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1569年、伊勢、志摩、制圧
殿中御掟
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【足利義昭、殿中御掟を承認させられて怒ってる説、採用】
【摂津晴門、1509年生まれ説、採用】
【上野秀政、1544年生まれ説、採用】
【池田恒興、殿中御掟の説明が総て出来て幕臣達を煙に巻いた説、採用】
【足利義昭、本願寺が嫌い説、採用】
【幕府、越前に一年滞在しても上洛しなかった朝倉義景を嫌ってる説、採用】
【幕府、暴走を始めてる説、採用】
【曾我助乗、1531年生まれ説、採用】
一月十四日。
足利義昭は織田信長に、
一つ、御用係や警備係、雑用係などの同朋衆などの下級の使用人は前例通りとする。
一つ、公家衆、御供衆、申次の者は、将軍の御用があれば直ちに伺候する事。
一つ、惣番衆は、呼ばれなくとも出動しなければならない。
一つ、幕臣の家来が御所に用向きがある際は、当番役の時だけにする事。それ以外に御所に近付く事を禁止する。
一つ、奉公衆が出した結論を将軍が一存で決めてはならない。(従来のやり方の通りとする)。
一つ、訴訟規定は従来通りとする。
一つ、当番衆は、申次を経ずに何かを将軍に訴えてはならない。
一つ、門跡や僧侶、比叡山延暦寺の僧兵、医師、陰陽師をみだりに殿中に入れない事。足軽と猿楽師は呼ばれれば入ってもよい。
このような9箇条の「殿中御掟」という掟書を承認させられる事となった。
当然、義昭や幕臣達は大激怒で、信長の許に出向させていた幕臣の明智光秀は御座所の本圀寺の大広間に呼び出されて、
「これはどういう事だ、日向守?」
足利義昭はもちろん、
「いくら織田殿とはいえ、ここまで干渉される謂われはないぞ」
「まったくもってけしからん」
政所執事の摂津晴門、奉公衆の上野秀政が厳しく詰問した。
光秀はどこ吹く風で、
「さあ、詳しくは私も聞いておらず。後で池田殿が説明に来られるとの事です」
他人事のように答えているものだから、その態度すら義昭は気に入らない。
そんな訳で恒興が着くまで光秀が怒りの集中砲火を喰らう事となり、
暫くして、本圀寺の御座所に、
「公方様、池田恒興、只今参上致しました」
普段の調子で恒興がやってきたのだった。
恒興には甘い事が分かっていたので義昭が口を開く前に、摂津晴門が、
「池田殿、全部説明出来るのであろうな、この殿中御掟とかいうものの?」
「無論です」
「では一つ目のこれは何だ? どうしてこんな指図を受けなければならない?」
怒る晴門の質問に、恒興が、
「ああ、その最初の一つ目はオレが信長様に頼んで入れて貰いました~」
「はあああ? どういう事だ、池田殿?」
「いや、だって、公方様の御身を守る為ですから」
「分かりやすく説明して貰おうか」
「では」
と前置きをしてから、
「攝津殿にはこれから三好三人衆の三好長逸の立場になって考えていただきます」
「はあ? そんな言葉遊びをしてる場合ではーー」
「重要な事です」
恒興が言い、義昭が、
「中務、付き合ってやれ」
「はっ」
仕方なく付き合う晴門に、
「摂津殿は三好長逸です。せっかく公方様の兄君を倒して、偽将軍を14代将軍に添えたのに言う事を全く聞かない浄瑠璃人形だったので殺し、更に間の悪い事に公方様が信長様の尽力で上洛してきて15代将軍となり、公方様の兄君、13代将軍を殺した件で公方様に追討令まで出されてしまいました。そんな公方様が京に居る限り三好長逸に明日はありません。十日前には三好三人衆の軍を率いて公方様を殺そうと京まで攻めましたが、それも失敗。さあ、次はどうやって公方様の命を狙いますか?」
「知るかっ!」
恒興の質問に晴門が吠えたが、
「正解は『暗殺者を放つ』です」
「何?」
「軍を率いての正攻法では無理だと判明したのですから、順当に考えればそうなります。そこで問題となるのが御座所の警備です。鉄壁の警備の御座所ですから夜中に賊としての侵入などは不可能です」
「当然であろう」
晴門が胸を張って誇らしげに肯定したが、
「なので公方様にお仕えする末端の雑用係としてその暗殺者は御座所に潜り込む事となります」
「・・・待て。そんな事、不可能であろう?」
「御座所の内部の者ならば厳しく審査がされているようですが、雑用係まではそんなに厳しくはないのでしょう?」
「まあのう」
「そして、この御座所最大の弱点は仕事の住み分けが、まだきちんとされていない事です。偶然が重なれば公方様を亡き者にしようと入り込んだ不埒者が公方様の近くまで近付ける可能性がある訳で、公方様が殺されたりしたら凄く困るのでオレが信長様に頼みました」
納得の説明を聞かされて晴門が黙って「本当に可能か」と考え込む中、間を置かずに奉公衆の上野秀政が、
「では、二つ目と三つ目も?」
「はい、公方様を守る為です」
「だが、この四つ目のは逆であろう? これは明らかに公方様の警備が弱まる事を意味しているではないか」
「いやいや、違いますよ。この幕臣とは領地持ちの細川殿、和田殿、三淵殿達の事を指し、公方様の傍に侍るのではなく自分の城で領国の統治をしっかりとやって『公方様の兵を鍛えろ』という意味なのですから。その兵達が公方様の親衛隊となるのですからちゃんと訓練して貰わないと」
「そう考えれば、なるほどと納得だが」
「それに他の方々にも・・・」
「何だ。何か我々にも言いたい事でもあるのか?」
「誰か越前に行きましたか?」
「何?」
「ほら、公方様の烏帽子親の越前の『朝倉何とか』ってのが居たでしょう」
名前すら覚えていない恒興が堂々と、
「あの男、公方様の烏帽子親の癖にまだ使者を寄越しただけで本人は京に上洛していませんよね? 烏帽子親がそれだと公方様の恰好が付かないではないですか」
「あの恩知らずの役立たずは越前より動かんだろうさ」
上野秀政も越前合流組なので朝倉義景に嫌悪があるのか吐き捨てた。
「そして幹部の皆さんは京から越前なんて田舎にはもう行きたくもない」
本音を言い当てられた秀政が、
「まあな。それがどうした?」
「重臣が出向いて説得しないと来る者も来ませんよ」
「休みの間に越前まで誰か出向けと言っているのか?」
「ええ。まあ嫌でしょうけど」
「嫌だな」
と素直に言う秀政に変わり、上座の義昭自らが、
「なるほどのう。では五つ目と六つ目と七つ目の訴訟関連は何だ?」
「無論、公方様の為です」
「と言うと?」
「『些事の訴訟を一々公方様が指図』なんてあり得なくないですか? 重要な案件以外は奉公衆達に裁定させればよろしいのですよ」
「では八つ目の『他の者が訴えてはならない』というのもそういう事か?」
「それと警備上の問題です。訴訟を理由に初対面の者が公方様に遭うとかあり得ませんから。三好三人衆が放った刺客だったらどうするんですか?」
「なるほどのう」
義昭は八つ目の条文までは納得したが、
「だが、この九つ目のは? 問題なかろうが」
「いやいや」
恒興がニヤニヤ顔で、
「ほら、公方様って僧籍を持ってた関係で南蛮教以上に『とある宗派の事が大嫌い』じゃないですか? 御座所に招いたら絶対に大喧嘩するかネチネチと虐めて、後で問題になりますから。他の宗派の僧侶の皆様、多分、公方様と一緒の宗派が嫌いなはずですし、集まればその宗教への良からぬ謀議する可能性がありますので」
そう指摘すると、自分でも心当たりがあったのか義昭も苦笑しながら、
「では医者の方は?」
「『頻繁に医者が公方様の許に通ってる』なんて噂が立っただけでも『御病気なのでは?』との憶測を呼んで大変な事になりますからね。想像しただけでも恐ろしい。そんな訳で二日酔いで医者を招くのも駄目ですからね。『また公方様が二日酔いだ』とか評判が悪くなりますから」
「余はそんなに酒は飲んでおらんぞ」
「本当ですか? 昨日は?」
その恒興の追及に、義昭は視線を逸らして動揺し、その質問には答えず白々しく、
