落になりませんよ」
緋色が待ったを掛けたが、宗次が、
「そこまで潔癖には見えませんが? 若いですし興味もあるでしょう」
「蛍火や刹那に大也が操られたら大惨事だから、これくらいの保険は掛けておくべきだ」
颯太の裁定で、その夜、大也の寝室に女を送り込む事が決定したのだった。
◇
大鳥邸に仕えるメイドは大鳥忍軍の他にもコンツェルン系列や一般人も居る。
それらの綺麗どころから志願者を募った結果、美人メイドで毎朝、大也を起こしてる茶髪ヘアバンドで男好きな身体の朝霧光子が送り込まれる事となった。
光子は大鳥忍軍といった物騒な世界とは何の関係もない。親の債権が大鳥コンツェルンに渡って屋敷で働いてるだけだった。
光子が大也の部屋に行く事を了解したのはぶっちゃければ賞与だ。月100万円のボーナス。プラス上手くやったらコツコツ返済して今では500万円くらいになってる親の債権の棒引き。悪くはない。
お風呂に入って身体を磨いて、妙に色っぽいネグリジェを纏って22時20分には忍んで大也の泊まってる大鳥邸の客間へと向かった。
ドアをノックして返事を待たずに部屋の中に入る。
消灯されてて真っ暗闇だ。もう就寝してるのかと光子はベッドに近付き、そこで大也が不在な事を知った。
室内電話で会長に繋ぎ、
『どうかしたかね、大也君? その娘なら大鳥家から好意だから貰ってくれてーー』
「いえ、朝霧です。手塚様が室内に居られませんがこの場合はどうすればよろしいんでしょうか?」
『はあ? 嘘じゃよな?』
「確かに居られません。スマホはコンセントに刺さった充電器で充電中ですが、洋服も靴もありませんし、お出かけになられたようです」
『窓は開いておるのか?』
「いえ、全部閉まってます」
『分かった。今日はその部屋で寝ててくれて構わん。ちゃんと約束した報酬は払うから』
「畏まりました」
指示された光子は溜息をついて大也のベッドに入ったのだった。
◇
大鳥邸は大騒ぎだった。
当主執務室のモニターで、廊下や中庭の防犯カメラの映像を確認するが大也の外出を捕らえた映像は1つもない。
「本当に部屋に居ないんですか、兄上?」
宗次の問いに、
「ああ、温度センサーで確認したがおらんかった」
「どこに外出を・・・待てよ。まさか」
宗次が嫌な予感がして呟き、颯太も尊大に頷きながら、
「ーーそうだ。今日の抜け出しが初めてとは限らんという事だ」
それには緋色も興味を示し、
「抜け出して何をしてると?」
「分からん。だがロクな事ではあるまい」
「ですが、どうやってこの屋敷から誰にも気付かれずに外へ出たんですか?」
「・・・十中八九、『赤眼』の忍法だ。ワシらの知らんところで何か事が進んでおるぞ、これは」
と颯太が思慮深く呟いたのだった。
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