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1568年、15代将軍、足利義昭
美濃返還命令
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【斎藤龍興、三好三人衆とは違い、公方に取り入る事に成功してた説、採用】
【足利義栄、斎藤龍興の泣き落としを真に受けて美濃の返還命令を出した説、採用】
【細川駿河入道、織田への使者説、採用】
【細川駿河入道、1509年生まれ説、採用】
【織田軍、当然上洛の事前の軍略会議をしていた説、採用】
【将軍義栄の使者、岐阜城までやってきた説、採用】
【将軍の使者に遭った織田信長、影武者の池田恒興説、採用】
【池田恒興、即興である事ない事、使者に吹き込んだ説、採用】
【六角義治、将軍への貢物の強奪を認めた説、採用】
【斎藤龍興、美濃返還が不発に終わってがっかりした説、採用】
【和田惟政、美濃に頻繁に使者としてやってくる説、採用】
三月。
将軍宣下からは、経過した月日は一ヶ月だが。
美濃の岐阜城(旧稲葉山城)が陥落して畿内に斎藤龍興が到着してからは四ヶ月となる。
当然、新将軍の義栄にも就任前から擦り寄っており、一色の名跡や上洛を企んだ足利義秋に合流しようとした織田軍撃破の功を使って、三好三人衆が部外者となって苦労してる中、龍興は遂には側近にまで上り詰めていた。
どのくらいの側近にまで上り詰めていたかというと、
「織田に美濃を盗まれ申した。返還するよう命令を出して下さりませ、オヨヨヨ」
との泣き落としを真に受けた義栄が、
「良かろう。不埒な成り上がり者の織田を懲らしめてやる」
などと安請け合いをして本当に命令が出るまで上り詰めていた。
こうして使者として岐阜城に放たれたのが細川駿河入道だったのだが。
◇
三月のある日、岐阜城の一室では、
南近江、
北近江、
京、
京の南郊外、
北大和、
摂津、
和泉、
河内、
それらの地図が広げられて信長の御前で軍略会議が開かれていた。
参加者は信長の他には、
知将の佐久間信盛、
先鋒大将の森可成、
同じく先鋒大将の河尻秀隆、
岐阜城から兵糧を運搬する林秀貞、
悪知恵の柴田勝家、
今孔明の竹中重治、
馬廻り隊長の池田恒興、
これらが会議に参加していた。
まあ、小姓の堀秀政や平手汎秀、呼ばれもしていない木下秀吉も居たが。
「まずは南近江だが、南近江の東側は浅井が既に制圧しており、そこを通らせて貰う訳か。楽な事は楽だがこれはこれで後々問題になりそうだな」
信長が皮肉げに美濃と南近江を遮断する浅井の領地が記された南近江の地図を睨んだ。
佐久間信盛が南近江の城の数々を見て、
「城が多過ぎるな、六角の領土は。調略で味方に引き入れるのに失敗した場合。短期間での上洛は無理かと」
常識的な事を言ったが、信長が勝家を見て、
「権六、おまえの考えは?」
「既に南近江の国衆は主家に忠誠を誓っていないと聞きます。総ての城を相手にする必要はないかと」
「竹中は?」
「基本的には柴田殿の策で問題ないかと。後は個別に調略でしょうか」
「勝は?」
「城攻めで嫌々戦う美濃衆を先鋒に使えば長引くと思いますよ。手柄に飢えた織田なら数日で落とせるかと」
「ふむ。悪くはない。続いてだが・・・」
などと真面目に軍略会議をしていると、岩室勘右衛門が慌てた様子で入室してきて、
「只今、門前に摂津の公方様の使いと申す者が到着したとの事です」
「何だと?」
信長が不機嫌そうに呟き、竹中重治が、
「遂に来ましたな。美濃返還の使者で間違いないかと」
今孔明らしくズバリと断定した。
信長が更に眼を細めて、
「美濃から畿内に逃げた龍興は摂津の偽公方に取り入った訳か・・・竹中、どう対処すれば良いと思う?」
「無論、『偽将軍』と称して討伐する織田家の立場としては使者を殺害してその首を偽将軍の許へ送り返すのが上策かと」
それを聞いて、
「まだまだ甘いな、竹中」
と呟いたのは恒興だった。
重治が挑戦的な視線で、
「と言うと?」
「『返還すると約束して三好の兵を岐阜まで遠征させてそこを迎撃だろうが』と我らが悪知恵の柴田が言っておられるぞ」
