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Epiphone2 学園祭編
Epiphone2 学園祭 (第六幕 怪談会)
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皆さんこんにちは!」と言う自分の挨拶と共に怪談会は開演した。
一応カンペは用意してもらってはいたが、練習の成果なのかカンペはほとんど見ずにお客さまへの注意事項や、今日の怪談会の流れを少しトークを交えながら説明していく。
緊張はしているが序盤はなかなか上手く出来ている。
そして「さぁ!説明はこれくらいにして、本日のトップバッターをつとめる怪談師は!、我がミステリー研究会のカリスマ顧問であり最強の怪談先生―ぇ、最木 導《しるべ》先生よろしくお願いします。」
と言う掛け声で最木先生を会場に呼び込むと、拍手と共に「最木先生―ぇ!」と観客席にいる生徒から声援を受ける。
最木先生は手を上げて観客の声援に応え、舞台の中央の席に着いた。
最木先生が席に着いた事を確認した自分は「さぁ!今日最木先生が話してくれる怪談はこちらになります。」と言う言葉と共に舞台のよこにあるめくり立て札をめくりあげる。
「病院での取り調べ」
なかなかに興味深いタイトルである。
実を言うと最木先生の話はまだ聞いていない。
忙しい最木先生はリハーサルには一度も参加してなく、ぶっつけ本番で挑んでいるのだ。
流石、普段から授業中に怪談を喋っているだけあってなかなかに度胸が座っている。
そして自分が、「最木先生、本日1本目の怪談!お願いします。」と言う合図で会場の照明が暗くなり一気に怪談会らしい雰囲気が漂い始める。
会場が暗くなりそれと同時に赤いライトが最木先生を照らしていった。
そして先ほどまで少しざわついていた会場が一気に水を打った静けさに変わっていき、「これは自分の友人が体験した話しなんですが……」と最木先生が怪談を始めた。
絶妙なタイミングである。
最木先生の話はジャンルで言えば、ヒト怖と心霊話との間のような不気味な話で、一見淡々と話しているようだが、「うぁ!」、「バタバタ」など大きい声や音を効果的に出しながら驚かしてくる。
最木先生の怪談は初めて聞いたが、以前先輩が言っていたように上手いし、怖い。
本物の怪談師のような凄味も感じる。
最木先生が話初めて1分、3分、5分と時間が過ぎていく、そして……、「これが友人から聞いた不気味な話になります、ご清聴ありがとうごさいます。」と言う締めの言葉で最木先生の話が終わった。
自分は拍手と共に「最木先生ありがとうございました。」と客席を盛り上げていく。
最木先生の話が怖かったのか、観客の拍手はまばらながら、ざわついた観客の反応はかなり良い。
そんな観客を尻目に最木先生に話してくれた怪談について2、3インタビューをした後に「では最後に最木先生から挨拶をもらいたいと思います。」と言い、自分は最木先生にマイクを渡した。
最木先生は少し恐縮した感じでマイクを受け取り「今日は怪談会にお集まり頂いてありがとうごさいます。
このあと我がミステリー研究会が誇る生徒達が素晴らしい怪談を披露してくれると思います。
皆さま温かい目でご清聴お願いいたします。」と言ってお辞儀をして自分にマイクを返してきた。
マイクを受け取った自分は「素晴らしい怪談を披露してくれた最木先生にもう一度拍手をお願いします。」と言って客席を盛り上げていく。
観客から大きい拍手が上がり、それに最木先生が手を上げて応えて会場をあとにした。
そして「1話目から凄い怪談で盛り上ってきました。
さぁ!次の怪談師を紹介しましょう…………」
と、最木先生の時と同じように口上を述べて三年の先輩を会場に向かい入れていく。
最木先生が良い感じでバトンを渡してくれたのか、最初の時よりも拍手の勢いや会場全体の雰囲気が良くなった感じがした。
自分は同じ流れで怪談のタイトルを紹介して2話目の怪談が始まった。
先輩は若干緊張している感じはあるが話の方は順調に進んでいく、かなり練習したのが分かる。
自分は入り口側の端にはけて先輩の怪談を聴きながら次の段取りの確認をしていた。
すると後ろから肩を叩かれて振り向くと最木先生がいた。
最木先生は小声で「しんいち、司会ご苦労様。
