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Epiphone1 黒い影の生き霊編

Epiphone1 黒い影の生き霊6 (暗示)

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「シュミラクラって、まさかあの顔のように見える点のやつ?」と語りかけると、幽子は満面の笑みで頷いた。「まさにその通り。さすが、オカルト好きな君なら知ってると思った。」

幽子の話によれば、彼女は何種類かのテストを用意してきたらしい。小林さんからいろいろと話を聞いた結果、このテストに決めたのだという。彼女の目は興味深げに輝いていた。

幽子は、その後すぐに自らの準備を誇らしげに明かした。「実は君たちに見せたその心霊写真、正確にはシュミラクラテストというより、思い込みテストだと言った方が良いかもしれない。」

彼女の言葉が空気を震わせた。「見てすぐに分かった二ヶ所以外には、実は霊は写っていないんだ。」と言う幽子の声は、まるで耳元でささやかれる呪文のように響いた。

「えっ!」驚きが自分の声を漏れさせると、幽子はその反応を楽しむかのように続けた。
「先に言っておくが、君や星野さんが言った四つ、五つという数字は決しておかしな数字ではない。何故なら、テストの前に君たちに少し暗示をかけておいたんだ。」

「暗示?」

その言葉に少し首をかしげると、幽子はさらに説明を続けた。「君たちに心霊写真を見せた時、私はこの心霊写真の中に何体も幽霊がいると言ったのを覚えているか?これが一種の暗示なのだ。」

彼女の言葉は、まるで魔法のように私の思考を掻き乱す。

「こんな風に言われたら、人はハッキリ写っている二体の幽霊以外にも見つけようと思うものさ。だから君や星野さんが言った数は割りと普通なんだと思う。ただ、小林さんの言った七体という数字は明らかに多いと感じないか?」

その言葉が自分の心に響いた。
幽子の言う通り、自分たちは彼女の暗示に影響されていたのだ。

「おそらくだが、彼は暗示や思い込みが強い人間で、しかも足りない物を補正する能力が高いんじゃないかと思うぞ。」幽子の言葉は、まるで深い洞察を持つ賢者のように響いた。

自分はその説明に頷きながらも、心の中には疑問が渦巻いていた。
「その思い込みや、補正能力って言うのが、髪の長い人影とどんな関係があるの?」思わず、彼女に問いかけてみた。

幽子は一瞬考え込み、そして微笑みながら逆に質問を返してきた。「君はオカルトに詳しいなら、こんな疑問を思ったことはないか?最近の怪談話に出てくる幽霊は、髪が長い女が多いと思うことはないかね。」

その言葉に、自分は思わず考え込んだ。

確かに、最近の怪談や都市伝説には、長い髪をたなびかせた女性の幽霊が頻繁に登場する。
まるで某有名ホラー映画に出てくる、髪が長くて白いワンピースを着た女のような存在だ。
彼女の姿は、恐怖を呼び起こす対象になっている。


「そう言われてみれば、確かに多い。」納得した表情を浮かべると、幽子はさらに続けた。「あれこそが思い込みなんだ。」

彼女の言葉は、自分の心に新たな光をもたらした。

思い込みが生み出す恐怖のイメージ。

それは、私たちの心の奥深くに潜む不安や恐れが形を変えたものなのかもしれない。
幽子の言葉が、まるで暗闇の中に差し込む一筋の光のように、自分の思考を照らし出した。

「つまり、彼の中にある思い込みが、髪の長い人影を強く印象づけているということか。」自分はその考えに辿り着き、心の中で何かが繋がった気がした。

幽子の洞察は、自分に新たな視点を与えてくれたのだ。これからの探求が、どれほど興味深いものになるのか、期待が膨らむ。

「おそらくなんだが、小林さんは、女の幽霊=髪が長い女という思い込みをしてしまった可能性がある。」幽子の声は、静かな夜の闇に響くように、自分の心に深く染み込んでいった。

彼女は続けて言った。
「さらに言うと、黒い人影に襲われる直前に、髪の長い女性から告白されたという出来事が重なって、余計に思い込みを強めてしまったのかもしれないな。」

その言葉を聞いた瞬間、自分の中で少しづつ糸がほどけていく感じがしていく。
小林さんの心の中に潜む恐怖が、彼の思考をどれほど歪めてしまったのか、想像するだけで胸が締め付けられた。

さらに幽子はこう告げた。
「そこで、ハッキリとしない黒い影、シルエット的な映像を見せられた彼は、脳内で補正をしてしまったのだと思う。それがあの髪が長い人影の正体だと私は考えている。」と幽子は結論を告げた。


幽子の考察は、まるで霧の中から浮かび上がる真実の姿のように明らかになっていった。
思い込みが生み出す恐怖のイメージそれは、自分たちの心の奥に潜む不安や過去の出来事が、形を変えて現れるものなのかもしれない。