ニヤニヤ顔で恒興が答え、話を振られた柴田勝家が、
「言ってないだろうが、勝三郎」
と答えてから、少し考えて、
「まあ、やる価値はあるかもな」
「池田殿や柴田殿こそ甘いですな。そのようなみえみえの策に引っ掛かる輩がいると本当に思っておいでなのですか?」
「馬鹿は引っ掛かるぞ」
「もしくは尻に火のついた奴らもな」
恒興と勝家の返事を聞いて、重治が、
(一見、誰も引っ掛からない無意味な行動に思えるが越前の公方を焚き付けるのには使えるか。ふむ)
と思いながら、
「息がぴったりな御様子ですが、お二人は仲が悪かったのではなかったのですか?」
「悪知恵の柴田は他人の手柄を横取りする知恵にも長けてるからな~。それで擦り寄ったのだろうさ」
「誰がだ。オレの名前を使って最低な策を進言しまくる奴が」
「はて、何の事かな、柴田~」
と馬鹿話をしてるのを聞いてた信長が、
「勝、オレの服を着て『信長』としてその使者に会え」
「はぁいぃ?」
「そして返還話なら三好の兵を美濃に誘き出してみろ」
「ええ~、オレよりもその役は・・・」
と言って室内を見渡したが、この室内には信長の影武者に適した人材が居なかった。
「まあ、やってみますか」
「権六は従者として同席しろ」
「はっ」
こうして慌てて信長の衣装に着替えた恒興は、
◇
別室の下座に控えて、
「お待たせして申し訳ござらん、織田上総介信長でござる」
そう挨拶したのだった。
「うむ。公方様の使者の細川駿河入道だ」
と名乗った使者が高圧的に、
「公方様よりの命令を伝える。直ちに不法に占拠した美濃を一色龍興に返還するように。よいな?」
「ははっ、畏まりましてございまする~」
恒興が二つ返事で承諾して平伏したのだった。
想定した返事ではなかったのか駿河入道がパチクリと瞬きした後、不審そうに、
「返還すると言ったのだよな?」
「無論でございまする」
「美農一国をだぞ?」
「はい。そもそも我々が美濃を占拠したのも国衆が反乱を起こして斎藤龍興殿が逃げ出し、このままでは美濃の民が疲弊するとの親戚筋としての善意からでございましたので。龍興殿本人が美濃を統治する意思があるのであれば返還させていただきまする。とは言え、さすがに本人の龍興殿にしか返せず、明け渡しの際には出向いて貰われねばなりませんが」
「そのような甘い事を言って一色殿を討ち取る所存か?」
「いやいや、討ち取るのであればとっくに討ち取っておりますよ、美濃なんて弱小国の国主なんて。そんなにお疑いなのであれば細川殿も明け渡しの場に御同席下され。それでも信用おけないというのであれば三好の兵5万を美濃まで率いて下さっても構いませぬ」
信長の衣裳を着た恒興がそう答え、
「ふむ。聞いてた話と違い、まともだのう?」
「恐れ入ります。良く悪意ある流言を広められて困っておりまする」
「北伊勢に攻め込んだと聞いたが?」
「先に攻め込んできたのは伊勢の者達でありますれば。迎撃したまでの事でしたが、駄目でしたか?」
「まあ、その件は良かろう」
と答えた駿河入道が話題を変えて、
「時に義栄様が将軍になったというのに織田家からは贈り物の一つも届いていないのだが、それはどう弁明するつもりだ?」
織田家を窮地に陥れさせようとしたのだが、恒興がさらりと、
「よくぞその話をして下さいました、細川殿。実は既に三回、織田家は銭にして五千貫以上の貢ぎ物を贈っているのですが、南近江の六角に押収されておりまして、ほとほと困っているのです」
嘘を言った。
同席してた柴田勝家などは口元がニヤけないようにするのに必死だった訳だが、駿河入道が、
「そんな話は聞いていないが?」
「本当でございます。六角が貢いだ物の中には我らが贈った品々が入っており、忸怩たる思いをしておりました。どうぞ、帰りにでも六角の許に寄って叱責して下さいませ」
「本当であろうな、その話?」
「はい。六角は本当に最低な連中で・・・攻め滅ぼしてもよろしいでしょうか?」
「・・・待て待て。義栄様の御代になったところだぞ。そのような勝手は許さぬ」
「はっ」
と畏まった恒興が、
「他に何かございますか。総て御答え致しまするが?」
その後も細川駿河入道と織田信長の影武者の池田恒興は会話を重ね、駿河入道が意地悪く、
「織田殿は連歌をされた事は?」
「一応は習いましたが」
「では、ワシが指南して進ぜよう」
と持ち掛け、先代の信秀が公家を招いていた関係で京文化の連歌も、恒興は信長と一緒に英才教育を施されていた関係で出来、連歌をしても恥を掻かなかった。
それどころか駿河入道が気に入って、
「おお、上手いではないか、織田殿。見くびっておったわ」
「名門の細川殿の足元にも及びませぬが」
「よいよい、駿河と呼ぶがよい。ワシも上総介と呼ぶから」
「はっ、駿河殿」
などと打ち解けて、四半刻ほど談笑をした最後には、
「上総介、その方の忠節、しかと公方様に伝えるので安心するように」
細川駿河入道が完全に恒興に取り込まれて、こちらの味方になっていた。
「ははっ、ありがとうございまする。駿河殿には後日改めてお礼の品を届けさせていただきまする~」
「期待しておるぞ、上総介」
「ははっ」
意気投合して帰っていったのだった。
岐阜城の門前まで細川駿河入道を見送った信長のふりをした恒興が部屋に戻ると、隣の部屋で総てを聞いていた信長が、
「やり過ぎだわい、勝っ! 連歌なんぞを披露しおって。オレが連歌が嫌いなのは勝も知っていようが。それなのに心の友と呼びおったぞ、あの年寄り。オレの事をっ!」
そう呆れたのだった。
「いや~、勉強になりますな~、さすがは勝様~」
秀吉は絶賛していたが、
「勝三郎、嘘が過ぎるぞ」
「まあ、お調子者なのは知っていたが」
「連歌も出来るとは」
「信長様と一緒に学んでいたからな」
林秀貞、佐久間信盛、森可成、河尻秀隆は好意的に呆れ果てて、
「何が『六角に貢物を奪われた』だ。予定にない事を言うなよな、勝三郎。笑いを堪えるの大変だったんだからな。まあ、その甲斐あって返還命令は有耶無耶に出来たが」
柴田勝家もニヤリとした。
(やはり凄い。百姓出身の木下よりもこの池田殿の方が断然。斎藤家では勝負にならなかった訳だ)
竹中重治はそう評価していた。
「信長様の影武者なのにあんな嘘ついていいんですか?」
平手汎秀が真顔で聞き、
「細川家の人間を相手に連歌で渡り合うなんて凄いんですね、池田様って」
堀秀政は恒興を尊敬していた。
「総ては信長様の御指図通りだよ」
そう恒興は答えたが、
「どこがだ」
信長はそう呆れ果てたのだった。
◇
織田家ではその程度の会話で済んだが、六角義賢や斎藤龍興はこの後、酷い目に遭った。
往路は海路で堺から尾張を経て美濃に入った細川駿河入道だったが、船酔いを嫌い、復路は陸路を選んだ事から、南近江では六角親子の居城の観音寺城に寄った事から、恒興の言葉を鵜呑みにした駿河入道が、
「お主ら、将軍への貢物の行列を襲って蓄財しておるそうだのう?」
そう切り出したのだから。
正直、身に覚えが全くなかったが「六角氏式目」への署名を国主に強要する程、南近江の国衆は現在増長している。
もしかして国衆の誰かが襲撃したのか、と誤解した事から、
「いや、私の指示ではなく国衆が勝手に」
六角義賢がそう答えてしまった為に恒興の嘘が本当になってしまい、六角は将軍家の貢物を横取りする不逞の輩に落ちぶれてしまったのだった。
そして摂津の普門寺に帰還した細川駿河入道は鼻高々に、
「お喜び下され、公方様。上総介に美濃の返還を約束させて参りました」
「おお、そうか。さすがだな、駿河入道は」
そう義栄は誉め称え、同席していた斎藤龍興が、
「それでいつ返して貰えるので?」
嫌味で聞いたのだが、
「今すぐにでも。一色殿が出向けばな」
そう駿河入道が答えた為に驚く破目になった。
「えっ? 出向くのですか?」
「本人以外には返さんと言っておったからな」
「お待ちを。美濃に出向けば殺されてしまいますよ、私は?」
「ないない。弱兵の美濃相手に織田がこれまでそなたを殺さなかったのがその証拠ではないか」
と駿河入道が言った瞬間、斎藤龍興はピンときた。
(そうか。織田に騙されて帰ってきおったな、このジジイ。だが、細川家の人間を相手に下手に否定するとオレの幕府での立場が・・・)
「そんなに怖いのなら三好に兵を借りたらどうだ? 5万の兵で行けば美濃の国衆どももそなたに服従しよう」
「おお、さすがは駿河入道殿。良い事を教えていただきありがとうございまする」
そう返事せざるを得なかった龍興は笑顔で答えたが、内心では、
(5万の三好軍が南近江を通れる訳がないだろうが。六角が攻めてきたと勘繰って戦になるに決まってる。そもそも5万も居ないだろ。精々2万ってところなのに)
と悪態をついたのだった。
◇
織田家が将軍義栄の使者と接触した事を聞いたのか、また越前から和田惟政が飛んできた。
「どういう事です、織田殿?」
「? 何の事がだ、惟政?」
「偽公方の使者と遭って仲良く連歌をしたと噂になっておりますぞ」
「ああ、あれか。押し掛けてきて美濃を斎藤龍興に返還するよう迫られただけだよ」
信長がそう苦笑した。
「美濃の領土を返すので?」
真面目に尋ねた惟政に、信長が笑いながら、
「返す訳ないだろ」
「ですよね」
と笑った惟政が、
「それにしても越前で聞いた時は冷や冷やしましたよ。織田殿が偽公方陣営に加わったのかと思って」
「ないない。それよりもこちらも妙な噂を聞いたのだがな。公方様が朝倉の母親の官位の申請をしたとか? まだ朝倉を動かす事を諦めていないのか?」
「いえ、あれは京に使者を送る費用と京の公家の二条殿を越前にお招きする費用を朝倉に出させるのが目的ですよ」
「待て。それくらいの銭も朝倉は公方様に出さんのか?」
「はい、越前はかなりの渋ちんでして」
「はっ」
と鼻で笑った信長が、
「公方様に早く岐阜に来るように伝えよ」
「それが敵もさる者。一乗谷から公方様を出そうとせず・・・」
と惟政が愚痴ったので、信長が、
「朝倉景鏡を使えば良かろうが」
「あの、何かと邪魔をする一門衆の、ですか?」
「そうだ」
「もう少し詳しいお教えをお願いします、尾張殿」
惟政が問うと、
「当主義景の功績を嫌う一門衆だと聞いているからな。内心では公方様と義景の接近を嫌ってるはずだ。『公方様が越前から出たがってる』と囁けば協力してくれよう」
「なるほど、試してみます」
との会話が交わされたのだった。
登場人物、1568年度
斎藤龍興(20)・・・六悪人の一人。元美濃斎藤家の当主。19歳で美濃を失う。蝮の血が覚醒。安藤守就に足の指を切断される。幕臣扱いで将軍義栄に仕える。
能力値、六悪人の龍興C、三代目蝮A、部下は駒C、祖父と父の遺産A、移動に支障ありA、いつの間にやら将軍義栄の家臣B
足利義栄(30)・・・室町幕府14代征夷大将軍。父は足利義維、母は大内義興の娘。妻は結城氏。着々と幕府を構築し、支持大名を増やす。
能力値、将軍の義栄☆☆☆、幸運と不運と☆☆、将軍殺しに担がれて世にS、摂津で足を止めるA、三好三人衆を遠ざける☆、幕臣が集い始める☆
岩室勘繰右衛門(21)・・・信長の小姓。重休の指名で岩室の家督を継ぐ。別名、加藤弥三郎。三河の竹千代が尾張人質時代に幽閉された熱田羽城の城主の次男。
能力値、早込めの弥三郎A、狂犬の世話係C、薬は自前でD、信長への忠誠A、信長からの信頼B、織田家臣団での待遇C
細川駿河入道(59)・・・室町幕府の幕臣。御供衆。細川典厩家出身。実名不詳。幕府の窮地に出仕する。
能力値、最後に一花咲かせの駿河入道A、腐っても細川は細川A、朝廷通B、義栄への忠誠D、義栄からの信頼A、御座所での待遇A
竹中重治(24)・・・織田家の家臣。秀吉の寄騎。竹中重元の息子。美濃の今孔明。正室は安藤守就の娘。信長の軍事顧問。
能力値、今孔明の重治SS、容貌婦人の如しA、健康な肉体A、信長への忠誠C、信長からの信頼A、織田家臣団での待遇B
平手汎秀(15)・・・織田家の家臣。平手久秀の嫡子。幼名、秀千代。別名、甚左衛門。近習として修業の日々。
能力値、未来の織田家の柱石の汎秀C、祖父、父の信長への貢献B、 平手家の御曹司A、信長への忠誠A、信長からの信頼A、織田家臣団での待遇A
六角義賢(47)・・・六悪人の一人。南近江国守護。官位、左京大夫。正室、畠山義総の娘。吉田重政を師とした日置流の弓の名手。六角氏式目に署名して大名として死に体。
能力値、六悪人の義賢B、世間ずれの六角A、畿内の有名人A、六角氏式目に署名させられるA、弓の名手A、家臣達が言う事を聞かないA
【足利義栄、斎藤龍興の泣き落としを真に受けて美濃の返還命令を出した説、採用】
【細川駿河入道、織田への使者説、採用】
【細川駿河入道、1509年生まれ説、採用】
【織田軍、当然上洛の事前の軍略会議をしていた説、採用】
【将軍義栄の使者、岐阜城までやってきた説、採用】
【将軍の使者に遭った織田信長、影武者の池田恒興説、採用】
【池田恒興、即興である事ない事、使者に吹き込んだ説、採用】
【六角義治、将軍への貢物の強奪を認めた説、採用】
【斎藤龍興、美濃返還が不発に終わってがっかりした説、採用】
【和田惟政、美濃に頻繁に使者としてやってくる説、採用】
三月。
将軍宣下からは、経過した月日は一ヶ月だが。
美濃の岐阜城(旧稲葉山城)が陥落して畿内に斎藤龍興が到着してからは四ヶ月となる。
当然、新将軍の義栄にも就任前から擦り寄っており、一色の名跡や上洛を企んだ足利義秋に合流しようとした織田軍撃破の功を使って、三好三人衆が部外者となって苦労してる中、龍興は遂には側近にまで上り詰めていた。
どのくらいの側近にまで上り詰めていたかというと、
「織田に美濃を盗まれ申した。返還するよう命令を出して下さりませ、オヨヨヨ」
との泣き落としを真に受けた義栄が、
「良かろう。不埒な成り上がり者の織田を懲らしめてやる」
などと安請け合いをして本当に命令が出るまで上り詰めていた。
こうして使者として岐阜城に放たれたのが細川駿河入道だったのだが。
◇
三月のある日、岐阜城の一室では、
南近江、
北近江、
京、
京の南郊外、
北大和、
摂津、
和泉、
河内、
それらの地図が広げられて信長の御前で軍略会議が開かれていた。
参加者は信長の他には、
知将の佐久間信盛、
先鋒大将の森可成、
同じく先鋒大将の河尻秀隆、
岐阜城から兵糧を運搬する林秀貞、
悪知恵の柴田勝家、
今孔明の竹中重治、
馬廻り隊長の池田恒興、
これらが会議に参加していた。
まあ、小姓の堀秀政や平手汎秀、呼ばれもしていない木下秀吉も居たが。
「まずは南近江だが、南近江の東側は浅井が既に制圧しており、そこを通らせて貰う訳か。楽な事は楽だがこれはこれで後々問題になりそうだな」
信長が皮肉げに美濃と南近江を遮断する浅井の領地が記された南近江の地図を睨んだ。
佐久間信盛が南近江の城の数々を見て、
「城が多過ぎるな、六角の領土は。調略で味方に引き入れるのに失敗した場合。短期間での上洛は無理かと」
常識的な事を言ったが、信長が勝家を見て、
「権六、おまえの考えは?」
「既に南近江の国衆は主家に忠誠を誓っていないと聞きます。総ての城を相手にする必要はないかと」
「竹中は?」
「基本的には柴田殿の策で問題ないかと。後は個別に調略でしょうか」
「勝は?」
「城攻めで嫌々戦う美濃衆を先鋒に使えば長引くと思いますよ。手柄に飢えた織田なら数日で落とせるかと」
「ふむ。悪くはない。続いてだが・・・」
などと真面目に軍略会議をしていると、岩室勘右衛門が慌てた様子で入室してきて、
「只今、門前に摂津の公方様の使いと申す者が到着したとの事です」
「何だと?」
信長が不機嫌そうに呟き、竹中重治が、
「遂に来ましたな。美濃返還の使者で間違いないかと」
今孔明らしくズバリと断定した。
信長が更に眼を細めて、
「美濃から畿内に逃げた龍興は摂津の偽公方に取り入った訳か・・・竹中、どう対処すれば良いと思う?」
「無論、『偽将軍』と称して討伐する織田家の立場としては使者を殺害してその首を偽将軍の許へ送り返すのが上策かと」
それを聞いて、
「まだまだ甘いな、竹中」
と呟いたのは恒興だった。
重治が挑戦的な視線で、
「と言うと?」
「『返還すると約束して三好の兵を岐阜まで遠征させてそこを迎撃だろうが』と我らが悪知恵の柴田が言っておられるぞ」
ニヤニヤ顔で恒興が答え、話を振られた柴田勝家が、
「言ってないだろうが、勝三郎」
と答えてから、少し考えて、
「まあ、やる価値はあるかもな」
「池田殿や柴田殿こそ甘いですな。そのようなみえみえの策に引っ掛かる輩がいると本当に思っておいでなのですか?」
「馬鹿は引っ掛かるぞ」
「もしくは尻に火のついた奴らもな」
恒興と勝家の返事を聞いて、重治が、
(一見、誰も引っ掛からない無意味な行動に思えるが越前の公方を焚き付けるのには使えるか。ふむ)
と思いながら、
「息がぴったりな御様子ですが、お二人は仲が悪かったのではなかったのですか?」
「悪知恵の柴田は他人の手柄を横取りする知恵にも長けてるからな~。それで擦り寄ったのだろうさ」
「誰がだ。オレの名前を使って最低な策を進言しまくる奴が」
「はて、何の事かな、柴田~」
と馬鹿話をしてるのを聞いてた信長が、
「勝、オレの服を着て『信長』としてその使者に会え」
「はぁいぃ?」
「そして返還話なら三好の兵を美濃に誘き出してみろ」
「ええ~、オレよりもその役は・・・」
と言って室内を見渡したが、この室内には信長の影武者に適した人材が居なかった。
「まあ、やってみますか」
「権六は従者として同席しろ」
「はっ」
こうして慌てて信長の衣装に着替えた恒興は、
◇
別室の下座に控えて、
「お待たせして申し訳ござらん、織田上総介信長でござる」
そう挨拶したのだった。
「うむ。公方様の使者の細川駿河入道だ」
と名乗った使者が高圧的に、
「公方様よりの命令を伝える。直ちに不法に占拠した美濃を一色龍興に返還するように。よいな?」
「ははっ、畏まりましてございまする~」
恒興が二つ返事で承諾して平伏したのだった。
想定した返事ではなかったのか駿河入道がパチクリと瞬きした後、不審そうに、
「返還すると言ったのだよな?」
「無論でございまする」
「美農一国をだぞ?」
「はい。そもそも我々が美濃を占拠したのも国衆が反乱を起こして斎藤龍興殿が逃げ出し、このままでは美濃の民が疲弊するとの親戚筋としての善意からでございましたので。龍興殿本人が美濃を統治する意思があるのであれば返還させていただきまする。とは言え、さすがに本人の龍興殿にしか返せず、明け渡しの際には出向いて貰われねばなりませんが」
「そのような甘い事を言って一色殿を討ち取る所存か?」
「いやいや、討ち取るのであればとっくに討ち取っておりますよ、美濃なんて弱小国の国主なんて。そんなにお疑いなのであれば細川殿も明け渡しの場に御同席下され。それでも信用おけないというのであれば三好の兵5万を美濃まで率いて下さっても構いませぬ」
信長の衣裳を着た恒興がそう答え、
「ふむ。聞いてた話と違い、まともだのう?」
「恐れ入ります。良く悪意ある流言を広められて困っておりまする」
「北伊勢に攻め込んだと聞いたが?」
「先に攻め込んできたのは伊勢の者達でありますれば。迎撃したまでの事でしたが、駄目でしたか?」
「まあ、その件は良かろう」
と答えた駿河入道が話題を変えて、
「時に義栄様が将軍になったというのに織田家からは贈り物の一つも届いていないのだが、それはどう弁明するつもりだ?」
織田家を窮地に陥れさせようとしたのだが、恒興がさらりと、
「よくぞその話をして下さいました、細川殿。実は既に三回、織田家は銭にして五千貫以上の貢ぎ物を贈っているのですが、南近江の六角に押収されておりまして、ほとほと困っているのです」
嘘を言った。
同席してた柴田勝家などは口元がニヤけないようにするのに必死だった訳だが、駿河入道が、
「そんな話は聞いていないが?」
「本当でございます。六角が貢いだ物の中には我らが贈った品々が入っており、忸怩たる思いをしておりました。どうぞ、帰りにでも六角の許に寄って叱責して下さいませ」
「本当であろうな、その話?」
「はい。六角は本当に最低な連中で・・・攻め滅ぼしてもよろしいでしょうか?」
「・・・待て待て。義栄様の御代になったところだぞ。そのような勝手は許さぬ」
「はっ」
と畏まった恒興が、
「他に何かございますか。総て御答え致しまするが?」
その後も細川駿河入道と織田信長の影武者の池田恒興は会話を重ね、駿河入道が意地悪く、
「織田殿は連歌をされた事は?」
「一応は習いましたが」
「では、ワシが指南して進ぜよう」
と持ち掛け、先代の信秀が公家を招いていた関係で京文化の連歌も、恒興は信長と一緒に英才教育を施されていた関係で出来、連歌をしても恥を掻かなかった。
それどころか駿河入道が気に入って、
「おお、上手いではないか、織田殿。見くびっておったわ」
「名門の細川殿の足元にも及びませぬが」
「よいよい、駿河と呼ぶがよい。ワシも上総介と呼ぶから」
「はっ、駿河殿」
などと打ち解けて、四半刻ほど談笑をした最後には、
「上総介、その方の忠節、しかと公方様に伝えるので安心するように」
細川駿河入道が完全に恒興に取り込まれて、こちらの味方になっていた。
「ははっ、ありがとうございまする。駿河殿には後日改めてお礼の品を届けさせていただきまする~」
「期待しておるぞ、上総介」
「ははっ」
意気投合して帰っていったのだった。
岐阜城の門前まで細川駿河入道を見送った信長のふりをした恒興が部屋に戻ると、隣の部屋で総てを聞いていた信長が、
「やり過ぎだわい、勝っ! 連歌なんぞを披露しおって。オレが連歌が嫌いなのは勝も知っていようが。それなのに心の友と呼びおったぞ、あの年寄り。オレの事をっ!」
そう呆れたのだった。
「いや~、勉強になりますな~、さすがは勝様~」
秀吉は絶賛していたが、
「勝三郎、嘘が過ぎるぞ」
「まあ、お調子者なのは知っていたが」
「連歌も出来るとは」
「信長様と一緒に学んでいたからな」
林秀貞、佐久間信盛、森可成、河尻秀隆は好意的に呆れ果てて、
「何が『六角に貢物を奪われた』だ。予定にない事を言うなよな、勝三郎。笑いを堪えるの大変だったんだからな。まあ、その甲斐あって返還命令は有耶無耶に出来たが」
柴田勝家もニヤリとした。
(やはり凄い。百姓出身の木下よりもこの池田殿の方が断然。斎藤家では勝負にならなかった訳だ)
竹中重治はそう評価していた。
「信長様の影武者なのにあんな嘘ついていいんですか?」
平手汎秀が真顔で聞き、
「細川家の人間を相手に連歌で渡り合うなんて凄いんですね、池田様って」
堀秀政は恒興を尊敬していた。
「総ては信長様の御指図通りだよ」
そう恒興は答えたが、
「どこがだ」
信長はそう呆れ果てたのだった。
◇
織田家ではその程度の会話で済んだが、六角義賢や斎藤龍興はこの後、酷い目に遭った。
往路は海路で堺から尾張を経て美濃に入った細川駿河入道だったが、船酔いを嫌い、復路は陸路を選んだ事から、南近江では六角親子の居城の観音寺城に寄った事から、恒興の言葉を鵜呑みにした駿河入道が、
「お主ら、将軍への貢物の行列を襲って蓄財しておるそうだのう?」
そう切り出したのだから。
正直、身に覚えが全くなかったが「六角氏式目」への署名を国主に強要する程、南近江の国衆は現在増長している。
もしかして国衆の誰かが襲撃したのか、と誤解した事から、
「いや、私の指示ではなく国衆が勝手に」
六角義賢がそう答えてしまった為に恒興の嘘が本当になってしまい、六角は将軍家の貢物を横取りする不逞の輩に落ちぶれてしまったのだった。
そして摂津の普門寺に帰還した細川駿河入道は鼻高々に、
「お喜び下され、公方様。上総介に美濃の返還を約束させて参りました」
「おお、そうか。さすがだな、駿河入道は」
そう義栄は誉め称え、同席していた斎藤龍興が、
「それでいつ返して貰えるので?」
嫌味で聞いたのだが、
「今すぐにでも。一色殿が出向けばな」
そう駿河入道が答えた為に驚く破目になった。
「えっ? 出向くのですか?」
「本人以外には返さんと言っておったからな」
「お待ちを。美濃に出向けば殺されてしまいますよ、私は?」
「ないない。弱兵の美濃相手に織田がこれまでそなたを殺さなかったのがその証拠ではないか」
と駿河入道が言った瞬間、斎藤龍興はピンときた。
(そうか。織田に騙されて帰ってきおったな、このジジイ。だが、細川家の人間を相手に下手に否定するとオレの幕府での立場が・・・)
「そんなに怖いのなら三好に兵を借りたらどうだ? 5万の兵で行けば美濃の国衆どももそなたに服従しよう」
「おお、さすがは駿河入道殿。良い事を教えていただきありがとうございまする」
そう返事せざるを得なかった龍興は笑顔で答えたが、内心では、
