18 / 80
従騎士期間
騎士公と家名ドム
しおりを挟む
4月の半年後は10月である。
レストの半年間の従騎士生活も10月の頭で幕を閉じた。
戦場に出てないので騎士らしい仕事は何一つしていなかったが。
従騎士はその後、問題がなければ軍事総長から一代騎士の地位が与えられる。
一代騎士とはその名称の通り、その人物だけが騎士になれる地位だ。
子孫は騎士を継承出来ない。
だが、何故か、レストは王宮の謁見式の会場に居た。
上座には王冠を被ったモルリント王国の国王ハイル・モルリントまで居て、親衛隊長のジャン・ゴクートルが下座のレスト以下、他の4人を順に読んで騎士公の地位を授けてるのでレストも何が起こってるのか理解出来た。
騎士公とは一代騎士とは違い、子孫も1人、騎士が継げる地位の事だ。
当然、よっぽどの功績がなければ平民がなれる事はないのだが、
「従騎士レスト、前へっ!」
何も知らされずに出向かされたが、既に2人が騎士公を国王から授与されてたので、
「昨年のロルメ公国軍の王都カモント侵攻の際、モンカル子爵を調略し、メスレ公爵を除いた事、見事である。よって既に与えた三日月十字勲章の他に、騎士公の地位とドムの家名も与える」
「はは、ありがたきしあわせ」
「では、陛下に剣を捧げよ」
言われて渡された儀式用で刃のない剣を抜いたレストは国王の前に移動して跪くと、
「我が剣と命、陛下の為に捧げまする」
前の2人に倣って刃側を持って、持ち手である柄の方を国王に向けた。
「うむ。レスト・ドムの剣、確かにこのハイル、受け取ったぞ」
剣を握った国王がそう言って、剣の腹でレストの肩を軽く叩き、
「ははっ! ありがたきしあわせ」
それで終わりだ。
部屋の下座の定位置に戻った。
その後、最後の1人も儀式を終えて、レスト達は退室したのだった。
退室した廊下で指導係のコルエーゼも待っており、
「家名はドムか。東部の旧公爵領の地名から取られたか」
と感想を言っていたが、レストが咎めるように、
「陛下との謁見なんて聞いてませんが」
「当然だ。陛下のスケジュールが下っ端に漏れる訳がないだろ」
「そりゃそうだけど」
「これでおまえは今日から騎士公だ。恥じぬ行動をするようにな」
「はい」
「では、辞令だ、騎士公レスト・ドム。第4大隊より第27大隊への配属を命じる。赴任地のアイハール城に向かうように」
騎士団の第27大隊は新設された旧ロルメ公国領駐屯部隊だ。
「はっ、これまでありがとうございました、コルエーゼ様」
「特別サービスで最後に助言してやるが、気を付けろよ。特に背中には?」
「はい?」
「赴任すれば分かるさ」
「はあ」
こうしてレストの新たな任務地へと旅立ったのだった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
登場人物。
レスト・・・従騎士として第4大隊に配属。
ベンデ・・・軍隊教官。その後、一代騎士として復帰。
ネムルト・・・第4大隊副隊長。伯爵家後継。
コルエーゼ・・・第4大隊幹部。軍中枢の幹部だったが政争に負けて左遷中。
エル・・・娼館『百合の花』の店番のオババ。
エマ・・・娼館『百合の花』の娼婦。レストの母親の妹分。
グラカツ・・・親衛隊。男爵。
グロバー・・・親衛隊副隊長。伯爵。
ゴクートル・・・国王親衛隊長。子爵。
ハイル・・・モルリント王国第5代国王。
レストの半年間の従騎士生活も10月の頭で幕を閉じた。
戦場に出てないので騎士らしい仕事は何一つしていなかったが。
従騎士はその後、問題がなければ軍事総長から一代騎士の地位が与えられる。
一代騎士とはその名称の通り、その人物だけが騎士になれる地位だ。
子孫は騎士を継承出来ない。
だが、何故か、レストは王宮の謁見式の会場に居た。
上座には王冠を被ったモルリント王国の国王ハイル・モルリントまで居て、親衛隊長のジャン・ゴクートルが下座のレスト以下、他の4人を順に読んで騎士公の地位を授けてるのでレストも何が起こってるのか理解出来た。
騎士公とは一代騎士とは違い、子孫も1人、騎士が継げる地位の事だ。
当然、よっぽどの功績がなければ平民がなれる事はないのだが、
「従騎士レスト、前へっ!」
何も知らされずに出向かされたが、既に2人が騎士公を国王から授与されてたので、
「昨年のロルメ公国軍の王都カモント侵攻の際、モンカル子爵を調略し、メスレ公爵を除いた事、見事である。よって既に与えた三日月十字勲章の他に、騎士公の地位とドムの家名も与える」
「はは、ありがたきしあわせ」
「では、陛下に剣を捧げよ」
言われて渡された儀式用で刃のない剣を抜いたレストは国王の前に移動して跪くと、
「我が剣と命、陛下の為に捧げまする」
前の2人に倣って刃側を持って、持ち手である柄の方を国王に向けた。
「うむ。レスト・ドムの剣、確かにこのハイル、受け取ったぞ」
剣を握った国王がそう言って、剣の腹でレストの肩を軽く叩き、
「ははっ! ありがたきしあわせ」
それで終わりだ。
部屋の下座の定位置に戻った。
その後、最後の1人も儀式を終えて、レスト達は退室したのだった。
退室した廊下で指導係のコルエーゼも待っており、
「家名はドムか。東部の旧公爵領の地名から取られたか」
と感想を言っていたが、レストが咎めるように、
「陛下との謁見なんて聞いてませんが」
「当然だ。陛下のスケジュールが下っ端に漏れる訳がないだろ」
「そりゃそうだけど」
「これでおまえは今日から騎士公だ。恥じぬ行動をするようにな」
「はい」
「では、辞令だ、騎士公レスト・ドム。第4大隊より第27大隊への配属を命じる。赴任地のアイハール城に向かうように」
騎士団の第27大隊は新設された旧ロルメ公国領駐屯部隊だ。
「はっ、これまでありがとうございました、コルエーゼ様」
「特別サービスで最後に助言してやるが、気を付けろよ。特に背中には?」
「はい?」
「赴任すれば分かるさ」
「はあ」
こうしてレストの新たな任務地へと旅立ったのだった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
登場人物。
レスト・・・従騎士として第4大隊に配属。
ベンデ・・・軍隊教官。その後、一代騎士として復帰。
ネムルト・・・第4大隊副隊長。伯爵家後継。
コルエーゼ・・・第4大隊幹部。軍中枢の幹部だったが政争に負けて左遷中。
エル・・・娼館『百合の花』の店番のオババ。
エマ・・・娼館『百合の花』の娼婦。レストの母親の妹分。
グラカツ・・・親衛隊。男爵。
グロバー・・・親衛隊副隊長。伯爵。
ゴクートル・・・国王親衛隊長。子爵。
ハイル・・・モルリント王国第5代国王。
1
お気に入りに追加
80
あなたにおすすめの小説
四代目 豊臣秀勝
克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。
読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。
史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。
秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。
小牧長久手で秀吉は勝てるのか?
朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか?
朝鮮征伐は行われるのか?
秀頼は生まれるのか。
秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
調香師・フェオドーラの事件簿 ~香りのパレット~
鶯埜 餡
ファンタジー
この世界における調香師とは、『香り』を扱うことができる資格を持つ人のこと。医師や法曹三資格以上に難関だとされるこの資格を持つ人は少ない。
エルスオング大公国の調香師、フェオドーラ・ラススヴェーテは四年前に引き継いだ調香店『ステルラ』で今日も客人を迎え、様々な悩みを解決する。
同時に彼女は初代店主であり、失踪した伯母エリザベータが彼女に遺した『香り』を探していた。
彼女と幼馴染であるミール(ミロン)はエリザベータの遺した『香り』を見つけることができるのか。そして、共同生活を送っている彼らの関係に起こる――――
※作中に出てくる用語については一部、フィクションですが、アロマの効果・効能、アロマクラフトの作成方法・使用方法、エッセンシャルオイルの効果・使用法などについてはほぼノンフィクションです。
ただし、全8章中、6~8章に出てくる使用方法は絶対にマネしないでください。
また、ノンフィクション部分(特に後書きのレシピや補足説明など)については、主婦の友社『アロマテラピー図鑑』などを参考文献として使用しております(詳しくは後書きにまとめます)。
※同名タイトルで小説家になろう、ノベルアップ+、LINEノベル、にも掲載しております。
※表紙イラストはJUNE様に描いていただきました。

猿の内政官 ~天下統一のお助けのお助け~
橋本洋一
歴史・時代
この世が乱れ、国同士が戦う、戦国乱世。
記憶を失くした優しいだけの少年、雲之介(くものすけ)と元今川家の陪々臣(ばいばいしん)で浪人の木下藤吉郎が出会い、二人は尾張の大うつけ、織田信長の元へと足を運ぶ。織田家に仕官した雲之介はやがて内政の才を発揮し、二人の主君にとって無くてはならぬ存在へとなる。
これは、優しさを武器に二人の主君を天下人へと導いた少年の物語
※架空戦記です。史実で死ぬはずの人物が生存したり、歴史が早く進む可能性があります

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ
ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。
見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は?
異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。
鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる