池田恒興

竹井ゴールド

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1568年、15代将軍、足利義昭

六角との外交失敗

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 【佐和山城で信長暗殺を企んだのは海北綱親だった説、採用】

 【八月の段階で上洛用の織田軍の兵は既に動員されていた説、採用】

 【和田惟政、張り切り過ぎて六角との交渉を決裂させた説、採用】

 【六角義賢、足利義昭が六角を許してないと推察して足利義栄に味方すると決めた説、採用】

 【森えい、1536年生まれ説、採用】

 【三淵藤英、上洛の為に織田に借り出されて甲斐の使者をやらされた説、採用】

 【『美濃喰わせ釣り出し殺し』は恒興が酒の席で適当に語った策説、採用】

 【松平信一、援軍1000人を連れて美濃に到着説、採用】

 【三好、最後の足掻きで堺の商人を使って米を買い占めた説、採用】





 信長公記では八月七日らしいのだが。

 南近江の浅井領の佐和山城内に織田信長の姿があった。

 総ては六角家との交渉の為だ。

 美濃からの使者の往復だと日数を要するのでわずらしく、直接信長がやってきていた訳だが。

「お初にお目に掛かります、浅井長政です」

 北近江の浅井家当主の長政自らが佐和山城で信長を出迎えた。

「おお、義弟殿か。六角との交渉の為に佐和山城に滞在させて貰うぞ」

「ええ、どうぞ」

 長政は笑顔で信長を案内したが、





 案内後に、長政の護衛として佐和山城にやってきた海北綱親が、

「織田の供廻りは30人程ですぞ、殿」

「それがどうした、ジイ?」

「容易く討ち取れるという事です」

「待て待て。公方様の家来も来ているのに何を言っておるのだ?」

「はて? 将軍宣下を受けた公方様は摂津に居られるではありませんか」

「あれは将軍殺しの三好が掲げた偽将軍だろうが」

「偽将軍でも将軍は将軍です。覚えがめでたくなるかと。それに信長を殺してそのまま美濃を併合すれば浅井の力が増し・・・」

「しっ」

 長政がいち早く気付いて指図して海北綱親も遅蒔きに気付いて黙る中、廊下を歩いてきた人物が、

「浅井殿はどこか知らないか?」

「いえ、知りません」

 浅井の家中の者に質問しており、

「私はここですが?」

 長政が襖を開けると、

「おお、浅井殿。信長様の一の配下、木下秀吉にございまする」

 大言を吐く秀吉が目の前に現れた。

 長政は相手に合わせて、

「墨俣に一夜城を建てた御高名はかねがね」

「えっ、そうなのですか? 照れますな~」

 煽てに乗った秀吉が、

「実はお願いしたき儀が」

「何でしょう?」

「六角の家臣への調略をしたいのでお力添えを願えないでしょうか」

「? 佐和山城には六角の領土通行の交渉に来られたのですよね?」

「御破算になった際の次の一手ですよ。手は先に打った方が良いかと」

「・・・義兄殿のお指図なのですか?」

「まさか、配下として殿の御為に事前に動くのは当然でございますれば。そちらの海北殿と同じように」

「というと?」

「何やら海北殿の家臣が殺気立っておられますので。信長様に弓を引く恐れがあったら一大事、と心配で心配で」

「同盟を結んでいるのに? ははは、そのような事ある訳がないかと」

「ですよね~。美濃と北近江の境には既に織田軍の兵1万人が集まっておりますのに、そのような馬鹿な真似をされたら六角よりも浅井の方が先に平らげられてしまいますからな~、はっはっはっ」

 秀吉は笑ったが、長政と綱親は笑い顔が引き攣っていた。

 威圧外交だと感じたからだ。

 完全にこちらの動きを読んで釘を刺しにきている。

「では、六角の調略のお力添えの件、お願いしますね」

 そう言って秀吉が廊下を去っていき、

「ジイ、すぐに美濃の国境を探れ」

「はっ」

 綱親に調べさせると、





 織田軍は1万人どころか3万人も国境に集まっており、更に続々と兵が動員され続けていた。

「国境に3万は確実。更に集まっているようです」

「織田家はいくさを仕掛ける気満々のようだな。ジイ、義兄殿に手を出すなよ。浅井家が滅び兼ねんから」

「はっ」

 こうして佐和山城での信長暗殺計画は未然に防がれたのだった。





 織田と六角の外交の方は、六角義賢は当初、足利義昭に味方する気満々だったが、足利義昭の代理の和田惟政が上洛が現実味を帯びてきて張り切り過ぎた為に、

「味方していただけるのですよね?」

「無論だよ、弾正忠殿」

 皮肉げに義賢は答えた。

 と言うのも、和田惟政は南近江の甲賀の和田城出身だ。

 つまり、元々は六角義賢の配下の国衆なのだ。

 弾正忠と呼び捨ててもいいところを弾正忠殿とへりくだってるだけでも義賢からしてみれは譲歩していた訳だが。

「では通行する際の人質として御子息の右衛門督殿の身柄を預かりましょうか」

 惟政は義昭の代理として当然の権利を主張した。

 右衛門督は官位であり、現在の右衛門督は六角義治だった。

 よって六角義治の事を指した。

 嫡子を人質に出せと言われて、

「なぬ? 何故だ?」

「左京大夫殿が信用に値せぬ人物だからですよ。矢島御所の事をお忘れか?」

「あれは・・・そちらが勝手に出て・・・」

「はあ? 襲撃の謀議を家臣の皆さんとされてましたよね~。南近江を移動中の公方様の行列を襲撃されては敵いませんので。飲んで頂けますよね?」

 惟政の名誉の為に補足しておくが、惟政はこの時は足利義昭の配下だった。

 決して織田陣営と結託して六角との交渉決裂に持ち込んだ訳ではない。

 だが、六角義賢からすれば交渉を潰しに掛かってるようにしか思えず、

(どういう事だ、義治を人質に出せとは? まさか六角家を潰そうとしている?)

 疑ってしまった義賢が警戒した事で、

「いやいや、さすがに弾正忠殿の独断であろう、その考え方は?」

「いえ、式部殿に忠告されただけですが?」

「式部、ーー一色殿か?」

「はい。大和守殿はもう少し過激な事を言っておられましたが」

「どのように?」

さきの公方様殺しに関わっていた裏切り者の末路など決まっておりましょう」

 惟政はそううそぶいた。

「ワシは永禄の変には噛んでおらんぞ?」

「三好に対して兵を動かさなかったのにーー噛んでない? いやはや」

「待て、本当に知らんぞ。それに何年前の事を持ち出してーー」

「たったの三年前のはずですが?」

 忘れた事のない惟政が、

「一昔前の話をしてましたっけ?」

 憤怒しながら義賢を睨んだ。

(・・・拙い。公方陣営は三年前の事を全く忘れていないではないか。これは合流したら良からぬ事が起こるやも・・・味方は出来ぬな)

 義賢は外交方針を転換。

「そう言えば、どのくらいの兵で京にのぼるのか聞いていなかったが?」

 義昭に味方するのを止めて、上洛軍の情報を少しでも聞き出そうとしたのだが。

 同席しているのが悪知恵の柴田こと柴田勝家だったので、

「上洛軍は浅井、徳川、若狭武田、上杉、朝倉、姉小路、北畠、それらを合わせてざっと3万ですな」

 兵数を低く申告した。

「それだけの大名が兵を出して3万なのですか?」

「ええ、どこも内情は苦しいですから」

「なるほど」

 まんまと引っ掛かった義賢は、

(三万なら三好の援軍が間に合えばどうにか撃退出来るか)

