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第3章 転校生エニスのお姉さまと妹
底が見えない【パリナside】
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嘘、嘘、嘘っ!
私は秋の乙女祭の優勝者なのよっ!
それなのにっ!
「リリー式、剣撃突進、爆炎っ!」
ミリアリリー王国の騎士団が誇る長剣に炎を纏わせた突進突きを模擬刀で放つも、
「ああ、それはもう知ってるわ」
相手は軽々と摸擬刀の腹を盾にして簡単に受け止めた。
こっちが全力で突進してるのに、ビクともしない。
1ミリも後退しなかった。
そんなに体重、重くないでしょ、アナタっ!
どうしてよっ!
摸擬刀に纏わせてる炎も燃え移らないしっ!
「ねぇ? もう止めにしませんか?」
「うっさいっ! リリー式、剣撃10連斬りっ!」
高速で摸擬刀を10回振るう。
その総ての斬撃を摸擬刀で軽くあしらわれた。
もう分かってるっ!
私はこの子に勝てないっ!
でもっ!
それでもっ!
その涼しそうな顔だけは歪めてみせるわっ!
「魔力最大解放、リリー式、最終剣撃、大雷斬り」
私は魔力を解放して、摸擬刀に最大出力の白光りする雷をバリバリバリッと纏わせた。
「待ちなさい、パリナさんっ! 相手を殺す気なのっ!」
闘技場の外野で誰かが叫んでたけど、もう私には目の前のその子しか映っていなかった。
「喰らいなさいっ! 雷鳥っ!」
私は膨大な雷を纏った模擬刀で眼の前の2年生に突進して斬りかかった。
その子は逃げない。
というか、模擬戦開始から1歩も動いていなかった。
気軽に摸擬刀を私の斬撃に合わせてくる。
そして、
「5点以下ね、この程度の静電気じゃあ」
と呟きながら、摸擬刀同士が激突した瞬間、私が持つ模擬刀が纏っていた雷がその子に流れて攻撃する事なく、総て掻き消えて、
「・・・嘘」
魔力を総て使い切った私は、そう呟いて、意識を失った。
意識を失う中、
「これで優勝者って。少しでも期待した私が馬鹿だったわ」
と聞こえた気がした。
どうして私が2年の転校生のエニスと放課後に決闘モドキの模擬戦をしたかと言えば・・・
私のつまらないプライドの所為だった。
ミリアリリー王国の8騎士の末裔、アスレオット家の嫡流。
ミリアリリー女学園の風紀委員長。
今年の秋の乙女祭の優勝者。
今年の春の乙女祭の準優勝者。
去年の秋の乙女祭のベスト4。
去年の春の乙女祭の準優勝者。
ミリアリリー女学園での経歴は申し分ない。
ミリアリリー女学園の卒業後の騎士団の上級役職での入団の内定も既に貰ってる。
それなのに、ヴァンパイア騒動の11人目の被害者になってしまった。
夜間の学園巡回中に、風紀委員のファイナに、
「委員長、今、怪しい人影が闘技場の方に・・・・・・」
との報告で、ノコノコと2人で特攻したら、背後からガブリッだった。
それで意識を失って·······
起きた時にはヴァンパイア騒動は解決していた。
ファイナの妹がヴァンパイアで、ファイナ自身もヴァンパイアの協力者として騎士団に捕縛されていた。
ファイナは操られていただけらしいが。
そして私はミリアリリー女学園中の笑いモノ。
それを払拭すべく、騎士団長宅に下宿しててヴァンパイアを倒したとかいう転校生を放課後に呼び出して、闘技場で模擬戦をしたのだけれど・・・・・・・
恥の上塗りだった。
意識を取り戻した時、治癒室のベッドに居た。
闘技場を貸してくれたセリ先生が、
「何やってるのよ、パリナさんっ! あんな大技を使ってっ! 普通の相手だったら死んでたわよ、あれで確実にっ!」
「それで重傷でも負ったんですか、あの転校生は?」
「それはーー」
セリ先生の口ごもるリアクションだけで、あの子が無傷な事は分かった。
「何で出来てるのよ、あの子っ!」
私がベッドの中で怒りを爆発させる中、
「あの子の事は忘れなさい。特待生の上に、どうも騎士団が囲ってる人材のようだから」
セリ先生が優しくそう私を諭した。
「上ばかり見てもロクな事にならないわよ」
でも、そんな説教如きで押さえが利くほど、私は人間として完成してはいなかった。
私は秋の乙女祭の優勝者なのよっ!