(5万の三好軍が南近江を通れる訳がないだろうが。六角が攻めてきたと勘繰って戦になるに決まってる。そもそも5万も居ないだろ。精々2万ってところなのに)
と悪態をついたのだった。
◇
織田家が将軍義栄の使者と接触した事を聞いたのか、また越前から和田惟政が飛んできた。
「どういう事です、織田殿?」
「? 何の事がだ、惟政?」
「偽公方の使者と遭って仲良く連歌をしたと噂になっておりますぞ」
「ああ、あれか。押し掛けてきて美濃を斎藤龍興に返還するよう迫られただけだよ」
信長がそう苦笑した。
「美濃の領土を返すので?」
真面目に尋ねた惟政に、信長が笑いながら、
「返す訳ないだろ」
「ですよね」
と笑った惟政が、
「それにしても越前で聞いた時は冷や冷やしましたよ。織田殿が偽公方陣営に加わったのかと思って」
「ないない。それよりもこちらも妙な噂を聞いたのだがな。公方様が朝倉の母親の官位の申請をしたとか? まだ朝倉を動かす事を諦めていないのか?」
「いえ、あれは京に使者を送る費用と京の公家の二条殿を越前にお招きする費用を朝倉に出させるのが目的ですよ」
「待て。それくらいの銭も朝倉は公方様に出さんのか?」
「はい、越前はかなりの渋ちんでして」
「はっ」
と鼻で笑った信長が、
「公方様に早く岐阜に来るように伝えよ」
「それが敵もさる者。一乗谷から公方様を出そうとせず・・・」
と惟政が愚痴ったので、信長が、
「朝倉景鏡を使えば良かろうが」
「あの、何かと邪魔をする一門衆の、ですか?」
「そうだ」
「もう少し詳しいお教えをお願いします、尾張殿」
惟政が問うと、
「当主義景の功績を嫌う一門衆だと聞いているからな。内心では公方様と義景の接近を嫌ってるはずだ。『公方様が越前から出たがってる』と囁けば協力してくれよう」
「なるほど、試してみます」
との会話が交わされたのだった。
登場人物、1568年度
斎藤龍興(20)・・・六悪人の一人。元美濃斎藤家の当主。19歳で美濃を失う。蝮の血が覚醒。安藤守就に足の指を切断される。幕臣扱いで将軍義栄に仕える。
能力値、六悪人の龍興C、三代目蝮A、部下は駒C、祖父と父の遺産A、移動に支障ありA、いつの間にやら将軍義栄の家臣B
足利義栄(30)・・・室町幕府14代征夷大将軍。父は足利義維、母は大内義興の娘。妻は結城氏。着々と幕府を構築し、支持大名を増やす。
能力値、将軍の義栄☆☆☆、幸運と不運と☆☆、将軍殺しに担がれて世にS、摂津で足を止めるA、三好三人衆を遠ざける☆、幕臣が集い始める☆
岩室勘繰右衛門(21)・・・信長の小姓。重休の指名で岩室の家督を継ぐ。別名、加藤弥三郎。三河の竹千代が尾張人質時代に幽閉された熱田羽城の城主の次男。
能力値、早込めの弥三郎A、狂犬の世話係C、薬は自前でD、信長への忠誠A、信長からの信頼B、織田家臣団での待遇C
細川駿河入道(59)・・・室町幕府の幕臣。御供衆。細川典厩家出身。実名不詳。幕府の窮地に出仕する。
能力値、最後に一花咲かせの駿河入道A、腐っても細川は細川A、朝廷通B、義栄への忠誠D、義栄からの信頼A、御座所での待遇A
竹中重治(24)・・・織田家の家臣。秀吉の寄騎。竹中重元の息子。美濃の今孔明。正室は安藤守就の娘。信長の軍事顧問。
能力値、今孔明の重治SS、容貌婦人の如しA、健康な肉体A、信長への忠誠C、信長からの信頼A、織田家臣団での待遇B
平手汎秀(15)・・・織田家の家臣。平手久秀の嫡子。幼名、秀千代。別名、甚左衛門。近習として修業の日々。
能力値、未来の織田家の柱石の汎秀C、祖父、父の信長への貢献B、 平手家の御曹司A、信長への忠誠A、信長からの信頼A、織田家臣団での待遇A
六角義賢(47)・・・六悪人の一人。南近江国守護。官位、左京大夫。正室、畠山義総の娘。吉田重政を師とした日置流の弓の名手。六角氏式目に署名して大名として死に体。
能力値、六悪人の義賢B、世間ずれの六角A、畿内の有名人A、六角氏式目に署名させられるA、弓の名手A、家臣達が言う事を聞かないA
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