3 / 22
マリンピーチの小間使い
あ〜ん【マリンピーチside】
しおりを挟む
休日明けの登校日、私はミリアリリー女学園に登校した。
レコリーズ伯爵家の狼車でエニスさんと一緒に。
そんな訳で狼車から私とエニスさんが出てくれば、キャア、と黄色い悲鳴が上がり、エニスさんが調子に乗って私に腕を組んだので、更に、キャア、と悲鳴が上がった。
私が腕を組むエニスさんに視線を向けながら、
「ちょっと、エニスさん?」
「どうせ、バレるんだからいいじゃないの。嫌なら許してよ、それで万事解決なんだから」
「簡単にエニスさんを許したら、許した私がパリナさまに怒られるじゃないの」
「・・・言えてる。お姉さまは変なところで潔癖だから。意外と大変かもね。今回のこれって」
エニスさんはどこか楽しそうだった。
まあ、私もだけど・・・・・・
私はエニスさんと腕を組みながら歩こうと視線をミリアリリー女学園側に向けたら、視界に新聞部の部長のシノーラさんと部員数名が眼を輝かせて、こっちを見ていた。
前言撤回。こりゃ、大変だわ。
と私が背筋を正す中、当然、シノーラさん達が私達に寄ってきて、
「エニスさん、これも都内校交流戦で優勝した代表選手への御褒美なの?」
「いいえ、違うわ、シノーラさん。記事にしないと約束するなら全部話すけど」
「記事にしちゃダメなの?」
「ええ、意外にデリケートな問題でね。私は全然そうは思わないんだけど。こればかりは性格によるわね」
確かに。
「約束するわ、記事にしないって。だから何があったのか教えて」
とシノーラさんが約束して、エニスさんが私に、
「いいわよね」
「ええ」
確認された私も了承して、私達は新聞部に事情を話した。
エニスさんと3年生の自分のクラスまで腕を組んで通学して別れた後・・・
クラスメイトから質問攻めに合い・・・・・・
話を聞き付けたのだろう。遂には私の妹で次期風紀委員長のヨリーシア・タルムが朝のホームルーム前に3年生の私のクラスにまでやってきて、
「お姉さま、妙な話を耳にしたのですが・・・」
ヨリーシアは長い赤毛の巻き毛で、赤眼の凛々しい系の2年生だ。
来年には立派な風紀委員長になってる事でしょう。
ああ、風紀委員なのだから当然、ズボンよ。
「エニスさんと腕を組んで通学したという話なら本当よ」
「どうしてですか?」
「私のお姉さまの名誉に関わる事なので言えないんだけど、例え話で説明すると、リリーデーでアナタが姉の私にお菓子を贈ったのに、姉の私はアナタには贈らず、それなのに陰でこっそりと私がシュガーナにお菓子を贈ってたのが妹のアナタにバレてシュガーナがアナタに許して貰おうと頑張ってる、みたいなものかしらね?」
例え話にしたのはお姉さまの不義を吹聴しない為だけど。
「・・・つまり、ご卒業されたお姉さまのお姉さまのムーンローズさまがエニスさまにリリーデーにお菓子を贈ったと? まさか、ありえません。ムーンローズさまはエニスさまの事を嫌って・・・えっ、好きの裏返しだったんですか、あれって?」
バレバレだった。
「助けられたからと言ってたけど、どうだかね」
「ですが、リリーデーに贈ったという事は・・・」
「ええ。パリナさまが誰よりも早く気付いて手を打たれてこうなったわ」
「・・・こうとは?」
「我がレコリーズ伯爵家で許してメイド奉公」
「誰がですか?」
「エニスさん」
私がニヤけてしまったのか、ヨリーシアが、
「何かいい事があったんですか、もう?」
「起床をエニスさんに起こされたからね」
「・・・ええっと、妹の私も大切にして下さいね」
「してるじゃないの。大切に」
心配するヨリーシアの頬を私は撫でたのだった。
昼休み。
普段、エニスさんは食堂の奥で友人達と陣取ってるのだけど、
「はい、マリンピーチさん、あ~ん」
今日は私の隣の席に座ってて、フォークで刺した一口サイズのステーキ肉を私の口元に勧めてきたわ。
食堂の全員が私達を見てるのに。
「食べないわよ、さすがにっ!」
「・・・・・・仲いいんですね?」
普段は友達とお昼を食べてる癖に、今日は何故か正面に陣取ってる妹のヨリーシアがジト眼で私とエニスさんを見る中、
「当然でしょ。私はマリンピーチさんの事を隅々まで全部を知ってるんだから」
「こら、エニスさん。変な事を言って私の妹を心配させないでちょうだい」
私はそう気を使う破目になった。
レコリーズ伯爵家の狼車でエニスさんと一緒に。
