戦国夢物語

織田っち

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第二章~主のために~

大仕事、美濃攻略!!

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「父上、失礼致します。」

「政輝どうした。」

「清洲城から信長様の御使者が参られております。」

「そうか、使者殿をここへお連れしろ。」

「はっ。」

政輝はそう返事をすると使者である堀秀政を政影の元へと案内した。

「お初にお目にかかります。堀秀政にございます。此度は信長様よりの言伝を預かってまいりました。」

「倉内政影にございます。お言葉頂戴致します。」

政影がそう返すと秀政が信長から預かった言伝をそのまま伝えた。

「倉内政影、清洲城への登城を命ずる。」

「はっ。ただちにお向かい申します。」

政影はそう返事を返すと清洲城へと秀政と共に向かったのである。

清洲城へと着いた政影はすぐに信長のところへと通された。

「殿、倉内政影が参りました。」

そう秀政が言うと中から

「入れ。」

そう低い声が聞こえてきた。
その声が聞こえると秀政は政影に中に入るように促した。

「失礼致します。」

政影がそう言って中に入るとそこには威圧感のある一人の男がいた。
そう、彼こそがこれから天下への道を歩もうとしている男、織田信長である。

「どうした。入れ。」

「はっ。」

 信長に促されて部屋の中に入った政影は平伏して

「倉内政影、お呼びにより参上いたしました。」

そう声を発した。

「うむ、よく来た。先の今川との戦いではよく働いてくれた。」

「もったいなきお言葉にございます。」

「そこでお前にひとつ大きな仕事を任せたい。」

「仕事でございますか。」

「うむ。今川の脅威が去った今、我が目指すのはどこだと思う。」

「美濃の斎藤家かと。」

「そうだ。今の当主である斎藤龍興は本物のうつけだ。政には関わらず酒に女にと遊びほうけておる。だが、それでも稲葉山城は堅城。力攻めを繰り返しても落とすことはできん。そこでだ。内通者を作り上げたい。」

「でしたら、西美濃三人衆をと考えておられるはずでございますな。」

「そうだ。あの西美濃三人衆を寝返らせることができればいくら稲葉山城は堅城であろうと指揮する者がおらん城は簡単に落とせる。その西美濃三人衆の内通を政影、お前に頼みたい。」

「この倉内政影、信長様のために西美濃三人衆をこちらに引き入れてみせましょう。」

「ではこの件は政影に任せる。我の期待に応えてみせよ。」

「はっ。」

そう言うと信長は部屋を出た。

戻った政影はすぐに政輝、隆之、隆次を集めた。

「殿、お呼びとあり参上致しました。」

「隆之、隆次、よく来た。此度は信長様より仕事を任された故呼んだ。」

「ほう、信長様から仕事をでございますか。」

「あぁ、西美濃三人衆の調略だ。」

「やはり来ましたか。殿の予想通りでございましたな。」

「あぁ、やはり信長様はうつけではなかったわ。」

政影はそう言うと笑った。

「父上、予定通り調略を進めるのでございますね?」

「あぁ、わしと隆之で西美濃三人衆に秘密裏に会ってくる。」

「承知致しました。では、その間を使い父上にお願いしたきことがございます。」

「なんだ。」

「父上と隆之が西美濃三人衆を調略に向かっている間に私は忍び部隊を当家に作りたいと思います。」

「ほう、それはなぜだ。」

政輝の発言に政影は意見を求めた。

「現在当家が得られる情報は清洲に来る流しの商人などから得ている程度のものにございます。これからの織田家ではこれまで以上に様々な情報が勝ちを握ると思われます。そのためには自前の優れた情報網を形成するのがよろしいかと思います。」

「ふむ。よかろう。だが、忍びの長を務めるに足り得る男につてなどはあるのか?作りたいと言っても大した能力がない者であればその時だけ伊賀や甲賀の忍びを雇ったほうが効率がいいぞ。」

「はい。優れた男を知っております。その男に忍びの長をやらせれば伊賀や甲賀にも負けず劣らずの忍び部隊を持つことができるでしょう。」

政輝の目に自信を感じた政影は

「そこまで言うならやってみよ。」

許可を出した。

「ありがとうございます。」

「隆次、道中などの護衛などは任せたぞ。」

「はっ。必ず政輝様はお守りいたします。」

政輝達は部屋を出た後、

「ふっ。さすがは殿のお子ですな。元服したての方とは思えませぬぞ。」

「褒めるのはまだ早いぞ隆之よ。政輝の作る忍び部隊が優れておればの話だ。並大抵の忍びなれば無駄な金を浪費するだけになるからな。」

「確かに当家には以前の蓄えがあるとは言え、今はそこまでの資金源はありませんので長い間使い物にならないようであれば捨てることも考えなければなりませんからな。」

「わしらはわしらで西美濃三人衆をどのように調略するかを考えるとしよう。」

「西美濃三人衆は安藤守就、稲葉一鉄、氏家卜全らですが、まとめ役となっているのは安藤守就ですな。」

「うむ、故にまずは安藤守就に会うてみるのが良いだろうな。」

「直接会うのは危険ではないでしょうか?」

「危険は承知の上だ。だが、こちらの誠意を見せるためには少数で行くしかない。わしと隆次の二人で行けば相手もそこまで警戒はせんであろう。」

「承知致しました。なにか危険があった場合は命に代えてもお守りいたします。」

「ふっ、隆之がいれば私が命を落とすことはないな。期待しておるぞ。」

それから政影と隆之は西美濃三人衆の調略へ、政輝と隆次はお抱えの忍び部隊を作るために長となりえる人物に会いに行くことになった。
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