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デブ王の裸土下座、飛竜を貰う、勇者は変異型の竜毒を根絶する
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ニッサー王国の王都ラウジーン。
その中心部には豪華な宮殿が存在する。
その名もラウジーン宮殿。
その宮殿内の至る所で兵士が倒れており、宮殿の最深部の寝室では顔に青タンを作った裸のデブ男が、
「家来どもが申し訳ございませんでしたぁ~」
と土下座をしていた。
土下座していた男の名前はジョン・ニッサー。
この国の国王だった。
オーケイ。
一旦、落ち着こうか、諸君。
説明をさせてくれ。
そう、説明だ。
説明って大切だよなぁ~。
「裸の国王を土下座させるとか、ないわぁ~、ご主人様」
「アシュ、口を開かないで。お願いだからっ!」
呆れ顔のアシュにピンクブロンド姿のオレはそうツッコミながら回想に入った。
◇
深夜にオレが泊まる宿屋は襲撃された。
もちろん、オレが泊まってる宿泊部屋が目的だ。
襲ったのはニッサー王国の精鋭だった。
何せ、王都ラウジーンの城下町だったからな。
ニッサー王国の精鋭がごまんと居る訳で、
名のある王国騎士。
強大な魔力を誇る魔術師。
それらが500人くらいで襲ってきやがった。
まあ、全員、【氷の矢】で倒しちゃった訳だけど。
「この国の騎士に狙われるって、ご主人様、アンタ、何をやったんだよ?」
「何も」
テヘ(ペロ)。
「あっ、300人くらいが近付いてきてるっ! ご主人様、早く逃げないとっ!」
嗅覚の良いアシュが敵の接近に気付いて、そう提案するのに対して、
「どうして逃げるの?」
それがこのオレ、キルト・デルレーンのやり方だった。
「だって、増援が・・・」
「こんな騒ぎ、命令を出した奴をボコれば終わりよ」
「えっ?」
「居場所は分かってるわ。あの宮殿に住んでるはずだから」
「チョイ待て。ご主人様、まさか・・・」
アシュが青ざめる中、
そのまさかでオレはラウジーン宮殿にお邪魔した。
移動方法は魔力強化した肉体での【跳躍】だ。
荷物を持たせたアシュをお姫様だっこしたので、
ぶっちゃければ一瞬だった。
その後も宮殿を守る騎士達が襲ってきた訳だが、
まあ、オレの方が強かった。
とだけ言っておこう。
強者の勝ち誇らない美学って奴だ。
分かる、この美学?
そして豪華な寝室のベッドで美女を抱いてたデブのオッサンを発見して、
「誰だ、貴様はっ! 余が偉大なるニッサー王国の国王ジョン・ニッサーと知っての狼藉ーー」
バキッ。
「あべでべしゅっ!」
手で殴るのが嫌だったので蹴りを入れてから、
「宿屋に泊ってたら、この国の騎士に襲われたんだけど、どうなってるのかしら?」
凄むも、
「グウオオ・・・偉大な余の顔を・・・」
痛がってるデブ王にオレが我慢強く、
「聞いてる? この国の騎士に襲われたんだけど?」
「そんなの余が知るかっ!」
ドゴッ。
「ひじゅべしたんっ!」
口答えしたのでもう1回蹴ったら、
物分かりが良くなって、
「家来どもが申し訳ございませんでしたぁ~」
このシーンになった訳だ。
なっ?
悪いのは先に手を出してきたコイツラだろ?
◇
豪華な部屋で、キタナイ物は見たくなかったのでパンツだけ穿かせたデブ王が正座する中、オレは堂々とソファーに座り、不機嫌そうに、
「で? 今後の為にも聞いておこうかしら? どうして【変身】魔法がバレたの?」
質問した。
デブ王が、
「・・・詳しくは知りませんが」
「構わないわ。知ってる事だけを話してみて」
「【アイテムボックス】に追跡出来る目印があるらしく・・・」
おっと、そっちか。
まあ、大金だったもんなぁ~。
中に入ってる?
それとも【アイテムボックス】自体か?
う~ん。
確かにオレは天才だが、マジックアイテムに関してはそんなに詳しくないからなぁ~。
「へぇ~、グリフォンは問題なかったの?」
「そう聞いております」
「誰に?」
オレはそう鋭く質問した。
この国とミント商国の間にはあの広大なリティア大森林がある。
グリフォンなら1日だが、陸路だと抜けるのに60日は掛かるはずだ。
森には魔物も生息している。
つまり、隣国とはいえ、侵攻は不可能。
干渉もされない。
協力してやる義理はないはずだが。
「・・・ミント商国からきた魔術師にです」
「ミント商国とニッサー王国が協定を結んでるとは知らなかったわ」
そのオレの言葉に、
「えっ、違うぞ、ご主人様」
異論を挟んだのはアシュだった。
「?」
「魔十教団だろ、それって」
「何、それ?」
「気味の悪い秘密結社だよ。強い魔術師集団なんだけど、別に国を支配するとかじゃなくて、何を目的に動いてるのかもさっぱりでさ。でも時々、介入して国に命令してるらしいぜ」
「だそうだけど?」
オレがデブ王を見ると、
「・・・はい、そうです。そいつがアナタ様を襲えと」
「理由は聞いた?」
「リティア大森林の竜毒の変異種を撒いた危険思想の持ち主だからだと」
それにはピンクブロンド姿のオレは眼を輝かせて、
「へぇ~、そう言ったんだぁ~」
それを知ってる訳ね。
知ってるにしても早過ぎる。
あの変異型の竜毒の出所はソイツラと考えた方が論理的だ。
つまり、
ゲリピーで苦しんだオレはソイツラにお返しする権利がある。
って訳だ。
オレはやる気を見せながら、
「ソイツラのアジトがどこか知ってる?」
「いえ、謎です。だから怖い連中で・・・」
デブ王がそう答え、オレがアシュを見て、
「そうだよ。総てが謎だから」
「ふ~ん。そんなナメた組織があった訳ね」
オレは納得してから、
「グリフォンと飛竜ってどっちが速いの?」
デブ王に質問した。
「飛竜です」
「欲しいな、私」
オレが笑顔で強請ると、
「それでこの度の非礼が許して貰えるのならば」
「もちろん、許すわ」
という訳で、オレはデブ王から飛竜を貰い、夜中の内に飛竜で旅立った。
東に向かう。
リティア大森林の上空まできたので、
「【第2極炎地獄】っ!」
大魔法を使った。
3カ所で使うと、リティア大森林の80パーセントが燃えたのだった。
ゴクリッと喉を鳴らしたアシュが、
「ご主人様、いいの、こんな事して?」
と質問してきたので、
「いいの、いいの。変異型の竜毒に森が汚染されてたから」
オレはさらっと答えて、
「汚名を被ってまで世界を助ける。勇者の鑑ね」
そう爽やかな笑顔で自画自賛し、
オレは飛竜を操って、リティア大森林を後にしたのだった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
登場人物。
デブ王・・・ジョン・ニッサー。ニッサー王国の第5代国王。デブだが賢王。
その中心部には豪華な宮殿が存在する。
その名もラウジーン宮殿。
その宮殿内の至る所で兵士が倒れており、宮殿の最深部の寝室では顔に青タンを作った裸のデブ男が、
「家来どもが申し訳ございませんでしたぁ~」
と土下座をしていた。
土下座していた男の名前はジョン・ニッサー。
この国の国王だった。
オーケイ。
一旦、落ち着こうか、諸君。
説明をさせてくれ。
そう、説明だ。
説明って大切だよなぁ~。
「裸の国王を土下座させるとか、ないわぁ~、ご主人様」
「アシュ、口を開かないで。お願いだからっ!」
呆れ顔のアシュにピンクブロンド姿のオレはそうツッコミながら回想に入った。
◇
深夜にオレが泊まる宿屋は襲撃された。
もちろん、オレが泊まってる宿泊部屋が目的だ。
襲ったのはニッサー王国の精鋭だった。
何せ、王都ラウジーンの城下町だったからな。
ニッサー王国の精鋭がごまんと居る訳で、
名のある王国騎士。
強大な魔力を誇る魔術師。
それらが500人くらいで襲ってきやがった。
まあ、全員、【氷の矢】で倒しちゃった訳だけど。
「この国の騎士に狙われるって、ご主人様、アンタ、何をやったんだよ?」
「何も」
テヘ(ペロ)。
「あっ、300人くらいが近付いてきてるっ! ご主人様、早く逃げないとっ!」
嗅覚の良いアシュが敵の接近に気付いて、そう提案するのに対して、
「どうして逃げるの?」
それがこのオレ、キルト・デルレーンのやり方だった。
「だって、増援が・・・」
「こんな騒ぎ、命令を出した奴をボコれば終わりよ」
「えっ?」
「居場所は分かってるわ。あの宮殿に住んでるはずだから」
「チョイ待て。ご主人様、まさか・・・」
アシュが青ざめる中、
そのまさかでオレはラウジーン宮殿にお邪魔した。
移動方法は魔力強化した肉体での【跳躍】だ。
荷物を持たせたアシュをお姫様だっこしたので、
ぶっちゃければ一瞬だった。
その後も宮殿を守る騎士達が襲ってきた訳だが、
まあ、オレの方が強かった。
とだけ言っておこう。
強者の勝ち誇らない美学って奴だ。
分かる、この美学?
そして豪華な寝室のベッドで美女を抱いてたデブのオッサンを発見して、
「誰だ、貴様はっ! 余が偉大なるニッサー王国の国王ジョン・ニッサーと知っての狼藉ーー」
バキッ。
「あべでべしゅっ!」
手で殴るのが嫌だったので蹴りを入れてから、
「宿屋に泊ってたら、この国の騎士に襲われたんだけど、どうなってるのかしら?」
凄むも、
「グウオオ・・・偉大な余の顔を・・・」
痛がってるデブ王にオレが我慢強く、
「聞いてる? この国の騎士に襲われたんだけど?」
「そんなの余が知るかっ!」
ドゴッ。
「ひじゅべしたんっ!」
口答えしたのでもう1回蹴ったら、
物分かりが良くなって、
「家来どもが申し訳ございませんでしたぁ~」
このシーンになった訳だ。
なっ?
悪いのは先に手を出してきたコイツラだろ?
◇
豪華な部屋で、キタナイ物は見たくなかったのでパンツだけ穿かせたデブ王が正座する中、オレは堂々とソファーに座り、不機嫌そうに、
「で? 今後の為にも聞いておこうかしら? どうして【変身】魔法がバレたの?」
質問した。
デブ王が、
「・・・詳しくは知りませんが」
「構わないわ。知ってる事だけを話してみて」
「【アイテムボックス】に追跡出来る目印があるらしく・・・」
おっと、そっちか。
まあ、大金だったもんなぁ~。
中に入ってる?
それとも【アイテムボックス】自体か?
う~ん。
確かにオレは天才だが、マジックアイテムに関してはそんなに詳しくないからなぁ~。
「へぇ~、グリフォンは問題なかったの?」
「そう聞いております」
「誰に?」
オレはそう鋭く質問した。
この国とミント商国の間にはあの広大なリティア大森林がある。
グリフォンなら1日だが、陸路だと抜けるのに60日は掛かるはずだ。
森には魔物も生息している。
つまり、隣国とはいえ、侵攻は不可能。
干渉もされない。
協力してやる義理はないはずだが。
「・・・ミント商国からきた魔術師にです」
「ミント商国とニッサー王国が協定を結んでるとは知らなかったわ」
そのオレの言葉に、
「えっ、違うぞ、ご主人様」
異論を挟んだのはアシュだった。
「?」
「魔十教団だろ、それって」
「何、それ?」
「気味の悪い秘密結社だよ。強い魔術師集団なんだけど、別に国を支配するとかじゃなくて、何を目的に動いてるのかもさっぱりでさ。でも時々、介入して国に命令してるらしいぜ」
「だそうだけど?」
オレがデブ王を見ると、
「・・・はい、そうです。そいつがアナタ様を襲えと」
「理由は聞いた?」
「リティア大森林の竜毒の変異種を撒いた危険思想の持ち主だからだと」
それにはピンクブロンド姿のオレは眼を輝かせて、
「へぇ~、そう言ったんだぁ~」
それを知ってる訳ね。
知ってるにしても早過ぎる。
あの変異型の竜毒の出所はソイツラと考えた方が論理的だ。
つまり、
ゲリピーで苦しんだオレはソイツラにお返しする権利がある。
って訳だ。
オレはやる気を見せながら、
「ソイツラのアジトがどこか知ってる?」
「いえ、謎です。だから怖い連中で・・・」
デブ王がそう答え、オレがアシュを見て、
「そうだよ。総てが謎だから」
「ふ~ん。そんなナメた組織があった訳ね」
オレは納得してから、
「グリフォンと飛竜ってどっちが速いの?」
デブ王に質問した。
「飛竜です」
「欲しいな、私」
オレが笑顔で強請ると、
「それでこの度の非礼が許して貰えるのならば」
「もちろん、許すわ」
という訳で、オレはデブ王から飛竜を貰い、夜中の内に飛竜で旅立った。
東に向かう。
リティア大森林の上空まできたので、
「【第2極炎地獄】っ!」
大魔法を使った。
3カ所で使うと、リティア大森林の80パーセントが燃えたのだった。
ゴクリッと喉を鳴らしたアシュが、
「ご主人様、いいの、こんな事して?」
と質問してきたので、
「いいの、いいの。変異型の竜毒に森が汚染されてたから」
オレはさらっと答えて、
「汚名を被ってまで世界を助ける。勇者の鑑ね」
そう爽やかな笑顔で自画自賛し、
オレは飛竜を操って、リティア大森林を後にしたのだった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
登場人物。
デブ王・・・ジョン・ニッサー。ニッサー王国の第5代国王。デブだが賢王。
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