先生そろそろ駐車場係に戻るからあとよろしくね、頑張ってね。」と声をかけてきた。
自分も小声で、「ありがとうございました。」と挨拶をしたら、「じゃあ!」と言う感じで軽く手を上げて最木先生は帰っていった。
「気が利く先生である。」
最木先生とそんなやり取りをしていると、ボチボチ2話目の怪談の終わりが見えてきて、自分はマイクを握り、一呼吸おいて先輩の話が終わるのを待った。
2話目の怪談が終わり、1話目と同じ様に「ありがとうごさいます。先生にも負けなくらいの良い怪談でしたねぇ!」と調子良く舞台の中央に歩いていき、三年の先輩にインタビューを行う。
1話目の最木先生の時とは違い、ここでのやり取りは事前のリハーサルで決めていたので割りとスムーズに進んだ。
先輩も緊張から解放されたのかリラックスした表情に変わっていて、自分のインタビューに軽快に答えていった。
ここからは同じ手順で3人目の人を舞台に呼び込み、怪談がまた始まっていった。
自分は先ほどと同様に入り口近くに待機して次の段取りを確認していると、また後ろから肩を叩かれたのだ。
自分が後ろを振り向くとそこにいたのは、次の順番の2年の先輩と部長の関口さんがいた。
何か焦りが見える関口さんが「ちょっと」と、手を振って自分を廊下の方に出るように促してきた。
まだ怪談の方は序盤くらいでまだ余裕があるので、観客に気付かれない様にゆっくり廊下に出た。
「どうしたんですか?」と自分が関口さんに聞くと、「木村の様子が変なんだよ。」と少し動揺した感じで言ってくる。
自分が「えっ!緊張し過ぎで具合でも悪くなったんですか?」と関口さんに応えながら、本番前の木村さんを思い出した。
そんな自分の問いに関口さんが「違う、違う」と言う感じでかぶりを降る。
関口さんは「中に入ると分かるよ。」と言って控え室の方に不安げな視線を向けた。
怪談の進行が気になるが、関口さんの感じが急ぎで確認して欲しい様子だったので、自分は控え室の中を小窓から覗いてみた。
中では机の上に突っ伏している木村さんと、彼を看病していると言うより揺すって声掛けしているメンバーが見える。
「あれ!思ったよりも深刻なのか?」と思った自分は恐る恐る控え室のドアを開けた。
くさい……、しかも寒い……。
まるで部屋の中で線香束を何本も焚いたような濃密な臭いと冷気が混ざりあった空気がドアから溢れ出てきた。
焦った自分はすぐにドアを閉めて関口さんに「線香でも焚きました?」と、焚いていないのは分かつていたが、思わずそんな的外れな言葉が口から出てしまった。
関口さんは頭を左右に降り「違うよ」と冷静に言ってきた。
そして「しんいちも分かるんだね。
2話目の怪談の終わりくらいから急にこんな感じになっちゃって……。
幽子さんといつもいる君なら何か分かるかと思って呼んだんだよ。」と、曇った顔を浮かべて答えてきた。
「幽子」と言う言葉に、自分は心の隅にあった記憶が甦った。
この臭いは霊臭……。
以前幽子がお祓いをした時、その場に立ち合った時に嗅いだ事がある臭いで、幽子の話では幽霊の臭いと言うのか体臭に近いもだと言う事を聞いた事がある。
ただ、この臭いは尋常ではない。
あの時の臭いとは何倍も濃くて冷たい感じがする。
自分は直感で、
「これ!ダメです。」
と関口さんに伝えた。
会場で行われている怪談は終盤に入っている感じだが、これは急いだ方が良いと思った自分は、
「幽子呼んできます。」
と関口さんに提案をした。
どう考えてもこの状況を解決出来るのは幽子しかいない。
関口さんはその言葉を待っていたかのように「よろしく頼むよ、後は何とか繋いでおくから!」と言ってきた。
自分はすぐに司会と書いてあるタスキと、怪談会の進行用のカンペを関口さんに渡して走り出していた。
一応カンペは用意してもらってはいたが、練習の成果なのかカンペはほとんど見ずにお客さまへの注意事項や、今日の怪談会の流れを少しトークを交えながら説明していく。
緊張はしているが序盤はなかなか上手く出来ている。
そして「さぁ!説明はこれくらいにして、本日のトップバッターをつとめる怪談師は!、我がミステリー研究会のカリスマ顧問であり最強の怪談先生―ぇ、最木 導《しるべ》先生よろしくお願いします。」
