74 / 80
南部騒乱
ブラベ王宮の変
しおりを挟む
レストは国王親衛隊であると同時に貴族様でもある。
なので、ブラベ王宮で新年の謁見の期間中、夜勤警備は免除で、貴族区のドム伯爵邸に帰れた訳だが。
レストはブラベ王宮内の親衛隊の宿舎で寝泊まりしていた。
仕事熱心だからではない。
コルエーゼの言葉を忠実に守ったのでもない。
カール国王にゴマを揺る為でもなかった。
真相は、屋敷に帰っても、妻2人が産後でまだ閏を共に出来ず、赤ん坊達がギャン泣きして睡眠妨害をしてくるからだ。
正直、ブラベ王宮内の宿舎の方が眠れる、との理由で、レストはブラべ王宮に泊まり込んでいたのだった。
本当にそれだけの理由で泊まり込んでいただけだったのだが。
◇
その夜、ブラベ王宮の正門前広場に表通りから兵2000人が行進してきた。
閉じた王宮正門の城壁の上で門を守る夜勤の兵士達は、余りに堂々と行進してきたので、賊とは思わず、
「どこの部隊だ? こんな夜中に?」
「何か聞いてるか?」
「いや」
喋ってる間に矢で射られて、
「グアア」
「て、敵襲だっ!」
と警笛を吹き、更には鐘で敵襲を知らせた。
この夜襲を受けた夜、ブラベ王宮には警備が強化されて通常よりも多い兵数が常勤していた。
だが、それ以上に特筆するべきは、
新年なのにプラベ王宮の守備隊の幹部クラスの貴族達がやたらと王宮内に宿泊していた事だった。
その原因がレスト・ドムである事を本人のレストだけが知らない。
つまり、どういう事情かと言えば、
レストは御存知、陛下のお気に入りだ。
その上、爵位は伯爵。
国王親衛隊員でもある。
そんな男が新年からブラベ王宮の親衛隊の宿舎で寝泊まりしてるのに、他の下位の貴族達は屋敷に帰って、その情報がカール国王の耳に入ったら『忠誠心がない奴め』と思われるかもしれず、本心では新年なので帰りたかったがレストの所為で帰れなかったのだ。
よって幹部達は内心でレストの事を憎みながらも渋々と新年から宿直をしていた訳だが、そこにこの夜襲を告げる鐘が鳴った、という構図である。
その為、幹部達は、
(嘘だろ、この襲撃を知ってやがったのか、あの男?)
(いや、コルエーゼ様から何か聞いてたな、絶対に)
「ともかく敵を倒せっ!」
「そうだ、城壁を死守しろっ!」
こうして守備隊は多数居る幹部達によって完全に統率されたのだった。
末端兵の方も、新年ならば夜は酒が振る舞われるところを、今年は幹部達がやたらとブラベ王宮内に残った所為で酒も精々一口飲んだ程度だ。
酔える訳もなく、内心で不満だったが、夜襲を受けて全員が万全の状態で奮闘した。
◇
それらの事情のお陰で、鎧を纏ったレストがブラベ王宮の中庭に飛び出した時、まだ王宮正門は破られてはいなかった。
応戦中である。
レストは城壁に向かおうとしたが、ブラベ王宮の廊下から、
「レスト、おまえはオレ達と一緒に陛下のところだっ!」
第1師団副師団長にして国王親衛隊副隊長のケロノーに声を掛けられて、
「はい、副隊長」
20人程の一団に加わった。
そのまま一団は後宮側に入って、カール国王の寝室まで移動した。
「失礼します」
入室してみれば寝着のカール国王が、
「ケロノー、おまえはどちら側だ?」
鞘から抜いた剣先を向けてきた。
「はい?」
剣先を向けられたケロノーが驚く中、レストが即座に、
「それはないでしょ、陛下。こっちが心配して駆け付けたのに敵と疑うだなんて」
素で文句を言うと、
「レストまで居るのか? 貴族区の屋敷から来たにしては少し早過ぎないか?」
カール国王が懐疑心剥き出しで到着した親衛隊に警戒する中、レストが、
「王宮内の親衛隊の宿舎に泊まりましたからね」
「?」
「屋敷に帰っても生まれたばかりの赤ん坊が五月蠅いですから。こっちの方が眠れるかなぁ~って。まあ、夜襲の所為で眠れませんでしたが」
レストの言葉を真面目に聞いていたカール国王が脱力して、
「自分の子の泣き声が五月蠅いって。レスト、おまえ、それは父親としてどうかと思うぞ」
警戒するのも馬鹿馬鹿しい、と思ったのか剣を鞘にしまったのだった。
「で? この騒ぎは何だ、ケロノー?」
「敵襲です。正門が攻撃を受けています」
「どこの馬鹿だ?」
「そう言えば昼間、ザーク伯爵がガモハンレス公爵の動きが妙だと言ってましたよ」
レストが報告すると、カール国王が、
「叔父上が噛んでるだと?」
と不機嫌さを表してから、
「待て、ザーク伯爵とは言えばアヘン事件に噛んでる疑惑があったろ? レスト、それ、騙されてるぞ、おまえ。元々敵対してた奴の言う事を信じてどうする?」
「私もそう疑いましたが、ガモハンレス公爵の名前を出したので逆にどっちか分からず・・・」
「ふむ、確かにレストを騙すにしては余の王太后の実家の名前を使うのは妙だな。まあ、賊を撃退すれば分かるだろう」
カール国王がそう判断して用意させた鎧を着始めたのだった。
とはいえ、カール国王が前線に立ってブラベ王宮を防衛する事はない。
つまりは親衛隊のレストも、前線に立てない、という事だ。
『しまったぁ~、城壁に向かえば良かった』とレストは後悔したが後の祭りだった。
その後、王宮門前広場で城壁攻略に手こずっていた賊軍2000人は王都ブラベ外周勤務の第3師団が駆け付けた事で背後から攻められ、呆気なく壊滅し、変事は簡単に収束した。
鎧を装備して寝室から謁見室に場所を移したカール国王の許に、伝令兵が、
「報告、正門前広場に集まっていた賊の背後を第3師団の兵が攻撃。賊は一掃されました。キート第3師団長が謁見を求めておられますが、王宮門を開けてもよろしいでしょうか?」
「ああ、良かろう」
カール国王が疑わずに二つ返事で開門を許したのはキート第3師団長が国王の古臣だからである。
幼少期からの護衛隊長で、側近中の側近の一人だ。
今ではもう60代でもあったが。
しばらくしてその老将キートが現れて、
「陛下、賊を一掃致しました」
「うむ、御苦労だったな、パゼン」
「いえ、ノルより口を酸っぱく言われてたのに王宮門への攻撃を許していまい申し訳ございません」
キートの反省を受けて、カール国王がコルエーゼの弟子扱いのレストに、
「そうなのか、レスト?」
「はい。私には『未確認情報がある』とだけしか言ってませんでしたが」
それでレストも王宮内で宿直してたのか、と納得したカール国王が、
「なるほど。半々だった訳か。それでパゼン、賊の正体は?」
「どうもモモシア領の連中らしく」
「またかっ! あの馬鹿どもがっ! 降伏した兵に温情を与えたのは間違いだったなっ!」
カール国王がそう吐き捨てる中、
「引き続き警戒にあたってくれ」
こうしてこの夜襲は呆気なく決着が付いたのだった。
なので、ブラベ王宮で新年の謁見の期間中、夜勤警備は免除で、貴族区のドム伯爵邸に帰れた訳だが。
レストはブラベ王宮内の親衛隊の宿舎で寝泊まりしていた。
仕事熱心だからではない。
コルエーゼの言葉を忠実に守ったのでもない。
カール国王にゴマを揺る為でもなかった。
真相は、屋敷に帰っても、妻2人が産後でまだ閏を共に出来ず、赤ん坊達がギャン泣きして睡眠妨害をしてくるからだ。
正直、ブラベ王宮内の宿舎の方が眠れる、との理由で、レストはブラべ王宮に泊まり込んでいたのだった。
本当にそれだけの理由で泊まり込んでいただけだったのだが。
◇
その夜、ブラベ王宮の正門前広場に表通りから兵2000人が行進してきた。
閉じた王宮正門の城壁の上で門を守る夜勤の兵士達は、余りに堂々と行進してきたので、賊とは思わず、
「どこの部隊だ? こんな夜中に?」
「何か聞いてるか?」
「いや」
喋ってる間に矢で射られて、
「グアア」
「て、敵襲だっ!」
と警笛を吹き、更には鐘で敵襲を知らせた。
この夜襲を受けた夜、ブラベ王宮には警備が強化されて通常よりも多い兵数が常勤していた。
だが、それ以上に特筆するべきは、
新年なのにプラベ王宮の守備隊の幹部クラスの貴族達がやたらと王宮内に宿泊していた事だった。
その原因がレスト・ドムである事を本人のレストだけが知らない。
つまり、どういう事情かと言えば、
レストは御存知、陛下のお気に入りだ。
その上、爵位は伯爵。
国王親衛隊員でもある。
そんな男が新年からブラベ王宮の親衛隊の宿舎で寝泊まりしてるのに、他の下位の貴族達は屋敷に帰って、その情報がカール国王の耳に入ったら『忠誠心がない奴め』と思われるかもしれず、本心では新年なので帰りたかったがレストの所為で帰れなかったのだ。
よって幹部達は内心でレストの事を憎みながらも渋々と新年から宿直をしていた訳だが、そこにこの夜襲を告げる鐘が鳴った、という構図である。
その為、幹部達は、
(嘘だろ、この襲撃を知ってやがったのか、あの男?)
(いや、コルエーゼ様から何か聞いてたな、絶対に)
「ともかく敵を倒せっ!」
「そうだ、城壁を死守しろっ!」
こうして守備隊は多数居る幹部達によって完全に統率されたのだった。
末端兵の方も、新年ならば夜は酒が振る舞われるところを、今年は幹部達がやたらとブラベ王宮内に残った所為で酒も精々一口飲んだ程度だ。
酔える訳もなく、内心で不満だったが、夜襲を受けて全員が万全の状態で奮闘した。
◇
それらの事情のお陰で、鎧を纏ったレストがブラベ王宮の中庭に飛び出した時、まだ王宮正門は破られてはいなかった。
応戦中である。
レストは城壁に向かおうとしたが、ブラベ王宮の廊下から、
「レスト、おまえはオレ達と一緒に陛下のところだっ!」
第1師団副師団長にして国王親衛隊副隊長のケロノーに声を掛けられて、
「はい、副隊長」
20人程の一団に加わった。
そのまま一団は後宮側に入って、カール国王の寝室まで移動した。
「失礼します」
入室してみれば寝着のカール国王が、
「ケロノー、おまえはどちら側だ?」
鞘から抜いた剣先を向けてきた。
「はい?」
剣先を向けられたケロノーが驚く中、レストが即座に、
「それはないでしょ、陛下。こっちが心配して駆け付けたのに敵と疑うだなんて」
素で文句を言うと、
「レストまで居るのか? 貴族区の屋敷から来たにしては少し早過ぎないか?」
カール国王が懐疑心剥き出しで到着した親衛隊に警戒する中、レストが、
「王宮内の親衛隊の宿舎に泊まりましたからね」
「?」
「屋敷に帰っても生まれたばかりの赤ん坊が五月蠅いですから。こっちの方が眠れるかなぁ~って。まあ、夜襲の所為で眠れませんでしたが」
レストの言葉を真面目に聞いていたカール国王が脱力して、
「自分の子の泣き声が五月蠅いって。レスト、おまえ、それは父親としてどうかと思うぞ」
警戒するのも馬鹿馬鹿しい、と思ったのか剣を鞘にしまったのだった。
「で? この騒ぎは何だ、ケロノー?」
「敵襲です。正門が攻撃を受けています」
「どこの馬鹿だ?」
「そう言えば昼間、ザーク伯爵がガモハンレス公爵の動きが妙だと言ってましたよ」
レストが報告すると、カール国王が、
「叔父上が噛んでるだと?」
と不機嫌さを表してから、
「待て、ザーク伯爵とは言えばアヘン事件に噛んでる疑惑があったろ? レスト、それ、騙されてるぞ、おまえ。元々敵対してた奴の言う事を信じてどうする?」
「私もそう疑いましたが、ガモハンレス公爵の名前を出したので逆にどっちか分からず・・・」
「ふむ、確かにレストを騙すにしては余の王太后の実家の名前を使うのは妙だな。まあ、賊を撃退すれば分かるだろう」
カール国王がそう判断して用意させた鎧を着始めたのだった。
とはいえ、カール国王が前線に立ってブラベ王宮を防衛する事はない。
つまりは親衛隊のレストも、前線に立てない、という事だ。
『しまったぁ~、城壁に向かえば良かった』とレストは後悔したが後の祭りだった。
その後、王宮門前広場で城壁攻略に手こずっていた賊軍2000人は王都ブラベ外周勤務の第3師団が駆け付けた事で背後から攻められ、呆気なく壊滅し、変事は簡単に収束した。
鎧を装備して寝室から謁見室に場所を移したカール国王の許に、伝令兵が、
「報告、正門前広場に集まっていた賊の背後を第3師団の兵が攻撃。賊は一掃されました。キート第3師団長が謁見を求めておられますが、王宮門を開けてもよろしいでしょうか?」
「ああ、良かろう」
カール国王が疑わずに二つ返事で開門を許したのはキート第3師団長が国王の古臣だからである。
幼少期からの護衛隊長で、側近中の側近の一人だ。
今ではもう60代でもあったが。
しばらくしてその老将キートが現れて、
「陛下、賊を一掃致しました」
「うむ、御苦労だったな、パゼン」
「いえ、ノルより口を酸っぱく言われてたのに王宮門への攻撃を許していまい申し訳ございません」
キートの反省を受けて、カール国王がコルエーゼの弟子扱いのレストに、
「そうなのか、レスト?」
「はい。私には『未確認情報がある』とだけしか言ってませんでしたが」
それでレストも王宮内で宿直してたのか、と納得したカール国王が、
「なるほど。半々だった訳か。それでパゼン、賊の正体は?」
「どうもモモシア領の連中らしく」
「またかっ! あの馬鹿どもがっ! 降伏した兵に温情を与えたのは間違いだったなっ!」
カール国王がそう吐き捨てる中、
「引き続き警戒にあたってくれ」
こうしてこの夜襲は呆気なく決着が付いたのだった。
0
お気に入りに追加
80
あなたにおすすめの小説
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

孤高のミグラトリー 〜正体不明の謎スキル《リーディング》で高レベルスキルを手に入れた狩人の少年は、意思を持つ変形武器と共に世界を巡る〜
びゃくし
ファンタジー
そこは神が実在するとされる世界。人類が危機に陥るたび神からの助けがあった。
神から人類に授けられた石版には魔物と戦う術が記され、瘴気獣と言う名の大敵が現れた時、天成器《意思持つ変形武器》が共に戦う力となった。
狩人の息子クライは禁忌の森の人類未踏域に迷い込む。灰色に染まった天成器を見つけ、その手を触れた瞬間……。
この物語は狩人クライが世界を旅して未知なるなにかに出会う物語。
使い手によって異なる複数の形態を有する『天成器』
必殺の威力をもつ切り札『闘技』
魔法に特定の軌道、特殊な特性を加え改良する『魔法因子』
そして、ステータスに表示される謎のスキル『リーディング』。
果たしてクライは変わりゆく世界にどう順応するのか。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
四代目 豊臣秀勝
克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。
読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。
史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。
秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。
小牧長久手で秀吉は勝てるのか?
朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか?
朝鮮征伐は行われるのか?
秀頼は生まれるのか。
秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?

国を追放された魔導士の俺。他国の王女から軍師になってくれと頼まれたから、伝説級の女暗殺者と女騎士を仲間にして国を救います。
グミ食べたい
ファンタジー
かつて「緑の公国」で英雄と称された若き魔導士キッド。しかし、権謀術数渦巻く宮廷の陰謀により、彼はすべてを奪われ、国を追放されることとなる。それから二年――彼は山奥に身を潜め、己の才を封じて静かに生きていた。
だが、その平穏は、一人の少女の訪れによって破られる。
「キッド様、どうかそのお力で我が国を救ってください!」
現れたのは、「紺の王国」の若き王女ルルー。迫りくる滅亡の危機に抗うため、彼女は最後の希望としてキッドを頼り、軍師としての助力を求めてきたのだった。
かつて忠誠を誓った国に裏切られ、すべてを失ったキッドは、王族や貴族の争いに関わることを拒む。しかし、何度断られても諦めず、必死に懇願するルルーの純粋な信念と覚悟が、彼の凍りついた時間を再び動かしていく。
――俺にはまだ、戦う理由があるのかもしれない。
やがてキッドは決意する。軍師として戦場に舞い戻り、知略と魔法を尽くして、この小さな王女を救うことを。
だが、「紺の王国」は周囲を強大な国家に囲まれた小国。隣国「紫の王国」は侵略の機をうかがい、かつてキッドを追放した「緑の公国」は彼を取り戻そうと画策する。そして、最大の脅威は、圧倒的な軍事力を誇る「黒の帝国」。その影はすでに、紺の王国の目前に迫っていた。
絶望的な状況の中、キッドはかつて敵として刃を交えた伝説の女暗殺者、共に戦った誇り高き女騎士、そして王女ルルーの力を借りて、立ち向かう。
兵力差は歴然、それでも彼は諦めない。知力と魔法を武器に、わずかな希望を手繰り寄せていく。
これは、戦場を駆ける軍師と、彼を支える三人の女性たちが織りなす壮絶な戦記。
覇権を争う群雄割拠の世界で、仲間と共に生き抜く物語。
命を賭けた戦いの果てに、キッドが選ぶ未来とは――?

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ
ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。
見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は?
異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。
鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。
月が導く異世界道中
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
漫遊編始めました。
外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。
改造空母機動艦隊
蒼 飛雲
歴史・時代
兵棋演習の結果、洋上航空戦における空母の大量損耗は避け得ないと悟った帝国海軍は高価な正規空母の新造をあきらめ、旧式戦艦や特務艦を改造することで数を揃える方向に舵を切る。
そして、昭和一六年一二月。
日本の前途に暗雲が立ち込める中、祖国防衛のために改造空母艦隊は出撃する。
「瑞鳳」「祥鳳」「龍鳳」が、さらに「千歳」「千代田」「瑞穂」がその数を頼みに太平洋艦隊を迎え撃つ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる