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1563年、嫌われ柴田の復権
柴田勝家天誅騒動
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【織田家で鉄砲隊設立説、採用】
【織田家の近習や小姓の間で柴田勝家に天誅をとの機運が高まった説、採用】
【長谷川与次、1535年生まれ説、採用】
【山口飛騨守、1543年生まれ説、採用】
【柴田勝家、織田家中の不穏な動きに対して自らの暗殺計画を企てていた説、採用】
【竹中重治、出奔中に小牧山城に居た説、採用】
【杉谷善住坊、1541年生まれ説、採用】
【杉谷善住坊、竹中重治に雇われた説、採用】
【柴田勝家、計画を竹中重治に乗っ取られて本当に火縄銃で撃たれた説、採用】
【犯人は中村文荷斎説、採用】
小牧山城から少し離れた場所では信長が新設した鉄砲隊が訓練をしていた。
ダァンッとの火縄銃の音が常に響き、的を外した兵士がどこが悪かったのか指導されている。
その訓練の様子を、暇を持て余した恒興が見学に来ていた。
「鉄砲名人の滝川が鉄砲奉行か~。順当と言えば順当な人選だな。信長様が手を付けた奇妙様の乳母とも縁続きらしいし」
恒興の相手をしてるのは鉄砲奉行の目付も兼務の佐々成政である。
「鉄砲隊って今、何人居るの、成政?」
「260人だよ」
「鉄砲を貸し出す時に一緒に鉄砲兵も貸し出される訳だよな?」
「そうなる予定だ。誰かさんが小牧山の築城の防衛で火薬と弾を使いまくるから」
「えっ、オレの所為なの?」
「そう言われてたぞ、清洲では」
「ふ~ん。何か面白い事ない?」
「小姓の中に『信長様の朱印状を偽造した柴田を斬る』って息巻いてるのが居るらしいぞ」
「柴田の奴、犬山城の信清とも連絡を取ってたらしいからな」
成政が探るように、
「恒興はそれに入らないのか?」
「オレは柴田よりも中島が斬りたいんだよ~、成政~」
「投降した小口城の城将の?」
「ああ、眼の前に長門の仇が居るのに仇が討てないなんて本当に信長様も酷いぜ」
「赦免状に連名で書いた癖にまだ言ってるのか?」
「仕方ないだろ。信長様に『書け』と言われたんだから」
恒興がふと、
「それにしても、こんなところで的なんて狙わないで、どうせ撃つなら犬山城に向けて撃てばいいのにな~」
そう呟き、
「それいいな。信長様に進言してみよう」
成政が言って、あっという間に採用となるのだが。
◇
鉄砲訓練場で恒興と別れた佐々成政は、その足で小牧山城に戻り、小部屋で仲間達と談合していた。
「どうであった、佐々殿。池田殿を上手く引き入れられたか?」
成政にそう尋ねたのは近習幹部で成政達よりも1歳年上の長谷川与次だ。
「それとなく水を向けたがダメだった。恒興は今は柴田よりも長門守殿の仇の中島を狙ってるから」
「そっちか」
「アイツも居たな」
近習の菅屋長頼と小姓の山口飛騨守が苦笑した。
「よし、今度はオレがそれとなく勝さんに尋ねてみるよ」
そんな企てが織田家中で密かに進行していたのだった。
◇
犬山城では信長の鉄砲隊による射撃がダダダァン、ダダダァンッと延々と続いていた。
最後の城門が守る山頂以外の犬山城は総て信長の軍が占拠してる為に、もうやりたい放題である。
「くそ~、五月蠅い五月蠅い五月蠅い」
鉄砲の音を聞かされてうんざりした信清が喚き、
「もう降伏されては?」
正室の犬山殿も鉄砲の音を聞きながら質問するが、
「まだだ。まだ美濃からの援軍さえ駆け付ければ」
「来ないと思いますけど。聞けば、斎藤の三代目はバカ殿らしいですし」
「大丈夫だ。オレに任せろ」
そう信清は吠えたのだった。
◇
裸城となった尾張大山城はもう楽勝で陥落しそうな訳だが。
信長が本拠地としている小牧山城内では不穏な空気が流れていた。
別に流言が広まっている訳ではない。
だが、
信勝様の家老時代に信長様の悪名を流し(真偽不明)、
更には信勝様の家老時代に暗殺者を複数、信長様に放ち(事実)、
小牧山城に釣り天井を仕掛けて信長様を暗殺しようとし(デマ)、
美濃斎藤家と内通して戦で信長様を殺そうとし(真偽不明)、
妹の織田市様を嫁に欲しい、と信長様に身の程知らずにもねだって断られた事を怨み(デマ)、
信長様の朱印状を偽造して1000貫を盗もうとし(事実扱い)、
犬山城方とも実は通じていたと判明した(事実だが憶測扱い)、
「悪の家老、柴田勝家に天誅を」
との機運が織田家の小姓や近習の間で高まっていたのだ。
その小牧山城内の様子を察した信長が恒興を呼び出して、
「勝、おまえ、何かやったのか?」
そう質問した。
織田家の騒動には大概、恒興が絡んでいるからだが。
しかし、この時ばかりは心外だと言わんばかりに恒興が、
「まさか。オレが今欲しい首は柴田のじゃなくて中島のですのに~」
(そうだった。面倒臭い話題を振ってしまったな)
と信長は思い出し、
「だから中島は『まだダメだ』と言っているだろうが」
「なら、せめて鉄砲奉行はダメでも、オレも目付に」
信長におねだり出来るのが乳兄弟の恒興の最大の強みである。
だが、信長は、
「ダメに決まってるだろうが。勝に火縄銃を持たすとロクな事がないからな」
「なら、勝九郎を奇妙様のお側衆に・・・」
「4歳では無理であろうが。6歳になるまで待て」
「えっ、6歳になったらいいんですか?」
信長の意外な答えに恒興が眼を輝かせると、信長はさらりと、
「ああ、最初からそうするつもりであったからな」
「何だ、言って下さいよ、信長様~。悶々としちゃったじゃないですか~」
「それよりも権六だ。守ってやれ」
恒興が嫌そうに、
「ええ~、どうしてですか~?」
「この騒動の裏に竹中が居たらいたたまれないからだよ」
「そういうのは秀吉に――ああ、今は堺でしたか?」
「勝が火薬と弾を湯水のように使うからな」
「いやいや、火縄銃だけを貸し出すからですよ。兵に持たせて撃ち方を教えても練習してないから全然当てられないんですもん。信清を狙える機会があったんですよ、一度だけ? 当たってたら犬山城の騒動もとっくに終結してたのに。でも当たらなくて。それで練習を」
「分かってる。だから鉄砲隊を組織しただろうが」
と答えた信長が、
「それよりも権六だ、頼んだぞ」
「どうして、そんなに柴田を守りたがるんですか?」
「あのな~、守りたいんじゃなくて天誅なんかが横行してみろ。昔の尾張に戻ってしまうだろうが。ともかく任せたからな」
「まあ、適当にやってみますが」
と恒興は返事をした訳だが。
◇
この織田家中の機運を操ってるのは意外や意外、
那古野城の城代でもある織田家の筆頭家老、林秀貞が、
「アヤツは信勝様の一番家老の時から危険であった。信長様の周囲で警戒してる勝三郎は正しい。あの男は何をするか分からんからな」
小牧山城に居る織田家の家老の河尻秀隆は酒を飲めば愚痴るように、
「ヒックっ、あいつの所為でオレは信長様の弟君、信勝様を斬らねばならなかったんだぞ~。信勝様は信秀様の息子なのに~。やってられるか~。ウィイ~、そもそも、あの勝家は信長様に暗殺者を何人も送り込んでてな~、それを退治するのにどれだけ手を焼かされたか~」
更には清洲城の城代の佐久間信盛までが、
「柴田は切れ者過ぎる。その内、信長様の害になるであろう」
織田家の家老達であった。
戦馬鹿の森可成と謹慎が解けた平手久秀は控えていたが。
◇
小牧山城の廊下を歩いていた恒興は小部屋に招かれて菅屋長頼に、
「勝さん、一緒に柴田の天誅をやらないか?」
真顔で誘われた。
常興がうんざりしながら、
「あのな~、九右衛門。オレに出来る訳がないだろ」
「どうして? 信長様が甘い顔をしてるのをいい事にやりたい放題してるんだぞ、あの男は? 津島で1000貫の矢銭を徴収したりと」
「分かってるけど、今さっき呼び出されて『柴田を守れ』って信長様に命令されたとこだぞ、オレ? 舌の根も乾かない内に柴田を天誅したのがバレてみろ。『勝、オレの命令を何だと思ってるんだ~』ってさすがに怒られるわ」
「じゃあ、守るのか、柴田を?」
だったら敵だ、と言わんばかりに長頼が恒興を睨んだが、恒興が、
「何でオレが?」
「ほへ?」
「死んだら『守ろうとはしたんですけど、守り切れませんでした~』で終わりだよ」
「それでこそ、勝さん」
長頼が称賛した。
「なら邪魔しないでくれよ」
「でもさすがにオレの前ではやるなよ。それだと柴田の加勢をしなきゃならないからな」
「分かってるって。任せな、その辺は弁えてる」
そう言って長頼は御機嫌で小部屋を出ていったが、それを見送った恒興が、
「駄目だな、あれは。柴田の怖さが全然分かってないわ~。そうは思わないか、柴田?」
そう襖を開けると、その柴田勝家本人が立っていた。
不機嫌そうに勝家が、
「気付いてたのか、勝三郎?」
「当然でしょ。ってか、嫌われてるね~」
「五月蠅い。で、おまえは今回どっち側だ?」
「信長様に『守れ』って言われてしまったので、柴田《《単》寄り》かな?」
「なら邪魔するなよ」
「しないよ。ってか、何するの? 自作自演の狂言暗殺騒ぎ?」
(・・・さすがに文荷斎が口を滑らせたとは思えない。自力でその答えに辿り着いたのか? やはり危険だな、勝三郎は)
勝家が眉をピクリッと動かして、
「する訳ないだろ」
「するだろ、悪知恵の柴田なんだから~。鉄砲なんかを盗んだりして、鉄砲奉行の失態を狙った一石二鳥」
(おお、その手があったか)
勝家が眼から鱗とばかりに思いながら、
「あのな~、オレを何だと思ってるんだ?」
「なら、ならず者を雇うの?」
「雇うか」
「ってか、死んでもいいけどオレの前でだけは絶対に死なないでね」
恒興がそう可愛く懇願したので、
「絶対に殺される時は勝三郎の前で襲われてやるから安心しろ」
「いやいや、それなら小口城の中島豊後守を身代わりにするなんてどう?」
「その手には乗るか。おまえがソイツを殺したいだけだろうが」
「さすがにバレたか。この騒ぎの裏に竹中が居ると思う?」
「居ないだろ。林、河尻、佐久間、家老達が煽ってるだけなのに」
「出来る新参者は嫌われるってね~。まさか柴田が実演する破目になるとは」
「うるさい」
そう言いながらも、恒興はちゃんと勝家とは別の出口から小部屋を出たのだった。
◇
それから間もなく事である。
小牧山城の城下を歩いていた柴田が、ダァンッと火縄銃で狙撃されたのは。
「ぐあああ」
左胸の上側、鎖骨を負傷する重傷である。
負傷した勝家自身、
(足元か、周囲の誰かに当てるはずだろうがっ! どうしてオレに当てたっ! 文荷斎、何をやってるんだぁ~っ!)
弾が実際に命中して激痛の中、激怒していた。
本当は足下の地面に弾が当たるだけの自作自演だったので。
その後、織田家中の者達が助けようとして、
「大丈夫か? うおっ、家老の柴田様?」
「えっ、これって?」
と驚いたのだった。
因みに狙撃手は杉谷善住坊という僧侶の若者である。
狙撃地点の屋根からハシゴで降りた地面には縛られて猿轡を噛まされている中村文荷斎とこの善住坊を引き込んだ張本人の流れ者の深編笠の侍が居り、
「首尾は?」
「ダメだわ。試し撃ちが出来なかったから、この火縄銃の癖も分からなかったし。あの距離で心の臓を外した」
「それで充分ですよ。何せ、犯人はご覧の通り、既に捕まっているのでね」
深編笠の侍が見下ろした視線の先では、
「んんん~っ! んんっ!」
猿轡を噛まされた文荷斎が、
(女顔・・・まさか、竹中重治本人なのか? 何たる事、自作自演の狂言暗殺の計画を乗っ取って殿を亡き者にしようなどと企むとは。そもそも敵方の癖に小牧山城まで乗り込んでくるなんて何たる大胆不敵っ!)
「では」
「ええ、良い旅を」
竹中重治と杉谷善住坊はそう言って去っていったのだった。
尚、この騒動の時、恒興は運良く小牧山城内で、
「どうだ、勝? これが京や堺で流行してるお茶だ」
「苦いだけじゃないですか。何がいいんですか、これの?」
信長にお茶を振る舞って貰っており、ちょうどその時にダンッと響いて、
「火縄銃の音か? 近いな。城下か」
「案外、柴田が撃たれてたりして」
「さすがにそれはないだろ」
と馬鹿話していたが、すぐに小姓の佐脇良之が駆け込んできて、
「たった今、家老の柴田様が城下で火縄銃で撃たれて重傷です」
「勝っ! おまえっ!」
真っ先に信長に疑われる破目になった。
さすがの恒興も驚きつつも、
「違いますって。オレじゃあ、ありませんってばっ!」
「本当であろうな? 調べれば分かる事だぞ?」
「天地神明、信長様に誓って。柴田への天誅を一緒にしないかとは誘われましたが、ちゃんと断りましたから」
「誰に誘われた? 言えっ!」
「九右衛門です、菅屋長頼。父親が織田姓を貰い、領地が隣の」
「アヤツか。八、連れて来い」
「いえ、お待ちを信長様」
「待てるか。早く行けっ!」
信長の一喝にビク付きながらも良之が、
「下手人は既に捕縛しております」
そう告げると怒っていた信長が冷静になって眼を細めて、
「ほう」
「それはまた――手際が良過ぎて気に入らないな~」
恒興も眼に知的な光を宿して不敵に笑ったのだった。
◇
この手の詮議に呼び出されるのは織田家では家老の平手久秀である。
下手人として縄目を受けた中村文荷斎が真実を述べたのだが、
「つまり、犯人は美濃の竹中重治であると?」
「はい。狙撃手は別に居ましたが」
「あのな~。そう言えば『何でも許される』と本気で思っているのか?」
そう久秀が呆れ、
「小牧山城の釣り天井の噂も竹中、新加納の戦いの柴田の寝返りの流言も竹中、偽の朱印状の1000貫事件も竹中、そして此度の暗殺騒ぎも竹中。おまえも本当は分かってるのだろ? さすがに無理があると」
「でも、本当なんです。信じて下さい」
「たまたま小牧山城の城下を歩いていて竹中に捕まったとでも言うつもりか? 織田の鉄砲隊から盗まれた火縄銃も何も知らないと? こっちはもう金で鉄砲を盗んだ鉄砲隊員の証言が取れているんだぞ。おまえに頼まれたってな」
「そ、それはーー」
ぐうの音も出ない文荷斎だったが、それでも、
「でも撃ったのは私ではないんです。本当に竹中が黒幕なんです。信じて下さい」
文荷斎は泣きながら真相を吐いたが信じて貰えなかった。
一方の柴田に天誅を下そうとしていた近習や小姓の徒党も探索されたが、
「50人以上だと?」
平手久秀が見せた関係者の名簿を見せて信長が不愉快そうに、
「何だ、これは? オレの側近ばかりではないか。いくら林のジイ達が煽ったとは言ってもこれはなかろうが。入ってないのはオレに近過ぎる勝と成り上がりのサル、出ずっぱりの五郎左くらいか? ・・・ああ、もう」
「どう裁きを下しましょうか?」
「まだ何もしていないのだから厳重注意だけでよいわ」
「はっ」
久秀が退室した後、信長に向かって、褒めて、と言わんばかりに恒興が、
「オレは関係なかったでしょ、信長様?」
「まあな。だが、これは頭が痛い問題だぞ」
「どうしてです? 竹中に柴田が暗殺されかけただけでしょ?」
「それで通せという事か、勝?」
「柴田も生きてるんだから記憶にも残らないでしょうよ」
恒興がそう言い、
「ふむ。それでいくしかないか」
信長も追認したので、この事は、美濃の謀略、で片が付いたのだった。
そして戦国の世なら暗殺も日常茶飯事なので、勝家が死んでいない事から記録にも残らなかった。
登場人物、1563年度
犬山殿(30)・・・織田家の姫。犬山城主の織田信清の正室。信広の妹、信長の姉。
能力値、どっち付かずA、政治に口出しせずB、内助の功E、破滅への囁きA、実は裏で信長とA、着物よりも和菓子A
長谷川与次(28)・・・織田家の家臣。近習幹部。長谷川橋介の兄。字が綺麗。右筆の与次。年下にも敬語を使う。柴田天誅に署名。
能力値、右筆の与次S、敬語で線引きA、近習の首魁A、信長への忠誠A、信長からの信頼B、織田家臣団での待遇B
山口飛騨守(21)・・・織田家の家臣。信長の小姓。信長を追い掛けるのが上手い。
能力値、信長追いの飛騨守A、火縄銃A、早駆けB、信長への忠誠S、信長からの信頼B、織田家臣団での待遇C
菅屋長頼(25)・・・織田家の家臣。通称、九右衛門。織田信房の次男。父親の信房の織田姓は褒美。恒興とは領地が隣同士。兄は小瀬清長。柴田天誅に署名。
能力値、父親の七光りB、武芸は下手の横好きA、若き奉行候補A、信長への忠誠A、信長からの信頼C、織田家臣団での待遇C
杉谷善住坊(22)・・・流れ者。鉄砲の名手。自称、伊勢杉谷城の縁者。坊主の格好。根来衆で2年修行。
能力値、鉄砲名手の善住坊S、ニセ坊主A、お経はうろ覚えC、鉄砲が欲しくて放浪の旅A、その日暮しの風来坊C、 根来衆に縁C
左脇良之(23)・・・織田家の家臣。前田利春の五男で、佐脇興世の養子。前田利家の弟。柴田天誅に署名。
能力値、馬駆けの良之B、火縄銃A、兄が又左B、信長への忠誠A、信長からの信頼A、織田家臣団での待遇B
【織田家の近習や小姓の間で柴田勝家に天誅をとの機運が高まった説、採用】
【長谷川与次、1535年生まれ説、採用】
【山口飛騨守、1543年生まれ説、採用】
【柴田勝家、織田家中の不穏な動きに対して自らの暗殺計画を企てていた説、採用】
【竹中重治、出奔中に小牧山城に居た説、採用】
【杉谷善住坊、1541年生まれ説、採用】
【杉谷善住坊、竹中重治に雇われた説、採用】
【柴田勝家、計画を竹中重治に乗っ取られて本当に火縄銃で撃たれた説、採用】
【犯人は中村文荷斎説、採用】
小牧山城から少し離れた場所では信長が新設した鉄砲隊が訓練をしていた。
ダァンッとの火縄銃の音が常に響き、的を外した兵士がどこが悪かったのか指導されている。
その訓練の様子を、暇を持て余した恒興が見学に来ていた。
「鉄砲名人の滝川が鉄砲奉行か~。順当と言えば順当な人選だな。信長様が手を付けた奇妙様の乳母とも縁続きらしいし」
恒興の相手をしてるのは鉄砲奉行の目付も兼務の佐々成政である。
「鉄砲隊って今、何人居るの、成政?」
「260人だよ」
「鉄砲を貸し出す時に一緒に鉄砲兵も貸し出される訳だよな?」
「そうなる予定だ。誰かさんが小牧山の築城の防衛で火薬と弾を使いまくるから」
「えっ、オレの所為なの?」
「そう言われてたぞ、清洲では」
「ふ~ん。何か面白い事ない?」
「小姓の中に『信長様の朱印状を偽造した柴田を斬る』って息巻いてるのが居るらしいぞ」
「柴田の奴、犬山城の信清とも連絡を取ってたらしいからな」
成政が探るように、
「恒興はそれに入らないのか?」
「オレは柴田よりも中島が斬りたいんだよ~、成政~」
「投降した小口城の城将の?」
「ああ、眼の前に長門の仇が居るのに仇が討てないなんて本当に信長様も酷いぜ」
「赦免状に連名で書いた癖にまだ言ってるのか?」
「仕方ないだろ。信長様に『書け』と言われたんだから」
恒興がふと、
「それにしても、こんなところで的なんて狙わないで、どうせ撃つなら犬山城に向けて撃てばいいのにな~」
そう呟き、
「それいいな。信長様に進言してみよう」
成政が言って、あっという間に採用となるのだが。
◇
鉄砲訓練場で恒興と別れた佐々成政は、その足で小牧山城に戻り、小部屋で仲間達と談合していた。
「どうであった、佐々殿。池田殿を上手く引き入れられたか?」
成政にそう尋ねたのは近習幹部で成政達よりも1歳年上の長谷川与次だ。
「それとなく水を向けたがダメだった。恒興は今は柴田よりも長門守殿の仇の中島を狙ってるから」
「そっちか」
「アイツも居たな」
近習の菅屋長頼と小姓の山口飛騨守が苦笑した。
「よし、今度はオレがそれとなく勝さんに尋ねてみるよ」
そんな企てが織田家中で密かに進行していたのだった。
◇
犬山城では信長の鉄砲隊による射撃がダダダァン、ダダダァンッと延々と続いていた。
最後の城門が守る山頂以外の犬山城は総て信長の軍が占拠してる為に、もうやりたい放題である。
「くそ~、五月蠅い五月蠅い五月蠅い」