と言う掛け声で最木先生を会場に呼び込むと、拍手と共に「最木先生―ぇ!」と観客席にいる生徒から声援を受ける。
最木先生は手を上げて観客の声援に応え、舞台の中央の席に着いた。
最木先生が席に着いた事を確認した自分は「さぁ!今日最木先生が話してくれる怪談はこちらになります。」と言う言葉と共に舞台のよこにあるめくり立て札をめくりあげる。
「病院での取り調べ」
なかなかに興味深いタイトルである。
実を言うと最木先生の話はまだ聞いていない。
忙しい最木先生はリハーサルには一度も参加してなく、ぶっつけ本番で挑んでいるのだ。
流石、普段から授業中に怪談を喋っているだけあってなかなかに度胸が座っている。
そして自分が、「最木先生、本日1本目の怪談!お願いします。」と言う合図で会場の照明が暗くなり一気に怪談会らしい雰囲気が漂い始める。
会場が暗くなりそれと同時に赤いライトが最木先生を照らしていった。
そして先ほどまで少しざわついていた会場が一気に水を打った静けさに変わっていき、「これは自分の友人が体験した話しなんですが……」と最木先生が怪談を始めた。
絶妙なタイミングである。
最木先生の話はジャンルで言えば、ヒト怖と心霊話との間のような不気味な話で、一見淡々と話しているようだが、「うぁ!」、「バタバタ」など大きい声や音を効果的に出しながら驚かしてくる。
最木先生の怪談は初めて聞いたが、以前先輩が言っていたように上手いし、怖い。
本物の怪談師のような凄味も感じる。
最木先生が話初めて1分、3分、5分と時間が過ぎていく、そして……、「これが友人から聞いた不気味な話になります、ご清聴ありがとうごさいます。」と言う締めの言葉で最木先生の話が終わった。
自分は拍手と共に「最木先生ありがとうございました。」と客席を盛り上げていく。
最木先生の話が怖かったのか、観客の拍手はまばらながら、ざわついた観客の反応はかなり良い。
そんな観客を尻目に最木先生に話してくれた怪談について2、3インタビューをした後に「では最後に最木先生から挨拶をもらいたいと思います。」と言い、自分は最木先生にマイクを渡した。
最木先生は少し恐縮した感じでマイクを受け取り「今日は怪談会にお集まり頂いてありがとうごさいます。
このあと我がミステリー研究会が誇る生徒達が素晴らしい怪談を披露してくれると思います。
皆さま温かい目でご清聴お願いいたします。」と言ってお辞儀をして自分にマイクを返してきた。
マイクを受け取った自分は「素晴らしい怪談を披露してくれた最木先生にもう一度拍手をお願いします。」と言って客席を盛り上げていく。
観客から大きい拍手が上がり、それに最木先生が手を上げて応えて会場をあとにした。
そして「1話目から凄い怪談で盛り上ってきました。
さぁ!次の怪談師を紹介しましょう…………」
と、最木先生の時と同じように口上を述べて三年の先輩を会場に向かい入れていく。
最木先生が良い感じでバトンを渡してくれたのか、最初の時よりも拍手の勢いや会場全体の雰囲気が良くなった感じがした。
自分は同じ流れで怪談のタイトルを紹介して2話目の怪談が始まった。
先輩は若干緊張している感じはあるが話の方は順調に進んでいく、かなり練習したのが分かる。
自分は入り口側の端にはけて先輩の怪談を聴きながら次の段取りの確認をしていた。
すると後ろから肩を叩かれて振り向くと最木先生がいた。
最木先生は小声で「しんいち、司会ご苦労様。
先生そろそろ駐車場係に戻るからあとよろしくね、頑張ってね。」と声をかけてきた。
自分も小声で、「ありがとうございました。」と挨拶をしたら、「じゃあ!」と言う感じで軽く手を上げて最木先生は帰っていった。
「気が利く先生である。」
最木先生とそんなやり取りをしていると、ボチボチ2話目の怪談の終わりが見えてきて、自分はマイクを握り、一呼吸おいて先輩の話が終わるのを待った。
2話目の怪談が終わり、1話目と同じ様に「ありがとうごさいます。先生にも負けなくらいの良い怪談でしたねぇ!」と調子良く舞台の中央に歩いていき、三年の先輩にインタビューを行う。
1話目の最木先生の時とは違い、ここでのやり取りは事前のリハーサルで決めていたので割りとスムーズに進んだ。
先輩も緊張から解放されたのかリラックスした表情に変わっていて、自分のインタビューに軽快に答えていった。
