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第十章~東北統一への道~
東北統一2
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盛隆が徳川への恭順を決定したことは予想通り蘆名家内で大きな反発を生んだ。
しかし、盛隆の隣に刹那がいて話をすると蘆名家家臣達は改めて徳川家がどのような存在なのかを理解して声をあげることをやめた。
最後まで抵抗していた盛隆の妻も最後に盛隆が声を強めにかけると驚いた後に「はい。」と同意したのである。
これにより蘆名家は完全に徳川家へ恭順した。
蘆名家が徳川家に恭順したことで蘆名に近い豪族達はすべて徳川家へ従うことを誓った血判状を出した。
蘆名を降した刹那は次に伊達家の本拠地である米沢城へ向かった。
その道中、謙信が話を振ってきた。
「殿とおると退屈せんと思ったが、まさかここまで面白いとは思わなかったわ。」
「どういうことですか?」
「いや、話術だけで蘆名を降したことがな。元より優れた男だとは知っていたが近くでそれを見て更によくわかったわ。しかし、それでわからぬことがある。なぜに殿は大殿に仕えておるのだ?殿ほどの器量ならば自らが天下人になるのは容易であろう。それに今からでも反旗を翻せば徳川傘下の家々は皆殿に着くと思うが。」
「私の目的は天下人になることでなく、この日ノ本が平和になることです。そのためには家康様が必要と思ったからです。故に私は殿を天下人にするために行動をする。謙信も天下を取れる力を持っていたのにそれを行使しなかったでしょ?それは義のため、そして領民のためではなかったですか?」
刹那の言葉に謙信は大笑いをした。
「ふはっはっはっはっはっ。確かに殿の申す通りだ。失礼を致しました。」
道中そんな会話をしながら進み、刹那達は米沢城城下へ到着していた。
「これが米沢か。」
「思ってたよりも発展しておりますな。」
「そうか?伊勢のほうが繁栄していると思うが。」
「謙信殿、それは殿の力故にございます。徳川領と比べてはなりませんよ。それに黒松城などに比べたらすごいではありませんか。」
「確かに、小高城、黒松城などと比べればこの米沢城は城下にも活気がある。」
刹那が城下町の茶屋で休みながらそこの看板娘に話しかけると
「あぁ、それは今の殿様、伊達政宗様のお力だと思いますよ。政宗様が御当主様になられてから米沢は変わりましたから。」
との声が返ってきた。
「殿、伊達政宗と言う男に興味を持ちましたね?」
左近が耳打ちをすると刹那は小さく笑みを浮かべ
「よくわかったな。」
そう言うのだった。
それなら刹那達は米沢城城下町を思いっきり堪能して、屋宿を取った。
刹那達が部屋で明日のことを話していると外から女将が声をかけてきた。
「入って構わないよ女将。」
「お休み中失礼を致します。お侍様へお客様がいらしております。」
「客人?はて、誰かのぉ?」
「通して構わないよ。」
「はい。」
そう言って女将はお客を呼びに行った。
「丹波、誰が来るかわかっているな?」
「ほっほっ、さすがは殿。お見通しじゃな。殿に取って興味をそそられそうな人物だったのでな。見逃したのじゃ。」
「ほう、では楽しみとしよう。左近、謙信、なにかあった場合は構わない切って良い。」
「「はっ。」」
それからほどなくして女将が客を連れてきた。
「お初にお目にかかります。某、伊達藤次郎政宗様の家臣、片倉小十郎景綱と申します。」
そう、丹波の言った興味をそそられるとは米沢城城主、伊達政宗の右腕にして伊達家の筆頭家老である片倉小十郎だったのである。
「片倉殿は私が誰かお分かりか?」
「はい、徳川家筆頭家老であり、徳川家をここまで押し上げた人物として名高い神威刹那殿とお見受けしております。」
「いかにも、私が神威刹那です。して、今日はこの宿までわざわざいかが御用向きでしょうか?」
「はっ。内密にお話したきことがございましてまかりこしました。」
「なんでしょうか。」
「当家が徳川家へ恭順の意を示さない大きな理由がございます。それを解消したく、お願いに参りました。」
そこから小十郎は政宗の母義姫が最上家の出であり積極的に徳川家に恭順するべきだと言っていることへの反発として反徳川を政宗が言っていること。いわゆる家中不和が大きな理由だと話した。
「話はわかりました。ですが、それではいくら言おうが伊達家は徳川家に敵意を示すのは変わらないのではありませんか?当家としては恭順の意を示している最上家を滅ぼすわけにはいきません。信用に関わりますからな。となると最上家と敵対していようが伊達家も徳川家に従うようにしなければならない。」
「難しいことを言っているのはわかっております。しかし徳川家に敵対すれば間違いなく伊達家は滅ぶ。私は命に変えたとしてもそれだけは避けたいのでざいます。どうか、どうかお願い致します。」
