幽子さんの謎解きレポート~しんいち君と霊感少女幽子さんの実話を元にした本格心霊ミステリー~

しんいち

文字の大きさ
上 下
18 / 75
Epiphone2 学園祭編

Epiphone2 学園祭 (第七幕 捜索)

しおりを挟む
旧校舎の外へ出たものの、うちの高校はかなり大きい。
校舎をしらみ潰しに探しても時間がかかり過ぎてしまい、勘で探しても全く見つかる気がしない。

自分はまず、携帯電話を取り出して幽子に電話をしてみるのだが、コール音がするのみで全く電話に出てくれない。

幽子の事だ、自分からの呼び出しに備えて携帯の電源を切っているのか、バッグの中にでも置きっぱなしにでもしているのだろう。
幽子のしたり顔が浮かんだ。

でも、幽子の好きにはさせない!

自分は一計を案じてすぐに、放送室に走って行った。
放送室の前まで来た自分は、ゆっくりと重い防音扉を開けて「すみませーん」と挨拶をした。
「はーい!」と言う声が聞こえて、放送室の中を見ると放送部の方が2人いて、自分の様子を伺っている。

自分は改めて「すみません、ミステリー研究会の者ですが、至急放送で呼び出してもらいたい人がいるのですがお願い出来ますか?」と2人に頼んでみた。

放送部の方は、自分が来た理由が分かったのか「あっ、はい!分かりました。誰を呼びますか?」と丁寧な対応で聞いてきた。
自分は「部員を呼んで欲しいのですが、ちょっと紙とペンをお借りしてよろしいですか?」と言って読んでもらいたい内容を書き出して放送部の方に渡した。

内容を読んだ放送部の方は「これを放送するんですか?」と困惑した表情を浮かべ答えてくる。
自分は「ちょっと変わった奴でこれくらいしないと来ないんですよぉ、本当にすみません。」と手を合わして懇願してみた。

放送部の方は少し困った様子だったが「あぁ……、はい!良いですよ……。」と言って放送をしてくれた。


「迷子のお知らせをします。
1年4組のササキ セイラさん、1年4組のササキ セイラさん。
ミステリー研究会のスギモト シンイチさんが旧校舎の入り口で待っています。
至急、旧校舎入り口までお越し下さい。
尚、もし来ない場合はササキさんの秘密を部員の方にばらすと言っております。
至急、旧校舎入り口までお越しください。」
と全校中に放送が流れた。

流石に幽子もこれならば来るだろうと、自分はまるで映画の悪役のように「ニヤリ」とほくそ笑む。
そして放送部の方に丁寧に御礼をして急いで旧校舎の入り口まで戻った。

入り口近くで幽子の到着を待っていると、遠くの方で赤黒い闘気をまとった幽子の姿が見えてきた。

「あーぁ!来た、来た。」

自分は「こっち!こっち!」と手を振って幽子にアピールする。
それに気づいた幽子は、回りを威圧するように近づいて来る。

「わーぁ!怒ってるな~ぁ。」

と、幽子の方を見ていると、横でクスクス笑いながら「まぁ!まぁ!」と言わんばかりに幽子をなだめている星野さんの姿もあった。

自分のところに来た幽子は手にチュロスを持っていて、端から見たらまさに迷子の子供だが、表情はギリシャ神話のメデューサのような恐ろしい目で睨みつけてきた。


そして幽子は開口一番、「君はなんて放送をするんだ!常識と言うものはないのか?」といろいろと文句を言っているみたいだが、自分はそんな幽子の言葉を完全に無視をして星野さんに、「楽しんでる時に呼び出しちゃってゴメンネ。
ちょっと幽子借りるけど良いかなぁ?
すぐに返すから。」
と、星野さんに向かって手を上げてゴメンと言う表情をしてお願いをした。

星野さんは心良く応じてくれて、自分は幽子の捕獲に無事に成功した。

星野さんとそんなやり取りをしてる間にも幽子は何か文句を言っていたみたいなのだが、完全に無視をしていたので特に聞こえていない。

自分は文句を言っている幽子の手を持って、星野さんに「ありがとう!」の手を振って幽子のを旧校舎まで引っ張って行こうとする。

そうすると、幽子が焦った顔で「ちょっと待て!ちょっと待て!」と抵抗をしてくる。

「なんだよぉ!急いでるのに~ぃ。」

と焦りの気持ちが出ている自分に幽子は、「君はおかしいのか?何の理由も言わずに人を連れていこうなんて、人さらいと一緒じゃないかぁ。」とじたばたと抵抗している。

そんな幽子を見て「あれ!言ってなかったけ?」と言ってとぼけてみせる。
流石の幽子も怯えて星野さんを盾にして後ろに隠れてしまった。
2人のやり取りを見てた星野さんは大笑いをして「まぁ!まぁ!」と言う感じで幽子を落ち着かせ星野さんは幽子に変わって「何があったんですか?」と自分に聞いてきた。

同い年とは思えぬ大人の対応である。

自分は幽子と星野さんに怪談会で起こった事を説明をした。
その話を聞いた幽子はため息を漏らしながら、「君に言ったよなぁ、絶対に連絡してくるなと……。」
さらに幽子が「それでどうなんだ?そんなにヤバいのか?」と自分に質問をしてきた。

その質問に自分は一言「ヤバいね!」と返す。
幽子は「ハーァ」と一つため息をついて、「しょうがない……、早く案内したまえ。」と諦めたように言ってきた。
幽子の横にいた星野さんは「幽子ちゃん!頑張って!」と肩を叩いて励ましている。
2人のやり取りはまるで発表会直前のお母さんと子供のようだ。

自分は「じゃあ!行こうか。」と言う言葉と共に気を引き締めて、2人を連れて控え室に急いで向かった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話

釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。 文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。 そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。 工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。 むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。 “特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。 工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。 兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。 工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。 スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。 二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。 零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。 かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。 ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。 この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。

借金した女(SМ小説です)

浅野浩二
現代文学
ヤミ金融に借金した女のSМ小説です。

学校1のイケメンが俺のハーレム化計画を邪魔してくる

山田空
キャラ文芸
過去を振り返りながら俺はたくさんの女性と恋人になる 学校一のイケメンだったはずが俺よりイケメンなやつが現れてハーレムを奪われた。 そのはずなのになぜかそのイケメンが俺に近づいてくる。 「おいごらお前は俺のことが嫌いだったはずだろ」 でも実は女の子で俺のことが好きでした。 「ぼく以外のことは見ないでいてくれるよね?」 ヤンデレだったイケメンから俺は逃げる。 なんでって?そりゃ怖いからだよ

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち

ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。 クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。 それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。 そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決! その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。

処理中です...