上 下
6 / 22
マリンピーチの小間使い

姉妹制度のリスト確認【アンリside】

しおりを挟む
 放課後、ミリアリリー女学園の学園長室に呼び出されて出向くと、学園長センセイの他にエニスさんが居た。

 エニスさんを見るとドキドキするわね、あの夜の直後だから。

 同時に学園長室に呼び出されてエニスさんが居た事で・・・

 まさか、あの事がバレた? 退職させられる?

 内心冷や汗ものだったわ。

 そんな私が素知らぬ顔をしてるのに、エニスさんは学園長センセイにバレないようにウインクしてくる始末だし。

 私は表情を変えずに学園長センセイに、

「学園長センセイ、何か御用でしょうか?」

「アンリ先生、こちらのエニスさんを事務局に案内して姉妹制度の届けを出した生徒のリストを見せてあげて下さい」

 何だ。エニスさんとの事がバレたんじゃなかったのね。

 そう安堵したけど、私は警戒を怠らなかった。

 この学園長センセイは慧眼過ぎるきらいがある。

 知ってて見逃されてる可能性もあるから。

 それと念の為に説明しておくと・・・

 姉妹制度はミリアリリー女学園に古くからある制度で、当初は劣等生の救済制度だったらしいが、今では指導や後継者育成をスムーズにする制度と化している。

 別に姉妹届のリストは閲覧禁止ではないが、見たがる生徒は新聞部以外には居ないんだけど。

「学園長センセイ、わがままを聞いていただきありがとうございます」

「いえ、普通に見れるリストですから」

「あれ、そうだったんですか?」

「次から事務局に直接出向いて下さいね」

 2人が会話する中、

「では、こちらに。エニスさん」

 私の案内で事務局に出向いたわ。

 学園長室と事務局は共に本校舎1階にあり、廊下で歩けばすぐそこだけど、私が視線で(【念話】は無理よ、傍受されたら洒落にならないから。【接触念話】は触れてないとダメで変だし)、

『ミリアリリー女学園では赤の他人なんだから気軽に喋りかけないでね、エニスさん』

 と伝えて、エニスさんも、

『その変わり、また来てくださいね』

 とウィンクして、意思疎通したので会話もなかった。

 事務局で事務員のルーリッヒさんに、

「こちらのエニスさんに姉妹制度の届けのリストを見せてあげて下さい」

「畏まりました」

「じゃあ、私はこれで」

「ありがとうございました、アンリ先生」

 こうしてエニスさんと別れたのだった。

 姉妹制度のリストを確認するなんて何かあったのかしら?

 ミリアリリー女学園事情に疎く(昼休みは生徒指導担当の教師は忙しく、ランチを5限目の空き時間に食べた私は)、その日の放課後になっても、まだエニスさんとマリンピーチさんがベッタリな事を知らず、そう思ったのだった。 
しおりを挟む

処理中です...