小十郎はそう言うと頭を床に擦り付ける勢いで下げた。
しかし、盛隆の隣に刹那がいて話をすると蘆名家家臣達は改めて徳川家がどのような存在なのかを理解して声をあげることをやめた。
最後まで抵抗していた盛隆の妻も最後に盛隆が声を強めにかけると驚いた後に「はい。」と同意したのである。
これにより蘆名家は完全に徳川家へ恭順した。
蘆名家が徳川家に恭順したことで蘆名に近い豪族達はすべて徳川家へ従うことを誓った血判状を出した。
蘆名を降した刹那は次に伊達家の本拠地である米沢城へ向かった。
その道中、謙信が話を振ってきた。
「殿とおると退屈せんと思ったが、まさかここまで面白いとは思わなかったわ。」
「どういうことですか?」
「いや、話術だけで蘆名を降したことがな。元より優れた男だとは知っていたが近くでそれを見て更によくわかったわ。しかし、それでわからぬことがある。なぜに殿は大殿に仕えておるのだ?殿ほどの器量ならば自らが天下人になるのは容易であろう。それに今からでも反旗を翻せば徳川傘下の家々は皆殿に着くと思うが。」
「私の目的は天下人になることでなく、この日ノ本が平和になることです。そのためには家康様が必要と思ったからです。故に私は殿を天下人にするために行動をする。謙信も天下を取れる力を持っていたのにそれを行使しなかったでしょ?それは義のため、そして領民のためではなかったですか?」
刹那の言葉に謙信は大笑いをした。
「ふはっはっはっはっはっ。確かに殿の申す通りだ。失礼を致しました。」
道中そんな会話をしながら進み、刹那達は米沢城城下へ到着していた。
「これが米沢か。」
「思ってたよりも発展しておりますな。」
「そうか?伊勢のほうが繁栄していると思うが。」
「謙信殿、それは殿の力故にございます。徳川領と比べてはなりませんよ。それに黒松城などに比べたらすごいではありませんか。」
「確かに、小高城、黒松城などと比べればこの米沢城は城下にも活気がある。」
刹那が城下町の茶屋で休みながらそこの看板娘に話しかけると
「あぁ、それは今の殿様、伊達政宗様のお力だと思いますよ。政宗様が御当主様になられてから米沢は変わりましたから。」
との声が返ってきた。
「殿、伊達政宗と言う男に興味を持ちましたね?」
左近が耳打ちをすると刹那は小さく笑みを浮かべ
「よくわかったな。」
そう言うのだった。
それなら刹那達は米沢城城下町を思いっきり堪能して、屋宿を取った。
刹那達が部屋で明日のことを話していると外から女将が声をかけてきた。
「入って構わないよ女将。」
「お休み中失礼を致します。お侍様へお客様がいらしております。」
「客人?はて、誰かのぉ?」
「通して構わないよ。」
「はい。」
そう言って女将はお客を呼びに行った。
「丹波、誰が来るかわかっているな?」
「ほっほっ、さすがは殿。お見通しじゃな。殿に取って興味をそそられそうな人物だったのでな。見逃したのじゃ。」
「ほう、では楽しみとしよう。左近、謙信、なにかあった場合は構わない切って良い。」
「「はっ。」」
それからほどなくして女将が客を連れてきた。
「お初にお目にかかります。某、伊達藤次郎政宗様の家臣、片倉小十郎景綱と申します。」
そう、丹波の言った興味をそそられるとは米沢城城主、伊達政宗の右腕にして伊達家の筆頭家老である片倉小十郎だったのである。
「片倉殿は私が誰かお分かりか?」
「はい、徳川家筆頭家老であり、徳川家をここまで押し上げた人物として名高い神威刹那殿とお見受けしております。」
「いかにも、私が神威刹那です。して、今日はこの宿までわざわざいかが御用向きでしょうか?」
「はっ。内密にお話したきことがございましてまかりこしました。」
「なんでしょうか。」
「当家が徳川家へ恭順の意を示さない大きな理由がございます。それを解消したく、お願いに参りました。」
そこから小十郎は政宗の母義姫が最上家の出であり積極的に徳川家に恭順するべきだと言っていることへの反発として反徳川を政宗が言っていること。いわゆる家中不和が大きな理由だと話した。
「話はわかりました。ですが、それではいくら言おうが伊達家は徳川家に敵意を示すのは変わらないのではありませんか?当家としては恭順の意を示している最上家を滅ぼすわけにはいきません。信用に関わりますからな。となると最上家と敵対していようが伊達家も徳川家に従うようにしなければならない。」
「難しいことを言っているのはわかっております。しかし徳川家に敵対すれば間違いなく伊達家は滅ぶ。私は命に変えたとしてもそれだけは避けたいのでざいます。どうか、どうかお願い致します。」
小十郎はそう言うと頭を床に擦り付ける勢いで下げた。
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