自分はその考えに浸りながら、幽子の目を見つめた。
彼女の瞳には、確固たる信念が宿っている。彼女の洞察は、私に新たな視点を与え、心の中にあった疑問を解きほぐしていく。小林さんの恐怖の根源が、彼自身の思い込みによって作り出されたものであるなら、自分たちが探求すべきは、その思い込みの正体なのかもしれない。

「なるほど!」自分は思わず声を上げた。

「まとめると、小林さんに憑いていた生き霊は星野さんの生き霊で、だけど小林さんが見えていたものは本当は女の影だけで、髪型まではハッキリしていなかった。そして、髪が長く見えてしまったのは、小林さんの思い込みや補正からくる勝手なイメージがそういう風に見えてしまったということなのか?」

幽子は静かに頷いた。「おそらくな。まぁ、少なくとも私には小林さんが言った髪が長い女性の幽霊は見えなかったし、彼の後ろには星野さんの生き霊しかいなかったからな。」

彼女の言葉は、まるで霧が晴れていくように、自分の中の疑問を解きほぐしていった。
しかし、まだ心の中には疑問が残っていた。

「それと、お祓いをしなかった理由とはどう繋がるんだよ?」

自分は再度、幽子に質問を投げかけた。

幽子は少し考え込み、やがて自分の前に二本の指を立てた。「お祓いをしなかった理由は、二つある。」

幽子は、眉をひそめながら言葉を続けた。「一つ目の問題は、生き霊という存在だ。厄介なものだよ。いっそ、告白してきた女性の生き霊なら、簡単に祓えるのに……。あの星野さんが、ちょっと厄介なんだ。」

彼女の言葉に、自分は思わず彼女の顔を思い出した。

星野さんは可愛らしく、おとなしい雰囲気を持っていて、彼のことを心配している様子から、優しさが滲み出ていた。
特におかしなところは見当たらない。だから、自分は疑問を抱いた。

「星野さんに何が問題あるの?」

幽子は少し考え込むように目を細め、「これも憶測なのだが、おそらく彼女は相当に嫉妬深くて、小林さんへの独占欲が恐ろしく高いのではないかと思う」と告げた。

その言葉に、自分は驚きを隠せなかった。
彼女の優しさの裏に、そんな一面が潜んでいるとはちょっと考えられない。

「そこで、私はそう予測して、彼女に二つほど、鎌をかけてみたんだ」と幽子は続けた。
彼女の目は、何かを企んでいるように輝いていた。

「またか!」と思いつつ、自分は興味をそそられた。
「今度は何を仕掛けたの?」と尋ねると、幽子は不敵な笑みを浮かべていた。
自分は彼女の計画がどんなものなのか、心の中で期待と興味が膨らんでいった。

幽子は少し自慢げに頬を膨らませながら言った。「一つは、小林さんにどちらの相談にのることが多いのか、聞いてみたんだ。」その瞬間、自分はあの時の光景が脳裏によみがえった。

幽子は続けて話し始めた。「小林さんは、女性が多いって答えただろう。彼はなかなかに顔立ちが整っているから、女性からの相談が多いのは、ある程度予測できたんだ。」

その言葉を聞いた瞬間、自分は思わず身を乗り出した。

小林さんの魅力が、周囲の女性たちを惹きつけているのは明らかだった。
そして、その質問に小林さんが女性と答えた瞬間、幽子は星野さんの表情を注意深く観察していたのだ。

一瞬、彼女の顔が恐ろしい表情に変わったことを聞いて、自分も驚きを隠せなかった。
「星野さんの恐ろしい顔を見た時、まさにゾッとしたよ」と幽子は楽しげに語る。


その後、幽子はさらに続けた。「もう一つは、お祓いの振りをした時だ」

「えっ!振り?」

と、自分が驚いているが、幽子は構わず話を続けて、「ほら、私が彼の手に触れただろう?あの瞬間も、星野さんの様子を伺っていたんだ。いやーー、あれはなかなかに怖かったぞ!彼女に本当に殺されるかと思ったよ。流石の私も、心がドキドキして興奮、いや、緊張してたよ。しんいちは、彼女の殺気に気づかなかったのか?」

幽子のその興奮した様子は、まるで新しい絶叫マシンに乗った絶叫マシン好きのようだった。

彼女の目はキラキラと輝いていた。
まるで、恐怖と興奮が入り混じった感情が、彼女の中で渦巻いているかのようだった。

そんな幽子の話を聞きながら、自分は思わず苦笑いしたが、その一方で「あぁ、なるほど!それでいつもよりも緊張感があったのか」と心の中で気づいた。

興味津々で「それで?」と、彼女の話の続きを促した。幽子はその期待に応えるように、さらに話を続ける準備を整えているようだった。

    
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