鉄砲の音を聞かされてうんざりした信清が喚き、
「もう降伏されては?」
正室の犬山殿も鉄砲の音を聞きながら質問するが、
「まだだ。まだ美濃からの援軍さえ駆け付ければ」
「来ないと思いますけど。聞けば、斎藤の三代目はバカ殿らしいですし」
「大丈夫だ。オレに任せろ」
そう信清は吠えたのだった。
◇
裸城となった尾張大山城はもう楽勝で陥落しそうな訳だが。
信長が本拠地としている小牧山城内では不穏な空気が流れていた。
別に流言が広まっている訳ではない。
だが、
信勝様の家老時代に信長様の悪名を流し(真偽不明)、
更には信勝様の家老時代に暗殺者を複数、信長様に放ち(事実)、
小牧山城に釣り天井を仕掛けて信長様を暗殺しようとし(デマ)、
美濃斎藤家と内通して戦で信長様を殺そうとし(真偽不明)、
妹の織田市様を嫁に欲しい、と信長様に身の程知らずにもねだって断られた事を怨み(デマ)、
信長様の朱印状を偽造して1000貫を盗もうとし(事実扱い)、
犬山城方とも実は通じていたと判明した(事実だが憶測扱い)、
「悪の家老、柴田勝家に天誅を」
との機運が織田家の小姓や近習の間で高まっていたのだ。
その小牧山城内の様子を察した信長が恒興を呼び出して、
「勝、おまえ、何かやったのか?」
そう質問した。
織田家の騒動には大概、恒興が絡んでいるからだが。
しかし、この時ばかりは心外だと言わんばかりに恒興が、
「まさか。オレが今欲しい首は柴田のじゃなくて中島のですのに~」
(そうだった。面倒臭い話題を振ってしまったな)
と信長は思い出し、
「だから中島は『まだダメだ』と言っているだろうが」
「なら、せめて鉄砲奉行はダメでも、オレも目付に」
信長におねだり出来るのが乳兄弟の恒興の最大の強みである。
だが、信長は、
「ダメに決まってるだろうが。勝に火縄銃を持たすとロクな事がないからな」
「なら、勝九郎を奇妙様のお側衆に・・・」
「4歳では無理であろうが。6歳になるまで待て」
「えっ、6歳になったらいいんですか?」
信長の意外な答えに恒興が眼を輝かせると、信長はさらりと、
「ああ、最初からそうするつもりであったからな」
「何だ、言って下さいよ、信長様~。悶々としちゃったじゃないですか~」
「それよりも権六だ。守ってやれ」
恒興が嫌そうに、
「ええ~、どうしてですか~?」
「この騒動の裏に竹中が居たらいたたまれないからだよ」
「そういうのは秀吉に――ああ、今は堺でしたか?」
「勝が火薬と弾を湯水のように使うからな」
「いやいや、火縄銃だけを貸し出すからですよ。兵に持たせて撃ち方を教えても練習してないから全然当てられないんですもん。信清を狙える機会があったんですよ、一度だけ? 当たってたら犬山城の騒動もとっくに終結してたのに。でも当たらなくて。それで練習を」
「分かってる。だから鉄砲隊を組織しただろうが」
と答えた信長が、
「それよりも権六だ、頼んだぞ」
「どうして、そんなに柴田を守りたがるんですか?」
「あのな~、守りたいんじゃなくて天誅なんかが横行してみろ。昔の尾張に戻ってしまうだろうが。ともかく任せたからな」
「まあ、適当にやってみますが」
と恒興は返事をした訳だが。
◇
この織田家中の機運を操ってるのは意外や意外、
那古野城の城代でもある織田家の筆頭家老、林秀貞が、
「アヤツは信勝様の一番家老の時から危険であった。信長様の周囲で警戒してる勝三郎は正しい。あの男は何をするか分からんからな」
小牧山城に居る織田家の家老の河尻秀隆は酒を飲めば愚痴るように、
「ヒックっ、あいつの所為でオレは信長様の弟君、信勝様を斬らねばならなかったんだぞ~。信勝様は信秀様の息子なのに~。やってられるか~。ウィイ~、そもそも、あの勝家は信長様に暗殺者を何人も送り込んでてな~、それを退治するのにどれだけ手を焼かされたか~」
更には清洲城の城代の佐久間信盛までが、
「柴田は切れ者過ぎる。その内、信長様の害になるであろう」
織田家の家老達であった。
戦馬鹿の森可成と謹慎が解けた平手久秀は控えていたが。
◇
小牧山城の廊下を歩いていた恒興は小部屋に招かれて菅屋長頼に、
「勝さん、一緒に柴田の天誅をやらないか?」
真顔で誘われた。
常興がうんざりしながら、
「あのな~、九右衛門。オレに出来る訳がないだろ」
「どうして? 信長様が甘い顔をしてるのをいい事にやりたい放題してるんだぞ、あの男は? 津島で1000貫の矢銭を徴収したりと」
「分かってるけど、今さっき呼び出されて『柴田を守れ』って信長様に命令されたとこだぞ、オレ? 舌の根も乾かない内に柴田を天誅したのがバレてみろ。『勝、オレの命令を何だと思ってるんだ~』ってさすがに怒られるわ」
「じゃあ、守るのか、柴田を?」
だったら敵だ、と言わんばかりに長頼が恒興を睨んだが、恒興が、
「何でオレが?」
「ほへ?」
「死んだら『守ろうとはしたんですけど、守り切れませんでした~』で終わりだよ」
「それでこそ、勝さん」
長頼が称賛した。
「なら邪魔しないでくれよ」
「でもさすがにオレの前ではやるなよ。それだと柴田の加勢をしなきゃならないからな」
「分かってるって。任せな、その辺は弁えてる」
そう言って長頼は御機嫌で小部屋を出ていったが、それを見送った恒興が、
「駄目だな、あれは。柴田の怖さが全然分かってないわ~。そうは思わないか、柴田?」
そう襖を開けると、その柴田勝家本人が立っていた。
不機嫌そうに勝家が、
「気付いてたのか、勝三郎?」
「当然でしょ。ってか、嫌われてるね~」
「五月蠅い。で、おまえは今回どっち側だ?」
「信長様に『守れ』って言われてしまったので、柴田《《単》寄り》かな?」
「なら邪魔するなよ」
「しないよ。ってか、何するの? 自作自演の狂言暗殺騒ぎ?」
(・・・さすがに文荷斎が口を滑らせたとは思えない。自力でその答えに辿り着いたのか? やはり危険だな、勝三郎は)
勝家が眉をピクリッと動かして、
「する訳ないだろ」
「するだろ、悪知恵の柴田なんだから~。鉄砲なんかを盗んだりして、鉄砲奉行の失態を狙った一石二鳥」
(おお、その手があったか)
勝家が眼から鱗とばかりに思いながら、
「あのな~、オレを何だと思ってるんだ?」
「なら、ならず者を雇うの?」
「雇うか」
「ってか、死んでもいいけどオレの前でだけは絶対に死なないでね」
恒興がそう可愛く懇願したので、
「絶対に殺される時は勝三郎の前で襲われてやるから安心しろ」
「いやいや、それなら小口城の中島豊後守を身代わりにするなんてどう?」
「その手には乗るか。おまえがソイツを殺したいだけだろうが」
「さすがにバレたか。この騒ぎの裏に竹中が居ると思う?」
「居ないだろ。林、河尻、佐久間、家老達が煽ってるだけなのに」
「出来る新参者は嫌われるってね~。まさか柴田が実演する破目になるとは」
「うるさい」
そう言いながらも、恒興はちゃんと勝家とは別の出口から小部屋を出たのだった。
◇
それから間もなく事である。
小牧山城の城下を歩いていた柴田が、ダァンッと火縄銃で狙撃されたのは。
「ぐあああ」
左胸の上側、鎖骨を負傷する重傷である。
負傷した勝家自身、
(足元か、周囲の誰かに当てるはずだろうがっ! どうしてオレに当てたっ! 文荷斎、何をやってるんだぁ~っ!)
弾が実際に命中して激痛の中、激怒していた。
本当は足下の地面に弾が当たるだけの自作自演だったので。
その後、織田家中の者達が助けようとして、
「大丈夫か? うおっ、家老の柴田様?」
「えっ、これって?」
と驚いたのだった。
因みに狙撃手は杉谷善住坊という僧侶の若者である。
狙撃地点の屋根からハシゴで降りた地面には縛られて猿轡を噛まされている中村文荷斎とこの善住坊を引き込んだ張本人の流れ者の深編笠の侍が居り、
「首尾は?」
「ダメだわ。試し撃ちが出来なかったから、この火縄銃の癖も分からなかったし。あの距離で心の臓を外した」
「それで充分ですよ。何せ、犯人はご覧の通り、既に捕まっているのでね」
深編笠の侍が見下ろした視線の先では、
「んんん~っ! んんっ!」
猿轡を噛まされた文荷斎が、
(女顔・・・まさか、竹中重治本人なのか? 何たる事、自作自演の狂言暗殺の計画を乗っ取って殿を亡き者にしようなどと企むとは。そもそも敵方の癖に小牧山城まで乗り込んでくるなんて何たる大胆不敵っ!)
「では」
「ええ、良い旅を」
竹中重治と杉谷善住坊はそう言って去っていったのだった。
尚、この騒動の時、恒興は運良く小牧山城内で、
「どうだ、勝? これが京や堺で流行してるお茶だ」
「苦いだけじゃないですか。何がいいんですか、これの?」
信長にお茶を振る舞って貰っており、ちょうどその時にダンッと響いて、
「火縄銃の音か? 近いな。城下か」
「案外、柴田が撃たれてたりして」
「さすがにそれはないだろ」
と馬鹿話していたが、すぐに小姓の佐脇良之が駆け込んできて、
「たった今、家老の柴田様が城下で火縄銃で撃たれて重傷です」
「勝っ! おまえっ!」
真っ先に信長に疑われる破目になった。
さすがの恒興も驚きつつも、
「違いますって。オレじゃあ、ありませんってばっ!」
「本当であろうな? 調べれば分かる事だぞ?」
「天地神明、信長様に誓って。柴田への天誅を一緒にしないかとは誘われましたが、ちゃんと断りましたから」
「誰に誘われた? 言えっ!」
「九右衛門です、菅屋長頼。父親が織田姓を貰い、領地が隣の」
「アヤツか。八、連れて来い」
「いえ、お待ちを信長様」
「待てるか。早く行けっ!」
信長の一喝にビク付きながらも良之が、
「下手人は既に捕縛しております」
そう告げると怒っていた信長が冷静になって眼を細めて、
「ほう」
「それはまた――手際が良過ぎて気に入らないな~」
恒興も眼に知的な光を宿して不敵に笑ったのだった。
◇
この手の詮議に呼び出されるのは織田家では家老の平手久秀である。
下手人として縄目を受けた中村文荷斎が真実を述べたのだが、
「つまり、犯人は美濃の竹中重治であると?」
「はい。狙撃手は別に居ましたが」
「あのな~。そう言えば『何でも許される』と本気で思っているのか?」
そう久秀が呆れ、
「小牧山城の釣り天井の噂も竹中、新加納の戦いの柴田の寝返りの流言も竹中、偽の朱印状の1000貫事件も竹中、そして此度の暗殺騒ぎも竹中。おまえも本当は分かってるのだろ? さすがに無理があると」
「でも、本当なんです。信じて下さい」
「たまたま小牧山城の城下を歩いていて竹中に捕まったとでも言うつもりか? 織田の鉄砲隊から盗まれた火縄銃も何も知らないと? こっちはもう金で鉄砲を盗んだ鉄砲隊員の証言が取れているんだぞ。おまえに頼まれたってな」
「そ、それはーー」
ぐうの音も出ない文荷斎だったが、それでも、
「でも撃ったのは私ではないんです。本当に竹中が黒幕なんです。信じて下さい」
文荷斎は泣きながら真相を吐いたが信じて貰えなかった。
一方の柴田に天誅を下そうとしていた近習や小姓の徒党も探索されたが、
「50人以上だと?」
平手久秀が見せた関係者の名簿を見せて信長が不愉快そうに、
「何だ、これは? オレの側近ばかりではないか。いくら林のジイ達が煽ったとは言ってもこれはなかろうが。入ってないのはオレに近過ぎる勝と成り上がりのサル、出ずっぱりの五郎左くらいか? ・・・ああ、もう」
「どう裁きを下しましょうか?」
「まだ何もしていないのだから厳重注意だけでよいわ」
「はっ」
久秀が退室した後、信長に向かって、褒めて、と言わんばかりに恒興が、
「オレは関係なかったでしょ、信長様?」
「まあな。だが、これは頭が痛い問題だぞ」
「どうしてです? 竹中に柴田が暗殺されかけただけでしょ?」
「それで通せという事か、勝?」
「柴田も生きてるんだから記憶にも残らないでしょうよ」
恒興がそう言い、
「ふむ。それでいくしかないか」
信長も追認したので、この事は、美濃の謀略、で片が付いたのだった。
そして戦国の世なら暗殺も日常茶飯事なので、勝家が死んでいない事から記録にも残らなかった。
登場人物、1563年度
犬山殿(30)・・・織田家の姫。犬山城主の織田信清の正室。信広の妹、信長の姉。
能力値、どっち付かずA、政治に口出しせずB、内助の功E、破滅への囁きA、実は裏で信長とA、着物よりも和菓子A
長谷川与次(28)・・・織田家の家臣。近習幹部。長谷川橋介の兄。字が綺麗。右筆の与次。年下にも敬語を使う。柴田天誅に署名。
能力値、右筆の与次S、敬語で線引きA、近習の首魁A、信長への忠誠A、信長からの信頼B、織田家臣団での待遇B
山口飛騨守(21)・・・織田家の家臣。信長の小姓。信長を追い掛けるのが上手い。
能力値、信長追いの飛騨守A、火縄銃A、早駆けB、信長への忠誠S、信長からの信頼B、織田家臣団での待遇C
菅屋長頼(25)・・・織田家の家臣。通称、九右衛門。織田信房の次男。父親の信房の織田姓は褒美。恒興とは領地が隣同士。兄は小瀬清長。柴田天誅に署名。
能力値、父親の七光りB、武芸は下手の横好きA、若き奉行候補A、信長への忠誠A、信長からの信頼C、織田家臣団での待遇C
杉谷善住坊(22)・・・流れ者。鉄砲の名手。自称、伊勢杉谷城の縁者。坊主の格好。根来衆で2年修行。
能力値、鉄砲名手の善住坊S、ニセ坊主A、お経はうろ覚えC、鉄砲が欲しくて放浪の旅A、その日暮しの風来坊C、 根来衆に縁C
左脇良之(23)・・・織田家の家臣。前田利春の五男で、佐脇興世の養子。前田利家の弟。柴田天誅に署名。
能力値、馬駆けの良之B、火縄銃A、兄が又左B、信長への忠誠A、信長からの信頼A、織田家臣団での待遇B
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