王立ミリアリリー女学園〜エニス乙女伝説・リリーデーの禊編〜

深夜番

幹部会議【ソフトナside】

　ミリアリリー女学園の風紀委員会は色々と忙しい。

　レッサーデーモン騒動は終了したけど、今度は生徒会がマリンピーチさんとエニスさんが一緒に登校した日にリリーデーの取り決めをミリアリリー女学園側に提出して、その校則の素案がミリアリリー女学園側から本日、風紀委員会に回ってきたからだ。

　その内容は、





　姉妹関係がある生徒は白百合のお菓子を姉妹に贈らず、他に生徒に贈る事を禁じる（姉妹に贈っていれば他の生徒に贈っても構わない）。





　だけだった。

　つまりはムーンローズさまとエニスさんとマリンピーチさんの三角関係の件の防止案が提出された訳だ。

　確かに、今回のこの騒動は１つ打つ手を間違えれば大変な事になっていた。

　いち早く、それを察して手を打ったパリナさまの行動力に感謝だ。

　何故なら、リリーデーのお返しデーで、もしエニスさんがムーンローズさまにお返しを贈った後に事態が発覚したらエニスさんとマリンピーチさんの全面戦争もあり得た。

　ミリアリリー女学園では影響力のある幹部生徒同士の対立は、一般生徒も巻き込む。

　今回の場合だとエニスさんの方が悪いので、余計に始末が悪い。

　エニスさんが折れないと長引く可能性もあった。





　おっと、話が逸れたわね。

　この浮気防止の校則だけど、その問題点は・・・・・・

「これが校則になったらリリーデーでお菓子を校内に持ち込む事を認める事を合法化する事になるのでは？」

「元々、リリーデーはミリアリリー王国の初代国王様の逸話が元なのだから別に問題はないと思うけど」

「恋人同士の話よ、あれは。それにさ、この校則を認めたら制度で姉妹になった生徒に無理矢理、プレゼントを強いる可能性もあるし。全員が裕福ではないからねぇ～」

　風紀委員会の３年生の幹部のグギーゲルさん、ニルベニさん、ルーシーさんがそれぞれ意見を述べて、風紀委員会内ですら意見がまとまらなかった。

　私がマリンピーチさんに、

「委員長の意見は？」

「当事者なので、私はパス。みんなで決めて」

　よね。

　この校則に賛成したらお姉さまをエニスさんに取られて嫉妬した。

　反対したらエニスさんを擁護してる。

　好き勝手言われるから。

「任せたわね。今日は深夜番だから仮眠しに家に帰るわね」

　遂には席を立って帰って行った。





　私が夕番だったこの日にあった事と言えば･･････

　騎乗部で蜥蜴から落ちた生徒の肋骨が突き出た大惨事で、風紀委員会の治癒班や治癒室の先生では治療出来ず、外部の治癒医まで緊急搬送した事。

　剣術部の骨折常連組の生徒３人が風紀委員の治癒班が治療を受けた事。

　回復薬調合部で解毒薬の製造に１年生が失敗して異臭騒ぎがあった事。

　狩猟部がランク【Ｂ】の緑虎を討伐して、その成果を持ってミリアリリー女学園に凱旋した事。

　寮の点呼で８時の門限に領内に居なかった生徒が３人居て、１人が騎士団に保護されて（理由は迷子。女子って意外に迷子になる率が高いのよね）迎えに行った先生と一緒に帰ってきた事。

　改修中のダンスホールの男の職人が校舎内に紛れ込んであわや捕物寸前の騒ぎになった事。

　これくらいかしら？





　まあ、通常はこんな物よ。

　レッサーデーモンの騒動があった方が異常なんだから。