 などと算盤を弾いたのだった。





 織田と六角の交渉は御破算となり、





 佐和山城に滞在中の信長が、

「どうして通行の確約が取れなかった? 詳しく申せ」

 六角との交渉について聞き

「惟政、六角の若当主の人質の話は聞いていないが?」

「申し訳ございません。公方様の安全の為に是が非でも必要だと欲張ってしまい」

「ったく、もう一度行け。今度は下手したてにな」

 と使者を再度観音寺城に派遣したが、





 六角義賢は方針を固めて三好三人衆に味方するとの使者を放った後だったので、

「会わん。ワシはやまいだ。追い返せ」

「いいのですね、父上?」

「構わん。あやつらは六角を潰すつもりだ。あっちがそのつもりならばワシも腹を決めたわ」

 と足利義栄に味方する事を決めたのだった。





 信長の方は和田惟政が義賢の息子の六角義治に、

「義昭様が将軍宣下を受けた際には幕府の所司代に任ずると言っておりますが、それでも駄目ですか?」

「駄目ですな。あの明智光秀が居る限りは」

「明智? ああ、もしかして知らないのですか。あの男は矢島御所を脱出時に御所内の米蔵で死んでますよ」

「白々しい。公方様と美濃に一緒に入った事をこちらが知らないとでも思っているのか」

「だから、あれは進士藤延殿でして」

「この義治がそんな子供騙しの言い訳を見抜けぬと思ったか。帰られいっ!」

 と追い返されて、





 七日間粘ったが六角義賢は使者と遭う事すらせず、

「ふん、滅ぼすしかないか」

 信長はそう呟いて佐和山城から美濃に帰っていった。

 内心では当然、

(惟政め、六角との交渉を潰すとはなかなか使えるではないか。これで甘い公方(呼び捨て)に気兼ねする事なく南近江が切り取れるわ)

 そう褒めていたのだった。





 ◇





 池田恒興はまたもや佐和山城に出向けず留守番である。

 それも足利義昭への饗応係でもなく、恒興は地味に兼山湊奉行として金山城に来ていた。

「御苦労さまです、奉行殿。どうぞ、お茶です」

「これはお美しい奥方様、ありがとうございます」

 森可成は美濃と南近江の国境で動員された兵達の所属決めと最終訓練をやっており不在で、美濃金山城の城兵も殆どが動員されており、森可成の室のえいが恒興の接客をしていた。

「相変わらずお上手ね、池田殿は」

 えいがそう笑った。

 何せ、清洲城下の時からお隣同士だったのだ。

 とっくに面識はある。

 他人行儀な挨拶はただの冗談だったのだから。

「いえいえ、本当に奥方様はお美しいですから」

 これはオベンチャラではない。

 後の信長の寵臣、森蘭丸は母親の美貌を受け継いでいるのだから。

 本当に美人だった。

「もう、褒めても何も出ませんよ」

 そう笑ったえいが、

「この度のいくさは勝てそうですか?」

「そちらは余裕で」

「では、問題はやはり武田ですか?」

 織田家の家老の妻だけあり、事情を聞いてるのか、えいがそう尋ねてきた。

「はい。留守の美濃に武田軍が雪崩れ込んだら、あっという間に制圧されますから」

「その際には金山城はどのように対処すれば?」

「籠城は諦めて、舟で木曽川を下って犬山城までお逃げ下さい。作戦の一部ですので恥ではありませんから」

「分かりました」

 えいは真面目に答えたのだが、そこに元服前の次男の長一がやってきて、

「池田のオジちゃん、遊ぼう」

「お兄さんだっ!」

 32歳でオジサンの癖に恒興はそう大人げなく訂正したのだった。

 因みに、遊ぶのは木刀での剣修行である。

「こら、長一。駄目でしょう。池田殿はお仕事中なんですから」

「いえいえ、ちょうど休憩したかったところですから」

 そう言って恒興は長一と木刀で遊んだのだった。





 当然、織田家に抜かりはなく、武田の躑躅ヶ崎館にも上洛する旨の使者を送っていた。

 信長の家臣ではなく足利義昭の家臣の三淵藤英を借りて。

「お初にお目に掛かります、甲斐守殿」

「公方様の配下の三淵藤英だったか?」

 と上座で使者に応対していた武田信玄はまさかの影武者の武田信廉だった。

 信玄は隣の部屋で会話を聞いていたが。

「気軽に大和守とお呼び下さい」

「うむ、大和守」

 と呼んだ信廉が真面目な顔で、

「公方様が美濃に入り、この度、織田の力を借りて上洛すると聞いたが、その時期はいつ頃になるのかな?」

 聞きたい事を聞いた。

 三淵藤英は信長からちゃんと外交目的を教えられており、上洛途中で武田に美濃が攻められて上洛断念なんて不細工な真似をされたくなかったので、

「無論、今年の冬でございますよ」

 平気な顔で嘘をついた。

 秋なのに。

「ほう、そうか。安心されよ、武田は今年は駿河攻めなのでな」

「おや、そうなのですか? 織田は武田が攻めて来ても良いように備えをしているようでしたよ」

「我らは同盟国なのにか? だが、念の為に聞いておこう。どのように備えを?」

「池田殿が申すにはーー」

「池田? 池田恒興か?」

 嫌そうな顔で信廉が確認し、

「おや、お知り合いで?」

「少しな。何と言っていた?」

「『美濃喰わせ釣り出し殺し』とか大層な戦法名を言っておりましたぞ」

「美濃喰わせとは?」

「美濃の大部分の領地をわざと武田に占領させて春を待ち、上杉との挟撃と」

 その説明を聞いて別室に居た信玄はどういう作戦か瞬時に理解して舌打ちをした。

 まず美濃をわざと占領させる。

 占領には兵が必要で、美濃の大部分ともなればそちらに武田の兵は集中する。

 そこで雪解けとなり、上杉が動き出し、美濃に兵が派遣した分、手薄な武田領の北信濃に進軍。

 上杉軍なら簡単に北信濃を併合するだろう。

 織田軍の方は上杉軍が北信濃の占領するのを待って、美濃滞在の武田兵が動揺してから攻撃を開始すればいい。

 南信濃にまで上杉軍が進軍したら、甲斐と美濃は完全に分断される。

 各個撃破も容易な訳だ。

 奪わせた美濃の城の兵糧庫を空にしてたら更に武田軍に大打撃を与えられる。

(あやつだけは。それにしても柴田め。こんな大切な情報、ちゃんと届けんか)

 そう怒る中、謁見の間では信廉が、

「織田と武田は同盟中のはずだが」

「おや、その同盟国の駿河に攻めると言っておられたように聞こえましたが」

 三淵藤英が返し、

(間違いなく京育ちだわい。その性格の悪さは)

 信玄はそうひょうしたのだった。

「まあ、攻めぬがな」

「結構、公方様の上洛の邪魔だけはくれぐれもして下いませぬように。された瞬間に武田は偽将軍に与したと宣伝させていただきますので」

「ああ、分かったよ」

 信廉はそう信玄のふりをして了承したのだった。





 三淵藤英が帰った直後に、別室にて信廉が信玄に、

「あれでよろしかったでしょうか?」

「ああ、美濃を掠め取る事も考えたが、やはり公方を抱えて上洛の大義名分を持ってる織田を攻めるのは拙い。予定通り駿河に攻めるぞ。時期は無論、越後が雪に覆われた直後だ」

 そう信玄は宣言したのだった。





 美濃の隣接国には越前もある。

 朝倉には信長からではなく、足利義昭の配下の一色藤長がやってきており、

「この度、織田殿の軍勢で上洛する事と相成りましたのでそのご報告を」

「・・・左様か」

 まだ嫡子の死から立ち直っていない朝倉義景の様子を見て、安堵した藤長はさっさと義景の前から引き下がり、





 一乗谷の朝倉館の廊下にて朝倉景鏡と対面して、

「これは次期朝倉殿」

「気が早いですぞ、式部殿」

 文字面だけを見ればたしなめているが、表情は笑顔で「もっと言ってくれ」と追従を要求していた。

「これからどうされますので? 一思いに義景殿を?」

「物騒な事を言われますな。まずは武名を高める為に若狭を制圧しようかと」

「お待ちを。今の若狭の幼き当主は公方様の甥御様ですぞ。分かっておられるのですよね、そこのところを?」

「公方様の血脈を保護する為だよ。どうも家臣が下剋上をしそうなのでな」

 そう景鏡はとぼけたが、上洛前だ。

 藤長もそのような小事しょうじに関わりたくはなく、

「お願いしますぞ」

 止めずに容認したのだった。





 ◇





 美濃の岐阜城には三河徳川から兵1000人の援軍が到着していた。

 指揮官は松平信一である。

「徳川の援軍は予定通り1000人か。まあ、良かろう」

 信長が呟き、兼山湊奉行の仕事を終えて戻ってきた恒興が、

「まだ出発しないんですか?」

「伊勢の兵がまだ到着しておらんのでな」

「伊勢の兵などいらないでしょ?」

「数は力だぞ、勝」

「7万人を動員ですもんね」

「公式には6万だがな」

「うわ、少なく見積もるなんて阿槽ですね、信長様って~」

「オレなど可愛いものさ。権六など半数以下の3万と言っておったのだぞ」

「はあ? 3万なんて誰が信じるんですか?」

「馬鹿な六角であろう」

 信長がニヤリとし、恒興が、

「秀吉の隊も先鋒に加えたと聞きましたが?」

「竹中を寄騎に付けたからのう。竹中がどこまで使えるのか興味もあるし」

「なるほど。行程日数の目標は?」

「九月に出発、九月中に南近江、正月までに京、畿内を制圧だな」

「帰国の日程はいつでしょうか?」

 恒興が鋭く聞き、信長も何の事か理解して、

「武田を気にしてるのか?」

「ええ、美濃がガラ空きなのですから。オレなら絶対に駿河よりも美濃を急襲しますね」

「今川、北条との三国同盟の堅持か」

「ええ、今川なんていつでも潰せますから。美濃の後でも武田なら余裕のはずです。それに織田は今川義元を討った仇敵。織田を攻撃すれば武田と今川の関係も修復されますから」

 一理ある、と思った信長が、

「ふむ。勝の進言、覚えておこう」

「それで公方様から貰える褒美は何に決めたんですか? やはり官位ですか?」

「そんな訳あるまい」

 信長はそう笑っていたが、美濃滞在の第一家老の林秀貞が青い顔をしながらやってきて、

「兵糧が予定よりも集まりませぬ」

 今頃になって報告してきた。

「・・・どういう事だ?」

「津島商人が言うには、堺で三好が米を割高で買い漁ってるとの事でございます」

「三好め、どこまでも邪魔をする」

 と毒づいた信長が、

「ジイ、どうしてすぐに報告しなかった?」

「それが当初は簡単に集まるだろうとタカを括ってしまい」

 秀貞はそう言い訳してるが、早い話、信長に怒られたくなかっただけである事は透けて見えた。

 信長が恒興に、

「勝、おまえの考えは?」

「米所と言えば尾張、美濃の他にも近江や越後があったかと。おお、どちらも信長様の同盟相手ですな~」

 白々しく指摘し、

「浅井や上杉に米を借りると言ってるのか?」

 変な矜持に触れたのか信長が嫌な顔をする中、恒興が、

「倍の値で買い叩けばいいじゃないですか。もしくは六角の国衆に吐き出させるか」

「それだ。降伏させて六角の国衆に吐き出させればいい。もしくは青田刈り」

 信長は兵糧を集める方法を思い付いて悪く笑ったのだった。





 登場人物、1568年度





 六角義治(23)・・・六角16代当主。六角義賢の嫡子。母は畠山義総の娘。観音寺騒動を経て六角家式目に署名させられる。足利義昭が名指しした六悪人の一人。

 能力値、六悪人の義治A、若き六角当主E、父にも劣るD、六角氏式目に署名B、突然、家臣達から総スカンA、六悪人同盟A

 森えい(32)・・・森可成の正室。林通安の娘。兄に林為忠。金山城に滞在。美貌の夫人。

 能力値、森家の正室A、政治に口を挟むB、美貌の夫人☆、夫に変わり金山城の帳簿を管理するB、子育ては武辺一辺倒A、酒を嗜むB

 森長一(10)・・・森可成の次男。後の長可。子供なのに槍棒を好む。家臣の大人達がわざと負けるのに対して恒興が大人げなく勝つので逆に恒興に懐く。

 能力値、槍棒好みの長一B、鬼の森家の血を引くB、恒興が軍記物の談話混じりにいくさに必要なイロハを教えるC
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