「なるほどのう。総てに合点がいった。だが、ならばどうして信長は余にそう説明しなかったのだ?」
「見方によっては幕臣達の怠慢を指摘してますからね、これ。さすがに気が引けたのでは? 特に警備の方の指図は完全に織田による幕府介入ですから」
「変な事を気にするのう、信長も」
「公方様の家来衆の面子を立てたのだと思いますよ」
「ふむ、分かった。信長に『理解した』と伝えておくように」
こうして一回目の「殿中御掟」は事なきを得たのだが。
その二日後の一月十六日には更に、
一つ、(幕府が)寺社本所領を押収する事を停止する。
一つ、請取沙汰を停止する事。
一つ、喧嘩公論の禁止、違反する者は方をもって成敗する。これに合力する者は同罪。
一つ、理不尽に催促する事を禁止。
一つ、将軍が訴訟を直接取り合う事を禁止。
一つ、もし訴訟をしたいのであれば奉公人を通す事。
一つ、占有地については関係を把握して差配する事。
この7箇条が追加された。
御座所の本圀寺では義昭が恒興に、
「二日後に更に追加ってどういう事だ、恒興?」
「それはこっちの台詞ですよ、公方様。どうして二日前に説明に来た時に教えてくれなかったんですか? 信長様に怒られてオレ、大変だったんですからね」
恒興が立腹した態度で周囲の幕臣達を睨み回した。
全員が何の事を言われてるのか分かっており、旗色も悪いので誰も口を開かない。
仕方ないので義昭が、
「何の事だ?」
「我々が美濃に帰った2ヶ月の間に、もうとっくに本願寺を狙い撃ちにして所領を押収し始めてるじゃないですか、公方様って?」
恒興の指摘に、義昭が「露見したか」という顔をして、
「まあのう」
「確かに本願寺は調子に乗ってて燗に触りますが、せめて御座所を新しく作り直して、三好三人衆を潰して畿内が安定させてからにして下さい。今は困りますって」
「それが追加の一つ目な訳か。だが恒興、織田なら本願寺を敵に回しても大丈夫であろう?」
本当に軽い口調で義昭が問い、さすがの恒興も呆れながら、
(何も分かってないのって本当に怖いよな~。いや違うか。僧だったんだから本願寺が「東の比叡山、西の本願寺」って呼ばれてるくらい凄い事は知ってるはずだし。それを知った上で織田が本願寺を簡単に倒せると思ってるって事か? 上洛が上手く行き過ぎた弊害が出てる訳か~。これは少し拙いかもな)
少し気を引き締めた。
「気軽に言わないで下さいよ~、公方様~。今年は南伊勢攻めなの知ってる癖に~」
「分かった分かった。なら、他の訴訟関連は?」
「偽公方や三好に味方してた連中潰し関連ですね」
「それはよかろうが?」
「オレもそう思います。寧ろ奪って当然です。これまで三好に味方しておいて公方様の御代でも今まで通りなんて『何、図々しい事を考えてるんだ? 資産や所領が没収くらいで済んでありがたく思え』って話なんですから」
恒興の追従に、義昭が満面の笑顔で頷きながら、
「そうであろう、そうであろう。ん? では何が問題なんだ?」
「生かして放免なんて甘過ぎます。どうして殺さないですか、公方様?」
恒興が苛烈な事を言い始めた。
それには義昭が及び腰になって、
「いや、公家や僧籍は殺しては拙かろう?」
「殺さない方がもっと拙いですって。三好三人衆か本願寺に合流するに決まってるんですから~。『虎を野に放つ』って奴です。三好三人衆や本願寺の兵を増強させるだけなんですからちゃんと殺して、出来ないのなら遠島に追放して下さいよ~」
「ふむ。そこまでは考えていなかったのう」
「なので、しばらくは停止でお願いしますね、もしくは後腐れなく殺すか。お願いしますね」
「わかった」
と義昭は追加の7箇条も承認したのだった。
夜になって三淵藤英の屋敷に数名の有志が集まり、
「あの『殿中御掟』を突き付けてきた織田の狙いは何だと思う?」
屋敷の主の藤栄が尋ねると、招かれた曾我助乗が、
「幕府が正常に機能してませんからね~。織田殿が見るに見兼ねて出したのでしょ」
「確かに。公方様は征夷大将軍になって早二月だというのにまだ有頂天で酒宴ばかり。大和守殿が居ない隙に中務殿と秀政が評定を専横。新たな幕府が発足して僅か二月ながら織田殿が苦言を呈するのも分かると」
武田信景が答えた。
この三人は幕府の未来を憂いている顔ぶれである。
他にも幕府内には、
信長帰順派が明智光秀、細川藤孝、和田惟政(と思われてる)。
専横による私腹肥やし派が摂津晴門。
織田不要、幕府独立派が上野秀政。
無能組が一色藤長。
これらが居た。
「公方様は池田の説明に今回も納得されたのか?」
「はい。あの池田殿は弁が立ち過ぎるきらいがありますので」
「あの男も問題だな。公方様に近付き過ぎてる」
藤英が頭を悩ませる中、助乗が、
「大和守殿、別にそれはよろしいのでは? 織田殿と公方様との連絡係ですので」
「だが、織田が大きくなり過ぎるのは困る。今年は南伊勢に攻めるらしいし」
「何をそんなに織田殿を警戒されてるのです」
「織田が三好のように幕府を蔑ろに・・・いや、本音を語ろう。織田が今の公方様を見限る事を私は恐れてる」
藤英が建前ではなく本音を吐露すると、二人も義昭の行状を知ってるだけに納得して一緒に頭を悩ませたのだった。
頭を悩ませてるのは京に居る柴田勝家も一緒である。
どう頭を悩ませているのかというと、京は特殊な環境な為、幕臣や公家のお歴々と渡りが付けられないのだ。
理由は単純にして明白。
柴田氏の家格の低さにあった。
今の京では織田信長でさえ足利義昭配下の出来星大名扱いなのだ。
その織田家の家老という地位では相手にされず、柴田勝家自身の家格は、清和源氏足利氏斯波氏庶氏とはっきりしているのだが。
京で通用するのは斯波氏までだった。
その庶氏など誰も相手にしてくれない。
沢山居る上に、騙りの偽物も多いので。
足利義昭に気に入られた池田恒興が異常なだけで。
「駄目です。門前払いで書状を渡すのが精一杯でした」
使者を務めて帰ってきた中村文荷斎がそう柴田勝家に報告し、
「クソ、京は駄目か。公家と誰を通じたかったのだが」
公家や幕府だけではなく大きな寺も無理だった。
「別の方法を考えねばならんな」
そう勝家は頭を悩ませたのだった。
登場人物、1569年度
摂津晴門(60)・・・室町幕府の政所執事。官途奉行。官位、中務大輔。義輝、義昭の二代に渡って仕える。永禄の変を内裏に出向いて無傷で乗り切る。幕府で専横を始める。
能力値、疑惑の晴門A、官途願いの摂津氏S、一に幕府、二に私腹B、幕府への忠誠A、義昭からの信頼B、幕府での待遇☆
上野秀政(25)・・・室町幕府の奉公衆。別名、上野大和守。上野清信の養子。出自は真木島昭光の家臣。越前苦労組。義昭の寵臣となった恒興を敵視してる。
能力値、虎の威を借りる秀政B、佞臣の如くS、反織田は恒興嫌いが原因A、幕府への忠誠A、義昭からの信頼B、幕府での待遇A
曾我助乗(38)・・・室町幕府の奉公衆。別名、又次郎。足利義晴、義輝、義昭に仕える。蘇我氏ではないがその姓の響きから高貴な出だと良く勘違いされる。織田贔屓。
能力値、何故か好かれる助乗B、蘇我氏じゃない曾我氏S、隠れ恒興派A、幕府への忠誠A、義昭からの信頼S、幕府での待遇S
武田信景(38)・・・足利義昭の家臣。若狭武田氏出身。母は六角定頼の娘。官位、右衛門佐。若狭が朝倉に併合されて気が気でない。実は恒興贔屓。
能力値、海流読みの信景C、朝鮮語が出来るC、若狭が心配S、義昭への忠誠B、義昭からの信頼C、幕府での待遇B
中村文荷斎(35)・・・勝家の重臣。勝家の知恵袋。正室は柴田勝家の養女。頓馬の文荷斎。京で公家や幕臣、僧侶と誼を通じようとするも失敗する。
能力値、頓馬の文荷斎C、知恵者きどりA、他人が馬鹿に見えるA、悲願は信長暗殺B、勝家への忠誠SS、織田家での待遇E
柴田勝家(39)・・・織田家の第六家老。豪傑の容姿とは裏腹に策士。甲斐武田と密約を交わす。信長優先で池田恒興の殺害は中止。上洛軍の先鋒大将。
