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1564年、犬山城落城
兵糧の足しの黄金50枚
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【梅村良澤、1538年生まれ説、採用】
【織田信長、黄金50枚を使者に渡したのは手切れにさせない説、採用】
【斎藤龍興、指を切断されるも体面を気にして稲葉山城から脱出した事にされた説、採用】
【竹中重治、稲葉山城から半年で撤退した説、採用】
【三淵藤英、1531年生まれ説、採用】
【武田信廉、信玄の影武者説、採用】
【柴田勝家、信長の密命を良い事に甲斐まで出向き、武田と密約を結ぶ説、採用】
8月。
丹羽長秀が美濃加治田城の佐藤忠能、佐藤忠康、親子の使いの梅村良澤を小牧山城に連れてきた。
「誰だよ、佐藤って」と言うなかれ。
信長公記にも名前がちゃんと記載されており、本当に重要な人物なのだから。
と言うのも、織田信長はもちろん美濃の斎藤家がいう「美濃」とは美濃全域の事ではない。
東美濃の遠山氏は道三の時代からとっくの昔に武田信玄に服従しており、織田にもいい顔をする完全な風見鶏で、それを除外した東美濃の少しと、中美濃(中濃)と西美濃と北美濃を含めて「美濃」と言っていた。
北美濃は山ばかりで人口も少なく、中美濃に吸収されている訳だが。
西美濃の方は三人衆の稲葉良通、安藤守就、氏家直元など有名どころが居るが、
中美濃にもちゃんと、
長井道利。
佐藤忠能。
岸信周。
この3人が居た。
その一角が佐藤忠能で、それが「寝返る」と言ってるのだから、信長は疑いながらも、
「本当に織田に寝返ると言ったのだな?」
「いえ、正確には織田家に御逗留の先々代の道三様の落とし種、玄蓄様、並びに源五郎様にお味方したいと」
梅村良澤が信長の眼を見て言った。
「・・・ほう」
その二人は長良川の戦いで敗れた斎藤道三の子供達の事である。
正直、「織田に寝返る」と言われるよりも胡散臭い理由だった。
何故なら、道三と義龍が戦った「長良川の戦い」で義龍側に味方した勝ち組しか今の美濃には残っておらず、佐藤家も当然、その時、義龍に味方してるのだから。
同席していた恒興などは、
(今更、道三の子供の心配? 笑わせてくれる)
と思い、実際に鼻で笑いそうになり、慌てて視線を逸らした。
「長良川の戦いで道三を見限っておいて今更言われてものう」
「無論、それは表向きの理由で、本音は『稲葉山城を少数で乗っ取られるような馬鹿には付いていけない』です」
「正直で結構」
ニヤリと信長は笑った。
(竹中が今回は尾張に都合良く働いたわ)
佐藤忠能が織田家に味方する。
実現すれば美濃は落ちる。
そう計算した信長が、
「黄金10枚を佐藤殿に使わせよう。『兵糧の足しにして下され』との伝言をーー」
「10枚ではなく50枚がよろしいかと」
そう提案したのは密使の良澤である。
「上手い」
恒興も思わず同調して声を発する中、
(ったく、やはり勝は向かんな。こういう探り合いの交渉は)
そう思いつつ、信長が恒興を無視して良澤の真意を読みとるべく、
「何故かな?」
「50枚の黄金ならば、もう前言を翻せませんので」
(確かに。最悪、流言の材料としても使えるな)
と信長は思い、
「――その方、名は」
「梅村良澤です」
「覚えておこう。佐藤家には黄金50枚を使わそう。上手く事が運べば、その方個人への褒美も考えておく」
信長は御機嫌で良澤の案を承諾したのだった。
これが黄金50枚の経緯だが、
信長公記には信長が機嫌良く捻出した事になったのだった。
◇
8月で稲葉山城の占拠は半年となる。
牢獄から保護されて城内で養生した安藤守就はどうにか復活していた。
もう自力で廊下を歩くまでになっている。
もっとも足の指が四本ないので歩きづらいが。
「婿殿、何度も言うようだが、もう少し早く来れなかったのか?」
「はい。家老の長井がずっと若殿に張り付いておりまして隙がなく」
「そう言えば牢で数回、ワシを見に来て笑っておったな。あの蝮の落とし子めっ!」
