8 / 100
大也、異性の好みを聞かれる
しおりを挟む
沖縄県の手塚島は人口150人の隠れ島だ。
よって手塚島にコンビニなんて都会的なものはなく、朝からコンビニでの買い物が体験出来て大也は大満足だった。
フルーツと焼き鳥の缶詰2缶とサンドイッチとペットボトルのジュースで朝食を食べて満足の大也は談話室に呼ばれた。
颯太だけが待っており、対面のソフィーに座った大也が、
「何でしょうか?」
「ずばり聞こう。側近をキミに付けたいがどんな者がいい?」
「そりゃ強いのが」
「男と女だと?」
「強ければどちらでも」
「質問の仕方が悪かったな。ずばり大也君はどんな女性が好みなんだい?」
「はあ? 朝から何ですか?」
「手塚島は子供が少ないだろ? 縁組を斡旋しようかと」
颯太がそう答える中、大也は正直に、
「当主ってそんな事もするんですか、颯太さん?」
「手塚島は大切な大鳥忍軍の里だからな」
真面目な顔で颯太が言ったので信じた大也が、
「へぇ~」
「で、どんな異性が好みなんだい?」
「そりゃあ、強い子供が産める女ですかね」
『また妙な事を言い出したぞ』と思いながら颯太が、
「ええっと、その見分け方は・・・」
「あれ、颯太さんは分かりませんか? 『風使いを確実に産めそう』とか『一夜で妊娠しそう』とか」
「・・・いや、分からんな。過去に居たのかい?」
「ええ、沖縄の本島に出掛けた時に数人見かけました」
「ん? 大也君には恋人は居ないと三星から聞いていたが、本当は恋人が居るのかい?」
「いえ、死んだ母に激昂と共に反対されて。『名族の娘でないとダメよ』とか訳の分からない事を喚き、取りつく島もなくて。最後には怒りから母の過去の傷が発熱して体調を崩し、諦めました」
颯太が『やはり先代の落胤だと思ってた訳か』と納得しながら、
「ふむ。では名族の娘を呼ぶからその中から選ぶかい?」
「ええっと・・・断れるんですか、それ?」
「自力で探したいならそれでもいいがお見合いの方が早いからね」
「なるほど。ではお願いします」
大也は気軽に言ったが、
颯太は『大鳥邸に年頃の娘を複数呼び出して面接させる』なんて真似はしなかった。
忍者育成機関ーー表の名称は私立高等学校 『不知火学園』に大也を連れて出向いたのだから。
女子校ではない。男子も居る共学だ。
大鳥コンツェルンの会長で大鳥忍軍の総帥の颯太の登場に、学園長で60手前ながら40代後半で通る髪を茶色に染めた年増女の神前渚が校内を案内する事となった。
「総帥、本日はどのような?」
「ん? 大鳥の遠縁の手塚大也君に学校を見学させようと思ってね」
それが表向きの来訪理由だ。女生徒を物色する為とはさすがに言えない。
ちゃんと往路のハイヤーの中で説明された大也が、
「大学検定に合格してるから高校は通わないと言ったら見学する事態に」
「何歳なの?」
「17、通学していたら高2です」
「転校してみる?」
「いえいえ、勘弁して下さい。島育ちで常識がなってませんから。団体行動も苦手ですし、アハハハハ」
大也は嘘臭い陽キャラを演じながら不知火学園を30分ほど見学した。
その後、ハイヤーで不知火学園から帰った訳だが、その復路の車内にて颯太が、
「眼に止まったのは居たかい?」
「ダントツで2年3組で授業をしてた眼鏡の教師ですかね」
「胡桃割百恵百恵? ダメだな、既に既婚者だ。他は?」
「堂々と遅刻して廊下で鉢合わせて学園長先生に怒られてた茶髪のショートカットの・・・」
「『火室さん』と呼ばれてた女生徒か? それほど強くは見えなかったが」
「えっ? 強さで聞いていたんですか? 『風使いが産めそう』で選びましたが」
「・・・そうだったね。他に候補は居なかったのかい?」
「グランドで武器で模擬戦をしてた中に――チッ!」
大也が舌打ちした3秒後にはハイヤーを守るように前列を走る護衛車両が爆発して炎上したのだった。
よって手塚島にコンビニなんて都会的なものはなく、朝からコンビニでの買い物が体験出来て大也は大満足だった。
フルーツと焼き鳥の缶詰2缶とサンドイッチとペットボトルのジュースで朝食を食べて満足の大也は談話室に呼ばれた。
颯太だけが待っており、対面のソフィーに座った大也が、
「何でしょうか?」
「ずばり聞こう。側近をキミに付けたいがどんな者がいい?」
「そりゃ強いのが」
「男と女だと?」
「強ければどちらでも」
「質問の仕方が悪かったな。ずばり大也君はどんな女性が好みなんだい?」
「はあ? 朝から何ですか?」
「手塚島は子供が少ないだろ? 縁組を斡旋しようかと」
颯太がそう答える中、大也は正直に、
「当主ってそんな事もするんですか、颯太さん?」
「手塚島は大切な大鳥忍軍の里だからな」
真面目な顔で颯太が言ったので信じた大也が、
「へぇ~」
「で、どんな異性が好みなんだい?」
「そりゃあ、強い子供が産める女ですかね」
『また妙な事を言い出したぞ』と思いながら颯太が、
「ええっと、その見分け方は・・・」
「あれ、颯太さんは分かりませんか? 『風使いを確実に産めそう』とか『一夜で妊娠しそう』とか」
「・・・いや、分からんな。過去に居たのかい?」
「ええ、沖縄の本島に出掛けた時に数人見かけました」
「ん? 大也君には恋人は居ないと三星から聞いていたが、本当は恋人が居るのかい?」
「いえ、死んだ母に激昂と共に反対されて。『名族の娘でないとダメよ』とか訳の分からない事を喚き、取りつく島もなくて。最後には怒りから母の過去の傷が発熱して体調を崩し、諦めました」
颯太が『やはり先代の落胤だと思ってた訳か』と納得しながら、
「ふむ。では名族の娘を呼ぶからその中から選ぶかい?」
「ええっと・・・断れるんですか、それ?」
「自力で探したいならそれでもいいがお見合いの方が早いからね」
「なるほど。ではお願いします」
大也は気軽に言ったが、
颯太は『大鳥邸に年頃の娘を複数呼び出して面接させる』なんて真似はしなかった。
忍者育成機関ーー表の名称は私立高等学校 『不知火学園』に大也を連れて出向いたのだから。
女子校ではない。男子も居る共学だ。
大鳥コンツェルンの会長で大鳥忍軍の総帥の颯太の登場に、学園長で60手前ながら40代後半で通る髪を茶色に染めた年増女の神前渚が校内を案内する事となった。
「総帥、本日はどのような?」
「ん? 大鳥の遠縁の手塚大也君に学校を見学させようと思ってね」
それが表向きの来訪理由だ。女生徒を物色する為とはさすがに言えない。
ちゃんと往路のハイヤーの中で説明された大也が、
「大学検定に合格してるから高校は通わないと言ったら見学する事態に」
「何歳なの?」
「17、通学していたら高2です」
「転校してみる?」
「いえいえ、勘弁して下さい。島育ちで常識がなってませんから。団体行動も苦手ですし、アハハハハ」
大也は嘘臭い陽キャラを演じながら不知火学園を30分ほど見学した。
その後、ハイヤーで不知火学園から帰った訳だが、その復路の車内にて颯太が、
「眼に止まったのは居たかい?」
「ダントツで2年3組で授業をしてた眼鏡の教師ですかね」
「胡桃割百恵百恵? ダメだな、既に既婚者だ。他は?」
「堂々と遅刻して廊下で鉢合わせて学園長先生に怒られてた茶髪のショートカットの・・・」
「『火室さん』と呼ばれてた女生徒か? それほど強くは見えなかったが」
「えっ? 強さで聞いていたんですか? 『風使いが産めそう』で選びましたが」
「・・・そうだったね。他に候補は居なかったのかい?」
「グランドで武器で模擬戦をしてた中に――チッ!」
大也が舌打ちした3秒後にはハイヤーを守るように前列を走る護衛車両が爆発して炎上したのだった。
0
お気に入りに追加
24
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
保健室の秘密...
とんすけ
大衆娯楽
僕のクラスには、保健室に登校している「吉田さん」という女の子がいた。
吉田さんは目が大きくてとても可愛らしく、いつも艶々な髪をなびかせていた。
吉田さんはクラスにあまりなじめておらず、朝のHRが終わると帰りの時間まで保健室で過ごしていた。
僕は吉田さんと話したことはなかったけれど、大人っぽさと綺麗な容姿を持つ吉田さんに密かに惹かれていた。
そんな吉田さんには、ある噂があった。
「授業中に保健室に行けば、性処理をしてくれる子がいる」
それが吉田さんだと、男子の間で噂になっていた。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
俺が異世界帰りだと会社の後輩にバレた後の話
猫野 ジム
ファンタジー
会社員(25歳・男)は異世界帰り。現代に帰って来ても魔法が使えるままだった。
バレないようにこっそり使っていたけど、後輩の女性社員にバレてしまった。なぜなら彼女も異世界から帰って来ていて、魔法が使われたことを察知できるから。
『異世界帰り』という共通点があることが分かった二人は後輩からの誘いで仕事終わりに食事をすることに。職場以外で会うのは初めてだった。果たしてどうなるのか?
※ダンジョンやバトルは無く、現代ラブコメに少しだけファンタジー要素が入った作品です
※カクヨム・小説家になろうでも公開しています
実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは
竹井ゴールド
ライト文芸
日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。
その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。
青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。
その後がよろしくない。
青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。
妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。
長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。
次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。
三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。
四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。
この5人とも青夜は家族となり、
・・・何これ? 少し想定外なんだけど。
【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】
【2023/7/11、累計ポイント550万pt突破】
【2023/6/5、お気に入り数2130突破】
【アルファポリスのみの投稿です】
【第6回ライト文芸大賞、22万7046pt、2位】
【2023/6/30、メールが来て出版申請、8/1、慰めメール】
【未完】
戦国の華と徒花
三田村優希(または南雲天音)
歴史・時代
武田信玄の命令によって、織田信長の妹であるお市の侍女として潜入した忍びの於小夜(おさよ)。
付き従う内にお市に心酔し、武田家を裏切る形となってしまう。
そんな彼女は人並みに恋をし、同じ武田の忍びである小十郎と夫婦になる。
二人を裏切り者と見做し、刺客が送られてくる。小十郎も柴田勝家の足軽頭となっており、刺客に怯えつつも何とか女児を出産し於奈津(おなつ)と命名する。
しかし頭領であり於小夜の叔父でもある新井庄助の命令で、於奈津は母親から引き離され忍びとしての英才教育を受けるために真田家へと送られてしまう。
悲嘆に暮れる於小夜だが、お市と共に悲運へと呑まれていく。
※拙作「異郷の残菊」と繋がりがありますが、単独で読んでも問題がございません
【他サイト掲載:NOVEL DAYS】
ブルーナイトディスティニー
竹井ゴールド
キャラ文芸
高2の春休み、露図柚子太は部活帰りに日暮れの下校路を歩いていると、青色のフィルターが掛かった無人の世界に迷い込む。
そして変なロボに追われる中、空から降りてきた女戦闘員に助けられ、ナノマシンを体内に注入されて未来の代理戦争に巻き込まれるのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる