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Epiphone2 学園祭編
Epiphone2 学園祭 (開幕 部活)
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自分には少し変わった友人がいる。
名前は幽子、もちろんあだ名だ。
彼女にはいくつかの特殊な能力があり、その中でも特に目を引くのが霊感というものだ。
幽子と一緒にいると、日常の中に潜む不思議な体験を次々と味わうことができる。
現在、彼女とは同じ高校に通っており、同じクラスメイトである。
そんな彼女と体験したエピソードを1つ紹介しよう。
自分が通っている高校には、ちょっと独特でユニークな部活動が存在している。
それは「ミステリー研究会」という名の部活で、まるで某有名な推理漫画や、名作の推理小説などのフィクションの世界にしか存在しないような部活だ。
創部の歴史はかなり古く、当時の教頭先生がミステリー小説に対して強い情熱を抱いていたため、無理やり設立されたという伝説が語り継がれている。
創部当初は部員が少なかったものの、しっかりとしたミス研らしい活動を行っていたそうだ。
しかし、創部時の教頭先生が退任した頃から、どうやらミステリーをオカルトと誤解した人々が集まり始めたらしい。
実を言うと、自分もその一員であるのだが……。
その後、あっという間にオカルト派が勢力を拡大し、現在では「ミステリー研究会」という名のオカルト部に変貌を遂げてしまった。
このようなオカルト……いや、ミステリー研究会は、意外にも人気のある部活で、部員の数はそれなりに多い。ただし、ほとんどの部員は「幽霊」と呼ばれる見えない存在であることが多いのだが……。
そんなミステリー研究会の普段の活動内容についてだが、先輩たちとのおしゃべり……ではなく、オカルトに関する熱い討論を行ったり、借りてきた怖いDVDの鑑賞……ではなく、貴重なオカルトに関する資料映像を観て知識を深めたりと、さまざまな活動が展開されている。
このように緩やかな雰囲気の部活ではあるが、年に一度、真剣に活動する時期が訪れる。
それは学園祭の時期である。自分が通う高校の学園祭は、比較的早い時期に行われる。
一般的に学園祭や文化祭といえば、9月や10月あたりが定番だと思われるが、自分の高校では6月に開催される。
そのため、4月のゴールデンウィーク前か、遅くともゴールデンウィーク後には文化祭の準備が始まるのだ。
そして今、まさにその学園祭の出し物について真剣に話し合いを行っている。
自分はまだ一年生で、今年が初めての学園祭なのだが、先輩たちの話によれば、うちの部活の出し物は毎年非常に人気があり、昨年は今年取り壊しが決まっているにもかかわらず、今でも存在するのが不思議な木造の2階建ての旧校舎の一階部分をすべて使って、お化け屋敷を行ったそうである。
いくつかの案が出た後、最終的に3つの案に絞られた頃、部室のドアが開き、中年の男性が「おーぉ!やってるかぁ?」という元気な掛け声と共に入ってきた。
初めて見る先生なのだが、近くにいた先輩に小声で「この方は誰ですか?」と尋ねると、「顧問だよ」と返事が返ってきた。
「うちの部活に顧問なんていたんだ!」と、内心驚きながらも、考えてみればそれは当然のことだった。
顧問の先生の名前は、最木導(さいき しるべ)。少し変わった名前だ。年齢は見た感じ、30代半ばか後半くらいだろうか。
物理の先生らしく、初めて見た印象は…なんだか怖い。細身でメガネをかけたその姿は、神経質でインテリっぽく見え、正直なところあまり良い印象を持てなかった。
先輩の話によれば、最木先生は基本的に3年生を受け持っているらしい。だから、1年生の自分はあまり面識がないのだ。確かによく見れば、全校集会の時に見かけたような気がする。
これは学園祭の話し合いの後に聞いた話だ。先輩に「最木先生って少し怖そうな先生ですよね?」と尋ねると、先輩は驚いたように「えっ!そう?」と返してきた。
その反応は自分の予想とは違っていたので、思わず話を聞いてみることにした。
すると、なんと最木先生は授業の合間に怪談話やオカルト的な話をしてくれるらしい。その手の話が好きな生徒には、かなり人気があるとのこと。先輩も最木先生の話を聞いたことがあり、「けっこう面白かったよ!」と絶賛していた。それを聞いて、自分もぜひ聞いてみたいと思った。
普通の授業も優しく、分かりやすいと先輩は言う。厳しいとか怖いという印象は全くないらしい。「へぇー」と驚きがこもった返事を返しつつ、「なるほど、それでオカルト部、いや!ミステリー研究会の顧問になるわけだ!」と妙に納得した。
さて話を戻して、文化祭の出し物の話なのだが、話し合いの末3つに絞られた。
一つ目は、去年盛況だった旧校舎を借りたお化け屋敷。
二つ目は、未解決事件の紹介と考察。
三つ目は、怪談会。
部長の関口さんが「さて!3つに絞られたが、この中で決めたいと思うが意見ある人は言ってくれ」と場を仕切っている。
この部長の関口さんは一見偉そうにしているが、こうした場を仕切るのは上手い。
見た目はいかにもオタクって感じの人で、オカルトの知識は見た目以上に凄く、いろいろな雑学にも精通している。
そんな理由で他の部員からの信頼も厚い。
ちなみに、愛読書は月刊ムーと言う生粋のオカルト人だ。
そんな話し合いの中、最木先生が口を開いた。
先生の話しでは、一つ目のお化け屋敷は、今回は他の部活がすでに旧校舎の部屋を使う予定が出ていて、今年は1ヵ所しか借りれないとの事を「ゴメン!言い忘れてた」という申し訳なさそうな態度と共にあえなく消えてしまった。
続けて二つ目の未解決事件の話しだが、流石に高校生の文化祭で殺人事件や、行方不明の被害者がいる内容の物を展示するのはやっぱりマズイのではないか?と言う意見が先生から出た。
言われてみれば真っ当な意見である。
と言う事で、先生の意見であっさりと学園祭の出し物は三つ目の怪談会に決まったのである。
名前は幽子、もちろんあだ名だ。
彼女にはいくつかの特殊な能力があり、その中でも特に目を引くのが霊感というものだ。
幽子と一緒にいると、日常の中に潜む不思議な体験を次々と味わうことができる。
現在、彼女とは同じ高校に通っており、同じクラスメイトである。
そんな彼女と体験したエピソードを1つ紹介しよう。
自分が通っている高校には、ちょっと独特でユニークな部活動が存在している。
それは「ミステリー研究会」という名の部活で、まるで某有名な推理漫画や、名作の推理小説などのフィクションの世界にしか存在しないような部活だ。
創部の歴史はかなり古く、当時の教頭先生がミステリー小説に対して強い情熱を抱いていたため、無理やり設立されたという伝説が語り継がれている。
創部当初は部員が少なかったものの、しっかりとしたミス研らしい活動を行っていたそうだ。
しかし、創部時の教頭先生が退任した頃から、どうやらミステリーをオカルトと誤解した人々が集まり始めたらしい。
実を言うと、自分もその一員であるのだが……。
その後、あっという間にオカルト派が勢力を拡大し、現在では「ミステリー研究会」という名のオカルト部に変貌を遂げてしまった。
このようなオカルト……いや、ミステリー研究会は、意外にも人気のある部活で、部員の数はそれなりに多い。ただし、ほとんどの部員は「幽霊」と呼ばれる見えない存在であることが多いのだが……。
そんなミステリー研究会の普段の活動内容についてだが、先輩たちとのおしゃべり……ではなく、オカルトに関する熱い討論を行ったり、借りてきた怖いDVDの鑑賞……ではなく、貴重なオカルトに関する資料映像を観て知識を深めたりと、さまざまな活動が展開されている。
このように緩やかな雰囲気の部活ではあるが、年に一度、真剣に活動する時期が訪れる。
