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レシット辺境国の海賊
終結
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◇
最初に断っておく。
ゼル港町を焼いてまで海賊達を火計にしたが、別にレストは鬼ではない。
鬼なのは参謀府のコルエーゼ参謀の方だ。
毎年、南下してはゼル港町を脅かすレシット辺境国の海賊を皆殺しにしたかったらしく、あろう事か、2ヶ月前から陸路を移動させて、この時期には既に第8師団の騎馬部隊3000人はレシット辺境国のルナドスヒラ港の周辺に布陣していたのだ。
レストの活躍まで計算してたのかは知る由もないが、海賊の大艦隊が出撃して留守になったところを第8師団は襲撃したのだった。
目的はルナドスヒラ港の殲滅。
女子供だろうと容赦はしなかった。
その為、ボラン海賊長が率いる海賊船6隻がルナドスヒラ港に戻った時、港町は野晒しの死骸を鳥や獣達が漁ってるところだった。
「・・・な、何だ、これは? 何があった?」
絶句するボラン海賊長が隙だらけだったので、遂には腹心のモーベが怒り任せに、
「おまえの所為だ、この老いぼれっ!」
「グアアアア、モーベ、貴様っ!」
「おまえが出陣を命じなければっ! こんな事にはならなかったんだっ!」
「そうだぜ、これも喰らえっ!」
「グオオオ、ビッシュ、おまえまでっ!」
「喰らえっ!」
「喰らいやがれっ!」
他の側近達もボラン海賊長を次々と斬って、遂にはボラン海賊長は絶命したのだった。
だが、その後の展望はなく、レシット辺靖国のルナドスヒラ港の海賊達は衰退したのだった。
◇
8月。
ゼル港町にはコルエーゼだけではなく、ゴクートル宰相までが来ていた。
燃えた街は再開発が進み、ゼル港町の住民は意外や活気に満ちていたが、
「それでドム。本当にコルエーゼの指示ではないのだな、ゼル港町を焼いたのは? 師を庇ってるとかじゃなくて」
「・・・はい。申し訳ありません」
レストは怒られていた。
ゼル港町を燃やしたのが拙かったらしい。
『勝ったし、それに住民の被害も避難させてなかったんだから、それでいいでしょ』とはならなかった。
そもそもレストは当初、海賊達が火を放った事にしようとしたのだ。
結局バレたが。
そっちの方が問題だったらしく、
「ドム、おまえ、シャテチ連合の頭領を討った際に前王陛下の前で虚偽報告は二度としないと約束したのではなかったのかっ?」
「ええっと、ブラベ王宮から帰ってきフイレスさんがブチギレたのを見て、怖くなりまして」
「怒るに決まってるだろ、レストっ! 陛下から預かってるだけなんだぞ、このゼル港町は? オレの領地じゃないんだからっ!」
同席してるフイレスはもう怒っていないが、それでもちゃんと指摘した。
「コルエーゼ、おまえ、従騎士の時、ドムにどういう指導をしていたんだ?」
「こいつの資質ですよ、これが。軍隊学校の脱走と営倉送りの数を見れば分かるでしょ」
「失敗だったかな、ドムを幹部候補に育てようと思ったのは」
「えっ、オレ、幹部候補だったんですか?」
初耳の情報にレストが問う中、コルエーゼが、
「トルスパル港を貰った時点で悟れ、ったく」
と呆れたのだった。
レストが退室した後、真面目な顔でゴクートル宰相がコルエーゼに、
「どうする、ドムを? もう伯爵だぞ。陛下の従妹も娶らせた。今更降ろせないぞ」
「結果だけは出てるんですけどねえ」
「うむ。やり方と虚偽報告が問題なだけでな」
2人はしみじみとレストの事で頭を悩ませたのだった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
登場人物。
カール・・・モルリント王国第6代国王。
コルエーゼ・・・侯爵。国王親衛隊長。カール国王の親友。
ゴクートル・・・モルリント王国の宰相。
ジェー・・・モモシア王国の第8代国王。
ラーズ・・・モモシア王国の将軍。無能で名を後世に残す。
ストロ・・・モモシア王国の大臣。佞臣。賄賂好き。
使いの男・・・オトルレン皇国の使いを自称するが、実はモルリント王国の密偵。モルリント王国に都合良く戦争の火蓋を切らせた。
ドーキン・・・モルリント王国の軍事副総長。第2師団長。
レスト・・・ドム伯爵。トルスパル港町の総督。
ホイリカ・・・モモリント王国の王妃。メーシル侯爵(騎士公)家出身。
バイデル・・・トルスパル守備隊長。
フイレス・・・家名はフォール。男爵。ゼル総督。国王の旧臣。
アスロ・・・レシット辺境国の若き海賊の船長。
ボラン・・・レシット辺境国のルナドスヒラ港の海賊長。80代の老将。
キーン・・・レシット辺国の海賊の船長。
ストス・・・キーンの海賊船の副長。
ゴンドレス・・・ドム艦隊旗艦の副長。
サルバット・・・レシット辺境国の海賊の船長。
ジャック・・・ゼル港の守備隊長。
ジンギール・・・レストの配下。モンドル国出身。有能。
モーベ・・・ボランの側近海賊。
ビッシュ・・・ボランの側近海賊。
最初に断っておく。
ゼル港町を焼いてまで海賊達を火計にしたが、別にレストは鬼ではない。
鬼なのは参謀府のコルエーゼ参謀の方だ。
毎年、南下してはゼル港町を脅かすレシット辺境国の海賊を皆殺しにしたかったらしく、あろう事か、2ヶ月前から陸路を移動させて、この時期には既に第8師団の騎馬部隊3000人はレシット辺境国のルナドスヒラ港の周辺に布陣していたのだ。
レストの活躍まで計算してたのかは知る由もないが、海賊の大艦隊が出撃して留守になったところを第8師団は襲撃したのだった。
目的はルナドスヒラ港の殲滅。
女子供だろうと容赦はしなかった。
その為、ボラン海賊長が率いる海賊船6隻がルナドスヒラ港に戻った時、港町は野晒しの死骸を鳥や獣達が漁ってるところだった。
「・・・な、何だ、これは? 何があった?」
絶句するボラン海賊長が隙だらけだったので、遂には腹心のモーベが怒り任せに、
「おまえの所為だ、この老いぼれっ!」
「グアアアア、モーベ、貴様っ!」
「おまえが出陣を命じなければっ! こんな事にはならなかったんだっ!」
「そうだぜ、これも喰らえっ!」
「グオオオ、ビッシュ、おまえまでっ!」
「喰らえっ!」
「喰らいやがれっ!」
他の側近達もボラン海賊長を次々と斬って、遂にはボラン海賊長は絶命したのだった。
だが、その後の展望はなく、レシット辺靖国のルナドスヒラ港の海賊達は衰退したのだった。
◇
8月。
ゼル港町にはコルエーゼだけではなく、ゴクートル宰相までが来ていた。
燃えた街は再開発が進み、ゼル港町の住民は意外や活気に満ちていたが、
「それでドム。本当にコルエーゼの指示ではないのだな、ゼル港町を焼いたのは? 師を庇ってるとかじゃなくて」
「・・・はい。申し訳ありません」
レストは怒られていた。
ゼル港町を燃やしたのが拙かったらしい。
『勝ったし、それに住民の被害も避難させてなかったんだから、それでいいでしょ』とはならなかった。
そもそもレストは当初、海賊達が火を放った事にしようとしたのだ。
結局バレたが。
そっちの方が問題だったらしく、
「ドム、おまえ、シャテチ連合の頭領を討った際に前王陛下の前で虚偽報告は二度としないと約束したのではなかったのかっ?」
「ええっと、ブラベ王宮から帰ってきフイレスさんがブチギレたのを見て、怖くなりまして」
「怒るに決まってるだろ、レストっ! 陛下から預かってるだけなんだぞ、このゼル港町は? オレの領地じゃないんだからっ!」
同席してるフイレスはもう怒っていないが、それでもちゃんと指摘した。
「コルエーゼ、おまえ、従騎士の時、ドムにどういう指導をしていたんだ?」
「こいつの資質ですよ、これが。軍隊学校の脱走と営倉送りの数を見れば分かるでしょ」
「失敗だったかな、ドムを幹部候補に育てようと思ったのは」
「えっ、オレ、幹部候補だったんですか?」
初耳の情報にレストが問う中、コルエーゼが、
「トルスパル港を貰った時点で悟れ、ったく」
と呆れたのだった。
レストが退室した後、真面目な顔でゴクートル宰相がコルエーゼに、
「どうする、ドムを? もう伯爵だぞ。陛下の従妹も娶らせた。今更降ろせないぞ」
「結果だけは出てるんですけどねえ」
「うむ。やり方と虚偽報告が問題なだけでな」
2人はしみじみとレストの事で頭を悩ませたのだった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
登場人物。
カール・・・モルリント王国第6代国王。
コルエーゼ・・・侯爵。国王親衛隊長。カール国王の親友。
ゴクートル・・・モルリント王国の宰相。
ジェー・・・モモシア王国の第8代国王。
ラーズ・・・モモシア王国の将軍。無能で名を後世に残す。
ストロ・・・モモシア王国の大臣。佞臣。賄賂好き。
使いの男・・・オトルレン皇国の使いを自称するが、実はモルリント王国の密偵。モルリント王国に都合良く戦争の火蓋を切らせた。
ドーキン・・・モルリント王国の軍事副総長。第2師団長。
レスト・・・ドム伯爵。トルスパル港町の総督。
ホイリカ・・・モモリント王国の王妃。メーシル侯爵(騎士公)家出身。
バイデル・・・トルスパル守備隊長。
フイレス・・・家名はフォール。男爵。ゼル総督。国王の旧臣。
アスロ・・・レシット辺境国の若き海賊の船長。
ボラン・・・レシット辺境国のルナドスヒラ港の海賊長。80代の老将。
キーン・・・レシット辺国の海賊の船長。
ストス・・・キーンの海賊船の副長。
ゴンドレス・・・ドム艦隊旗艦の副長。
サルバット・・・レシット辺境国の海賊の船長。
ジャック・・・ゼル港の守備隊長。
ジンギール・・・レストの配下。モンドル国出身。有能。
モーベ・・・ボランの側近海賊。
ビッシュ・・・ボランの側近海賊。
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