能力値、悪知恵の柴田A、見た目通りの剛力S、生傷が絶えずB、織田家への忠誠D、信長からの信頼D、織田家臣団での待遇A
【摂津晴門、1509年生まれ説、採用】
【上野秀政、1544年生まれ説、採用】
【池田恒興、殿中御掟の説明が総て出来て幕臣達を煙に巻いた説、採用】
【足利義昭、本願寺が嫌い説、採用】
【幕府、越前に一年滞在しても上洛しなかった朝倉義景を嫌ってる説、採用】
【幕府、暴走を始めてる説、採用】
【曾我助乗、1531年生まれ説、採用】
一月十四日。
足利義昭は織田信長に、
一つ、御用係や警備係、雑用係などの同朋衆などの下級の使用人は前例通りとする。
一つ、公家衆、御供衆、申次の者は、将軍の御用があれば直ちに伺候する事。
一つ、惣番衆は、呼ばれなくとも出動しなければならない。
一つ、幕臣の家来が御所に用向きがある際は、当番役の時だけにする事。それ以外に御所に近付く事を禁止する。
一つ、奉公衆が出した結論を将軍が一存で決めてはならない。(従来のやり方の通りとする)。
一つ、訴訟規定は従来通りとする。
一つ、当番衆は、申次を経ずに何かを将軍に訴えてはならない。
一つ、門跡や僧侶、比叡山延暦寺の僧兵、医師、陰陽師をみだりに殿中に入れない事。足軽と猿楽師は呼ばれれば入ってもよい。
このような9箇条の「殿中御掟」という掟書を承認させられる事となった。
当然、義昭や幕臣達は大激怒で、信長の許に出向させていた幕臣の明智光秀は御座所の本圀寺の大広間に呼び出されて、
「これはどういう事だ、日向守?」
足利義昭はもちろん、
「いくら織田殿とはいえ、ここまで干渉される謂われはないぞ」
「まったくもってけしからん」
政所執事の摂津晴門、奉公衆の上野秀政が厳しく詰問した。
光秀はどこ吹く風で、
「さあ、詳しくは私も聞いておらず。後で池田殿が説明に来られるとの事です」
他人事のように答えているものだから、その態度すら義昭は気に入らない。
そんな訳で恒興が着くまで光秀が怒りの集中砲火を喰らう事となり、
暫くして、本圀寺の御座所に、
「公方様、池田恒興、只今参上致しました」
普段の調子で恒興がやってきたのだった。
恒興には甘い事が分かっていたので義昭が口を開く前に、摂津晴門が、
「池田殿、全部説明出来るのであろうな、この殿中御掟とかいうものの?」
「無論です」
「では一つ目のこれは何だ? どうしてこんな指図を受けなければならない?」
怒る晴門の質問に、恒興が、
「ああ、その最初の一つ目はオレが信長様に頼んで入れて貰いました~」
「はあああ? どういう事だ、池田殿?」
「いや、だって、公方様の御身を守る為ですから」
「分かりやすく説明して貰おうか」
「では」
と前置きをしてから、
「攝津殿にはこれから三好三人衆の三好長逸の立場になって考えていただきます」
「はあ? そんな言葉遊びをしてる場合ではーー」
「重要な事です」
恒興が言い、義昭が、
「中務、付き合ってやれ」
「はっ」
仕方なく付き合う晴門に、
「摂津殿は三好長逸です。せっかく公方様の兄君を倒して、偽将軍を14代将軍に添えたのに言う事を全く聞かない浄瑠璃人形だったので殺し、更に間の悪い事に公方様が信長様の尽力で上洛してきて15代将軍となり、公方様の兄君、13代将軍を殺した件で公方様に追討令まで出されてしまいました。そんな公方様が京に居る限り三好長逸に明日はありません。十日前には三好三人衆の軍を率いて公方様を殺そうと京まで攻めましたが、それも失敗。さあ、次はどうやって公方様の命を狙いますか?」
「知るかっ!」
恒興の質問に晴門が吠えたが、
「正解は『暗殺者を放つ』です」
「何?」
「軍を率いての正攻法では無理だと判明したのですから、順当に考えればそうなります。そこで問題となるのが御座所の警備です。鉄壁の警備の御座所ですから夜中に賊としての侵入などは不可能です」
「当然であろう」
晴門が胸を張って誇らしげに肯定したが、
「なので公方様にお仕えする末端の雑用係としてその暗殺者は御座所に潜り込む事となります」
「・・・待て。そんな事、不可能であろう?」
「御座所の内部の者ならば厳しく審査がされているようですが、雑用係まではそんなに厳しくはないのでしょう?」
「まあのう」
「そして、この御座所最大の弱点は仕事の住み分けが、まだきちんとされていない事です。偶然が重なれば公方様を亡き者にしようと入り込んだ不埒者が公方様の近くまで近付ける可能性がある訳で、公方様が殺されたりしたら凄く困るのでオレが信長様に頼みました」
納得の説明を聞かされて晴門が黙って「本当に可能か」と考え込む中、間を置かずに奉公衆の上野秀政が、
「では、二つ目と三つ目も?」
「はい、公方様を守る為です」
「だが、この四つ目のは逆であろう? これは明らかに公方様の警備が弱まる事を意味しているではないか」
「いやいや、違いますよ。この幕臣とは領地持ちの細川殿、和田殿、三淵殿達の事を指し、公方様の傍に侍るのではなく自分の城で領国の統治をしっかりとやって『公方様の兵を鍛えろ』という意味なのですから。その兵達が公方様の親衛隊となるのですからちゃんと訓練して貰わないと」
「そう考えれば、なるほどと納得だが」
「それに他の方々にも・・・」
「何だ。何か我々にも言いたい事でもあるのか?」
「誰か越前に行きましたか?」
「何?」
「ほら、公方様の烏帽子親の越前の『朝倉何とか』ってのが居たでしょう」
名前すら覚えていない恒興が堂々と、
「あの男、公方様の烏帽子親の癖にまだ使者を寄越しただけで本人は京に上洛していませんよね? 烏帽子親がそれだと公方様の恰好が付かないではないですか」
「あの恩知らずの役立たずは越前より動かんだろうさ」
上野秀政も越前合流組なので朝倉義景に嫌悪があるのか吐き捨てた。
「そして幹部の皆さんは京から越前なんて田舎にはもう行きたくもない」
本音を言い当てられた秀政が、
「まあな。それがどうした?」
「重臣が出向いて説得しないと来る者も来ませんよ」
「休みの間に越前まで誰か出向けと言っているのか?」
「ええ。まあ嫌でしょうけど」
「嫌だな」
と素直に言う秀政に変わり、上座の義昭自らが、
「なるほどのう。では五つ目と六つ目と七つ目の訴訟関連は何だ?」
「無論、公方様の為です」
「と言うと?」
「『些事の訴訟を一々公方様が指図』なんてあり得なくないですか? 重要な案件以外は奉公衆達に裁定させればよろしいのですよ」
「では八つ目の『他の者が訴えてはならない』というのもそういう事か?」
「それと警備上の問題です。訴訟を理由に初対面の者が公方様に遭うとかあり得ませんから。三好三人衆が放った刺客だったらどうするんですか?」
「なるほどのう」
義昭は八つ目の条文までは納得したが、
「だが、この九つ目のは? 問題なかろうが」
「いやいや」
恒興がニヤニヤ顔で、
「ほら、公方様って僧籍を持ってた関係で南蛮教以上に『とある宗派の事が大嫌い』じゃないですか? 御座所に招いたら絶対に大喧嘩するかネチネチと虐めて、後で問題になりますから。他の宗派の僧侶の皆様、多分、公方様と一緒の宗派が嫌いなはずですし、集まればその宗教への良からぬ謀議する可能性がありますので」
そう指摘すると、自分でも心当たりがあったのか義昭も苦笑しながら、
「では医者の方は?」
「『頻繁に医者が公方様の許に通ってる』なんて噂が立っただけでも『御病気なのでは?』との憶測を呼んで大変な事になりますからね。想像しただけでも恐ろしい。そんな訳で二日酔いで医者を招くのも駄目ですからね。『また公方様が二日酔いだ』とか評判が悪くなりますから」
「余はそんなに酒は飲んでおらんぞ」
「本当ですか? 昨日は?」
その恒興の追及に、義昭は視線を逸らして動揺し、その質問には答えず白々しく、
「なるほどのう。総てに合点がいった。だが、ならばどうして信長は余にそう説明しなかったのだ?」
「見方によっては幕臣達の怠慢を指摘してますからね、これ。さすがに気が引けたのでは? 特に警備の方の指図は完全に織田による幕府介入ですから」
