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第五章~近畿大波乱~
崩壊、そしてゼロからのスタート6
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「忠勝、さすがの刹那でも倍以上の兵が篭る城を落とすのはそう簡単なことではないはずだ。援軍として3000の兵を率いて刹那の援護をせよ。」
「はっ!!必ずや吉報をお持ち致しましょう。」
それから少しして刹那の元に忠勝がやってきた。
「失礼致します。本多忠勝殿がお見えにございます。」
「通してくれ。」
「師匠、失礼致します。殿の命により、本多忠勝援軍に参りました。」
「忠勝、ありがたい。まずは座ってくれ。」
「はっ。して今はどのような状況なのですか?」
「今は海玄、幸隆、長政が2000の兵を率いて城の様子を小競り合いを行いながら調べてもらっている。」
「敵方がどのように兵を配置しているのか確認しているということですな。」
「そうゆうことだ。堅城である小谷城を落とすためには敵の兵の配置を知ることが普段の城攻めよりも大切になってくる。味方の死傷者をできるだけ出さずに勝つためには敵の急所を狙い撃つことが肝心だ。長政がいる分城の作りなどは理解できているが、それは敵も承知のこと。本来の急所にはより兵を多く配置するはずだ。ならばその兵の配置によって手薄になっているのはどこなのか。それを探るのが今必要なことさ。」
刹那の話を聞きながら忠勝は改めて自分の師の偉大さを実感するのである。
それと同時に刹那も自分のやろうとしていることを瞬時に理解した忠勝の成長に嬉しさを覚えるのだった。
忠勝が刹那の元に来てから数時間後、小競り合いを行っていた三人が戻ってきた。
「これは本多殿、いらしていたのですな。」
「はい。殿の命により師匠の援軍に参りました。」
「それはそれはこの戦、これで勝ちは決まりましたぞ、殿。」
海玄のその言葉を聞いた刹那は、
「見つかりましたか?手薄な箇所が。」
刹那はそう問いかけると長政が、
「本丸と小丸の間にある京極丸が一番の手薄になっています。普段であれば京極丸は本丸と小丸とつなぐ場所として兵を多めに配置しているのですが、今回は本丸に多く兵を配置しているようです。」
「小丸のほうはどのような状況ですか?」
「小丸に篭る兵は1500といったところでしょうか。それに比べ京極丸は300程度しかいないように感じられました。」
「ほう、京極丸に300の兵ですか。」
「忠勝、あなたならどうしますか?」
「無論、京極丸を強襲します。しかし、京極丸は両側を山に斜面に沿わせており攻めるのが難しいのが難点でございますればその隙に反撃を食らうのは必定かと。」
「そうですね、そのために小丸に神威家の兵1000と忠勝が率いてきてくれた殿からの援軍3000、計4000で攻めます。」
その刹那の説明を聞いた幸隆が
「ほう、その隙に残りの兵1300は京極丸の側面を進行し攻めいると言うことですな。」
「その通りです。小丸が戦っている時に京極丸に控える兵は必ずや油断が生じます。その油断を我らは攻める。」
「それで、人選はどのように。」
「まず、小丸を攻める4000を忠勝を大将にし、海玄、幸隆が補佐。京極丸には私と長政で行きます。」
「承りました。海玄殿、幸隆殿、何卒よろしくお願い致します。」
「長政、こちらも危険がおおいに生じます。心してかかりますよ。」
「はっ。」
こうして刹那は手勢をふたてに分けて小谷城攻めを開始したのである。
「伝令、徳川勢が小丸に攻めて参りましたっ。その数4000。」
「しかけて来おったか。本丸への攻撃は。」
「今のところございませぬ。攻撃は小丸にのみ集中しております。」
「そうか。小丸に伝令を出せ。何としても小丸を死守せよ。」
「はっ。」
「ふっ。小谷城の守りは鉄壁。4000ごときの兵で落とせるものか。長政、父を二度も裏切りしこと後悔させてくれるっ。」
徳川軍の攻撃が小丸に集中しているとの知らせを受けた久政はすぐに小丸へ増援を派遣。
本丸を死守すれば朝倉軍が援軍として来てくれるという目算があっての布陣でこの篭城戦に当たっていた。
久政からの伝令を受けた兵はすぐにその指示を伝えると自身はその姿を小谷城から消した。
そしてその姿は小谷城の京極丸を攻めるために移動している刹那の元へと現れた。
「殿、ただいま戻りました。」
「首尾はどうなった。」
「はっ、予想通り久政は小丸へ1500の増援を送りました。今頃は本丸から京極丸を通り小丸へと向かっていると思われます。」
