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大也、異性の好みを聞かれる

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 沖縄県の手塚島は人口150人の隠れ島だ。

 よって手塚島にコンビニなんて都会的なものはなく、朝からコンビニでの買い物が体験出来て大也は大満足だった。

 フルーツと焼き鳥の缶詰2缶とサンドイッチとペットボトルのジュースで朝食を食べて満足の大也は談話室に呼ばれた。

 颯太だけが待っており、対面のソフィーに座った大也が、

「何でしょうか?」

「ずばり聞こう。側近をキミに付けたいがどんな者がいい?」

「そりゃ強いのが」

「男と女だと?」

「強ければどちらでも」

「質問の仕方が悪かったな。ずばり大也君はどんな女性が好みなんだい?」

「はあ? 朝から何ですか?」

「手塚島は子供が少ないだろ? 縁組を斡旋しようかと」

 颯太がそう答える中、大也は正直に、

「当主ってそんな事もするんですか、颯太さん?」

「手塚島は大切な大鳥忍軍の里だからな」

 真面目な顔で颯太が言ったので信じた大也が、

「へぇ~」

「で、どんな異性が好みなんだい?」

「そりゃあ、強い子供が産める女ですかね」

 『また妙な事を言い出したぞ』と思いながら颯太が、

「ええっと、その見分け方は・・・」

「あれ、颯太さんは分かりませんか? 『風使いを確実に産めそう』とか『一夜で妊娠しそう』とか」

「・・・いや、分からんな。過去に居たのかい?」

「ええ、沖縄の本島に出掛けた時に数人見かけました」

「ん? 大也君には恋人は居ないと三星みほしから聞いていたが、本当は恋人が居るのかい?」

「いえ、死んだ母に激昂と共に反対されて。『名族の娘でないとダメよ』とか訳の分からない事を喚き、取りつく島もなくて。最後には怒りから母の過去の傷が発熱して体調を崩し、諦めました」

 颯太が『やはり先代の落胤だと思ってた訳か』と納得しながら、

「ふむ。では名族の娘を呼ぶからその中から選ぶかい?」

「ええっと・・・断れるんですか、それ?」

「自力で探したいならそれでもいいがお見合いの方が早いからね」

「なるほど。ではお願いします」

 大也は気軽に言ったが、





 颯太は『大鳥邸に年頃の娘を複数呼び出して面接させる』なんて真似はしなかった。

 忍者育成機関ーー表の名称は私立高等学校 『不知火しらぬい学園』に大也を連れて出向いたのだから。

 女子校ではない。男子も居る共学だ。

 大鳥コンツェルンの会長で大鳥忍軍の総帥の颯太の登場に、学園長で60手前ながら40代後半で通る髪を茶色に染めた年増女の神前かんざきなぎさが校内を案内する事となった。

「総帥、本日はどのような?」

「ん? 大鳥うちの遠縁の手塚大也君に学校を見学させようと思ってね」

 それが表向きの来訪理由だ。女生徒を物色する為とはさすがに言えない。

 ちゃんと往路のハイヤーの中で説明された大也が、

「大学検定に合格してるから高校は通わないと言ったら見学する事態に」

「何歳なの?」

「17、通学していたら高2です」

「転校してみる?」

「いえいえ、勘弁して下さい。島育ちで常識がなってませんから。団体行動も苦手ですし、アハハハハ」

 大也は嘘臭い陽キャラを演じながら不知火学園を30分ほど見学した。





 その後、ハイヤーで不知火学園から帰った訳だが、その復路の車内にて颯太が、

「眼に止まったのは居たかい?」

「ダントツで2年3組で授業をしてた眼鏡の教師ですかね」

胡桃割くるみわり百恵ももえ百恵? ダメだな、既に既婚者だ。他は?」

「堂々と遅刻して廊下で鉢合わせて学園長先生に怒られてた茶髪のショートカットの・・・」

「『火室ひむろさん』と呼ばれてた女生徒か? それほど強くは見えなかったが」

「えっ? 強さで聞いていたんですか? 『風使いが産めそう』で選びましたが」

「・・・そうだったね。他に候補は居なかったのかい?」

「グランドで武器で模擬戦をしてた中に――チッ!」

 大也が舌打ちした3秒後にはハイヤーを守るように前列を走る護衛車両が爆発して炎上したのだった。
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