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1565年、一乗院覚慶、逃げる
猿啄城の戦い
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【池田恒興、織田武田の婚姻同盟の準備交渉の使者の一人として躑躅ヶ崎に出向いた説、採用】
【猿啄城の落城は信長公記とは違い、1565年の夏説、採用】
【猿啄城の戦いには信長、恒興、秀吉参戦せず説、採用】
【猿啄城の戦いの織田軍の指揮官、丹羽長秀、河尻秀隆説、採用】
【猿啄城の戦い、織田軍1300人説、採用】
【猿啄城主、多治見修理説、採用】
【多治見修理、1517年生まれ説、採用】
【猿啄城の戦い、斎藤軍600人説、採用】
【一色藤長、1521年生まれ説、採用】
この年の織田家最大の出来事は中美濃を制圧した戦ではない。
武田信玄との婚姻同盟が成立した事である。
この同盟が成立するかどうかで、美濃侵攻の難易度、更にはその後の展開の難易度も劇的に変わるのだから。
そして天の時は織田に味方する。
昨年の1564年7月に武田信玄の嫡子、武田義信による「信玄暗殺の密談」が露見したのだから。
これによって今年の1565年1月には博役の飯富昌虎以下、謀反の首謀者が処刑されて、80騎の家臣団が武田家から追放処分となり、
信長の姪である美濃遠山直廉の娘が信長の養女となって11月、四男、諏訪勝頼に嫁ぐ事となるのだが、
その下準備となる事前の外交が行われる事となり、
七月には池田恒興は甲斐の躑躅ヶ崎館に来ていた。
通常ならば話題は義信の事となり、桶狭間に噛んだ事を躑躅ヶ崎館で暴露した恒興の責任問題まで波及するところだが、二月前に永禄の変があったので話題は当然、
「あんの三好三人衆の三好長逸、三好政康、岩成友通だけは絶対に許せませんよっ! そう思うでしょ、武田のお殿様も?」
通常ならば影武者が応対だが、織田家の使者が池田恒興だと知り、下手に喋らせたら影武者の実弟、信廉では御せないと判断し、最初から信玄本人が出てきており、
「将軍を殺すのはないな」
と上座で応対した。
「でしょ? 普通、将軍を殺します? ないですわ~」
まだ怒ってる恒興が、
「それに三好の当主もですよ。代替わりして二年目。まだ十六なので三好家中の実権が何もないのは理解出来ますが、周囲に言われるがままに『義継』なんて名前に改名します? その義は普通の義じゃない。将軍、足利義輝様からいただいた義なんですよ? それを継ぐって将軍を継ぐって事? 将軍様を殺しておいて何ぬかしてやがるんだって話ですよ」
「確かに気に入らんのう」
「でしょ。オレ、多分ですけどソイツを見たら殺しますね」
「ん? 京に行く予定でもあるのか?」
「まさか。美濃を平定して、南近江の六角がどっちに付くかによって通過するか、平定するかして、それで京ですよ。絶対に三好は許しませんから。そうだ、その時は援軍よろしくお願いしますね、武田からも」
「まだ同盟を結んでおらんだろうが」
「えっ、今回の婚儀で織田と正式に同盟を結ぶんですよね?」
恒興がそう水を向けたが、
「それがそうも言っておられなくてな」
「? 何故です?」
「長尾とも同盟を結ぶそうではないか、織田は?」
「ああ、今は亡き将軍様の御命令ですね」
恒興が得心がいったとばかりに頷いた。
「それだ。どうしてそうなっておる?」
「そんなの永禄三年にうちの信長様と上杉ーー」
「長尾な。武田ではそう通すように」
「まあ、いいですけど、関東管領を継承する為に長尾が将軍様に遭いに京へ行ったからですよ。つまりは織田と長尾は将軍様の御味方同士。織田と斎藤が潰し合ってるのを見て、せめて越後と尾張は仲良くしろって事なんじゃないですか? 知りませんけど」
「将軍が死んだから流れたのだよな、その同盟話?」
信玄が問うと、恒興が、
「逆ですよ。『遺言』になって絶対実行ですよ。でないとうちの信長様が不忠義者になるじゃないですか」
「・・・あのな~、武田は長尾と敵同士なんだぞ?」
「いやいや、亡き将軍様の遺言を破った方が拙いですって。でしょ?」
「つまり武田とは同盟を結ばんという事か?」