それは学園祭の時期である。自分が通う高校の学園祭は、比較的早い時期に行われる。
一般的に学園祭や文化祭といえば、9月や10月あたりが定番だと思われるが、自分の高校では6月に開催される。
そのため、4月のゴールデンウィーク前か、遅くともゴールデンウィーク後には文化祭の準備が始まるのだ。
そして今、まさにその学園祭の出し物について真剣に話し合いを行っている。
自分はまだ一年生で、今年が初めての学園祭なのだが、先輩たちの話によれば、うちの部活の出し物は毎年非常に人気があり、昨年は今年取り壊しが決まっているにもかかわらず、今でも存在するのが不思議な木造の2階建ての旧校舎の一階部分をすべて使って、お化け屋敷を行ったそうである。
いくつかの案が出た後、最終的に3つの案に絞られた頃、部室のドアが開き、中年の男性が「おーぉ!やってるかぁ?」という元気な掛け声と共に入ってきた。
初めて見る先生なのだが、近くにいた先輩に小声で「この方は誰ですか?」と尋ねると、「顧問だよ」と返事が返ってきた。
「うちの部活に顧問なんていたんだ!」と、内心驚きながらも、考えてみればそれは当然のことだった。
顧問の先生の名前は、最木導(さいき しるべ)。少し変わった名前だ。年齢は見た感じ、30代半ばか後半くらいだろうか。
物理の先生らしく、初めて見た印象は…なんだか怖い。細身でメガネをかけたその姿は、神経質でインテリっぽく見え、正直なところあまり良い印象を持てなかった。
先輩の話によれば、最木先生は基本的に3年生を受け持っているらしい。だから、1年生の自分はあまり面識がないのだ。確かによく見れば、全校集会の時に見かけたような気がする。
これは学園祭の話し合いの後に聞いた話だ。先輩に「最木先生って少し怖そうな先生ですよね?」と尋ねると、先輩は驚いたように「えっ!そう?」と返してきた。
その反応は自分の予想とは違っていたので、思わず話を聞いてみることにした。
すると、なんと最木先生は授業の合間に怪談話やオカルト的な話をしてくれるらしい。その手の話が好きな生徒には、かなり人気があるとのこと。先輩も最木先生の話を聞いたことがあり、「けっこう面白かったよ!」と絶賛していた。それを聞いて、自分もぜひ聞いてみたいと思った。
普通の授業も優しく、分かりやすいと先輩は言う。厳しいとか怖いという印象は全くないらしい。「へぇー」と驚きがこもった返事を返しつつ、「なるほど、それでオカルト部、いや!ミステリー研究会の顧問になるわけだ!」と妙に納得した。
さて話を戻して、文化祭の出し物の話なのだが、話し合いの末3つに絞られた。
一つ目は、去年盛況だった旧校舎を借りたお化け屋敷。
二つ目は、未解決事件の紹介と考察。
三つ目は、怪談会。
部長の関口さんが「さて!3つに絞られたが、この中で決めたいと思うが意見ある人は言ってくれ」と場を仕切っている。
この部長の関口さんは一見偉そうにしているが、こうした場を仕切るのは上手い。
見た目はいかにもオタクって感じの人で、オカルトの知識は見た目以上に凄く、いろいろな雑学にも精通している。
そんな理由で他の部員からの信頼も厚い。
ちなみに、愛読書は月刊ムーと言う生粋のオカルト人だ。
そんな話し合いの中、最木先生が口を開いた。
先生の話しでは、一つ目のお化け屋敷は、今回は他の部活がすでに旧校舎の部屋を使う予定が出ていて、今年は1ヵ所しか借りれないとの事を「ゴメン!言い忘れてた」という申し訳なさそうな態度と共にあえなく消えてしまった。
続けて二つ目の未解決事件の話しだが、流石に高校生の文化祭で殺人事件や、行方不明の被害者がいる内容の物を展示するのはやっぱりマズイのではないか?と言う意見が先生から出た。
言われてみれば真っ当な意見である。
と言う事で、先生の意見であっさりと学園祭の出し物は三つ目の怪談会に決まったのである。
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