王立ミリアリリー女学園〜エニス乙女伝説・リリーデーの禊編〜

竹井ゴールド

文字の大きさ
上 下
17 / 22
深夜番

ミリアリリー女学園の7不思議【シュガーナside】

しおりを挟む
 ラッキィ~。

 今週は委員長と巡回の番が2回とも被ってて、お陰で深夜番の今夜もエニスさまと会う事が出来たわ。

「エニスさんまで付き合う事なかったのに」

「だったら、『もう許した』ってお姉さまに言って欲しいんだけど?」

「休日を含んでもまだ4日目じゃないの。こんなに簡単に許したら私がパリナさまに怒られるわよ」

「そうよね。お姉さまって潔癖だから」

 そんな訳で私はエニスさまとミリアリリー女学園内の巡回をした。





 夜間の巡回で一番怖いのは(不評なのは)礼拝堂だ。

 ミリアリリー女学園の7不思議にもあるくらいで、時々幽霊が出るから。

「清められた礼拝堂の中に幽霊が出るの?」

 エニスさまは面白がってたけど、

「はい」

「それは実に興味があるわね」

 エニスさまはそう笑って礼拝堂内に出向いた。





 ミリアリリー学園の礼拝堂は、女神像が一体鎮座し、長椅子とステンドグラス、パイプオルガンがあるだけの簡素な物だった。

 祀る女神は、大地女神ダイアンリアレア様だ。

 聖母を思わす女神様で足元には狼のオクチバナスが従っている像だった。

 ステンドグラスの所為か、この礼拝堂は相変わらず夜は雰囲気がある。

 委員長と私と一緒に巡回してる同じく2年生で、金髪で女子なのにリーゼントの髪型のクリスティーナさんが魔石ランタンで礼拝堂内を照らす中、私が、

「異状なしですね」

「・・・ええ、そうね」

 エニスさまが大地女神ダイアンリアレア様の像を興味深そうに眺めながら呟いていた。





 次に怖い場所と言えば屋根が崩落して改修中のダンスホールだ。

 昔は怖くなかったけど魔力汚染があってから、汚染された魔力が除去された後でも妙に雰囲気があった。

 風も気持ち悪いし、時々人魂が出現する心霊スポットだから。

 私は眼を凝らした。

 ここだけの話だけど、私は【黒猫変身】の能力が開眼したと同時に、人間の時でも【猫目】が使えて暗闇が見渡せるようになっている。

 だからクリスティーナさんが魔石ランタンを持ってる訳だし。

 それと・・・

 3年生が巡回に少ないのは風紀委員会に入会して1年生を放課後に鍛えてるからね。

 1年生達はまだ正委員ではなくて仮入会の状態。

 正委員になれるかは訓練次第だから。

 それと狩猟部での狩猟、または騎乗部での騎乗の外部参加ね。

 来年の1月には騎士団入団試験だから訓練に余念がないから(委員長は内定を貰ってるけど)。

 皆さん、お忙しいので。

「ここって雰囲気が変ですよね、エニスさま?」

 少し寒気を感じた私が問うと、

「らしいわね。人魂が集まってるところを見ると」

 エニスさまが視線を向けた先には、人魂どころか、人魂とは系統は違うけど高位のカボチャのランタンジャックオーランタンが4つ出現してプカプカと浮いていた。

 2メートル級が1つと、50センチ級が3つ。

「退治するのよね?」

 とエニスさまが尋ねた時には、委員長が【加速】を使って接近し、剣でカボチャのランタンジャックオーランタン4つ全部を斬り捨てていた。

 普通は物理攻撃など効かないけど、特級の魔玉3個付きだからね、委員長の剣は。

 それにカボチャのランタンは可愛い(?)外見とは裏腹に、ああ見えて、本当は強いから。





 巡回はまだまだ続く。

 ミリアリリー女学園の正門前にも来た。

 エニスさまが不意に、

「梟で監視されてるっぽいけど?」

「梟なら生徒指導のサレレア先生のペットね。【鳥使い】だから」

「普段は青色のオウムを肩に乗せてる先生よね? なるほど。色々と居るのね」

 エニスさまと一緒に正門を出て、ミリアリリー女学園を囲む塀沿いを歩いた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界転生ファミリー

くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?! 辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。 アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。 アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。 長男のナイトはクールで賢い美少年。 ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。 何の不思議もない家族と思われたが…… 彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

世界中にダンジョンが出来た。何故か俺の部屋にも出来た。

阿吽
ファンタジー
 クリスマスの夜……それは突然出現した。世界中あらゆる観光地に『扉』が現れる。それは荘厳で魅惑的で威圧的で……様々な恩恵を齎したそれは、かのファンタジー要素に欠かせない【ダンジョン】であった! ※カクヨムにて先行投稿中

のほほん異世界暮らし

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。 それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

素質ナシの転生者、死にかけたら最弱最強の職業となり魔法使いと旅にでる。~趣味で伝説を追っていたら伝説になってしまいました~

シロ鼬
ファンタジー
 才能、素質、これさえあれば金も名誉も手に入る現代。そんな中、足掻く一人の……おっさんがいた。  羽佐間 幸信(はざま ゆきのぶ)38歳――完全完璧(パーフェクト)な凡人。自分の中では得意とする持ち前の要領の良さで頑張るが上には常に上がいる。いくら努力しようとも決してそれらに勝つことはできなかった。  華のない彼は華に憧れ、いつしか伝説とつくもの全てを追うようになり……彼はある日、一つの都市伝説を耳にする。  『深夜、山で一人やまびこをするとどこかに連れていかれる』  山頂に登った彼は一心不乱に叫んだ…………そして酸欠になり足を滑らせ滑落、瀕死の状態となった彼に死が迫る。  ――こっちに……を、助けて――  「何か……聞こえる…………伝説は……あったんだ…………俺……いくよ……!」  こうして彼は記憶を持ったまま転生、声の主もわからぬまま何事もなく10歳に成長したある日――

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第三章フェレスト王国エルフ編

約束の子

月夜野 すみれ
ファンタジー
幼い頃から特別扱いをされていた神官の少年カイル。 カイルが上級神官になったとき、神の化身と言われていた少女ミラが上級神官として同じ神殿にやってきた。 真面目な性格のカイルとわがままなミラは反発しあう。 しかしミラとカイルは「約束の子」、「破壊神の使い」などと呼ばれ命を狙われていたと知る事になる。 攻撃魔法が一切使えないカイルと強力な魔法が使える代わりにバリエーションが少ないミラが「約束の子」/「破壊神の使い」が施行するとされる「契約」を阻む事になる。 カタカナの名前が沢山出てきますが主人公二人の名前以外は覚えなくていいです(特に人名は途中で入れ替わったりしますので)。 名無しだと混乱するから名前が付いてるだけで1度しか出てこない名前も多いので覚える必要はありません。 カクヨム、小説家になろう、ノベマにも同じものを投稿しています。

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

処理中です...