「そうか、ご苦労様だったね。長い間小谷への潜伏感謝するよ。龍雲丸。」
「滅相もございません。戦のない世のためにこの身を活かせるならこのようなこと、いつでもお申し付けください。」
「はっ!!必ずや吉報をお持ち致しましょう。」
それから少しして刹那の元に忠勝がやってきた。
「失礼致します。本多忠勝殿がお見えにございます。」
「通してくれ。」
「師匠、失礼致します。殿の命により、本多忠勝援軍に参りました。」
「忠勝、ありがたい。まずは座ってくれ。」
「はっ。して今はどのような状況なのですか?」
「今は海玄、幸隆、長政が2000の兵を率いて城の様子を小競り合いを行いながら調べてもらっている。」
「敵方がどのように兵を配置しているのか確認しているということですな。」
「そうゆうことだ。堅城である小谷城を落とすためには敵の兵の配置を知ることが普段の城攻めよりも大切になってくる。味方の死傷者をできるだけ出さずに勝つためには敵の急所を狙い撃つことが肝心だ。長政がいる分城の作りなどは理解できているが、それは敵も承知のこと。本来の急所にはより兵を多く配置するはずだ。ならばその兵の配置によって手薄になっているのはどこなのか。それを探るのが今必要なことさ。」
刹那の話を聞きながら忠勝は改めて自分の師の偉大さを実感するのである。
それと同時に刹那も自分のやろうとしていることを瞬時に理解した忠勝の成長に嬉しさを覚えるのだった。
忠勝が刹那の元に来てから数時間後、小競り合いを行っていた三人が戻ってきた。
「これは本多殿、いらしていたのですな。」
「はい。殿の命により師匠の援軍に参りました。」
「それはそれはこの戦、これで勝ちは決まりましたぞ、殿。」
海玄のその言葉を聞いた刹那は、
「見つかりましたか?手薄な箇所が。」
刹那はそう問いかけると長政が、
「本丸と小丸の間にある京極丸が一番の手薄になっています。普段であれば京極丸は本丸と小丸とつなぐ場所として兵を多めに配置しているのですが、今回は本丸に多く兵を配置しているようです。」
「小丸のほうはどのような状況ですか?」
「小丸に篭る兵は1500といったところでしょうか。それに比べ京極丸は300程度しかいないように感じられました。」
「ほう、京極丸に300の兵ですか。」
「忠勝、あなたならどうしますか?」
「無論、京極丸を強襲します。しかし、京極丸は両側を山に斜面に沿わせており攻めるのが難しいのが難点でございますればその隙に反撃を食らうのは必定かと。」
「そうですね、そのために小丸に神威家の兵1000と忠勝が率いてきてくれた殿からの援軍3000、計4000で攻めます。」
その刹那の説明を聞いた幸隆が
「ほう、その隙に残りの兵1300は京極丸の側面を進行し攻めいると言うことですな。」
「その通りです。小丸が戦っている時に京極丸に控える兵は必ずや油断が生じます。その油断を我らは攻める。」
「それで、人選はどのように。」
「まず、小丸を攻める4000を忠勝を大将にし、海玄、幸隆が補佐。京極丸には私と長政で行きます。」
「承りました。海玄殿、幸隆殿、何卒よろしくお願い致します。」
「長政、こちらも危険がおおいに生じます。心してかかりますよ。」
「はっ。」
こうして刹那は手勢をふたてに分けて小谷城攻めを開始したのである。
「伝令、徳川勢が小丸に攻めて参りましたっ。その数4000。」
「しかけて来おったか。本丸への攻撃は。」
「今のところございませぬ。攻撃は小丸にのみ集中しております。」
「そうか。小丸に伝令を出せ。何としても小丸を死守せよ。」
「はっ。」
「ふっ。小谷城の守りは鉄壁。4000ごときの兵で落とせるものか。長政、父を二度も裏切りしこと後悔させてくれるっ。」
徳川軍の攻撃が小丸に集中しているとの知らせを受けた久政はすぐに小丸へ増援を派遣。
本丸を死守すれば朝倉軍が援軍として来てくれるという目算があっての布陣でこの篭城戦に当たっていた。
久政からの伝令を受けた兵はすぐにその指示を伝えると自身はその姿を小谷城から消した。
そしてその姿は小谷城の京極丸を攻めるために移動している刹那の元へと現れた。
「殿、ただいま戻りました。」
「首尾はどうなった。」
「はっ、予想通り久政は小丸へ1500の増援を送りました。今頃は本丸から京極丸を通り小丸へと向かっていると思われます。」
「そうか、ご苦労様だったね。長い間小谷への潜伏感謝するよ。龍雲丸。」
「滅相もございません。戦のない世のためにこの身を活かせるならこのようなこと、いつでもお申し付けください。」
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