ここからは同じ手順で3人目の人を舞台に呼び込み、怪談がまた始まっていった。
自分は先ほどと同様に入り口近くに待機して次の段取りを確認していると、また後ろから肩を叩かれたのだ。
自分が後ろを振り向くとそこにいたのは、次の順番の2年の先輩と部長の関口さんがいた。
何か焦りが見える関口さんが「ちょっと」と、手を振って自分を廊下の方に出るように促してきた。
まだ怪談の方は序盤くらいでまだ余裕があるので、観客に気付かれない様にゆっくり廊下に出た。
「どうしたんですか?」と自分が関口さんに聞くと、「木村の様子が変なんだよ。」と少し動揺した感じで言ってくる。
自分が「えっ!緊張し過ぎで具合でも悪くなったんですか?」と関口さんに応えながら、本番前の木村さんを思い出した。
そんな自分の問いに関口さんが「違う、違う」と言う感じでかぶりを降る。
関口さんは「中に入ると分かるよ。」と言って控え室の方に不安げな視線を向けた。
怪談の進行が気になるが、関口さんの感じが急ぎで確認して欲しい様子だったので、自分は控え室の中を小窓から覗いてみた。
中では机の上に突っ伏している木村さんと、彼を看病していると言うより揺すって声掛けしているメンバーが見える。
「あれ!思ったよりも深刻なのか?」と思った自分は恐る恐る控え室のドアを開けた。
くさい……、しかも寒い……。
まるで部屋の中で線香束を何本も焚いたような濃密な臭いと冷気が混ざりあった空気がドアから溢れ出てきた。
焦った自分はすぐにドアを閉めて関口さんに「線香でも焚きました?」と、焚いていないのは分かつていたが、思わずそんな的外れな言葉が口から出てしまった。
関口さんは頭を左右に降り「違うよ」と冷静に言ってきた。
そして「しんいちも分かるんだね。
2話目の怪談の終わりくらいから急にこんな感じになっちゃって……。
幽子さんといつもいる君なら何か分かるかと思って呼んだんだよ。」と、曇った顔を浮かべて答えてきた。
「幽子」と言う言葉に、自分は心の隅にあった記憶が甦った。
この臭いは霊臭……。
以前幽子がお祓いをした時、その場に立ち合った時に嗅いだ事がある臭いで、幽子の話では幽霊の臭いと言うのか体臭に近いもだと言う事を聞いた事がある。
ただ、この臭いは尋常ではない。
あの時の臭いとは何倍も濃くて冷たい感じがする。
自分は直感で、
「これ!ダメです。」
と関口さんに伝えた。
会場で行われている怪談は終盤に入っている感じだが、これは急いだ方が良いと思った自分は、
「幽子呼んできます。」
と関口さんに提案をした。
どう考えてもこの状況を解決出来るのは幽子しかいない。
関口さんはその言葉を待っていたかのように「よろしく頼むよ、後は何とか繋いでおくから!」と言ってきた。
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むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。
“特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。
工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。
兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。
工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。
スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。
二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。
零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。
かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。
ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。
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