それなのにっ!
「リリー式、剣撃突進、爆炎っ!」
ミリアリリー王国の騎士団が誇る長剣に炎を纏わせた突進突きを模擬刀で放つも、
「ああ、それはもう知ってるわ」
相手は軽々と摸擬刀の腹を盾にして簡単に受け止めた。
こっちが全力で突進してるのに、ビクともしない。
1ミリも後退しなかった。
そんなに体重、重くないでしょ、アナタっ!
どうしてよっ!
摸擬刀に纏わせてる炎も燃え移らないしっ!
「ねぇ? もう止めにしませんか?」
「うっさいっ! リリー式、剣撃10連斬りっ!」
高速で摸擬刀を10回振るう。
その総ての斬撃を摸擬刀で軽くあしらわれた。
もう分かってるっ!
私はこの子に勝てないっ!
でもっ!
それでもっ!
その涼しそうな顔だけは歪めてみせるわっ!
「魔力最大解放、リリー式、最終剣撃、大雷斬り」
私は魔力を解放して、摸擬刀に最大出力の白光りする雷をバリバリバリッと纏わせた。
「待ちなさい、パリナさんっ! 相手を殺す気なのっ!」
闘技場の外野で誰かが叫んでたけど、もう私には目の前のその子しか映っていなかった。
「喰らいなさいっ! 雷鳥っ!」
私は膨大な雷を纏った模擬刀で眼の前の2年生に突進して斬りかかった。
その子は逃げない。
というか、模擬戦開始から1歩も動いていなかった。
気軽に摸擬刀を私の斬撃に合わせてくる。
そして、
「5点以下ね、この程度の静電気じゃあ」
と呟きながら、摸擬刀同士が激突した瞬間、私が持つ模擬刀が纏っていた雷がその子に流れて攻撃する事なく、総て掻き消えて、
「・・・嘘」
魔力を総て使い切った私は、そう呟いて、意識を失った。
意識を失う中、
「これで優勝者って。少しでも期待した私が馬鹿だったわ」
と聞こえた気がした。
どうして私が2年の転校生のエニスと放課後に決闘モドキの模擬戦をしたかと言えば・・・
私のつまらないプライドの所為だった。
ミリアリリー王国の8騎士の末裔、アスレオット家の嫡流。
ミリアリリー女学園の風紀委員長。
今年の秋の乙女祭の優勝者。
今年の春の乙女祭の準優勝者。
去年の秋の乙女祭のベスト4。
去年の春の乙女祭の準優勝者。
ミリアリリー女学園での経歴は申し分ない。
ミリアリリー女学園の卒業後の騎士団の上級役職での入団の内定も既に貰ってる。
それなのに、ヴァンパイア騒動の11人目の被害者になってしまった。
夜間の学園巡回中に、風紀委員のファイナに、
「委員長、今、怪しい人影が闘技場の方に・・・・・・」
との報告で、ノコノコと2人で特攻したら、背後からガブリッだった。
それで意識を失って·······
起きた時にはヴァンパイア騒動は解決していた。
ファイナの妹がヴァンパイアで、ファイナ自身もヴァンパイアの協力者として騎士団に捕縛されていた。
ファイナは操られていただけらしいが。
そして私はミリアリリー女学園中の笑いモノ。
それを払拭すべく、騎士団長宅に下宿しててヴァンパイアを倒したとかいう転校生を放課後に呼び出して、闘技場で模擬戦をしたのだけれど・・・・・・・
恥の上塗りだった。
意識を取り戻した時、治癒室のベッドに居た。
闘技場を貸してくれたセリ先生が、
「何やってるのよ、パリナさんっ! あんな大技を使ってっ! 普通の相手だったら死んでたわよ、あれで確実にっ!」
「それで重傷でも負ったんですか、あの転校生は?」
「それはーー」
セリ先生の口ごもるリアクションだけで、あの子が無傷な事は分かった。
「何で出来てるのよ、あの子っ!」
私がベッドの中で怒りを爆発させる中、
「あの子の事は忘れなさい。特待生の上に、どうも騎士団が囲ってる人材のようだから」
セリ先生が優しくそう私を諭した。
「上ばかり見てもロクな事にならないわよ」
でも、そんな説教如きで押さえが利くほど、私は人間として完成してはいなかった。
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