吐き捨てた守就は無防備な竹中重治の背中を見ていると、前を向いたままの重治が、
「私を怒り任せに斬られますか、義父上?」
ギクリとなる事を質問してきた。
心底を言い当てられた守就が、
「見損うなよ。命の恩人の娘婿を相手にそんな事をする訳がなかろうが」
「ですが、若殿にはされるのでしょう?」
「当然であろう。指を七本貰わねばこの安藤守就の名が泣くわ」
そう言って稲葉山城の牢獄に到着すると、
「安藤のジイ、もう良かろうが。ここから出せっ!」
吊るした横丸太に両手を縛られて立たされた龍興がそう懇願したが、
「そう頼んだ私に若殿は何を命令されましたかな?」
匕首を片手に牢屋の中に入った守就が、
「ヒィ、止めろ、ジイ。後生だ」
「ダメですな。せめてもの情けに足の指だけで勘弁して差し上げましょう。左足の指5本と右の足の小指と薬指の7本で」
そう説明して匕首の刃を足の指に滑らせると、
「ヒィ・・・ブクブクブク」
口から泡を吹いて簡単に龍興は気絶したのだった。
「何とも軟弱な。まあ、暴れられん分、手こずらんで助かるがな」
その後、本当に龍興の足の指7本を切断した守就は配下に止血をさせていた。
それを見ていた重治は、
(矮小な。この義父上もそろそろ見切り時かもしれぬな)
そんな事を考えたのだった。
そしてその日の夜である。
竹中重治とその一党は稲葉山城から抜け道を使って退去したのだった。
篝火の焚かれた稲葉山城を見上げながら、馬に乗る安藤守就が、
「これから婿殿はどこへ?」
「北近江の浅井に誘われておりますので、そちらに。義父上も来られませ。美濃国なは居られませんゆえ」
竹中重治がそう誘ったが、
「それが居れるのが美濃の怖いところでのう。ワシは西美濃に帰らせて貰おう」
「ではここで」
「うむ、またな」
こうして稲葉山城を乗っ取った竹中重治は退去して、
その翌日、稲葉山城の物見櫓にいつもの見張りが立ってない事が氏家直元に報告されて、
「朝の見張りが立っていないだと? ・・・まさか、竹中に奴。今すぐ突入だ。いや、雑兵は拙い。幹部だけで行く」
厳選された人間が稲葉山城に乗り込むと、城門はちゃんと閂がされていたが、やはり空城で、城内を探索すると牢の中に足の指が7本切断された斎藤龍興の姿が発見された。
「うう、助けてくれ、稲葉のジイ、氏家のジイ」
「すぐに」
「お任せを」
稲葉良通と直元が助ける中、
「何と、酷過ぎる」
長井道利が白々しい台詞を吐いた。
(コヤツめ。・・・拙い、稲葉が乗せられる)
直元が警戒する中、
「殿、誰がこれを?」
良通が犯人を問うと、怒りで自我を取り戻した龍興が、
「安藤だ。あのジジイにやられた。殺せ、良いな、稲葉のジイ」
そう吐き捨てたが、良通が答える前に直元が強い口調で、
「いいえ、殿。殿は竹中が稲葉山城の占拠の折り、無事逃げられたのですよ」
そう言い含ませた。
それには龍興が、
「何を言ってる、氏家のジイ? オレはここに半年間もーー」
「竹中に囚われの身であったなどとバレたら最後、家臣が次々に殿を見限って、次は指では済まなくなりますぞ」
「――なっ」
絶句した龍興がその場に居た良通に視線を移し、
「そうなのか、稲葉のジイ」
「氏家殿の言葉に嘘偽りはないかと」
「長井も同じ意見か?」
(チィ、五の牙と八の牙の眼が『同調せねばこの場で殺す』と言っておるわ)
話を振られた道利は、
「難攻不落の稲葉山城を取られただけでも聞こえが悪く、それ以上は確かに・・・」
渋々と答えた。
「もう良い。稲葉のジイ、氏家のジイ、良きに計らえ」
「お任せ下さい。まずは医師を呼んで治療を」
医師を手配した良通は、
(足の指を・・・武士としては致命的だのう)
そう思い、
「はっ」
と答えた直元の方も内心で、
(安藤め。アヤツは昔から些細な事を根に持つ陰険な奴であったが、殿相手にここまでするとは・・・そうか、美濃を見限りおったか)
そんな事を思いながら、斎藤家当主の龍興を救出し、
斎藤家の家臣達が初動で稲葉山城が乗っ取られた際に龍興は無事に脱出。
その後、不機嫌過ぎて酒を煽って女に耽り、人前に姿を現していなかっただけ、と情報操作をしていたので、捕縛されて半年間人質になっていた事は一切外部に漏れる事はなく、後世でも記録に一切残らなかった。
足の指を失ったのも「酔いながら刀を振り回しての自傷」とされ、いくら暗愚でもそこまでドジではないだろうとなったのだった。
◇
1564年8月である。
この時期の最大の出来事は尾張や美濃の出来事ではない。
京を牛耳っていた三好長慶が河内の飯盛山城で死んだ事である。
三好本家の家督は甥の重存(後の義継)が齢15歳で継いだが、若過ぎる為に松永久秀と三好三人衆の三好長逸、三好政康、岩成友通が後見役として支える事となった。
のだが、
その一月前に三好長慶の実弟で、三好家のまとめ役で人望もあった安宅冬康が三好長慶に切腹させられる事件が起こっている。
その冬康の死は、堺で恒興が吹聴した事で「家老の松永久秀の讒言」が確定しており、いきなり松永久秀と三好三人衆が対立する構図となっていた。
そうでなくても1年前に死んだ三好長慶の嫡子、三好義興の死にも松永久秀による毒殺との風聞が付きまとっており、松永久秀の評判は頗る悪く、
「松永殿は後見人には相応しくないのではないか?」
三好三人衆筆頭の三好長逸が嫌味を言ったが、嫌味勝負で松永久秀に勝てる訳もない。
すぐさま、
「つまり、長慶様の遺言を無視すると? さすがは長逸殿は剛毅でいらっしゃる。三好の本家の器に相応しいですな~」
「貴様~、三好本家の当主は重存殿だと分かっていながら何と恐れ多い事を」
「そちらが売られたからでしょう? 売られたら買う。それが久秀流ですので」
火花を散らす中、
「止めよ。四人とも。我が後見、頼んだぞ」
三好本家の重存の言葉に、四人全員が、
「ははっ!」
と答えて平服したのだった。
その三好長慶の死を喜んだのが長慶に散々押さえ付けられていた京の足利義輝である。
京の御座所にて将軍義輝が、
「本当に死んだのだな?」
「はっ、信用出来る者を数名、河内に放ちましたので間違いないかと」
と答えたのは奉公衆の三淵藤英である。
「人の死を喜ぶような者は将軍失格ではあるが・・・」
「逆賊の死を喜んで何の問題がありましょうや」
藤英の追従に、
「三好は逆賊か、違いない」
そう将軍義輝は喜んだのだった。
◇
そして、小牧山城の評議の場では犬山城を落城させて尾張を再統一して御機嫌だった信長が怒り狂っていた。
怒りの原因は当然、竹中重治が稲葉山城を斎藤家に返上した事である。
「揃いも揃って、竹中一人も調略出来ぬとは・・・」
「申し訳ございません、信長様」
代表して謝るのは林秀貞の役目である。
「もう良いわ。楽して稲葉山城を取ろうとしたオレも考えが甘過ぎた。美濃へ兵を動かすぞ」
そう命令した信長がふと、
「権六はまだ与力なしで美濃に潜っておるのか?」
「そう聞いております」
「チッ、アヤツも何を企んでおるのやら」
そう信長は吐き捨てたのだった。
この時、鉄砲で竹中重治に暗殺されそうになって表向き、静養中のはずの柴田勝家がどこで何をやってたかと言えば、信長の密命を受けて美濃に潜入して国衆を調略中のはずが、
何故か配下の中村文荷斎を従えて甲斐の躑躅ヶ崎館で武田信玄の影武者の信廉と会見していた。
「この柴田勝家を武田様の配下にしていただきたく」
(とんだ喰わせ者が舞い込んできおったわ)
別室でその会見を聞いていた武田信玄が呆れ果てた。
(義信の謀反が発覚する前であれば面白がるところだが、今はそんな気分にはなれんな~)
一月前の七月に甲斐では前代未聞の嫡子の義信主導の信玄暗殺計画が発覚。
それにより関係者の大半が捕縛、謹慎させられている。
その状況の中での勝家の訪問である。
「武田に何を齎すかにもよるのう」
評議の間にて信廉がそう言う中、勝家は間髪入れずに、
「信長の首を差し上げまする」
「ほう、織田の家老が信長の首をか」
「はっ」
「それは・・・その方が信長を暗殺するという意味か?」
「いえ、死地に招いて信長の首を武田様に討たせて御覧に入れるという意味です」
「なるほど。自らは手を汚さぬと?」
「聞こえは悪いですがそうです。武田にも損はないかと」
勝家が影武者を本物と見込んでそう願いでる中、信廉がふと何かを思い付いて、
「織田家中には池田が居たのう。その方はアヤツをどう見る?」
(総てアヤツが暴露した所為・・・とは言えんな。今川の姫に骨抜きにされた義信の資質にやはり問題があったか。それ以外は後継者として問題なかったのだが)
「使え過ぎ、そして妙な引力があるかと」
それが勝家の恒興の評価だった。
「妙な引力? 例えば?」
「桶狭間前に京にのぼった時の事・・・」
その後の顛末を話した。
「将軍家から刀を拝領したか。あの者ならあり得るな」
「命令とあらば討ちますが」
「それで信長に警戒されては元も子もあるまい。それに女中を張り付かせてあるのでな。手は出さぬように」
「はっ」
「ふむ。信長を死地へか。信長の首が討てた際の褒美として何を望む?」
「尾張半国」
間髪入れずに言う柴田勝家に信玄に扮する信廉は、
「良かろう。鉄斎を呼べ」
別室より鉄斎と呼ばれた男が現れた。
勝家と一言も発していない文荷斎はその顔を見てギクリとした。
犬山城主の織田信清だったからだ。
「お呼びしょうか、御館様」
影武者を信玄本人だと思ってる鉄斎が家臣として頭を下げる。
「柴田との連絡はその方が取れ。良いな。直接だ」
「ははっ」
こうして柴田勝家と武田との間で密約が交わされたのが、
勝家が帰った後、別室へと信廉が出向くと、
「兄上、あれでよろしかったでしょうか?」
「問題なかろう」
「あの者を本当に信用されますので?」
「嫡子の義信の謀反が発覚したところなのに信用する訳なかろうが」
そう信玄が自嘲した時、近習が慌てて部屋にやってきて、
「長尾が越後で兵を集めて既に北信濃に進発したとの報告です」
「またか、あの戦狂いめ。こちらの都合は一切お構いなしか。すぐに兵を集めよっ!」
苛立った信玄はその後、第五次川中島の戦いに出向いたのだった。
登場人物、1564年度
梅村良澤(26)・・・佐藤家の家臣。密使として信長と会う。
能力値、弁舌爽やかB、正直な眼差しSS、黄金を出させるA、佐藤家への忠誠C、佐藤家からの信頼S、佐藤家臣団の待遇B
安藤守就(51)・・・斎藤家の六宿老の一人。西美濃三人衆の一人。娘婿が竹中重治。母が稲葉良通の伯母。拷問で手足の指7本を失う。龍興とは手を切る。
能力値、蝮の七の牙の守就A、手に余る玉SS、喰わせ者の守就A、美濃乗っ取りを企むA、美濃のお尋ね者A、西美濃では捕まらずA
三好長逸(48)・・・三好家の家臣。三好三人衆の一人で筆頭格。三好政権の双璧の一人。三好一族の長老。松永久秀を除いて三好家の全権強奪を目論む。
能力値、強奪の長逸C、三好政権の執政B、三好一族の長老C、義重への忠誠C、義重からの信頼A、三好家臣団での待遇SS
三好重存(15)・・・三好家の当主。後の義継。長慶の甥。父は十河一存。母は九条植通の娘。松永久秀と裏取引して当主となる。
能力値、天下人の才覚E、劣った器量の重存A、久秀の傀儡A、重過ぎる三好当主の地位A、暴走する家臣達D、不運重なるE
足利義輝(28)・・・室町幕府13代将軍。塚原卜伝流創設の新当流の免許皆伝。一之太刀の義輝。三好長慶が死を契機に幕府の実権回復を狙う。
能力値、天下人の才気C、悲運の将軍B、一之太刀の義輝B、朝廷で評判C、三好憎しSS、刀狂いSS
三淵藤英(33)・・・足利義輝の奉公衆。三淵晴員の子。異母弟に細川藤孝。気品正しい。涼やかな佇まい。
能力値、涼やかの藤英B、命知らずA、三好憎しB、義輝への忠誠S、義輝からの信頼B、足利幕府での待遇C
武田信廉(35)・・・武田一門衆。信玄の実弟。武田二十四将の一人。親族衆筆頭。母は大井の方。官位は刑部少輔。歩き巫女衆の統括。義信事件直後でピリ付いてる。
能力値、甲斐の虎の影B、風林火山C、兄劣りの信廉A、信玄への忠誠A、信玄からの信頼C、武田家臣団での待遇S
柴田勝家(34)・・・織田家の家老。信勝の元一番家老。豪傑の容姿とは裏腹に策士。甲斐武田に乗り込み、密約を交わす。信長優先で池田恒興の殺害は中止。
能力値、悪知恵の柴田A、見た目通りの剛力S、信勝(信行)の家老A、織田家への忠誠D、信長からの信頼E、織田家臣団での待遇C
【織田信長、黄金50枚を使者に渡したのは手切れにさせない説、採用】
【斎藤龍興、指を切断されるも体面を気にして稲葉山城から脱出した事にされた説、採用】
【竹中重治、稲葉山城から半年で撤退した説、採用】
【三淵藤英、1531年生まれ説、採用】
【武田信廉、信玄の影武者説、採用】
【柴田勝家、信長の密命を良い事に甲斐まで出向き、武田と密約を結ぶ説、採用】
8月。
丹羽長秀が美濃加治田城の佐藤忠能、佐藤忠康、親子の使いの梅村良澤を小牧山城に連れてきた。
「誰だよ、佐藤って」と言うなかれ。
信長公記にも名前がちゃんと記載されており、本当に重要な人物なのだから。
と言うのも、織田信長はもちろん美濃の斎藤家がいう「美濃」とは美濃全域の事ではない。
東美濃の遠山氏は道三の時代からとっくの昔に武田信玄に服従しており、織田にもいい顔をする完全な風見鶏で、それを除外した東美濃の少しと、中美濃(中濃)と西美濃と北美濃を含めて「美濃」と言っていた。
北美濃は山ばかりで人口も少なく、中美濃に吸収されている訳だが。
西美濃の方は三人衆の稲葉良通、安藤守就、氏家直元など有名どころが居るが、
中美濃にもちゃんと、
長井道利。
佐藤忠能。
岸信周。
この3人が居た。
その一角が佐藤忠能で、それが「寝返る」と言ってるのだから、信長は疑いながらも、
「本当に織田に寝返ると言ったのだな?」
「いえ、正確には織田家に御逗留の先々代の道三様の落とし種、玄蓄様、並びに源五郎様にお味方したいと」
梅村良澤が信長の眼を見て言った。
「・・・ほう」
その二人は長良川の戦いで敗れた斎藤道三の子供達の事である。
正直、「織田に寝返る」と言われるよりも胡散臭い理由だった。
何故なら、道三と義龍が戦った「長良川の戦い」で義龍側に味方した勝ち組しか今の美濃には残っておらず、佐藤家も当然、その時、義龍に味方してるのだから。
同席していた恒興などは、
(今更、道三の子供の心配? 笑わせてくれる)
と思い、実際に鼻で笑いそうになり、慌てて視線を逸らした。
「長良川の戦いで道三を見限っておいて今更言われてものう」
「無論、それは表向きの理由で、本音は『稲葉山城を少数で乗っ取られるような馬鹿には付いていけない』です」
「正直で結構」
ニヤリと信長は笑った。
(竹中が今回は尾張に都合良く働いたわ)
佐藤忠能が織田家に味方する。
実現すれば美濃は落ちる。
そう計算した信長が、
「黄金10枚を佐藤殿に使わせよう。『兵糧の足しにして下され』との伝言をーー」
「10枚ではなく50枚がよろしいかと」
そう提案したのは密使の良澤である。
「上手い」
恒興も思わず同調して声を発する中、
(ったく、やはり勝は向かんな。こういう探り合いの交渉は)
そう思いつつ、信長が恒興を無視して良澤の真意を読みとるべく、
「何故かな?」
「50枚の黄金ならば、もう前言を翻せませんので」
(確かに。最悪、流言の材料としても使えるな)
と信長は思い、
「――その方、名は」
「梅村良澤です」
「覚えておこう。佐藤家には黄金50枚を使わそう。上手く事が運べば、その方個人への褒美も考えておく」
信長は御機嫌で良澤の案を承諾したのだった。
これが黄金50枚の経緯だが、
信長公記には信長が機嫌良く捻出した事になったのだった。
◇
8月で稲葉山城の占拠は半年となる。
牢獄から保護されて城内で養生した安藤守就はどうにか復活していた。
もう自力で廊下を歩くまでになっている。
もっとも足の指が四本ないので歩きづらいが。
「婿殿、何度も言うようだが、もう少し早く来れなかったのか?」
「はい。家老の長井がずっと若殿に張り付いておりまして隙がなく」
「そう言えば牢で数回、ワシを見に来て笑っておったな。あの蝮の落とし子めっ!」
吐き捨てた守就は無防備な竹中重治の背中を見ていると、前を向いたままの重治が、
「私を怒り任せに斬られますか、義父上?」
ギクリとなる事を質問してきた。
心底を言い当てられた守就が、
「見損うなよ。命の恩人の娘婿を相手にそんな事をする訳がなかろうが」
「ですが、若殿にはされるのでしょう?」
「当然であろう。指を七本貰わねばこの安藤守就の名が泣くわ」
そう言って稲葉山城の牢獄に到着すると、
「安藤のジイ、もう良かろうが。ここから出せっ!」
吊るした横丸太に両手を縛られて立たされた龍興がそう懇願したが、
「そう頼んだ私に若殿は何を命令されましたかな?」
匕首を片手に牢屋の中に入った守就が、
「ヒィ、止めろ、ジイ。後生だ」
「ダメですな。せめてもの情けに足の指だけで勘弁して差し上げましょう。左足の指5本と右の足の小指と薬指の7本で」
そう説明して匕首の刃を足の指に滑らせると、
「ヒィ・・・ブクブクブク」
口から泡を吹いて簡単に龍興は気絶したのだった。
「何とも軟弱な。まあ、暴れられん分、手こずらんで助かるがな」
その後、本当に龍興の足の指7本を切断した守就は配下に止血をさせていた。
それを見ていた重治は、
(矮小な。この義父上もそろそろ見切り時かもしれぬな)
そんな事を考えたのだった。
そしてその日の夜である。
竹中重治とその一党は稲葉山城から抜け道を使って退去したのだった。
篝火の焚かれた稲葉山城を見上げながら、馬に乗る安藤守就が、
「これから婿殿はどこへ?」
「北近江の浅井に誘われておりますので、そちらに。義父上も来られませ。美濃国なは居られませんゆえ」
竹中重治がそう誘ったが、
「それが居れるのが美濃の怖いところでのう。ワシは西美濃に帰らせて貰おう」
「ではここで」
「うむ、またな」
こうして稲葉山城を乗っ取った竹中重治は退去して、
その翌日、稲葉山城の物見櫓にいつもの見張りが立ってない事が氏家直元に報告されて、
「朝の見張りが立っていないだと? ・・・まさか、竹中に奴。今すぐ突入だ。いや、雑兵は拙い。幹部だけで行く」
厳選された人間が稲葉山城に乗り込むと、城門はちゃんと閂がされていたが、やはり空城で、城内を探索すると牢の中に足の指が7本切断された斎藤龍興の姿が発見された。
「うう、助けてくれ、稲葉のジイ、氏家のジイ」
「すぐに」
「お任せを」
稲葉良通と直元が助ける中、
「何と、酷過ぎる」
長井道利が白々しい台詞を吐いた。
(コヤツめ。・・・拙い、稲葉が乗せられる)
直元が警戒する中、
「殿、誰がこれを?」
良通が犯人を問うと、怒りで自我を取り戻した龍興が、
「安藤だ。あのジジイにやられた。殺せ、良いな、稲葉のジイ」
そう吐き捨てたが、良通が答える前に直元が強い口調で、
「いいえ、殿。殿は竹中が稲葉山城の占拠の折り、無事逃げられたのですよ」
そう言い含ませた。
それには龍興が、
「何を言ってる、氏家のジイ? オレはここに半年間もーー」
「竹中に囚われの身であったなどとバレたら最後、家臣が次々に殿を見限って、次は指では済まなくなりますぞ」
「――なっ」
絶句した龍興がその場に居た良通に視線を移し、
「そうなのか、稲葉のジイ」
「氏家殿の言葉に嘘偽りはないかと」
「長井も同じ意見か?」
(チィ、五の牙と八の牙の眼が『同調せねばこの場で殺す』と言っておるわ)
話を振られた道利は、
「難攻不落の稲葉山城を取られただけでも聞こえが悪く、それ以上は確かに・・・」
渋々と答えた。
「もう良い。稲葉のジイ、氏家のジイ、良きに計らえ」
「お任せ下さい。まずは医師を呼んで治療を」
医師を手配した良通は、
(足の指を・・・武士としては致命的だのう)
そう思い、
「はっ」
と答えた直元の方も内心で、
(安藤め。アヤツは昔から些細な事を根に持つ陰険な奴であったが、殿相手にここまでするとは・・・そうか、美濃を見限りおったか)
そんな事を思いながら、斎藤家当主の龍興を救出し、
斎藤家の家臣達が初動で稲葉山城が乗っ取られた際に龍興は無事に脱出。
その後、不機嫌過ぎて酒を煽って女に耽り、人前に姿を現していなかっただけ、と情報操作をしていたので、捕縛されて半年間人質になっていた事は一切外部に漏れる事はなく、後世でも記録に一切残らなかった。
足の指を失ったのも「酔いながら刀を振り回しての自傷」とされ、いくら暗愚でもそこまでドジではないだろうとなったのだった。
◇
1564年8月である。
この時期の最大の出来事は尾張や美濃の出来事ではない。
京を牛耳っていた三好長慶が河内の飯盛山城で死んだ事である。
三好本家の家督は甥の重存(後の義継)が齢15歳で継いだが、若過ぎる為に松永久秀と三好三人衆の三好長逸、三好政康、岩成友通が後見役として支える事となった。
のだが、
その一月前に三好長慶の実弟で、三好家のまとめ役で人望もあった安宅冬康が三好長慶に切腹させられる事件が起こっている。
その冬康の死は、堺で恒興が吹聴した事で「家老の松永久秀の讒言」が確定しており、いきなり松永久秀と三好三人衆が対立する構図となっていた。
そうでなくても1年前に死んだ三好長慶の嫡子、三好義興の死にも松永久秀による毒殺との風聞が付きまとっており、松永久秀の評判は頗る悪く、
「松永殿は後見人には相応しくないのではないか?」
三好三人衆筆頭の三好長逸が嫌味を言ったが、嫌味勝負で松永久秀に勝てる訳もない。
すぐさま、
「つまり、長慶様の遺言を無視すると? さすがは長逸殿は剛毅でいらっしゃる。三好の本家の器に相応しいですな~」
「貴様~、三好本家の当主は重存殿だと分かっていながら何と恐れ多い事を」
「そちらが売られたからでしょう? 売られたら買う。それが久秀流ですので」
火花を散らす中、
「止めよ。四人とも。我が後見、頼んだぞ」
三好本家の重存の言葉に、四人全員が、
「ははっ!」
と答えて平服したのだった。
その三好長慶の死を喜んだのが長慶に散々押さえ付けられていた京の足利義輝である。
京の御座所にて将軍義輝が、
「本当に死んだのだな?」
「はっ、信用出来る者を数名、河内に放ちましたので間違いないかと」
と答えたのは奉公衆の三淵藤英である。
「人の死を喜ぶような者は将軍失格ではあるが・・・」
「逆賊の死を喜んで何の問題がありましょうや」
藤英の追従に、
「三好は逆賊か、違いない」
そう将軍義輝は喜んだのだった。
◇
そして、小牧山城の評議の場では犬山城を落城させて尾張を再統一して御機嫌だった信長が怒り狂っていた。
怒りの原因は当然、竹中重治が稲葉山城を斎藤家に返上した事である。
「揃いも揃って、竹中一人も調略出来ぬとは・・・」
「申し訳ございません、信長様」
代表して謝るのは林秀貞の役目である。
「もう良いわ。楽して稲葉山城を取ろうとしたオレも考えが甘過ぎた。美濃へ兵を動かすぞ」
そう命令した信長がふと、
「権六はまだ与力なしで美濃に潜っておるのか?」
「そう聞いております」
「チッ、アヤツも何を企んでおるのやら」
そう信長は吐き捨てたのだった。
この時、鉄砲で竹中重治に暗殺されそうになって表向き、静養中のはずの柴田勝家がどこで何をやってたかと言えば、信長の密命を受けて美濃に潜入して国衆を調略中のはずが、
何故か配下の中村文荷斎を従えて甲斐の躑躅ヶ崎館で武田信玄の影武者の信廉と会見していた。
「この柴田勝家を武田様の配下にしていただきたく」
(とんだ喰わせ者が舞い込んできおったわ)
別室でその会見を聞いていた武田信玄が呆れ果てた。
(義信の謀反が発覚する前であれば面白がるところだが、今はそんな気分にはなれんな~)
一月前の七月に甲斐では前代未聞の嫡子の義信主導の信玄暗殺計画が発覚。
それにより関係者の大半が捕縛、謹慎させられている。
その状況の中での勝家の訪問である。
「武田に何を齎すかにもよるのう」
評議の間にて信廉がそう言う中、勝家は間髪入れずに、
「信長の首を差し上げまする」
「ほう、織田の家老が信長の首をか」
「はっ」
「それは・・・その方が信長を暗殺するという意味か?」
「いえ、死地に招いて信長の首を武田様に討たせて御覧に入れるという意味です」
「なるほど。自らは手を汚さぬと?」
「聞こえは悪いですがそうです。武田にも損はないかと」
勝家が影武者を本物と見込んでそう願いでる中、信廉がふと何かを思い付いて、
「織田家中には池田が居たのう。その方はアヤツをどう見る?」
(総てアヤツが暴露した所為・・・とは言えんな。今川の姫に骨抜きにされた義信の資質にやはり問題があったか。それ以外は後継者として問題なかったのだが)
「使え過ぎ、そして妙な引力があるかと」
それが勝家の恒興の評価だった。
「妙な引力? 例えば?」
「桶狭間前に京にのぼった時の事・・・」
その後の顛末を話した。
「将軍家から刀を拝領したか。あの者ならあり得るな」
「命令とあらば討ちますが」
「それで信長に警戒されては元も子もあるまい。それに女中を張り付かせてあるのでな。手は出さぬように」
「はっ」
「ふむ。信長を死地へか。信長の首が討てた際の褒美として何を望む?」
「尾張半国」
間髪入れずに言う柴田勝家に信玄に扮する信廉は、
「良かろう。鉄斎を呼べ」
別室より鉄斎と呼ばれた男が現れた。
勝家と一言も発していない文荷斎はその顔を見てギクリとした。
犬山城主の織田信清だったからだ。
「お呼びしょうか、御館様」
影武者を信玄本人だと思ってる鉄斎が家臣として頭を下げる。
「柴田との連絡はその方が取れ。良いな。直接だ」
「ははっ」
こうして柴田勝家と武田との間で密約が交わされたのが、
勝家が帰った後、別室へと信廉が出向くと、
「兄上、あれでよろしかったでしょうか?」
「問題なかろう」
「あの者を本当に信用されますので?」
「嫡子の義信の謀反が発覚したところなのに信用する訳なかろうが」
そう信玄が自嘲した時、近習が慌てて部屋にやってきて、
「長尾が越後で兵を集めて既に北信濃に進発したとの報告です」
「またか、あの戦狂いめ。こちらの都合は一切お構いなしか。すぐに兵を集めよっ!」
苛立った信玄はその後、第五次川中島の戦いに出向いたのだった。
登場人物、1564年度
梅村良澤(26)・・・佐藤家の家臣。密使として信長と会う。
能力値、弁舌爽やかB、正直な眼差しSS、黄金を出させるA、佐藤家への忠誠C、佐藤家からの信頼S、佐藤家臣団の待遇B
安藤守就(51)・・・斎藤家の六宿老の一人。西美濃三人衆の一人。娘婿が竹中重治。母が稲葉良通の伯母。拷問で手足の指7本を失う。龍興とは手を切る。
能力値、蝮の七の牙の守就A、手に余る玉SS、喰わせ者の守就A、美濃乗っ取りを企むA、美濃のお尋ね者A、西美濃では捕まらずA
三好長逸(48)・・・三好家の家臣。三好三人衆の一人で筆頭格。三好政権の双璧の一人。三好一族の長老。松永久秀を除いて三好家の全権強奪を目論む。
能力値、強奪の長逸C、三好政権の執政B、三好一族の長老C、義重への忠誠C、義重からの信頼A、三好家臣団での待遇SS
三好重存(15)・・・三好家の当主。後の義継。長慶の甥。父は十河一存。母は九条植通の娘。松永久秀と裏取引して当主となる。
能力値、天下人の才覚E、劣った器量の重存A、久秀の傀儡A、重過ぎる三好当主の地位A、暴走する家臣達D、不運重なるE
足利義輝(28)・・・室町幕府13代将軍。塚原卜伝流創設の新当流の免許皆伝。一之太刀の義輝。三好長慶が死を契機に幕府の実権回復を狙う。
能力値、天下人の才気C、悲運の将軍B、一之太刀の義輝B、朝廷で評判C、三好憎しSS、刀狂いSS
三淵藤英(33)・・・足利義輝の奉公衆。三淵晴員の子。異母弟に細川藤孝。気品正しい。涼やかな佇まい。
能力値、涼やかの藤英B、命知らずA、三好憎しB、義輝への忠誠S、義輝からの信頼B、足利幕府での待遇C
武田信廉(35)・・・武田一門衆。信玄の実弟。武田二十四将の一人。親族衆筆頭。母は大井の方。官位は刑部少輔。歩き巫女衆の統括。義信事件直後でピリ付いてる。
能力値、甲斐の虎の影B、風林火山C、兄劣りの信廉A、信玄への忠誠A、信玄からの信頼C、武田家臣団での待遇S
柴田勝家(34)・・・織田家の家老。信勝の元一番家老。豪傑の容姿とは裏腹に策士。甲斐武田に乗り込み、密約を交わす。信長優先で池田恒興の殺害は中止。
能力値、悪知恵の柴田A、見た目通りの剛力S、信勝(信行)の家老A、織田家への忠誠D、信長からの信頼E、織田家臣団での待遇C
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