「変な事を気にするのう、信長も」
「公方様の家来衆の面子を立てたのだと思いますよ」
「ふむ、分かった。信長に『理解した』と伝えておくように」
こうして一回目の「殿中御掟」は事なきを得たのだが。
その二日後の一月十六日には更に、
一つ、(幕府が)寺社本所領を押収する事を停止する。
一つ、請取沙汰を停止する事。
一つ、喧嘩公論の禁止、違反する者は方をもって成敗する。これに合力する者は同罪。
一つ、理不尽に催促する事を禁止。
一つ、将軍が訴訟を直接取り合う事を禁止。
一つ、もし訴訟をしたいのであれば奉公人を通す事。
一つ、占有地については関係を把握して差配する事。
この7箇条が追加された。
御座所の本圀寺では義昭が恒興に、
「二日後に更に追加ってどういう事だ、恒興?」
「それはこっちの台詞ですよ、公方様。どうして二日前に説明に来た時に教えてくれなかったんですか? 信長様に怒られてオレ、大変だったんですからね」
恒興が立腹した態度で周囲の幕臣達を睨み回した。
全員が何の事を言われてるのか分かっており、旗色も悪いので誰も口を開かない。
仕方ないので義昭が、
「何の事だ?」
「我々が美濃に帰った2ヶ月の間に、もうとっくに本願寺を狙い撃ちにして所領を押収し始めてるじゃないですか、公方様って?」
恒興の指摘に、義昭が「露見したか」という顔をして、
「まあのう」
「確かに本願寺は調子に乗ってて燗に触りますが、せめて御座所を新しく作り直して、三好三人衆を潰して畿内が安定させてからにして下さい。今は困りますって」
「それが追加の一つ目な訳か。だが恒興、織田なら本願寺を敵に回しても大丈夫であろう?」
本当に軽い口調で義昭が問い、さすがの恒興も呆れながら、
(何も分かってないのって本当に怖いよな~。いや違うか。僧だったんだから本願寺が「東の比叡山、西の本願寺」って呼ばれてるくらい凄い事は知ってるはずだし。それを知った上で織田が本願寺を簡単に倒せると思ってるって事か? 上洛が上手く行き過ぎた弊害が出てる訳か~。これは少し拙いかもな)
少し気を引き締めた。
「気軽に言わないで下さいよ~、公方様~。今年は南伊勢攻めなの知ってる癖に~」
「分かった分かった。なら、他の訴訟関連は?」
「偽公方や三好に味方してた連中潰し関連ですね」
「それはよかろうが?」
「オレもそう思います。寧ろ奪って当然です。これまで三好に味方しておいて公方様の御代でも今まで通りなんて『何、図々しい事を考えてるんだ? 資産や所領が没収くらいで済んでありがたく思え』って話なんですから」
恒興の追従に、義昭が満面の笑顔で頷きながら、
「そうであろう、そうであろう。ん? では何が問題なんだ?」
「生かして放免なんて甘過ぎます。どうして殺さないですか、公方様?」
恒興が苛烈な事を言い始めた。
それには義昭が及び腰になって、
「いや、公家や僧籍は殺しては拙かろう?」
「殺さない方がもっと拙いですって。三好三人衆か本願寺に合流するに決まってるんですから~。『虎を野に放つ』って奴です。三好三人衆や本願寺の兵を増強させるだけなんですからちゃんと殺して、出来ないのなら遠島に追放して下さいよ~」
「ふむ。そこまでは考えていなかったのう」
「なので、しばらくは停止でお願いしますね、もしくは後腐れなく殺すか。お願いしますね」
「わかった」
と義昭は追加の7箇条も承認したのだった。
夜になって三淵藤英の屋敷に数名の有志が集まり、
「あの『殿中御掟』を突き付けてきた織田の狙いは何だと思う?」
屋敷の主の藤栄が尋ねると、招かれた曾我助乗が、
「幕府が正常に機能してませんからね~。織田殿が見るに見兼ねて出したのでしょ」
「確かに。公方様は征夷大将軍になって早二月だというのにまだ有頂天で酒宴ばかり。大和守殿が居ない隙に中務殿と秀政が評定を専横。新たな幕府が発足して僅か二月ながら織田殿が苦言を呈するのも分かると」
武田信景が答えた。
この三人は幕府の未来を憂いている顔ぶれである。
他にも幕府内には、
信長帰順派が明智光秀、細川藤孝、和田惟政(と思われてる)。
専横による私腹肥やし派が摂津晴門。
織田不要、幕府独立派が上野秀政。
無能組が一色藤長。
これらが居た。
「公方様は池田の説明に今回も納得されたのか?」
「はい。あの池田殿は弁が立ち過ぎるきらいがありますので」
「あの男も問題だな。公方様に近付き過ぎてる」
藤英が頭を悩ませる中、助乗が、
「大和守殿、別にそれはよろしいのでは? 織田殿と公方様との連絡係ですので」
「だが、織田が大きくなり過ぎるのは困る。今年は南伊勢に攻めるらしいし」
「何をそんなに織田殿を警戒されてるのです」
「織田が三好のように幕府を蔑ろに・・・いや、本音を語ろう。織田が今の公方様を見限る事を私は恐れてる」
藤英が建前ではなく本音を吐露すると、二人も義昭の行状を知ってるだけに納得して一緒に頭を悩ませたのだった。
頭を悩ませてるのは京に居る柴田勝家も一緒である。
どう頭を悩ませているのかというと、京は特殊な環境な為、幕臣や公家のお歴々と渡りが付けられないのだ。
理由は単純にして明白。
柴田氏の家格の低さにあった。
今の京では織田信長でさえ足利義昭配下の出来星大名扱いなのだ。
その織田家の家老という地位では相手にされず、柴田勝家自身の家格は、清和源氏足利氏斯波氏庶氏とはっきりしているのだが。
京で通用するのは斯波氏までだった。
その庶氏など誰も相手にしてくれない。
沢山居る上に、騙りの偽物も多いので。
足利義昭に気に入られた池田恒興が異常なだけで。
「駄目です。門前払いで書状を渡すのが精一杯でした」
使者を務めて帰ってきた中村文荷斎がそう柴田勝家に報告し、
「クソ、京は駄目か。公家と誰を通じたかったのだが」
公家や幕府だけではなく大きな寺も無理だった。
「別の方法を考えねばならんな」
そう勝家は頭を悩ませたのだった。
登場人物、1569年度
摂津晴門(60)・・・室町幕府の政所執事。官途奉行。官位、中務大輔。義輝、義昭の二代に渡って仕える。永禄の変を内裏に出向いて無傷で乗り切る。幕府で専横を始める。
能力値、疑惑の晴門A、官途願いの摂津氏S、一に幕府、二に私腹B、幕府への忠誠A、義昭からの信頼B、幕府での待遇☆
上野秀政(25)・・・室町幕府の奉公衆。別名、上野大和守。上野清信の養子。出自は真木島昭光の家臣。越前苦労組。義昭の寵臣となった恒興を敵視してる。
能力値、虎の威を借りる秀政B、佞臣の如くS、反織田は恒興嫌いが原因A、幕府への忠誠A、義昭からの信頼B、幕府での待遇A
曾我助乗(38)・・・室町幕府の奉公衆。別名、又次郎。足利義晴、義輝、義昭に仕える。蘇我氏ではないがその姓の響きから高貴な出だと良く勘違いされる。織田贔屓。
能力値、何故か好かれる助乗B、蘇我氏じゃない曾我氏S、隠れ恒興派A、幕府への忠誠A、義昭からの信頼S、幕府での待遇S
武田信景(38)・・・足利義昭の家臣。若狭武田氏出身。母は六角定頼の娘。官位、右衛門佐。若狭が朝倉に併合されて気が気でない。実は恒興贔屓。
能力値、海流読みの信景C、朝鮮語が出来るC、若狭が心配S、義昭への忠誠B、義昭からの信頼C、幕府での待遇B
中村文荷斎(35)・・・勝家の重臣。勝家の知恵袋。正室は柴田勝家の養女。頓馬の文荷斎。京で公家や幕臣、僧侶と誼を通じようとするも失敗する。
能力値、頓馬の文荷斎C、知恵者きどりA、他人が馬鹿に見えるA、悲願は信長暗殺B、勝家への忠誠SS、織田家での待遇E
柴田勝家(39)・・・織田家の第六家老。豪傑の容姿とは裏腹に策士。甲斐武田と密約を交わす。信長優先で池田恒興の殺害は中止。上洛軍の先鋒大将。
能力値、悪知恵の柴田A、見た目通りの剛力S、生傷が絶えずB、織田家への忠誠D、信長からの信頼D、織田家臣団での待遇A
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