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モルゼクトル全焼、グリフォンゲット、ステウス公国でもお尋ね者
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その夜。
ミント帝国の北側の都市モルゼクトル全部が燃えていた。
夜なので赤色の炎が妙に映えてる訳だが。
一応、説明しておく。
大切な事だからちゃんと説明を聞くように。
『ご主人様は滅茶苦茶だピョン』
アルが何か言ってるが無視するようにな。
えっ、何?
違うっ!
違うぞっ!
何か、凄く失礼な誤解をしてるようだが。
キミが考えてるような事は何もないから。
いいから、オレの説明をまず聞いてくれっ!
『普通、これだけの都市を燃やすかピョン』
みんな、アルの言葉に耳を貸すんじゃないっ!
一方の意見だけを聞いて物事を判断するのは悪い事だぞ。
双方の言い分を聞いてから公正に判断してくれっ!
いいか、みんな。
最初に言っておく。
オレは悪くない。
重要なのでもう一度言うぞ。
オレは悪くない。
本当だぞ。
本当に悪くないからな。
『無関係な住民5000人は燃やしておいて何が悪くないだピョン』
グッ。
そうなんだけど・・・違うんだ。
これは事故なんだ。
本当だっ!
(甘えた女口調で可愛く)信じて♡
テヘ(ペロ)。
◇
事の起こりは、オレが捕まった事だった。
80年も修行して強くなったんだ。
戦闘なら負けないが、敵もさる者。
畑仕事をしてる老婆を使って、新鮮なトマトに睡眠薬なんかを塗りやがって。
小型の狐タイプの魔物に襲われてたから敬老精神で助けたら、お礼に、
「ありがとうございました、冒険者様。こんな物しかお礼は出来ませんが」
と言われて挽きたて新鮮なトマトを貰って、
「いえいえ、困った時はお互い助け合うのが基本ですから」
無警戒に(嗅覚がなくなったのが痛かったな)カブリついたら、
一瞬でグースカとなり、
気付けば鎖でグルグル巻きにされて獣車の中だった訳だ。
車内にはオレ以外誰も居らず、それで起きた瞬間に鎖を切って車を爆破したら、
もう時間は夜で、
場所はミント帝国の北側の都市モルゼクトルの中で周囲は兵士だらけで、
「起きたぞ、捕えろっ!」
なんて騒ぐから、
「テメーラ、寝てるオレにエロイ悪戯してねぇだろうなっ!」
激おこのオレが、
「【炎の矢】っ!」
魔法を発動。
手加減せずに、空から2万本の【炎の矢】を雨のように広範囲に降らせたら、
こうなった訳だ。
なっ?
オレは全然悪くないだろ?
えっ?
悪い?
(遠くを見つめて)意見の相違って奴か。
◇
ミント帝国の北側の都市モルゼクトルが燃える中、オレはアルに、
「そもそもおまえが悪い、アル。使い魔なら主人のオレを守れよなっ!」
『ご主人様、それは滅茶苦茶な論理だピョン。ご主人様が寝たら使い魔も寝るんだピョン』
「えっ、嘘だよな、それ?」
『嘘だピョン。200人以上兵隊がきたからご主人様を守れないと判断して影に隠れてたピョン』
平然とアルは言った。
一応確認しておくか。
「オレ、エロイ事されたないよな?」
『されてないピョン。お姫様だっこだけだピョン』
「本当だろうな?」
アルは今一信用出来ない。
『本当だピョン。そもそも怖がられてるご主人様に悪戯する命知らずはいないピョン』
「はあ? 怖がられてるって何で?」
オレが問うと、
『ご主人様のアースドラゴン2頭の討伐の戦歴がバレたピョン』
「ああ、それで」
オレはそう言いながら、
「武器と荷物は無事回収っと。ん? オレの狼は?」
『あっちの厩舎だピョン』
「よし、さっさとズラかるか」
と厩舎に向かうも、その厩舎も燃えていた。
狼は逃げたっぽいが。
「ええぇ~、居ないじゃん。歩いて旅とかオレ、嫌だぞ」
『これだけの規模の都市なら飛竜も居るかも知れないピョン』
「ナイスだ、アル。飛竜で一気にミント帝国を脱出だ」
と都市モルゼクトルの中心部に移動すると、燃えてる厩舎の中に飛竜は居なかったが、
グリフォンは居た。
グリフォンとは鷲頭の獅子だ。
背には翼もあり、飛べる。
何やらグリフォン3頭に財宝やらを積んで逃げ支度をしている男達も居た。
「あらら、なんてオレはツイてるんだ。グリフォンだけではなくてお宝まで貰えるなんて」
『ご主人様、山賊みたいな事を言ってるピョン』
「うるせえ」
そんな訳で、
「【炎の矢】っ!」
サクッと魔法で周囲の男達を燃やして、財宝が積まれたグリフォンに跨ってオレは夜空を舞ったのだった。
いやぁ~。
『ピンチの後にはチャンスあり』とはよく言ったものだぜ。
◇
グリフォンのお陰でオレはもうルテウス公国に来ていた。
そしてルテウス公国でもオレはお尋ね者になっていた。
理由はオレが乗ってるグリフォンだ。
グリフォンの個人所有がルテウス公国では許されないとかで、
「降りろ、女。そのグリフォンは接収する」
と騎士が突っかかってきて、
「うるせえんだよっ!」
とハイキックで、
「ひでぶしゃぁっ!」
と蹴り飛ばしたら、お尋ね者になった。
この世界はどうなってるんだ?
オレは全くないのに(テヘ)。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
登場人物。
老婆・・・ミント商国の隠れ密偵。ロザリアに眠り薬を塗ったトマトを渡す。
兵士長・・・ミント商国の幹部。ロザリアの運搬責任者。
ルテウス公国の騎士・・・ダン・ハルベロ。侯爵家の嫡子。公女の婿候補筆頭でもあり、その所為でロザリアは公国でお尋ね者になった。
国名。
ステウス公国・・・ミント帝国の南側に位置する。国家元首は公王。
地名。
モルゼクトル・・・ミント商国の第2都市。北国境の要。
ミント帝国の北側の都市モルゼクトル全部が燃えていた。
夜なので赤色の炎が妙に映えてる訳だが。
一応、説明しておく。
大切な事だからちゃんと説明を聞くように。
『ご主人様は滅茶苦茶だピョン』
アルが何か言ってるが無視するようにな。
えっ、何?
違うっ!
違うぞっ!
何か、凄く失礼な誤解をしてるようだが。
キミが考えてるような事は何もないから。
いいから、オレの説明をまず聞いてくれっ!
『普通、これだけの都市を燃やすかピョン』
みんな、アルの言葉に耳を貸すんじゃないっ!
一方の意見だけを聞いて物事を判断するのは悪い事だぞ。
双方の言い分を聞いてから公正に判断してくれっ!
いいか、みんな。
最初に言っておく。
オレは悪くない。
重要なのでもう一度言うぞ。
オレは悪くない。
本当だぞ。
本当に悪くないからな。
『無関係な住民5000人は燃やしておいて何が悪くないだピョン』
グッ。
そうなんだけど・・・違うんだ。
これは事故なんだ。
本当だっ!
(甘えた女口調で可愛く)信じて♡
テヘ(ペロ)。
◇
事の起こりは、オレが捕まった事だった。
80年も修行して強くなったんだ。
戦闘なら負けないが、敵もさる者。
畑仕事をしてる老婆を使って、新鮮なトマトに睡眠薬なんかを塗りやがって。
小型の狐タイプの魔物に襲われてたから敬老精神で助けたら、お礼に、
「ありがとうございました、冒険者様。こんな物しかお礼は出来ませんが」
と言われて挽きたて新鮮なトマトを貰って、
「いえいえ、困った時はお互い助け合うのが基本ですから」
無警戒に(嗅覚がなくなったのが痛かったな)カブリついたら、
一瞬でグースカとなり、
気付けば鎖でグルグル巻きにされて獣車の中だった訳だ。
車内にはオレ以外誰も居らず、それで起きた瞬間に鎖を切って車を爆破したら、
もう時間は夜で、
場所はミント帝国の北側の都市モルゼクトルの中で周囲は兵士だらけで、
「起きたぞ、捕えろっ!」
なんて騒ぐから、
「テメーラ、寝てるオレにエロイ悪戯してねぇだろうなっ!」
激おこのオレが、
「【炎の矢】っ!」
魔法を発動。
手加減せずに、空から2万本の【炎の矢】を雨のように広範囲に降らせたら、
こうなった訳だ。
なっ?
オレは全然悪くないだろ?
えっ?
悪い?
(遠くを見つめて)意見の相違って奴か。
◇
ミント帝国の北側の都市モルゼクトルが燃える中、オレはアルに、
「そもそもおまえが悪い、アル。使い魔なら主人のオレを守れよなっ!」
『ご主人様、それは滅茶苦茶な論理だピョン。ご主人様が寝たら使い魔も寝るんだピョン』
「えっ、嘘だよな、それ?」
『嘘だピョン。200人以上兵隊がきたからご主人様を守れないと判断して影に隠れてたピョン』
平然とアルは言った。
一応確認しておくか。
「オレ、エロイ事されたないよな?」
『されてないピョン。お姫様だっこだけだピョン』
「本当だろうな?」
アルは今一信用出来ない。
『本当だピョン。そもそも怖がられてるご主人様に悪戯する命知らずはいないピョン』
「はあ? 怖がられてるって何で?」
オレが問うと、
『ご主人様のアースドラゴン2頭の討伐の戦歴がバレたピョン』
「ああ、それで」
オレはそう言いながら、
「武器と荷物は無事回収っと。ん? オレの狼は?」
『あっちの厩舎だピョン』
「よし、さっさとズラかるか」
と厩舎に向かうも、その厩舎も燃えていた。
狼は逃げたっぽいが。
「ええぇ~、居ないじゃん。歩いて旅とかオレ、嫌だぞ」
『これだけの規模の都市なら飛竜も居るかも知れないピョン』
「ナイスだ、アル。飛竜で一気にミント帝国を脱出だ」
と都市モルゼクトルの中心部に移動すると、燃えてる厩舎の中に飛竜は居なかったが、
グリフォンは居た。
グリフォンとは鷲頭の獅子だ。
背には翼もあり、飛べる。
何やらグリフォン3頭に財宝やらを積んで逃げ支度をしている男達も居た。
「あらら、なんてオレはツイてるんだ。グリフォンだけではなくてお宝まで貰えるなんて」
『ご主人様、山賊みたいな事を言ってるピョン』
「うるせえ」
そんな訳で、
「【炎の矢】っ!」
サクッと魔法で周囲の男達を燃やして、財宝が積まれたグリフォンに跨ってオレは夜空を舞ったのだった。
いやぁ~。
『ピンチの後にはチャンスあり』とはよく言ったものだぜ。
◇
グリフォンのお陰でオレはもうルテウス公国に来ていた。
そしてルテウス公国でもオレはお尋ね者になっていた。
理由はオレが乗ってるグリフォンだ。
グリフォンの個人所有がルテウス公国では許されないとかで、
「降りろ、女。そのグリフォンは接収する」
と騎士が突っかかってきて、
「うるせえんだよっ!」
とハイキックで、
「ひでぶしゃぁっ!」
と蹴り飛ばしたら、お尋ね者になった。
この世界はどうなってるんだ?
オレは全くないのに(テヘ)。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
登場人物。
老婆・・・ミント商国の隠れ密偵。ロザリアに眠り薬を塗ったトマトを渡す。
兵士長・・・ミント商国の幹部。ロザリアの運搬責任者。
ルテウス公国の騎士・・・ダン・ハルベロ。侯爵家の嫡子。公女の婿候補筆頭でもあり、その所為でロザリアは公国でお尋ね者になった。
国名。
ステウス公国・・・ミント帝国の南側に位置する。国家元首は公王。
地名。
モルゼクトル・・・ミント商国の第2都市。北国境の要。
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