「どうしてそうなるんですか。『両方と結ぶ』ですよ。武田だって斎藤と同盟を結んでるんでしょ?」
「結んでないが」
「えっ、どうして結んでないんですか? 西なんてもう眼中にないでしょ? 北が雪で閉ざされた隙に嫡子幽閉で婚姻関係が切れた南の駿河を平定。その際に西に邪魔されたら笑えませんのに」
ようやく信玄は自分の土俵に相手が上がったと内心で喜び、
「それよ。ワシの息子がおまえの所為で・・・」
「はあ? 今川の姫に骨抜きにされたのまでオレの所為にされては困りますよ」
「いやいや、池田があの時、桶狭間の件をバラさなければ――」
「違うでしょ、武田のお殿様。実父と舅で舅を取るような男に育てたそちらの手抜かり、それが嫡子の暗殺密議の根幹なんですから」
恒興に言い負かされた信玄が、
「言ってくれるな。こっちは頭を悩ませておるのに」
「頭を悩ませるとは何ですか? まさか、許すんですか? 暗殺の密議をした関係者が切腹や追放処分になってるのに息子だけは特別扱いって。そんな不公平な裁定を下したら家臣の皆さんから『御館様も耄碌されたわ』と見放されて武田家、滅びますよ」
恒興の正論の指摘に、信玄が家臣達を視界に入れながら苦々しく、
「・・・分かっておるわ」
「で、どうします? 織田との婚姻同盟の方?」
「嫁いでくるのは美濃遠山家の娘で、織田信長の姪で間違いないのだな?」
「それは確実です」
「織田は先代が子沢山で姫が多いはずであろうが。どうしてわざわざ姪を出すんだ?」
「そんなの美濃遠山氏がどっからかこの婚姻話を聞き付けてねじ込んできたからに決まってるでしょうが」
「?」
「武田ですよ。甲斐源氏の武田家。そこに姫を送り込めるなんて栄誉、武家ならどこだって欲しいじゃないですか。それで美濃の遠山氏がねじ込んできたんですよ。織田としては遠山氏に貸しを作れてなかなか良い取引となりましたが」
恒興の武田を持ち上げる説明を聞いて、信玄は苦笑した。
断ったら、恥を掻かされた東美濃の遠山氏が武田臣従から離反する。
この婚姻話は武田が断ると損をするように良く出来ていたのだ。
信玄がふと使者を囲むように並ぶ家臣の一人を指差し、
「池田、その者をどう見る?」
恒興はその人物を見た。
若者だった。
どこかで見たような、と思ったが
「思った事を言っても?」
「ああ」
「真っ直ぐ過ぎるきらいがあるかと。汚い仕事もさせて鍛え・・・真っ直ぐさが潰れるのはもったいないですね。汚い仕事用の家臣を傍に置く事をお勧めします」
「ふむ。他には?」
「他ですか? 席次が低過ぎるかかな? 出身が甲斐じゃないんですか?」
「まあのう。他には?」
「織田との同盟の事どう思います?」
恒興が不意にその若者に声を掛けると、
「武田の敵ではないに同盟を結ぶ意味が理解出来ない」
諏訪勝頼は正直に答えた。
「では長尾は?」
「武田の仇敵だ。滅ぼしてくれるわ」
ニヤリと笑った恒興が、
「重臣、不合格ですね」
信玄に告げた。
それには勝頼が堪らず、
「どこがだ?」
「武田のお殿様はもう北なんぞに興味がないのにまだそんな事を言っているからですよ。いいですか、嫡子が武田のお殿様の暗殺を密談したんです。さあ、誰です、黒幕は?」
「黒幕? そんなの兄上だろうが?」
「そこが甘い。今川が暗躍していないとでも? 姫を通じて氏真の指図があったんですよ。その誘いに嫡子が乗ってしまった。それが昨年の武田で起こった事件の全容なんです」
恒興の決め付けに信玄は思わずニヤリと笑ってしまった。
それが「駿河攻めの原動力」になる予定だったからだ。
「なら、どうしてその事が問題になっておらんのだ?」
「もうお殿様が今川を潰すって決めてるからですよ」
実際にそうなので心底を言い当てられた信玄が今度は苦笑した。
「なのに、未だに長尾を潰すなんて言ってるんじゃあ重臣失格だって言ってるんでるよ」
恒興に言われた勝頼が、
「では織田との婚姻同盟をするのは今川攻めの布石という訳か?」
「ええ」
「長尾はどうする?」
「まずは嫡子の清算でしょうが。家中をこれだけ引っ掻き回されてそのままにしてるだなんて武田が今川に舐められますからね。長尾は時期を見ておいおい」
「悠長過ぎないか?」
「仕方がないでしょ、越後、駿河を同時に相手しても、まあ、武田なら勝てなくもないですが」
恒興が勝ち筋を考えながら、
「侵攻速度はどうしても落ちるし、兵の半数が越後の雪で身動きが取れずというのはつまらないですからね」
恒興が勝頼を論破したところで、信玄が、
「池田、おまえ、武田に仕えんか?」
「あれ、そんな言葉が出るなんて尾張でのオレの待遇をまだ調べていないんですか?」
「いや調べてある。一門衆と同格扱いらしいな」
「そういう事です。なのでお断りさせていただきます」
「ったく」
信玄とはその後も喋り、織田と武田の婚姻同盟の準備交渉は成功したのだった。
◇
さて、夏である。
信長公記にもあるように織田軍は今年は中美濃攻めだ。
だが、その前に猿啄城攻めがある。
こちらは信長が出陣しなかったので記載はちょろっとだが。
それでも織田軍2300人が出兵していた。
指揮官は丹羽長秀。
京の情勢が気になり、小牧山城に残っている信長の代理である。
副将兼先鋒は河尻秀隆が務めた。
ここでの注目点は斎藤軍が猿啄城に援軍を送っていない事である。
一帯を始める関城の長井道利が近隣の加治田城の佐藤忠能と堂洞城の岸信周に援軍を要請したのだが、その返事が拒否だったのだ。
佐藤忠能の方は、
「武田が妙な動きを見せてるので御免こうむる」
ふざけた回答だったが、岸信周の方まで、
「貴殿が織田方と通じてるとは本当か? 猿啄城への援軍を要請して、兵が出たと同時に空になった堂洞城を奪うと画策しているのか?」
と疑われて、道利は更に堂洞城の岸信周と連絡を取り合って誤解を解く破目になった。
この誤解が生まれた背景には、関城の長井道利の配下の羽淵吉正が織田方に内通しており、斎藤家の忠臣ぶって堂洞城の岸信周に独断で、
「長井様にはお気を付けを。どうも織田と通じてる由。援軍を出されませんように。城を奪われますぞ」
密書をやりとりしていたからだが、道利が知るのは後の事である。
お陰で長井道利も単独では援軍を送れず、
猿啄城は城主の多治見修理が率いる美濃兵600人で、織田軍2300人と戦わなければならなかった。
結果は美濃の調略を担当し、一年前から猿啄城攻めの指揮官に選ばれていた丹羽長秀が猿啄城の弱点を探り当てており、隣山を占拠して、
「水を断て。それであの城はおしまいだ」
水源を断ち、
猿啄城の水が枯れて、
「多治見様、井戸の水が・・・」
「な、何で織田軍が我が城の弱点を知っておるんじゃっ!」
城主の多治見修理が絶叫する中、
「かかれっ!」
河尻隊が南の急坂を掛け上がって猛攻を掛け、
「これはいかん。城から逃げるぞ」
修理が撤退を命令して、猿啄城は呆気なく落城し、多治見修理は驚いた事に稲葉山城ではなく甲斐へと逃げたのだった。
◇
小牧山城に戻って武田との事前交渉が上手くいった事を信長に報告した恒興が、
「えっ、もう猿啄城を落としたんですか?」
「ああ、五郎左と秀隆がな」
「なら次は?」
「当然、関城と堂洞城なのだが・・・」
信長が珍しく迷ったので、恒興が、
「何か気に掛かる事でも?」
「京に行った一益が妙な拾いものをしてな。そっちの方が面白そうで美濃攻めに集中出来んのだ」
そう吐露した信長はニヤリと笑ったのだった。
◇
七月。
運が良いのか悪いのか。
将軍義輝の御供衆の和田惟政は永禄の変を無傷で乗り越えていた。
永禄の変のまさに十日前に二条御所にて惟政の、
「公方様も何もあそこまで三好の連中を目の敵にしないでもいいのにな~」
との仲間内での言葉が将軍義輝の耳に入って、
「私がどれだけ三好に苦渋を飲まされたと思っているのだ。弾正忠は近江の領地で謹慎させておけ」
と不興を買って、領地の南近江の和田で謹慎していたからである。
そして永禄の変を近江で聞き、謹慎命令など無視して心配で京に戻り、将軍義輝が本当に死んだ事を知り、生き延びた仲間を探すが見付からず、
将軍の弟である一乗院覚慶を守る為、
和田惟政は大和国興福寺の門前町に来ていた。
そして興福寺の門前町の通りでばったりと細川藤孝と遭い、
「弾正忠、こんなところで何をしているのだ? 前々から三好贔屓だと思ってはいたが、まさか、三好に与していたのか?」
「そんな訳あるか。オレはせめて弟君の覚慶様をお守りしようと」
「・・・本当であろうな?」
何故か警戒された。
「無論だ」
「ならば、ついてこい。計画がある」
その後、旅籠の一室で三淵藤英、一色藤長、米田求政といった将軍義輝の側近達と再会したのだが、何故からさらりと滝川一益の姿もあった。
「こちらは?」
「織田家中の滝川一益と申す。京の様子を探っていましたらこのような事になってしまい」
「甲賀者だ。金も出して貰っている――ゲホッ」
「無理をなさらずに。公方様の盾となって三発も火縄銃を受けてるのですぞ。一発は摘出も出来ておりませんのに」
医術の心得のある米田求政が心配した。
「それで弾正忠はどうしてここに?」
警戒するように一色薩長が問い、怒りながら惟政か、
「心配でだ。まさか、式部少輔殿までが私が三好に与したと・・・道々で与一郎殿も言ってたが、三好の動きを事前に知っていてわざと公方様に不興を買って二条御所から脱出したと思ってるのではないでしょうな?」
「いやいや、ワシはそこまでは疑っておらんよ」
その後、説明を受けて状況を把握した。
将軍義輝の実弟、一乗院覚慶は血筋が高貴なだけに興福寺の別当(長官)になる事が決まっており、「三好一族も手が出せない」と思っていたが、そうではなく医師として興福寺に潜り込んだ米田求政が覚慶に接触した結果、
「はあ? 三好の重臣筆頭の松永久秀が覚慶様を次の将軍にしようとしているぅ~?」
「そうだ。どう思う?」
「反対に決まってるだろうがっ! 公方様を殺しておいて何と破廉恥な」
「だが、アヤツは当時、大和に居て無関係だったらしいぞ。それはこちらでも調べたので確かだ」
「だからと言って弟君をみすみす三好の浄瑠璃人形にさせる訳にはいかんだろうが」
その惟政の言葉に全員が頷き、
数日後に見張りの門番に甲賀製の眠り薬入りの酒を飲ませて、
「この者達が?」
一乗院覚慶と面会していた。
既に面識にある求政以外の全員が思った事は「太ってる」だった。
どうやら清貧とは無縁だったらしい。
だが、顔は似てる。
血が繋がっているだけあって将軍義輝と。
細川藤孝が、
「我らがお送り致します」
「うむ、良きに計らえ」
と言った言葉は軽薄以外の何物でもなく、忠誠心が薄れたが、それでも皆で興福寺から脱出したのだった。
登場人物、1565年度
武田信玄(44)・・・甲斐の虎。甲斐源氏の嫡流。法名は徳栄軒信玄。義信事件を利用して駿河を狙う。織田との婚姻同盟は渡りに舟で最初から受けるつもりだった。
能力値、甲斐の虎SS、風林火山陰雷SS、家臣の層の厚さS、金山枯らしS、出身国の運の悪さS、義信事件発生A
諏訪勝頼(19)・・・武田信玄の四男。諏訪姓を名乗る。母親は諏訪御寮人。諏訪家の跡取りとして育つ。義信事件で後継者候補として躑躅ヶ崎館に呼ばれる。
能力値、甲斐の虎の子C、諏訪の怨念A、騎馬隊最高C、信玄への忠誠D、信玄からの信頼E、武田家臣団での待遇D
多治見修理(48)・・・斎藤家の家臣。猿啄城主。織田嫌い。古狐。武田と既に内通しており、武田領に逃げた。
能力値、織田嫌いの修理A、木曽川の古狐A、武田と昵懇B、龍興への忠誠A、龍興からの信頼E、斎藤家臣団での待遇D
和田惟政(35)・・・足利義輝の御供衆。甲賀二十一家、山南七家の一つ。官位、弾正忠。弟が和田定利。甲賀者。お調子者の惟政。義輝の不興を買い、永禄の変から逃れる。
能力値、お調子者の惟政B、将軍から不興を買うA、甲賀者C、義輝への忠誠A、義輝からの信頼D、足利幕府での待遇D
米田求政(39)・・・足利義輝の家臣。優秀文官。永禄の変では一早く避難。医術の心得あり。京に精通の求政。
能力値、京に精通の求政A、医術の心得ありB、文官の才S、義輝への忠誠B、義輝からの信頼A、足利幕府での待遇C
一色藤長(44)・・・足利義輝の奉公衆。色部一色家出身。官位、式部少輔。一色の名跡を斎藤義龍に売る。
能力値、姓売りの藤長A、信長の怒りを買うA、要領悪しC、義輝への忠誠B、義輝からの信頼A、足利幕府での待遇C
一乗院覚慶(28)・・・足利義輝の異母弟。母は近衛尚通の娘、慶寿院。家督相続者以外の子息。一乗院門跡。興福寺別当になる事が決まっていた。
能力値、高貴なる血筋A、かなりわがままA、清貧と無縁A、忠誠を削る軽薄な声A、兄殺しは許さずA、怪僧なりS
【猿啄城の落城は信長公記とは違い、1565年の夏説、採用】
【猿啄城の戦いには信長、恒興、秀吉参戦せず説、採用】
【猿啄城の戦いの織田軍の指揮官、丹羽長秀、河尻秀隆説、採用】
【猿啄城の戦い、織田軍1300人説、採用】
【猿啄城主、多治見修理説、採用】
【多治見修理、1517年生まれ説、採用】
【猿啄城の戦い、斎藤軍600人説、採用】
【一色藤長、1521年生まれ説、採用】
この年の織田家最大の出来事は中美濃を制圧した戦ではない。
武田信玄との婚姻同盟が成立した事である。
この同盟が成立するかどうかで、美濃侵攻の難易度、更にはその後の展開の難易度も劇的に変わるのだから。
そして天の時は織田に味方する。
昨年の1564年7月に武田信玄の嫡子、武田義信による「信玄暗殺の密談」が露見したのだから。
これによって今年の1565年1月には博役の飯富昌虎以下、謀反の首謀者が処刑されて、80騎の家臣団が武田家から追放処分となり、
信長の姪である美濃遠山直廉の娘が信長の養女となって11月、四男、諏訪勝頼に嫁ぐ事となるのだが、
その下準備となる事前の外交が行われる事となり、
七月には池田恒興は甲斐の躑躅ヶ崎館に来ていた。
通常ならば話題は義信の事となり、桶狭間に噛んだ事を躑躅ヶ崎館で暴露した恒興の責任問題まで波及するところだが、二月前に永禄の変があったので話題は当然、
「あんの三好三人衆の三好長逸、三好政康、岩成友通だけは絶対に許せませんよっ! そう思うでしょ、武田のお殿様も?」
通常ならば影武者が応対だが、織田家の使者が池田恒興だと知り、下手に喋らせたら影武者の実弟、信廉では御せないと判断し、最初から信玄本人が出てきており、
「将軍を殺すのはないな」
と上座で応対した。
「でしょ? 普通、将軍を殺します? ないですわ~」
まだ怒ってる恒興が、
「それに三好の当主もですよ。代替わりして二年目。まだ十六なので三好家中の実権が何もないのは理解出来ますが、周囲に言われるがままに『義継』なんて名前に改名します? その義は普通の義じゃない。将軍、足利義輝様からいただいた義なんですよ? それを継ぐって将軍を継ぐって事? 将軍様を殺しておいて何ぬかしてやがるんだって話ですよ」
「確かに気に入らんのう」
「でしょ。オレ、多分ですけどソイツを見たら殺しますね」
「ん? 京に行く予定でもあるのか?」
「まさか。美濃を平定して、南近江の六角がどっちに付くかによって通過するか、平定するかして、それで京ですよ。絶対に三好は許しませんから。そうだ、その時は援軍よろしくお願いしますね、武田からも」
「まだ同盟を結んでおらんだろうが」
「えっ、今回の婚儀で織田と正式に同盟を結ぶんですよね?」
恒興がそう水を向けたが、
「それがそうも言っておられなくてな」
「? 何故です?」
「長尾とも同盟を結ぶそうではないか、織田は?」
「ああ、今は亡き将軍様の御命令ですね」
恒興が得心がいったとばかりに頷いた。
「それだ。どうしてそうなっておる?」
「そんなの永禄三年にうちの信長様と上杉ーー」
「長尾な。武田ではそう通すように」
「まあ、いいですけど、関東管領を継承する為に長尾が将軍様に遭いに京へ行ったからですよ。つまりは織田と長尾は将軍様の御味方同士。織田と斎藤が潰し合ってるのを見て、せめて越後と尾張は仲良くしろって事なんじゃないですか? 知りませんけど」
「将軍が死んだから流れたのだよな、その同盟話?」
信玄が問うと、恒興が、
「逆ですよ。『遺言』になって絶対実行ですよ。でないとうちの信長様が不忠義者になるじゃないですか」
「・・・あのな~、武田は長尾と敵同士なんだぞ?」
「いやいや、亡き将軍様の遺言を破った方が拙いですって。でしょ?」
「つまり武田とは同盟を結ばんという事か?」
「どうしてそうなるんですか。『両方と結ぶ』ですよ。武田だって斎藤と同盟を結んでるんでしょ?」
「結んでないが」
「えっ、どうして結んでないんですか? 西なんてもう眼中にないでしょ? 北が雪で閉ざされた隙に嫡子幽閉で婚姻関係が切れた南の駿河を平定。その際に西に邪魔されたら笑えませんのに」
ようやく信玄は自分の土俵に相手が上がったと内心で喜び、
「それよ。ワシの息子がおまえの所為で・・・」
「はあ? 今川の姫に骨抜きにされたのまでオレの所為にされては困りますよ」
「いやいや、池田があの時、桶狭間の件をバラさなければ――」
「違うでしょ、武田のお殿様。実父と舅で舅を取るような男に育てたそちらの手抜かり、それが嫡子の暗殺密議の根幹なんですから」
恒興に言い負かされた信玄が、
「言ってくれるな。こっちは頭を悩ませておるのに」
「頭を悩ませるとは何ですか? まさか、許すんですか? 暗殺の密議をした関係者が切腹や追放処分になってるのに息子だけは特別扱いって。そんな不公平な裁定を下したら家臣の皆さんから『御館様も耄碌されたわ』と見放されて武田家、滅びますよ」
恒興の正論の指摘に、信玄が家臣達を視界に入れながら苦々しく、
「・・・分かっておるわ」
「で、どうします? 織田との婚姻同盟の方?」
「嫁いでくるのは美濃遠山家の娘で、織田信長の姪で間違いないのだな?」
「それは確実です」
「織田は先代が子沢山で姫が多いはずであろうが。どうしてわざわざ姪を出すんだ?」
「そんなの美濃遠山氏がどっからかこの婚姻話を聞き付けてねじ込んできたからに決まってるでしょうが」
「?」
「武田ですよ。甲斐源氏の武田家。そこに姫を送り込めるなんて栄誉、武家ならどこだって欲しいじゃないですか。それで美濃の遠山氏がねじ込んできたんですよ。織田としては遠山氏に貸しを作れてなかなか良い取引となりましたが」
恒興の武田を持ち上げる説明を聞いて、信玄は苦笑した。
断ったら、恥を掻かされた東美濃の遠山氏が武田臣従から離反する。
この婚姻話は武田が断ると損をするように良く出来ていたのだ。
信玄がふと使者を囲むように並ぶ家臣の一人を指差し、
「池田、その者をどう見る?」
恒興はその人物を見た。
若者だった。
どこかで見たような、と思ったが
「思った事を言っても?」
「ああ」
「真っ直ぐ過ぎるきらいがあるかと。汚い仕事もさせて鍛え・・・真っ直ぐさが潰れるのはもったいないですね。汚い仕事用の家臣を傍に置く事をお勧めします」
「ふむ。他には?」
「他ですか? 席次が低過ぎるかかな? 出身が甲斐じゃないんですか?」
「まあのう。他には?」
「織田との同盟の事どう思います?」
恒興が不意にその若者に声を掛けると、
「武田の敵ではないに同盟を結ぶ意味が理解出来ない」
諏訪勝頼は正直に答えた。
「では長尾は?」
「武田の仇敵だ。滅ぼしてくれるわ」
ニヤリと笑った恒興が、
「重臣、不合格ですね」
信玄に告げた。
それには勝頼が堪らず、
「どこがだ?」
「武田のお殿様はもう北なんぞに興味がないのにまだそんな事を言っているからですよ。いいですか、嫡子が武田のお殿様の暗殺を密談したんです。さあ、誰です、黒幕は?」
「黒幕? そんなの兄上だろうが?」
「そこが甘い。今川が暗躍していないとでも? 姫を通じて氏真の指図があったんですよ。その誘いに嫡子が乗ってしまった。それが昨年の武田で起こった事件の全容なんです」
恒興の決め付けに信玄は思わずニヤリと笑ってしまった。
それが「駿河攻めの原動力」になる予定だったからだ。
「なら、どうしてその事が問題になっておらんのだ?」
「もうお殿様が今川を潰すって決めてるからですよ」
実際にそうなので心底を言い当てられた信玄が今度は苦笑した。
「なのに、未だに長尾を潰すなんて言ってるんじゃあ重臣失格だって言ってるんでるよ」
恒興に言われた勝頼が、
「では織田との婚姻同盟をするのは今川攻めの布石という訳か?」
「ええ」
「長尾はどうする?」
「まずは嫡子の清算でしょうが。家中をこれだけ引っ掻き回されてそのままにしてるだなんて武田が今川に舐められますからね。長尾は時期を見ておいおい」
「悠長過ぎないか?」
「仕方がないでしょ、越後、駿河を同時に相手しても、まあ、武田なら勝てなくもないですが」
恒興が勝ち筋を考えながら、
「侵攻速度はどうしても落ちるし、兵の半数が越後の雪で身動きが取れずというのはつまらないですからね」
恒興が勝頼を論破したところで、信玄が、
「池田、おまえ、武田に仕えんか?」
「あれ、そんな言葉が出るなんて尾張でのオレの待遇をまだ調べていないんですか?」
「いや調べてある。一門衆と同格扱いらしいな」
「そういう事です。なのでお断りさせていただきます」
「ったく」
信玄とはその後も喋り、織田と武田の婚姻同盟の準備交渉は成功したのだった。
◇
さて、夏である。
信長公記にもあるように織田軍は今年は中美濃攻めだ。
だが、その前に猿啄城攻めがある。
こちらは信長が出陣しなかったので記載はちょろっとだが。
それでも織田軍2300人が出兵していた。
指揮官は丹羽長秀。
京の情勢が気になり、小牧山城に残っている信長の代理である。
副将兼先鋒は河尻秀隆が務めた。
ここでの注目点は斎藤軍が猿啄城に援軍を送っていない事である。
一帯を始める関城の長井道利が近隣の加治田城の佐藤忠能と堂洞城の岸信周に援軍を要請したのだが、その返事が拒否だったのだ。
佐藤忠能の方は、
「武田が妙な動きを見せてるので御免こうむる」
ふざけた回答だったが、岸信周の方まで、
「貴殿が織田方と通じてるとは本当か? 猿啄城への援軍を要請して、兵が出たと同時に空になった堂洞城を奪うと画策しているのか?」
と疑われて、道利は更に堂洞城の岸信周と連絡を取り合って誤解を解く破目になった。
この誤解が生まれた背景には、関城の長井道利の配下の羽淵吉正が織田方に内通しており、斎藤家の忠臣ぶって堂洞城の岸信周に独断で、
「長井様にはお気を付けを。どうも織田と通じてる由。援軍を出されませんように。城を奪われますぞ」
密書をやりとりしていたからだが、道利が知るのは後の事である。
お陰で長井道利も単独では援軍を送れず、
猿啄城は城主の多治見修理が率いる美濃兵600人で、織田軍2300人と戦わなければならなかった。
結果は美濃の調略を担当し、一年前から猿啄城攻めの指揮官に選ばれていた丹羽長秀が猿啄城の弱点を探り当てており、隣山を占拠して、
「水を断て。それであの城はおしまいだ」
水源を断ち、
猿啄城の水が枯れて、
「多治見様、井戸の水が・・・」
「な、何で織田軍が我が城の弱点を知っておるんじゃっ!」
城主の多治見修理が絶叫する中、
「かかれっ!」
河尻隊が南の急坂を掛け上がって猛攻を掛け、
「これはいかん。城から逃げるぞ」
修理が撤退を命令して、猿啄城は呆気なく落城し、多治見修理は驚いた事に稲葉山城ではなく甲斐へと逃げたのだった。
◇
小牧山城に戻って武田との事前交渉が上手くいった事を信長に報告した恒興が、
「えっ、もう猿啄城を落としたんですか?」
「ああ、五郎左と秀隆がな」
「なら次は?」
「当然、関城と堂洞城なのだが・・・」
信長が珍しく迷ったので、恒興が、
「何か気に掛かる事でも?」
「京に行った一益が妙な拾いものをしてな。そっちの方が面白そうで美濃攻めに集中出来んのだ」
そう吐露した信長はニヤリと笑ったのだった。
◇
七月。
運が良いのか悪いのか。
将軍義輝の御供衆の和田惟政は永禄の変を無傷で乗り越えていた。
永禄の変のまさに十日前に二条御所にて惟政の、
「公方様も何もあそこまで三好の連中を目の敵にしないでもいいのにな~」
との仲間内での言葉が将軍義輝の耳に入って、
「私がどれだけ三好に苦渋を飲まされたと思っているのだ。弾正忠は近江の領地で謹慎させておけ」
と不興を買って、領地の南近江の和田で謹慎していたからである。
そして永禄の変を近江で聞き、謹慎命令など無視して心配で京に戻り、将軍義輝が本当に死んだ事を知り、生き延びた仲間を探すが見付からず、
将軍の弟である一乗院覚慶を守る為、
和田惟政は大和国興福寺の門前町に来ていた。
そして興福寺の門前町の通りでばったりと細川藤孝と遭い、
「弾正忠、こんなところで何をしているのだ? 前々から三好贔屓だと思ってはいたが、まさか、三好に与していたのか?」
「そんな訳あるか。オレはせめて弟君の覚慶様をお守りしようと」
「・・・本当であろうな?」
何故か警戒された。
「無論だ」
「ならば、ついてこい。計画がある」
その後、旅籠の一室で三淵藤英、一色藤長、米田求政といった将軍義輝の側近達と再会したのだが、何故からさらりと滝川一益の姿もあった。
「こちらは?」
「織田家中の滝川一益と申す。京の様子を探っていましたらこのような事になってしまい」
「甲賀者だ。金も出して貰っている――ゲホッ」
「無理をなさらずに。公方様の盾となって三発も火縄銃を受けてるのですぞ。一発は摘出も出来ておりませんのに」
医術の心得のある米田求政が心配した。
「それで弾正忠はどうしてここに?」
警戒するように一色薩長が問い、怒りながら惟政か、
「心配でだ。まさか、式部少輔殿までが私が三好に与したと・・・道々で与一郎殿も言ってたが、三好の動きを事前に知っていてわざと公方様に不興を買って二条御所から脱出したと思ってるのではないでしょうな?」
「いやいや、ワシはそこまでは疑っておらんよ」
その後、説明を受けて状況を把握した。
将軍義輝の実弟、一乗院覚慶は血筋が高貴なだけに興福寺の別当(長官)になる事が決まっており、「三好一族も手が出せない」と思っていたが、そうではなく医師として興福寺に潜り込んだ米田求政が覚慶に接触した結果、
「はあ? 三好の重臣筆頭の松永久秀が覚慶様を次の将軍にしようとしているぅ~?」
「そうだ。どう思う?」
「反対に決まってるだろうがっ! 公方様を殺しておいて何と破廉恥な」
「だが、アヤツは当時、大和に居て無関係だったらしいぞ。それはこちらでも調べたので確かだ」
「だからと言って弟君をみすみす三好の浄瑠璃人形にさせる訳にはいかんだろうが」
その惟政の言葉に全員が頷き、
数日後に見張りの門番に甲賀製の眠り薬入りの酒を飲ませて、
「この者達が?」
一乗院覚慶と面会していた。
既に面識にある求政以外の全員が思った事は「太ってる」だった。
どうやら清貧とは無縁だったらしい。
だが、顔は似てる。
血が繋がっているだけあって将軍義輝と。
細川藤孝が、
「我らがお送り致します」
「うむ、良きに計らえ」
と言った言葉は軽薄以外の何物でもなく、忠誠心が薄れたが、それでも皆で興福寺から脱出したのだった。
登場人物、1565年度
武田信玄(44)・・・甲斐の虎。甲斐源氏の嫡流。法名は徳栄軒信玄。義信事件を利用して駿河を狙う。織田との婚姻同盟は渡りに舟で最初から受けるつもりだった。
能力値、甲斐の虎SS、風林火山陰雷SS、家臣の層の厚さS、金山枯らしS、出身国の運の悪さS、義信事件発生A
諏訪勝頼(19)・・・武田信玄の四男。諏訪姓を名乗る。母親は諏訪御寮人。諏訪家の跡取りとして育つ。義信事件で後継者候補として躑躅ヶ崎館に呼ばれる。
能力値、甲斐の虎の子C、諏訪の怨念A、騎馬隊最高C、信玄への忠誠D、信玄からの信頼E、武田家臣団での待遇D
多治見修理(48)・・・斎藤家の家臣。猿啄城主。織田嫌い。古狐。武田と既に内通しており、武田領に逃げた。
能力値、織田嫌いの修理A、木曽川の古狐A、武田と昵懇B、龍興への忠誠A、龍興からの信頼E、斎藤家臣団での待遇D
和田惟政(35)・・・足利義輝の御供衆。甲賀二十一家、山南七家の一つ。官位、弾正忠。弟が和田定利。甲賀者。お調子者の惟政。義輝の不興を買い、永禄の変から逃れる。
能力値、お調子者の惟政B、将軍から不興を買うA、甲賀者C、義輝への忠誠A、義輝からの信頼D、足利幕府での待遇D
米田求政(39)・・・足利義輝の家臣。優秀文官。永禄の変では一早く避難。医術の心得あり。京に精通の求政。
能力値、京に精通の求政A、医術の心得ありB、文官の才S、義輝への忠誠B、義輝からの信頼A、足利幕府での待遇C
一色藤長(44)・・・足利義輝の奉公衆。色部一色家出身。官位、式部少輔。一色の名跡を斎藤義龍に売る。
能力値、姓売りの藤長A、信長の怒りを買うA、要領悪しC、義輝への忠誠B、義輝からの信頼A、足利幕府での待遇C
一乗院覚慶(28)・・・足利義輝の異母弟。母は近衛尚通の娘、慶寿院。家督相続者以外の子息。一乗院門跡。興福寺別当になる事が決まっていた。
能力値、高貴なる血筋A、かなりわがままA、清貧と無縁A、忠誠を削る軽薄な声A、兄殺しは許さずA、怪僧なりS
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