そんな訳で狼車から私とエニスさんが出てくれば、キャア、と黄色い悲鳴が上がり、エニスさんが調子に乗って私に腕を組んだので、更に、キャア、と悲鳴が上がった。
私が腕を組むエニスさんに視線を向けながら、
「ちょっと、エニスさん?」
「どうせ、バレるんだからいいじゃないの。嫌なら許してよ、それで万事解決なんだから」
「簡単にエニスさんを許したら、許した私がパリナさまに怒られるじゃないの」
「・・・言えてる。お姉さまは変なところで潔癖だから。意外と大変かもね。今回のこれって」
エニスさんはどこか楽しそうだった。
まあ、私もだけど・・・・・・
私はエニスさんと腕を組みながら歩こうと視線をミリアリリー女学園側に向けたら、視界に新聞部の部長のシノーラさんと部員数名が眼を輝かせて、こっちを見ていた。
前言撤回。こりゃ、大変だわ。
と私が背筋を正す中、当然、シノーラさん達が私達に寄ってきて、
「エニスさん、これも都内校交流戦で優勝した代表選手への御褒美なの?」
「いいえ、違うわ、シノーラさん。記事にしないと約束するなら全部話すけど」
「記事にしちゃダメなの?」
「ええ、意外にデリケートな問題でね。私は全然そうは思わないんだけど。こればかりは性格によるわね」
確かに。
「約束するわ、記事にしないって。だから何があったのか教えて」
とシノーラさんが約束して、エニスさんが私に、
「いいわよね」
「ええ」
確認された私も了承して、私達は新聞部に事情を話した。
エニスさんと3年生の自分のクラスまで腕を組んで通学して別れた後・・・
クラスメイトから質問攻めに合い・・・・・・
話を聞き付けたのだろう。遂には私の妹で次期風紀委員長のヨリーシア・タルムが朝のホームルーム前に3年生の私のクラスにまでやってきて、
「お姉さま、妙な話を耳にしたのですが・・・」
ヨリーシアは長い赤毛の巻き毛で、赤眼の凛々しい系の2年生だ。
来年には立派な風紀委員長になってる事でしょう。
ああ、風紀委員なのだから当然、ズボンよ。
「エニスさんと腕を組んで通学したという話なら本当よ」
「どうしてですか?」
「私のお姉さまの名誉に関わる事なので言えないんだけど、例え話で説明すると、リリーデーでアナタが姉の私にお菓子を贈ったのに、姉の私はアナタには贈らず、それなのに陰でこっそりと私がシュガーナにお菓子を贈ってたのが妹のアナタにバレてシュガーナがアナタに許して貰おうと頑張ってる、みたいなものかしらね?」
例え話にしたのはお姉さまの不義を吹聴しない為だけど。
「・・・つまり、ご卒業されたお姉さまのお姉さまのムーンローズさまがエニスさまにリリーデーにお菓子を贈ったと? まさか、ありえません。ムーンローズさまはエニスさまの事を嫌って・・・えっ、好きの裏返しだったんですか、あれって?」
バレバレだった。
「助けられたからと言ってたけど、どうだかね」
「ですが、リリーデーに贈ったという事は・・・」
「ええ。パリナさまが誰よりも早く気付いて手を打たれてこうなったわ」
「・・・こうとは?」
「我がレコリーズ伯爵家で許してメイド奉公」
「誰がですか?」
「エニスさん」
私がニヤけてしまったのか、ヨリーシアが、
「何かいい事があったんですか、もう?」
「起床をエニスさんに起こされたからね」
「・・・ええっと、妹の私も大切にして下さいね」
「してるじゃないの。大切に」
心配するヨリーシアの頬を私は撫でたのだった。
昼休み。
普段、エニスさんは食堂の奥で友人達と陣取ってるのだけど、
「はい、マリンピーチさん、あ~ん」
今日は私の隣の席に座ってて、フォークで刺した一口サイズのステーキ肉を私の口元に勧めてきたわ。
食堂の全員が私達を見てるのに。
「食べないわよ、さすがにっ!」
「・・・・・・仲いいんですね?」
普段は友達とお昼を食べてる癖に、今日は何故か正面に陣取ってる妹のヨリーシアがジト眼で私とエニスさんを見る中、
「当然でしょ。私はマリンピーチさんの事を隅々まで全部を知ってるんだから」
「こら、エニスさん。変な事を言って私の妹を心配させないでちょうだい」
私はそう気を使う破目になった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
10
1 / 3
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる