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ライオンの尻尾
レストの故郷
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レストは本当に色街に来ていた。
死んだ母親が娼婦だったのだから、レストの生まれ育った故郷は王都カモントの色街だ。
色街は王都カモントの都心部の南東側にあった。
まずは娼館『百合の花』に顔を出した。
「いらっしゃいませ、お若い旦那様。今日は戦勝祭ですから、昼からでもいい子が店に・・・って何だい、レストかい。また逃げてきたのかい?」
そう出迎えたのは店番でもあるエルという名のヨボヨボのオババだった
まだ頭はシャッキリとしてるが。
「全然違うって。真面目にやってるから。今日は休みなんだよ。戦勝祭だから。服を取りに来ただけだよ。この恰好、見てくれよ、普通過ぎて笑えるだろ?」
レストが今着てる恰好は平民服だ。
平民服にしては洒落てる方だったが。
「ったく、ウチは服置き場所じゃないんだよ」
「いいじゃん。オレの故郷はここなんだから。そうだ、何か変わった事はあった?」
「メイが見受けされたくらいかね」
「あれ、そうなの? 良かったじゃん。誰なの、お相手は?」
「花屋の若旦那だよ、メイに入れ上げてね」
なんて世間話をしてから、レストは衣裳部屋の奥に置いてある私物の服を纏った。
レストが着たのは紫色に刺繍が施された遊び人の服だ。
胸も開いてて男娼でも通る恰好だったが。
貴金属類もやたらと指や腕や首に付けてた。
「じゃあ、いってきまぁ~す」
「はいはい、いっておいで」
こうしてレストは外へ繰り出したのだった。
貴重な休みだ。
レストはまずは賭場で過ごした。
無論、違法だ。
そして、レストは小遣い稼ぎで雇われサクラをしていた。
賭場の店員に渡された金をジャンジャン賭ける。
「2回連続で赤なら、今度こそ黒だろ、黒、来いっ! ふざけんな、3回連続で赤だとぉぉっ!」
馬鹿騒ぎだ。
「今度こそ黒だっ!」
レストが銀貨を賭ける。
違法の賭場なのでチップなんてまどろっこしいシステムはない。
「いや、また赤だと思うぞ、兄ちゃん」
「オレは黒」
熱気に釣られて他の客も賭けた。
例え、勝ってテーブルに銀貨が山のように積まれようとその分、大きく賭けて、最終的に全部を無くした。
それが仕事だ。
「戦勝祭だってのに、ついてねえぜ」
そう言って店を出て、出る際に、
「御苦労さん、レスト。おまえ、ウチに来ないのか?」
サクラ代の銀貨50枚が入った布袋を隠すように渡された。
渡したのは賭場を仕切る20代のベックだ。
「ベックさん。オレ、今、軍隊学校に入れられてるんだぜ。知ってるでしょ? 4回脱走して4回とも連れ戻されたの?」
「まあな。おまえの父親が軍の偉いさんだって噂が立ってたのもな」
「んな訳ないでしょ。だったらとっくにお袋は身請けされてたって。もしくは産まれたオレを引き取るか。何もなかったんだから違うって事だよ」
「違いない」
「そうだ。脱走といったら軍隊学校で脱走した馬鹿が出てさ。探してるんだけど、何か聞かない?」
「何だ。おまえが追う側か?」
一瞬ベックは警戒したが、
「だって連れ戻したら銀貨2000枚貰えるんだもん」
レストが言うと、警戒を解いた。
「それはオイシイな」
「それがそうでもなくて、ライオンの尻尾って知ってる?」
「いや。何の隠語だ?」
「他国のスパイ」
「軍隊学校にスパイ?」
「うん」
「かなりヤバくないか」
「そこがまた面白そうでさ」
レストがニヤリと笑ったのを見て、ベックが呆れながら、
「おまえ、そういうところあるよな。どの国だ?」
「それが全く分かんなくて」
「何の情報もないのに部外者のオレが分かるか」
「何か噂だけでもないの?」
「この前の戦の時、ロルメ公国が兵を引いた直後に色街に居た胡散臭い連中が騎士団に大々的に狩られたって情報くらいだな」
「それだけ?」
「ああ」
「何だ、つまらないの。じゃあ、オレは貴重な休みを満喫してきますね」
「ああ、祭りを楽しんできな」
そう言って賭場から出て行ったのだった。
死んだ母親が娼婦だったのだから、レストの生まれ育った故郷は王都カモントの色街だ。
色街は王都カモントの都心部の南東側にあった。
まずは娼館『百合の花』に顔を出した。
「いらっしゃいませ、お若い旦那様。今日は戦勝祭ですから、昼からでもいい子が店に・・・って何だい、レストかい。また逃げてきたのかい?」
そう出迎えたのは店番でもあるエルという名のヨボヨボのオババだった
まだ頭はシャッキリとしてるが。
「全然違うって。真面目にやってるから。今日は休みなんだよ。戦勝祭だから。服を取りに来ただけだよ。この恰好、見てくれよ、普通過ぎて笑えるだろ?」
レストが今着てる恰好は平民服だ。
平民服にしては洒落てる方だったが。
「ったく、ウチは服置き場所じゃないんだよ」
「いいじゃん。オレの故郷はここなんだから。そうだ、何か変わった事はあった?」
「メイが見受けされたくらいかね」
「あれ、そうなの? 良かったじゃん。誰なの、お相手は?」
「花屋の若旦那だよ、メイに入れ上げてね」
なんて世間話をしてから、レストは衣裳部屋の奥に置いてある私物の服を纏った。
レストが着たのは紫色に刺繍が施された遊び人の服だ。
胸も開いてて男娼でも通る恰好だったが。
貴金属類もやたらと指や腕や首に付けてた。
「じゃあ、いってきまぁ~す」
「はいはい、いっておいで」
こうしてレストは外へ繰り出したのだった。
貴重な休みだ。
レストはまずは賭場で過ごした。
無論、違法だ。
そして、レストは小遣い稼ぎで雇われサクラをしていた。
賭場の店員に渡された金をジャンジャン賭ける。
「2回連続で赤なら、今度こそ黒だろ、黒、来いっ! ふざけんな、3回連続で赤だとぉぉっ!」
馬鹿騒ぎだ。
「今度こそ黒だっ!」
レストが銀貨を賭ける。
違法の賭場なのでチップなんてまどろっこしいシステムはない。
「いや、また赤だと思うぞ、兄ちゃん」
「オレは黒」
熱気に釣られて他の客も賭けた。
例え、勝ってテーブルに銀貨が山のように積まれようとその分、大きく賭けて、最終的に全部を無くした。
それが仕事だ。
「戦勝祭だってのに、ついてねえぜ」
そう言って店を出て、出る際に、
「御苦労さん、レスト。おまえ、ウチに来ないのか?」
サクラ代の銀貨50枚が入った布袋を隠すように渡された。
渡したのは賭場を仕切る20代のベックだ。
「ベックさん。オレ、今、軍隊学校に入れられてるんだぜ。知ってるでしょ? 4回脱走して4回とも連れ戻されたの?」
「まあな。おまえの父親が軍の偉いさんだって噂が立ってたのもな」
「んな訳ないでしょ。だったらとっくにお袋は身請けされてたって。もしくは産まれたオレを引き取るか。何もなかったんだから違うって事だよ」
「違いない」
「そうだ。脱走といったら軍隊学校で脱走した馬鹿が出てさ。探してるんだけど、何か聞かない?」
「何だ。おまえが追う側か?」
一瞬ベックは警戒したが、
「だって連れ戻したら銀貨2000枚貰えるんだもん」
レストが言うと、警戒を解いた。
「それはオイシイな」
「それがそうでもなくて、ライオンの尻尾って知ってる?」
「いや。何の隠語だ?」
「他国のスパイ」
「軍隊学校にスパイ?」
「うん」
「かなりヤバくないか」
「そこがまた面白そうでさ」
レストがニヤリと笑ったのを見て、ベックが呆れながら、
「おまえ、そういうところあるよな。どの国だ?」
「それが全く分かんなくて」
「何の情報もないのに部外者のオレが分かるか」
「何か噂だけでもないの?」
「この前の戦の時、ロルメ公国が兵を引いた直後に色街に居た胡散臭い連中が騎士団に大々的に狩られたって情報くらいだな」
「それだけ?」
「ああ」
「何だ、つまらないの。じゃあ、オレは貴重な休みを満喫してきますね」
「ああ、祭りを楽しんできな」
そう言って賭場から出て行ったのだった。
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